則本昂大はなぜ5試合連続2けた奪三振ができたのか~野茂英雄の6試合連続に王手
流れが悪い。大けがになる前に何とかしたい。そんないま、見習いたい人がいる。楽天のエース、則本昂大。パ・リーグではダルビッシュ有以来の5試合連続2けた奪三振を5月18日に記録した。
則本昂大が5試合連続2けた奪三振、という事実だけでもすごいのだが今回書きたいと思ったのはその試合、初回に5失点してからの2けた奪三振だったからだ。
普通5失点もしたら交代だ。だが則本昂大はエース。初回降板なんてありえない。ただし2017年の楽天はバカスカ打つからある程度の追い上げを見越しての続投だった気もする。
なんとあの則本昂大にして、盛岡では過去2度の登板において9イニング14失点。「相性」というのはやっかいだ。サラリーマン的にも苦手な場所というのは少なければ少ない方がいい。
きょうのネタ元は日ごろ読んでいる新聞記事なのだが、興味深いことが書いてあった。いったい、則本昂大はどうやって悪い流れを断ち切ったのか?
初回、則本昂大は中田翔と大田泰示にホームランを浴びた。その深層心理として例の「相性の悪さ」が影響して、大事に行き過ぎた。則本昂大はそれを「自分らしくなかった」と振り返る。そう、不調の一因として「自分らしくない」はよくある話。
逆に言えば「自分らしさ」が出せている時は好調だということ。則本昂大は腕をしならせて投げる、力感のあるフォームが特徴だが「一生懸命に腕を振る」という原点に立ち返った。そして徐々に自分らしさを取り戻していった。
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気持ちだけでなく、イニングの合間のキャッチボールでは緩い球を多投してフォームを整えたという。フォームのバランスもさることながら気持ちと心のバランスも整ったに違いない。
見過ごせないのはこの則本昂大の好投を引き出したのが楽天の強力打線ということ。初回にエースが5失点されたがなんとすぐ2回に6点を奪い逆転してしまった。さらに攻撃の手を緩めず15-6で勝ってしまった。調子が悪い人がいても周りが助けているうちに本人が調子を取り戻す。いい話だ。そういう職場でありたい。一人一人が自分らしく輝ける職場はきっと雰囲気がいいに違いない。
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まあ則本昂大もさすがにエースなので「三振どうこうよりも、勝つことがすべて」と言っていた。個人プレーに走らないところがさらにカッコいい。出来る人の特徴である。
こうなるといよいよ外野は騒がしくなる。次の登板も2けた奪三振となればあの野茂英雄のプロ野球記録、6試合連続2けた奪三振なのだ。期待を込めて、黒柴スポーツ新聞は「達成できる」と予想しておく。
久しく奪三振にまつわる話題がなかった気がする。打高投低に思える昨今、一つの野球の醍醐味を思い出させてくれている。同じアウト一個なのに、三振はなぜプロ野球ファンのハートをつかむのだろうか。
それは力と力の真剣勝負だからだろう。黒柴スポーツ新聞編集局長も、流れが悪いとか言ってないで、まずは則本昂大を見習って、無心で腕を振ってみよう。そのうち流れが来るかもしれない。そのためにもまずは自分らしさを失わずにいよう。このブログ記事執筆もまた、普段着の自分を取り戻す大切な儀式だ。相変わらず一見さんが多い黒柴スポーツ新聞ではあるけれど、ぼちぼち固定ファンを獲得中。読んでくださっている皆さん、いつも本当にありがとうございます。これからもぜひ息抜きに遊びに来てください。
併せて読みたい、三振にまつわる記事はこちら
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2083日ぶり巨人戦勝利の由規を軸にドラフト1位そろい踏みの夜~吉川尚輝も桜井俊貴も輝け
地上波で巨人ーヤクルトがやっていた。ほう、きょうは由規が投げているのか。巨人ファンとはいえ、妙にやりにくい。応援したくなる。
かつて日本人最速となる161キロをマークした剛腕、由規。長きにわたるけがはその代償だったのか。
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いま、野村再生工場ならぬ真中再生工場という言葉があるらしい。鵜久森淳志、坂口智隆、大松尚逸、近藤一樹。パ・リーグでうずもれていた、あるいはくすぶっていた、あるいはけがに苦しんだ人たちがそろいもそろって真中満監督の下、再び花を咲かせようとしている。浪花節が大好きな黒柴スポーツ新聞でも再々取り上げてきた。
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なんと大松尚逸にいたっては今夜の試合にスタメン起用されていた。代打から見事な昇格である。さらに青息吐息になりかけていた由規をよみがえらせる追加の一撃まで打った。あと数十センチでホームランになろうかという大飛球。相変わらずパンチ力は魅力的だ。
由規が投げて大松尚逸が打つ。巨人ファンなのだがさすがにこのコンビだと悔しさが半減してしまう。
地上波の解説は江川卓。5回をもって「交代を」という意見だった。確かに由規は肩の手術を経験しているのであまりたくさん投げない方がいいのかなと思った。が、スピードガンを見ていると「147」なんてフツーに出ている。さすがに150キロ台は出ないのかもしれないが上等の球速だ。
※5月18日追記。新聞には152キロを5度計測と書いてありました。球速を過小評価しました。申し訳ありません……
由規は結局7回を投げて被安打2。失点ゼロに抑えた。巨人戦での勝利は実に2083日ぶりだという。
この日は「ドラフト1位デー」だった。由規は2007年の高校生ドラフト1巡目。そして2016年の巨人1位、吉川尚輝はプロ初スタメンだった。初々しさあふれる吉川尚輝だったが、さすがにプロの飯を10年食った由規に軽くひねられてしまった。4回打席に立ったが無安打だった。まだまだこれからということだがセカンド中井大介がフワフワしてレギュラーの位置をつかみそこなっているうちにチャンスが巡ってきた格好。中井大介は守備が悪いのだから、それを上回るくらい打たねばならない。それができないので後輩に突き上げられてしまった。
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そう、いくら先輩だからといってずっと優先的に取り組ませるほど、管理職は気長な人ばかりではない。高橋由伸監督も中井大介に期待していたがついにあきらめたか。大下剛史も「巨人はセンターライン強化を」と中井大介のセカンドの守備は難があると指摘していた。この日吉川尚輝の脇を打球が襲ったが、ダイビングした吉川尚輝はそれを取り逃がしてしまった。菊池涼介ならかっこよく捕っている打球。球際に強くならないとレギュラーは張れない。期待のドラフト1位はほろ苦デビューといったところか。
で、巨人は負けたのだがわずかに収穫もあった。4番手で登板した桜井俊貴が2イニングをノーヒットに抑えた。奪三振も3。力のある球を投げており解説の江川卓も試合終盤での登板が「ありえる」とお墨付きを与えていた。たしかに勢いのある直球だった。2016年はひじに違和感があったそうでわずか1試合の登板に終わった。副音声解説の鈴木尚広も「この悔しさを忘れないで」とエールを送っていた。
ドラフト1位は1年で12人いる。しかし残念ながらそれが「ピーク」というパターンも少なくない。あれだけ騒がれたソフトバンク1位の田中正義だって活躍できていない。結局プロの世界はいくら前評判が高くても結果を残せなければ淘汰されていく。本当に厳しい世界だ。サラリーマンの比ではない。だからこそスター選手はものすごい額を手にするのだが。
日本人最速の称号を手にし、けがで育成選手まで経験した由規。もたもたする先輩を押しのける格好でスタメンのチャンスを得た吉川尚輝。けがを乗り越えて1軍定着をつかみつつある桜井俊貴。かつてのドラフト1位も三者三様。2017年、3人にはどんなシーズンになるだろうか。
併せて読みたいドラフト1位にまつわる記事はこちら
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ドラフト以前ですが中日に入団し、惜しくも事故で亡くなった加藤斌さんの記事もぜひご覧ください。
千賀滉大9球で降板、ホークス危機~失って初めてその人の価値が分かる
ホークスの千賀滉大にアクシデントが発生した。5月16日のオリックス戦で、たった9球投げただけで降板した。
情報が錯綜している
各メディアの情報を並べてみる。けがに関するくだりだけ集めてみた。
Full-Count「足を気にする素振りを見せると」
日刊スポーツ「体の異常を訴え」
西日本スポーツ「駿太を空振り三振に仕留めたが、スイングをアピールした後、うつむいて険しい表情を浮かべた」「1回、腰付近を押さえベンチに下がる千賀」(写真説明)
デイリースポーツ「マウンドで不調を訴え」
ベースボールチャンネル「2アウトを奪ったところで足や腰を気にする様子を見せ」
スポーツ報知「ベンチに下がる際に腰のあたりを抑えていたが」
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何せ9球しか投げなかったのだ。これって重症なのではないか? 大事を取っての降板であればよいのだが…
なお上記の記事は18時台のもの。続報が待たれる。千賀滉大の緊急降板は、黒柴スポーツ新聞的にも2017年初の号外級ニュースだ。編集局長はたまたま巨人ーヤクルトのラジオ中継を聞き始めたら「千賀を継いで」「マウンド上の石川」みたいなフレーズに「???」となり、ネットでの速報をのぞいたのだった。
WBCが起因なのか
千賀滉大のニュースをあさっていたら、「もうWBCはヤメだな」的なヤフコメがあった。WBCに起因するのか。確かに武田翔太も復帰できていない。影響があるのなら、それはボールの違いなのか、調整を早めなければならない開催時期が悪いのか。
一方で千賀滉大はここまで5勝を挙げており影響がなかったようにも見える。ほかに出場した菅野智之も悪くないし、則本昴大も順調に三振を奪っている。みんながみんなWBCの影響ではないと考える。だがそういう問題でもない。一人でも故障者が出たらそれはWBCの影響なのだ。
大ピンチのホークス
ソフトバンクの場合、伸び盛りで勝ち頭の武田翔太と千賀滉大という「よりによって」感がハンパない。ここまで、2016年にチームを引っ張った和田毅と武田翔太がいない中で2位にいることがむしろ健闘と言える。
しかし千賀滉大の離脱はコメントにしこたま書かれている通り「痛すぎる」。和田毅、武田翔太、千賀滉大。3人で40勝いけるメンバーなのだ。千賀滉大は今夜不調を訴えたばかりだが長期離脱ともなれば先発の柱がいなくなり投手陣はものすごく不安定になる。
頼みはバンデンハークくらいか。ベテランの攝津正、大隣憲司、松坂大輔はそろって心もとない。攝津正は5月6日のロッテ戦で完投しているから全く頼りにならない、ということではなさそう。だがかつて誇ったあの安定感からは程遠い。
直近の登板はうまくいかなかったが寺原隼人にも期待したい。とにかく試合を作れる人でないと話にならない。あとは今夜緊急登板した石川柊太のようにどんどん若い力をつぎ込むしかなさそうだ。
抑えに活路を見出しつつあった岩嵜翔にもう一度先発に回ってもらうか…。とにかくホークスには総力戦しかない。
残った人たちで何とかするしか…
仕事ができる社員がごっそり抜けた職場のようなホークス。結局残った人たちで何とかするしかない。失って分かる、その人の本当の価値。千賀滉大の穴なんてデカすぎて埋まらない。
柱になる選手が痛みを抱えている時にファンができることはずばり、故障や不調の選手たちの早期復帰を祈るだけだ。はっきりいってそれしかない。あきらめず応援することだけだ。
今夜の試合、ホークスの必死さが伝わってくる。先制されて、松田宣浩のホームランで追いついて、勝ち越されて、上林誠知の一打で追いついて。きょう負けてしまったら千賀滉大の緊急登板のダメージがより大きくチームにのしかかる。それだけは避けたい、と言わんばかりの粘り。投手陣も粘りの継投を続けていた。
千賀滉大降板の理由は「背中の違和感」
ここまで書いたところでまたネットニュースをチェック。20時台になっていたが各紙の続報が見えた。「背中の違和感」と球団が発表したとのことだった。ホークスファンはちょっと胸をなでおろしたに違いない。もちろん安心なんてできないが肩、腰、足よりましと思える。千賀滉大ほどの力あるボールを投げると背中を傷めるものなのか。険しい表情という記事もあったので痛みがあったのではと想像する。念のために病院で検査するとのことだが結果がすごく気になる。軽症であることを祈るしかない。
試合は苦しい展開となった。投手陣は小刻みにつないで2失点のまましのいでいたがついに8回森唯斗がつかまり犠牲フライで1点を失った。このまま負けるのか…。
と思ったら9回に川崎宗則がツーベース。さすがである。ツーアウトランナー2塁で柳田悠岐。最大のヤマ場が来た。黒柴スポーツ新聞編集局長は前に京セラで柳田悠岐が平野佳寿から決勝ホームランを打った瞬間を見たことがあるぞ。まさかその時の再来か? ラジオからは「鷹の道」が流れてくる。あきらめないホークスファンの大合唱。だが…「空振り三振!!」。アナウンサーは無情にも試合終了を伝えた。
この日楽天が勝ったためゲーム差は3.5に。痛い。万一今年ホークスが優勝を逃したら、けが人続出のシーズンを象徴する試合になるかもしれない。いやいや、そうしないためにもホークスはチーム力を結集してやるしかない。まずは千賀滉大が軽症であることを祈ろう。
併せて読みたい、千賀滉大についての記事はこちら。
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「根本陸夫伝」ホークスファンにもビジネスマンにもおすすめ~仕事ができる人は縁を生かす
5月15日はJリーグが発足した日だそうだ。Jリーグ誕生がプロ野球に与えた影響はいろいろあるが、野球人気は衰えてきており、プロ野球関係者には危機感があった。長嶋茂雄が浪人生活にピリオドを打ち球界に復帰したのもJリーグの存在があったからこそとも言える。きょう紹介する根本陸夫もまた危機感を抱いた一人であり、ON決戦を通じて球界発展を実現しようとしていた、ということを「根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男」(高橋安幸著)を読んで知った。
題材からしてプロ野球ファンなら読みたくなる本。名監督、というよりはいわゆる寝業師的なイメージの根本陸夫がどんなことを考え、どう動いていたかは野球ファンなら知りたいところだ。著者は根本陸夫ゆかりの人物一人一人を訪ね、その人となりを浮かびあがらせた。
【証言者一覧】
工藤公康、大久保博元、関根潤三、土井正博、衣笠祥雄、坂井保之、石毛宏典、森繁和、行沢久隆、小島弘務、毒島章一、石山建一、小枝守、浜田昭八、安倍昌彦、大田卓司、下柳剛、瀬戸山隆三、森脇浩司、王貞治
おそらくこの陣容を見た時点でAmazonで即買いされる方もいらっしゃるに違いない。そのくらい魅力的な顔ぶれだ。根本陸夫のことを学べるのはもちろん、上記の人たちの小ネタも拾えるのだからお得感この上ない。
根本陸夫は近鉄で選手時代を過ごし、広島、クラウンライター、西武、ダイエーで監督を務めた。上記の人たちはそうした時代に縁があった人。そして根本陸夫という人に魅力を感じた人だ。読み終えるとなぜ根本陸夫が「オヤジ」と呼ばれるかが分かる。
もちろんみんながみんな、もろ手を挙げて根本陸夫を持ち上げているわけではない。根本陸夫のことを振り返ると、清濁併せ呑む、という言葉が思い浮かぶ。筋を通すことも相手の裏をかくこともやる。情に厚いが情に厚いばかりでもない。そんなイメージが証言から浮かび上がる。
常に5年10年先を見据えていた根本陸夫の発想の真骨頂が、先ほど書いたON決戦だと思う。黒柴スポーツ新聞編集局長は長嶋巨人と王ダイエーがそれぞれリーグチャンピオンになって初めて「ああ、ON決戦なんだな」と思ったが根本陸夫はそれをするために自分がダイエー監督時代から王貞治ダイエー監督誕生に向けて動いていた。この発想がまずすごい。
自分がそのポストにありながら後任人事を、さらには次のビッグプロジェクトを考える管理職がいるだろうか?
王貞治ダイエー監督誕生、そしてON決戦は根本陸夫の計画通り実現する。しかしその時根本陸夫はこの世にいないのだが。
寝業師と評されるが見方を変えれば人脈を駆使したとも言える。仕事ができる人はそうなのだ。縁をフル活用する。物事を成功させるためには敵さえ取り込む。懐の深さとしたたかさが同居している。
もちろんそればかりでは衝突も起きる。今ならコンプライアンスなり企業倫理なりに引っかかる事例もあっただろうが根本陸夫は次々に事を成し遂げてきた。それができたのは気配りの人だったからと見た。「根本陸夫伝」はプロ野球の歴史の一部を描いた本ではあるけれど、次々に企画を立てて通すのが仕事のビジネスマン目線でも楽しめる要素がある。
2017年現在、西武が低迷していてソフトバンクが充実しているのは根本陸夫が見ていた時代と真逆だ。だからこそ西武ファンには草創期にどんなことがあったのか、逆にソフトバンクファンにはダイエー時代にいろんな苦労があったんだなと、ぜひ「根本陸夫伝」を読んで知ってもらいたい。
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そして野球は選手が中心ではあるけれど、スカウトや球団職員の力もあってチームが強くなっていくことを、「根本陸夫伝」はあらためて教えてくれている。
根本陸夫がトレードを成功させた秋山幸二が監督としてホークスを日本一に導き、根本陸夫が西武の管理部長時代にプロ野球の世界に入った工藤公康がいまホークスの指揮を執っていることを考えると、ホークスファンは根本陸夫の掌の上で野球を楽しめているようにも見える、というのはちょっと言いすぎか。ホークス監督として優勝もAクラスもなかったのは事実だが、その根本政権時代を含め17年連続Bクラスも経験した(結局20年連続Bクラス)ホークスの血を入れ替えたことだけ考えても中興の祖と言っていい根本陸夫を、もっと多くの人に知ってもらえたら、と思う。
併せて読みたい、プロ野球本の紹介記事はこちら。
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2017年は2000安打ラッシュの予感~青木、荒木、阿部、福浦、内川、鳥谷…誰まで達成?
2000安打。一流打者の勲章だ。イチローばりに年間200安打打っても10年かかる。どこの組織でも10年、第一線で活躍するのは素晴らしいこと。年間200安打打つのは至難の業だから、実際は15年から20年くらいかかるので余計にすごい。
そんな稀有な記録が2017年、相次いで達成されようとしている。NPBの「歴代最高記録 安打」というページを見て驚いた。なんと5人も射程圏内なのだ。数字は2017年5月12日現在。
・荒木雅博 1983本 残り17
・阿部慎之助1949本 残り51
・福浦和也 1942本 残り58
・内川聖一 1940本 残り60
・鳥谷敬 1907本 残り93
これは日本のみの記録なので、この上位には青木宣親がいる。数字は5月11日(日本時間12日)現在。
・青木宣親 1987本 残り13
かつてこんなに2000安打がまとめて達成された年があっただろうか。ただしそれぞれの達成の仕方はいろいろだ。
キャリアを見てみる。
・青木宣親 14年目
・荒木雅博 21年目
・阿部慎之助17年目
・福浦和也 21年目
・内川聖一 17年目
・鳥谷敬 14年目
ちょうど、三つのグループに分かれる。青木宣親、鳥谷敬は量産型、荒木雅博と福浦和也はコツコツ型、阿部慎之助と内川聖一はコンスタント型とでも言っておこう。
青木宣親と鳥谷敬はともに早稲田大学出身。大卒での達成は高卒より4年遅くなるので2000安打の達成率は低くなると思うが彼らには関係なかったようだ。日本通算の歴代10傑では門田博光と福本豊が社会人野球まで経験。金本知憲は大卒。残りは高校卒業後すぐプロ入りしている。
【歴代安打10傑】
2位 野村克也 2901本 峰山高校
結論を急ごう。ずばり2000安打射程圏内6人中、福浦和也を除く5人が2017年シーズンに達成と予想する。もちろん福浦和也にも到達してほしいがまずは試合に出ないと始まらない。2012年以降、試合出場最多は2012年の84試合、安打数最多は2015年の47本。5月12日時点で残り58本というのはリアルに厳しい。
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だが、所属球団がロッテというのはアドバンテージかもしれない。もし福浦和也がFAして移籍先で現状であれば戦力外通告を突きつけられている気がする。地元、習志野高校出身、ロッテ一筋21年。もし22年目のシーズンがあるのであれば達成できる、というかすることを願っている。
個人的には鳥谷敬に注目している。巨人ファンながら彼の動向が気になっていた。2016年シーズンは自身の不振と、後輩である北條史也の台頭によりスタメンの座を奪われることもある事態となった。ただし連続試合出場は継続され、2017年4月19日に金本知憲の1766試合を抜き2位になった。2017年にかける思いは人一倍あったことだろう。2000安打は一つのモチベーションになっているに違いない。達成するにはまだまだ打ち続けないといけないから、通年の目標としては最高だ。
逆に心配なのが荒木雅博。達成してしまったらそれを花道に引退勧告が行われやしないかとヒヤヒヤする。中日も低迷しており森繁和監督のことだからバッサリいきかねない。個人的には荒木雅博の現役続行を願うばかりだが中日全体の活性化のためにはそろそろ荒木雅博を引き継ぐ若手が内野に固定されるべきだろう。
阿部慎之助は一塁手としてもプレーしていたので、野村克也、古田敦也、谷繁元信に続く「キャッチャーとしての名球会入り」とはならなそうだ。が、キャッチャーという過酷なポジションをこなしての道のりには素直に敬意を表したい(まだ達成はしていないが)。
青木宣親はまだ日本に帰ってこないのか。最後の1、2年くらいはヤクルトに戻ったらどうだろう。当分山田哲人が背番号1を付けるだろうからまた背番号23に戻すのはどうだろう。当時とは違う、ベテランとしてチームを引っ張って優勝して終わる、というのも素敵な退き方だ。
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同じ2000安打なのだがそれぞれにドラマがある。節目の日の新聞紙面やネットの扱いはどんな感じになるだろうか。読み比べもまた楽しい。黒柴スポーツ新聞でも楽しんでもらえるよう、お祝い用記事を仕込んでおくことにしよう。
併せて読みたい2000安打記事はこちら。
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4打数連続ホームラン!レアードがソレイタ化へまた一歩~ホームランは打てる時に打て
レアードはソレイタになるのか?と以前茶化して記事を書いたら本当に大爆発してしまった。日本記録に並ぶ4打数連続ホームランを5月12、13日にマークした。
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残念ながら詳しくないのだが、打数と打席は違う。四死球や犠打は打席にカウントされないらしい。なので今回四球が絡んでいるレアードは4打数連続ホームラン。日刊スポーツの記事によると、以下の人たちが記録している。
【4打数連続ホームラン記録者】
青田昇、王貞治、長池徳二、醍醐猛夫、田淵幸一、羽田耕一、松原誠、高木守道、掛布雅之、ソレイタ(2度)、谷沢健一、バース、ブライアント、アレン、D・J、ウィルソン、古田敦也、バレンティン、山田哲人
同じ記事によると、王貞治とウィルソンは4打席連続ホームランを記録している。これが一番すごいかな、とも思うがソレイタは唯一2回記録(しかも同一シーズン!)しているのでこれもすごい。
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4打数連続ホームランを打った日本ハムの外国人打者はソレイタ、ソレイタ、ウィルソン、レアードと、これで4度目だ。外国人バッターは当たり外れがあると思うが爆発力がある人を上手に発掘していると思う。
ホームランは打てる時に打っておくべきだ。ボールがよく見えている時ってある。調子がいい時は赤信号で突っかかったりしない。行く先々で青信号。行く先々で追い風。周りがおぜん立てしてくれているかのようだ。そういう時は遠慮なく成果を出すべきだ。だって次にいつ流れが来るかなんて分からないのだから。黒柴スポーツ新聞編集局長も数少ないスクープは短期間にパパッとものにしたっけなあ(遠い目)。
さて、2016年の覇者・日本ハムが2017年シーズン早々出遅れている。12年ぶりに10連敗までした。が、ここのところ復調モード。5月12日には前身の東急だった1950年以来57年ぶりに1試合7ホームランの球団タイ記録。この試合では巨人から移籍した大田泰示が2本打って貢献したのもうれしい。以前大田泰示について書いたが、日本ハムで大成してほしい。
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日本ハムにとってはホームランが打てるレアードが調子づくのは願ってもないことだが他チームにはやっかいだ。これ以上すしポーズをとらせてはいけないし、「ダイスシ!」とも言わせてはならない。
楽天にはペゲーロ、ソフトバンクにはデスパイネ、そして日本ハムにはレアードがいる。優勝チームは総合力が問われるが接戦となればいずれかの外国人選手がほんの少し抜きんでたチームが優勝しそうな気がする。彼らのホームランの数、注目しよう。
ホームランにまつわるほかの記事はこちら。「これ、知ってたぜ」というネタ、気になったネタはぜひシェアを。今後の参考にさせていただきます!
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戦力外乗り越え大松尚逸ヤクルトで「はじめまして弾」~禍福はあざなえる縄のごとし
23時台のスポーツニュースをぼーっと見ていた。
延長12回、バッター大松尚逸ときた。これはまさかの…
キターーーーーー!!
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大松尚逸がバットを振り抜くと打球は高々とライト上空へ。最前列にスタンドインした。今やヤクルトのお家芸となった、恩返し劇場の幕開けである。
森岡良介、鵜久森淳志、坂口智隆。前の球団で力を発揮できなかった、あるいは輝きを失った選手たちが次々に結果を出す不思議球団ヤクルトスワローズ。大松尚逸もそこに加わる予感はしていたが本当に劇的弾を放った。
過去の記事はこちら。
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黒柴スポーツ新聞はヤクルト与党メディアでも何でもないのだが、つい筆を執りたくなる。そう、それがヤクルトスワローズの魅力。それに取りつかれた方々が夜な夜な神宮に集結している。
かつてヤクルトスワローズには「野村再生工場」という言葉があった。代表格は田畑一也。ダイエー時代に2勝だったがヤクルト移籍1年目に12勝と大ブレイク。翌年も16勝と柱になった。 小早川毅彦を開幕戦で起用し斎藤雅樹にホームラン3発をお見舞いしたのも語り草だ。
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森岡良介、鵜久森淳志、坂口智隆、そして大松尚逸。森岡良介は引退してしまったが、恩返し四天王とでも言いたくなる。彼らの生き方を見ると、人生捨てたもんじゃないな、と思う。
転職はもう珍しくない時代。だが一度入った組織で現役をまっとうするに越したことはないという考えもまた根強い。プロ野球でもそんなに移籍を繰り返す選手はいない。次々にスター予備軍が入団し、毎年激しい生存競争が繰り広げられる。森岡良介、鵜久森淳志、坂口智隆、大松尚逸の4人は見切られたり、けがをしたりと辛酸をなめるも、現役続行に強い意思を示した。
中でも大松尚逸のけがは最も重傷だろう。アキレス腱を断裂し、車いす生活を余儀なくされた。今でも全力疾走ができないという。他球団と違い「つなぎの四番」が許されるとはいえ、ロッテの四番まで務めた大松尚逸にとって、戦力外通告は地獄への片道切符だったに違いない。
「はじめまして、ヤクルトスワローズの大松です」
サヨナラホームランを放ち、温存していた自己紹介をお立ち台で披露。カッコいい。まさに名刺代わりの一発。右の鵜久森淳志、左の大松尚逸。起死回生の一発がほしい場面ではどちらかが代打に控えている。打率がべらぼうに高くはないかもしれないが、長打力があるから要警戒だ。一発逆転、一打同点、ここ一番でのダメ押しを信じるヤクルトファンは試合終盤まで楽しみがある。
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禍福はあざなえる縄のごとし 、という言葉が浮かんできた。いいことと悪いことは代わる代わるやってくる。幸福だったことが不幸に転じるかもしれないし、不幸だと思っていたことが幸福になるかもしれない。大松尚逸はロッテ時代、大勢のファンの声援を受けて幸福感いっぱいだったことだろう。しかし戦力外の憂き目にあい、ヤクルトに「拾われ」、チームも自分も救う一発を放つ。この間失った物もたくさんあっただろうが、残りの現役時代や野球人生において生かされる経験もあるに違いない。
禍福はあざなえる縄のごとし。たとえ今が悪くても、大松尚逸のように自分の力をまずは信じてみよう。
なお、大松尚逸のサヨナラホームランにより、近藤一樹がオリックスからの移籍後初勝利となった。おめでとうございます。これにもまたドラマがあることだろう。だから野球は面白い。
4試合連続完封の城之内邦雄は16-0でもノーヒットノーラン~菅野智之は3試合連続完封でストップ
5月9日、阪神戦で菅野智之は4試合連続完封に挑戦なるか。楽しみにしていたが、帰宅途中のカーラジオではあっさりと、阪神打線がその野望を打ち砕いたことを伝えていた。
もし4試合連続完封で来ていたら、1965年に巨人の城之内邦雄が記録して以来52年ぶりだった。
黒柴スポーツ新聞編集局長は城之内邦雄をリアルタイムで見ていた世代じゃない。だが大差の中でもノーヒットノーランをやった人、という知識はあった。
確か10-0というスコアじゃなかったか、と野球カードをあさってみてびっくり。何と16-0でのノーヒットノーランだった。
野球カードには「打線が活発でどんなにリードしていても手を抜かない実直な性格で、16対0ノーヒットノーラン記録(68年、対大洋戦)は、その典型と言われた」と書かれていた。
何て素晴らしいんだ。
大差で勝っていたら、ちょっとやそっと打たれようが痛くもかゆくもない。意識的に手を抜く人はいなくとも、無意識に「安心感」を抱いたとしても不思議じゃない。
それがノーヒットノーラン。この人、どこまで完璧主義者なんだ。
一球入魂
というよりも、どうやら「丁寧な人」らしい。インタビュー記事を読んだことがあるが、一球入魂、一球ごとに勝負していたというのだ。
無駄な球は投げない。それで3球三振に仕留めたところ、川上哲治監督に罰金を取られたことがあったという。まあ監督からしてみたら慎重に攻めよ、ということかもしれないが。投げるリズムも滅法早かったという。
誇りは完封の数だそうで36完封。城之内邦雄は通算141勝だからほぼ4分の1が完封だ。チームメイトだった堀内恒夫は203勝と62勝も上だが完封数は37と、城之内邦雄より一つしか多くない。そりゃ自慢したくなるだろう。
ノーヒットノーランは投手と野手との共同作業だ。投げる方も丁寧だし、守る方も丁寧だからこそ成り立つ。同じゴールを目指すチームメイトとはこういう丁寧な関係でありたい。
一球一球全力で投げた結果
城之内邦雄の出場試合は359試合だが、うち112試合で完投している。一人で投げ切るのが当たり前の時代背景も考慮しないといけないが、日刊スポーツ記事によると、完投しようと思ったことはなく、それでも完投できたのは「一球一球全力で投げた結果」だという。
確かに完投を目指すなら1イニング10球ちょっと、などとペース配分を考えるべきだ。しかし城之内邦雄は力を抜いたその球が打たれたら悔いが残るだろう、というのだ。
今は何かと効率が求められるから城之内邦雄的な発想は受け入れがたいかもしれない。しかし4試合連続完封くらいの離れ業は、最初から最後まで全力でやらないとなしえないような気がする。そのくらい精魂込めないとできないことは想像がつく。
日が当たるかどうかは別として、仕事をしているならそれなりにみんな、いいものを目指すはずだ。城之内邦雄みたいに全力投球する必要はないのかもしれないが「精魂を込める」、これが成功の秘訣じゃないのかな、と改めて感じた。まずは目の前の作業を手を抜かず、一つ一つ丁寧にやっていこう。
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スマートな岸孝之が見せた中村剛也との真っ向勝負~パ・リーグの伝統は生きていた
今、最も美しい野球選手だと思う。楽天に移籍した岸孝之が5月7日、古巣・西武との試合に臨んだ。激しいブーイングがあったと聞く。だがそれを払しょくする熱投を見せた。
3-0とリードしていた7回。バッターは中村剛也。この3点差がミソだ。万一ホームランを浴びてもまだ勝っている。力勝負を挑むか、かわすか。それは岸孝之のさじ加減一つだった。
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で、岸孝之は力勝負を挑んだ。そう、岸孝之はスマートな外見から西武時代もプリンスと称されていたが骨のある男なのだ。
だからこそ慣れ親しんだユニフォームと決別し、仙台行きを選んだ。自分を育ててくれた人たちに成長を見せる。地元に恩返しをする。それが移籍の理由だった。
気持ちで投げるタイプというのは2008年の巨人との日本シリーズ登板を見てもよく分かる。岸孝之は第4戦でシリーズ初登板初完封をやってのけたが、中2日で第6戦にも登板。4回からロングリリーフで9回まで投げ切り、巨人打線に1点もやらなかった。この起用の理由に渡辺久信監督は「岸の気持ちの強さ」を挙げていた。
第7戦は片岡治大(易之)の好走塁、シリーズ男の平尾博嗣の活躍で西武が勝ち、西武が日本一に。岸孝之はシリーズMVPに輝いたのだった。
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このシリーズで岸孝之のカーブが全国区になった。野村克也いわく、投げる時にひねるカーブではなく「抜く」カーブ。チェンジアップカーブとでも言え、とのことだった。ふわっと落ちてくるイメージ。巨人打線は面白いように空振りしていた。
そんな変化球のキレがありながら、岸孝之は古巣の西武戦で、しかも主砲・中村剛也に対して力勝負を選択した。それを駆り立てたのはあのブーイングだったのか。それともそれが本当の意味での西武ライオンズとの決別宣言だったのか。
149キロ、渾身のストレートがやや高めに浮いた。これを中村剛也が仕留めた。場外ホームラン。打たれた瞬間、岸孝之はすぐ後ろを振り向かなかった。久々に劇画のような野球を見た。
そういえば。例えば。
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勝負を度外視した真っ向勝負を、しばらく見ていなかった気がする。
岸孝之は続くメヒアにも一発を浴び、勝負を楽しんでいる余裕はもうなくなっていた。それでも後続を断ち試合は楽天が勝った。
楽天にしてみれば負ける可能性を高める危険な勝負だった。それはチームへの背信行為でもある。今回は岸孝之だから許されたのだろう。梨田昌孝監督だからできたのかもしれない。星野仙一監督だったら仮に打たれて負けても許してもらったかもしれない。
田中将大もダルビッシュ有も海を渡り、パ・リーグ伝統の力と力の勝負は絶滅寸前のような気がする。平成の名勝負というフレーズももはや死語。平成という元号がそもそも変わりそうではあるのだが。
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というわけで久々に気持ちのいい勝負を見た。中途半端に内野ゴロとか外野フライという結果じゃなったのもよかった。斬るか、斬られるか。それでこそパ・リーグの伝統なのだから。
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覚醒した上林誠知は一日も早く背番号51返上を~もし背負うなら何番が似合う?
その瞬間、工藤公康監督は人差し指を高々と突き上げた。悠々とダイヤモンドを一蹴したのは上林誠知。今、大ブレイク中の男だ。
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5月5日、千葉でのロッテ戦でホークスは宿敵・涌井秀章を打ちあぐねた。先発の中田賢一は2失点と粘り強く投げ続けるも、援護なし。0-2のまま9回、ホークス最後の攻撃になってしまった。ピッチャーはロッテの抑え、益田直也。
黒柴スポーツ新聞編集局長は、ブログを書きながら中継をチェックしていた。あ、内川聖一が四球か。一発出たら同点か。そうそう、今季からはデスパイネがいたんだ。
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カーン!
え、え、
まさか、
うそ、
行った~~~~
レフトスタンド一直線でホークスファンはお祭り騒ぎ。あそこに混ざりたい……
まさに主砲の仕事。打率は問題じゃない。試合を決める一振りをこの男は契約者しているのだ。デスパ、コスパ、イイね!
おおっと、そうこうしている間に上林誠知登場。ただいま売り出し中の男。やってくれる「雰囲気」ができつつある。ここまでの3試合で満塁ホームランを含む3発。パンチ力も魅力だ。
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ここで打ったらすごいなあ。
カキーン。
え、うお、
うそ、
やった~~~~
今度はライトスタンドに飛び込み、ロッテファンはお通夜モード。そりゃそうだ。涌井秀章好投で内、益田直也つなぐ磐石のリレー。2点差であとアウト三つ取れたらおいしいビールが飲めたのだ。
野球はこれがあるから恐ろしく、これがあるから諦めてはいけない。
まだ裏のロッテの攻撃があったとはいえ、雰囲気は一変。「これは後を引きますよ、ロッテにとっても、益田にとっても」。小早川毅彦が解説した。
もう、ちょっとやそっとじゃ浮かれない。上林誠知のホームインの足取りが印象的だった。歩くでもなく、走るでもなく。ただ若いだけなら飛び跳ねながら、ガッツポーズしながら喜びそうなもの。だが上林誠知はしっかりとホームベースを踏みしめ、ゆっくりと自軍ベンチに向かった。もう、風格すらある。
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かっとばした後、ゆっくり歩く人と言えば山本和範。まあ、上林誠知がそれをやるのはまだまだ早い。
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お立ち台での受け答えも手慣れたもの。ホームラン量産に水を向けられても「ホームランバッターじゃないんで」と必要以上に白い歯は見せず、「3位ですが、優勝目指してますので、後押しお願いします」と100点満点の締めくくりだった。
誰もが分厚いと思う選手層の、ほんのわずかな隙間からたくましく芽を出す若鷹たち。上林誠知は今季その筆頭格だが大木に成長しそうな匂いがプンプンする。ホームランバッターではないかもしれないがあのパンチ力は魅力的。大きいのは打てるに越したことはない。
上林誠知の憧れの人はイチローだ。今、その代名詞である背番号51を背負っている。だが、上林誠知なら自分の背番号を「つくる」潜在能力があると思う。
上林誠知だけじゃない。広島の鈴木誠也、中日の京田陽太も背番号51だがそれはイチローのように、あるいは前田智徳ばりに活躍してもらいたいとの期待値込みの背番号だろう。だがスターは違う。自分の背番号を持っている。選ばれし者であるなら、背番号は自ら作らねばならない。
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イチローは何の変哲もない51という背番号をブランド化した。そこに意味がある。上林誠知はイチローの背番号に恥じない活躍ができるようになった、というだけで満足してはいけないレベルなのだ。
じゃあ具体的に何番か。そう思ったらおあつらえ向きの「5」があるじゃないか……。松田宣浩が付けていたイメージがまだまだあるが上林誠知がこのまま活躍すればお似合いと思うのだがいかがだろうか。
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背番号5と言えば藤本博史も付けていた。パンチ力がある、力強いバッターにふさわしい番号だ。
覚醒したとはいえまだまだ背番号うんぬんの話は気が早いかもしれない。だがそんな話をしたくなるくらい今、上林誠知は乗りに乗っている。
そして言っておきたい。
今、鼻高々なのは上林誠知を獲得したスカウトと、入団以来ずっと上林誠知を応援してきた熱心なホークスファンであるということを。きっとこういう醍醐味があるからファーム通いはやめられないのだろう、とちょっと想像してみた。
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菅野智之も脱帽、74年前に6試合連続完封した藤本英雄~故障から復活し1950年に史上初の完全試合
先日、過去に書いた斎藤雅樹の記事が黒柴スポーツ新聞内の注目記事に浮上していた。何でだろう、と思いながらニュースをチェックすると菅野智之が3試合連続完封をしたのだった。1989年の斎藤雅樹以来28年ぶりの快挙という。
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もっと驚いたのが日本記録は6試合連続完封だという。誰かと思ったら1943年の藤本英雄と分かり納得。なんといっても13シーズンの通算防御率が1.90なのだから。
当然何で6連続完封できたのかという話になる。もちろん藤本英雄が素晴らしい投手だからなのだが、ざっくり言えば昔は打力が今よりも低かったこともある。その分抑えられる確率は高くなる。
このあたりは「記録の神様」宇佐美徹也氏のプロ野球記録大鑑にもきっちり書いてある。超マニアックなことにもついていける黒柴スポーツ新聞の読者なら確実に楽しめる一冊なので、財布に若干の余裕がある方はぜひ購入していただきたい。黒柴スポーツ新聞編集局長は中古のものを入手した。
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それによると通算完封の日本記録はスタルヒン(巨人、トンボなど)の83。だがその75%に当たる62完封は戦前に記録。残り21完封が戦後に記録されたものだ。宇佐美徹也氏いわく、「戦後は打撃全盛だから時代背景を考慮しないといけない」。なのでセ・リーグ記録82完封の金田正一が実質ナンバーワンで、74完封の小山正明、パ・リーグ記録71完封の鈴木啓示も価値ある数字なのだそうだ。
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とはいえ完封のうれしさは戦前も戦後も変わらないのでは?と思う。戦前は珍しくなかったとしてもやはりゼロに封じるのは気分がよかっただろう。たとえ草野球レベルでもそれは一緒。7回限定だったとはいえ黒柴スポーツ新聞編集局長もたった1回だけ立ち会ったことがある。
その日、ファーストを任されていたが試合途中で完封ペースであることに気が付いた。先輩が一生懸命投げているのだからエラーできんぞと。一塁にランナーを背負ったイニングがあったが、ファーストフライなのにランナーが飛び出したのが目に入った。黒柴スポーツ新聞編集局長はフライをキャッチした瞬間、一塁ベースめがけて頭から飛び込みベースにタッチ。ダブルプレーでピンチを乗り切った。「絶対完封するぞ」という気持ちがあったからこそできたとしか思えない。試合後、キーとなったプレーの一つに「あのファーストフライ」と言われたときはかなりうれしかった。そう、完封はピッチャーだけの勲章ではないのだ。
そういう意味では3位ともたつく巨人にとって、菅野智之の完封の意味は小さくない。まとまることで追撃態勢が整うからだ。
それにしても藤本英雄の6試合完封はすごい。このうち4連続目と5連続目は2日連続なのだ。結局62イニング無失点の記録まで作った(この記録は金田正一が64回3分の1まで伸ばした)。藤本英雄ってスライダー投手だろとご存知の方もいるだろうが当時は真っ向勝負を挑んででも勝てていたそうだ。
藤本英雄(中上英雄)は韓国名を李八龍(イ・パリョン)という(大島裕史著「韓国野球の源流」より)。この本は韓国の野球を学びたい方におすすめの一冊だ。
藤本英雄は釜山駅近くで生まれ、下関商業、明治大、巨人と歩みを進めた。1950年6月28日の西日本との試合で日本プロ野球史上初の完全試合を達成した。1943年にもノーヒットノーランを達成している。
【藤本英雄の主な記録】
シーズン完封勝利歴代1位=19(1943年)
連続完封勝利歴代1位=6(1943年)
シーズン防御率歴代1位=0.73(1943年)
通算防御率歴代1位=1.90(投球回2000以上)
通算最高勝率歴代1位=.697
どうだろう。たしかに1943年という時期は気になるところだが、通算記録も素晴らしい。投高打低だったから藤本英雄が6試合連続完封できた、とあっさり言ってはいけないと思う。
そして完全試合が1950年というのも見逃せない。実は藤本英雄は1947年の1年だけ中日でプレーしている。この時連投で肩を痛めたそうだ。プロ野球記録大鑑によれば温泉治療や鍼、マッサージといろいろ手を尽くして復活を目指した。一時は外野手転向も模索したそうだ。1950年はそういう苦しみの後のシーズンだったのだ。
米大リーグの名投手、ハル・ニューハウザー著「ハウ・トゥ・ピッチング」からスライダーのヒントを得た、とプロ野球記録大鑑に書いてあったが、ベースボールマガジン社「GREAT RECORDS『不滅の金字塔』大全集」には、藤本がすでに下関商業時代から外角の球がスライドすることを知っていた、と書いてある。
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力で押しまくれていた1943年に完全試合を達成したわけじゃない。復活を模索して、スライダーやシュートを駆使しての完全試合というところに味がある。ちなみに場所は青森球場で、北海道遠征からカメラマンたちは直接帰京したため完全試合第1号の写真は1枚もないという。
きょうは完封だけで2400文字も書いてしまった。
斎藤雅樹も、藤本英雄も、巨人の歴史に残る名投手であり、野球殿堂入りを果たしている。菅野智之にもぜひ大先輩たちの背中を追ってほしい。
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漫然と過ごしていてはレギュラーになれない~原辰徳が中井大介や小林誠司に求めた姿勢とは
レギュラー。どのチームでも、どの組織でも欠かせない人たちだ。プロ野球のポジションは九つしかない。守備位置のアヤもあるが、基本的に打撃、守備ともそつなくこなせる人がレギュラーとなる。レギュラーとそうでない人は何が違うのか?
原辰徳がスポーツ報知に寄せた観戦記が興味深かった。批評の対象はレギュラー獲りへ歩みを進める中井大介と、WBCでブレイクするも巨人に戻ってからイマイチの小林誠司。
小林誠司はキャッチャーという特別なポジションのため、そうそう代わりはいない。だからこそ出られているのだが。
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一方、中井大介の代わりはいる。それでも中井大介が出続けるのは高橋由伸監督が育てようとしているからだろう。原辰徳の観戦記でも「特に中井を我慢して使い続けている」と書かれている。
レギュラーを獲ろうとしている段階の人はまだまだうまく仕事ができない。失敗もする。だがそれをとがめていてはいつまでたっても一本立ちできない。気長に使い続けている中で成功の割合が徐々に増え、失敗の割合がだんだんと減っていく。高橋由伸もそれを待っている。
代打なら1打席、途中出場なら2打席回るかどうかだが、レギュラーは1試合でだいたい4打席入れる。原辰徳いわく、この4打席の入り方がポイントだという。以下、記事からの引用。
「この状況でこのカウントなら、自分の打撃を思いっきりやろう」「ここはチームバッティングに徹しよう」と、時に強気に、そして献身的にと、頭を切り替えなくてはいけない。
ハッとさせられる。代打はここ一番での起用が多いから結果を求められるし本人も求めたがる。だがレギュラーは4打席あるのでトータルコーディネートが必要だ。毎回来た球を思いっきりひっぱたくだけでは能がない。その打席での最善を尽くす。それがレギュラー。
ちなみにその組織で人数合わせ的に在籍している人をレギュラーとは言わない。存在価値があってこそのレギュラー。その人ならではの力を発揮してこそレギュラー。オレが私がと個人プレーやスタンドプレーばかりでは周りがくたびれてしまう。
野球は刻一刻と、投手がボールを投げるたびに状況が変わり戦術が変わる。だからタイムリーを狙わねばならないのか、進塁打を打たねばならないのかも変わってくる。それを考えて毎回頭を切り替えろと原辰徳は言っている。
「どの打席も同じように過ごしているうちは、真のレギュラーとはいえない」
グサッ。原辰徳の言葉が突き刺さる。4回打席に立つだけでは意味がないのだ。そこで何が求められているのかを即座に理解し、それを成し遂げねばならない。
「使ってもらっているうちに、周りからレギュラーと認めてもらえるプレーをしなくてはいけない」
そう、結果は「使ってもらっているうちに」残さねばならない。これが大事だ。どの職場もボスが気の長い人とは限らない。そして残念なことに、見限られるまでの期間は年々短くなっている気がする。
レギュラーと認めてもらうプレーって何だろう。まず思い浮かんだのは献身的なプレーだ。犠牲バント、犠牲フライ、進塁打、ファウルで粘ること、盗塁を助ける空振り…。地味なことに意味があることをレギュラーは知っている。だがレギュラーだからそればかりでもいけない。結果も残さないといけない。レギュラーとはそれらをバランスよくできる人のことだ。
野心的に、献身的に。それぞれの打席、考えて立つようにしよう。
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日本ハムは55年ぶり東映フライヤーズユニフォーム復刻で反転攻勢なるか~1962年水原茂監督時代に初の日本一、6月24日にプレゼント
仰天ニュースが飛び込んできた。今度は日本ハムが復刻ユニフォームを配るという。1961年から1967年に使われた、東映フライヤーズのものだ。
筆記体のホークスユニフォームが大好きな黒柴スポーツ新聞編集局長ではあるが、実はこの水原茂(円裕)監督時代のフライヤーズのユニフォームも大好きなのだ。
何と言っても「F」マークがいい。鳥になっていておしゃれだ。これはホーム用のユニフォーム。2008年3月発行のベースボールマガジン3月号「いつも、心に、ユニフォーム」によれば「FLYERS」の文字やラインの中心線、帽子やアンダーシャツ、アンダーソックスはこげ茶色だ。もろもろを縁取っているのはオレンジ色だ。
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このユニフォーム、水原茂監督が自ら考えたという。素晴らしいセンス。水原茂と言えばいかにユニフォームがかっこよく見えるかに気を配り、鹿革の下着を使ったとも言われている。そしてオレンジ色の配色がちょっと巨人を思わせたりもする。
水原茂監督と言えば監督通算1586勝、リーグ優勝9回、日本シリーズ優勝5回の名将だ。指揮を執ったのは1950~1960年が巨人、1961~1967年が東映、1969~1971年が中日。つまり今回日本ハムが復刻するユニフォームは水原茂監督時代すべてのものなのだ。
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実は栗山英樹監督は水原茂監督への思い入れがあり、このユニフォームの復刻を何年も前から願っていたという。緻密な、細やかな采配は水原茂監督を意識してのものだったのか。
日本ハムとしてもこのユニフォームは縁起がいい。水原茂監督2年目の1962年はフライヤーズ球団創設以来初の日本一に輝いた。日本シリーズでは阪神相手に4勝2はいだった。復刻ユニフォームのお披露目となった会見では1962年の優勝ペナントが持ち込まれた。
ちなみに1962年のMVPは張本勲。
新人の尾崎行雄はチーム最多の20勝だった。
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気になる、このユニフォームがプレゼントされる試合は6月24日に札幌ドームで行われる日本ハムー楽天戦。来場者全員に、だから太っ腹だ。ホームゲームだけに今からでもチケットが取れるのだろうか???(ファイターズファンは特にご健闘を祈ります)
7月3日に東京ドームで行われる西武戦でもプレゼントされるが、こちらはオフィシャルファンクラブ会員限定4000着。そう、特別なものは特別な日か、特別な待遇の人にしか手に入らない。だからこそプレミアム感が生まれる。
なおフライヤーズのユニフォーム、個人的にはゴツゴツしたパ・リーグのよき伝統を受け継ぐ中田翔が似合いそうに思う。日本ハムファン的には誰が似合うと思うだろうか。
日本ハムは2017年、大谷翔平や中田翔の故障でスタートにつまづいた。日本一に輝いた1962年の4月成績は21勝3敗だったからあまりに対照的だ。果たして55年ぶり復刻ユニフォーム効果で反転攻勢に出られるか。日本ハムファンならずとも気になるところだ。
さて、きょう5月3日は世の中的には憲法記念日だが黒柴スポーツ新聞的には「東映が5者連続ホームラン」(1971年)を記録した日だ。黒柴スポーツ新聞編集局長が購読している新聞にもそれが載っていた。このことについては以前書いたものがあるので興味がある方は併せてお楽しみください。
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南海ホークスのユニフォームが似合う川崎宗則~いまホークスに復帰したことに価値がある
ついに4月28日、ソフトバンク対オリックスの関西クラシック(KANSAI CLASSIC 2017)で南海ホークス縦じまユニフォームが37年ぶりに復活復刻した。
ただし、ユニフォームうんぬんの前に川崎宗則がホークス復帰とあって、その話題で持ち切りになった。
とはいえヒット、好守備でチームに貢献したのだからそれも当然。そして言いたいことがある。
「川崎宗則は南海ホークス37年ぶり縦じまユニフォームがよく似合っている」
もっぱらテレビやネットの画面、新聞紙面で見る限り、ではあるが。
以前、こんな記事を書いた。
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ほとんどの選手が生まれる前のユニフォーム、いったい誰が似合うのかな、と。
縦じまなので細身の選手、あるいは小兵が似合いそうと見た。
柳田悠岐もいい感じ(デッドボールの後遺症が心配)。
中村晃もいい感じ。
ただし記事を書いたのは2月のこと。まさか川崎宗則が大リーグから帰ってくるとは。
こんなオチになるとは。
でも、川崎宗則の南海ホークスユニフォーム姿が見られたから、ま、いいか。
すごく得した気分だ。
川崎宗則のホークス復帰が決まってホークスファンは喜んだのに、サンデーモーニングで張本勲はこう言った。
「戻ってくるのが3年遅い」
恐らくピークが過ぎてから帰ってきてどうすんの?と言いたいのだろう。
確かに川崎宗則があのままホークスに残っていたらもっともっと安打数を積み重ねたに違いない。
だが。
アメリカで武者修行をし続けた姿勢は嫌いじゃない。
憧れのイチローを追いかけて行ったのにイチローが移籍するオチも含めて川崎宗則の味である。
そして。
川崎宗則があのままホークスにいなかったからこそ、次世代の今宮健太やら明石健志らが育ったのではないか?
川崎宗則自身、もしかしたら不要な苦杯をなめたと思っているのかもしれない。あのまま福岡にいたら地位は約束されていたのだ。しかし自分まで自分の挑戦を否定したら悲しいじゃないか。まずは自分で肯定しなきゃね。そう思っているようにも見える。
だから張本勲が言ってることは表面的なことに過ぎない。
2017年シーズンはちょっと雰囲気が重たいのだから、今ホークス1軍に川崎宗則が昇格したことはバッチリのタイミングなのだ。松田宣浩も本調子じゃないからムードメーカーが必要なのだ。
個人的にはこの南海ホークス復刻ユニフォームを着てくれただけでもホークス復帰の価値がある。川崎宗則に限らず、このユニフォーム姿の選手たち、野球カードにならないかな…。
※写真は桜井輝秀。モノクロのため37年ぶりの復刻ユニフォームと同じとは断言できないが、とにかく縦じまです。
一つだけ注文を付けると、ちょっと今回の復刻ユニフォームは緑色が明るすぎないか? 当時のものを見ているわけではないのだが、下の藤原満を見たらもっと濃い緑なのだ。
照明の違いなんかもありそうだから色合いが違いますよなんて言い切れないが、これに限らず復刻ものは徹底的に細部にこだわってほしい。今回のKANSAI CLASSIC 2017では近鉄ユニフォームも復活しているが若干洗練されすぎているような。きれいすぎて「藤井寺臭」がしない。これぞパ・リーグという色気がない。T-岡田なんかもスマートすぎる。
とにかくKANSAI CLASSIC 2017を見られている人がうらやましすぎる。2戦目、4月29日も最終回にホークスが追い上げて最後まで目が離せない展開だったようで。あと1試合、復刻ユニフォームをじっくり楽しみたい。
個人的には福田秀平がきちんとストッキングを上げているので特にかっこよく見えている。そして4月29日の試合でタイムリーを打ったデスパイネが意外と似合っていると感じた。南海ホークス復刻グッズはたくさんあるので興味がある方はぜひ探してみてください。
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重信慎之介は鈴木尚広や簑田浩二になれるのか~本塁突入死もまた財産
4月27日も敗れたが、今年の巨人は広島といい勝負をしている。そこに希望が見いだせている。27日だって、あのクロスプレーがセーフと判定さえされていれば…。
7回、1死2、3塁。亀井善行が浅いレフトフライを放ち、3塁走者重信慎之介が本塁に突入した。重信慎之介は鈴木尚広が去った今、有望な快足である。突入自体は間違いではない。
だがレフト松山竜平も好返球だった。間一髪アウト。だが28日に見た記事ではカープ選手でもセーフと思っていたものがあった。黒柴スポーツ新聞編集局長はカーラジオで聴いていたが、高橋由伸監督の検証アピールを受けて引っ込んだ審判団がなかなか出てこない時点でセーフに覆ると期待していた。が、判定通りアウト。「オーマイガッ!」運転しながら思わず天を仰いだ。
でも満足していた。リプレー検証の間の廣瀬純の解説が興味深かったのだ。
廣瀬純。カープ低迷期を支えた選手の一人である。佐伯鶴城高校から法政大学を経てカープ入団。2013年にはプロ野球記録である15打席連続出塁を記録した。
廣瀬純は二つのポイントを挙げた。まずは松山竜平の捕球。ほんの少し「左耳寄り」だったらしい。「僕だったら、もうワンテンポ(返球が)速いですね」。松山竜平は右投げだから、もう少し顔の正面で捕っていれば右手にボールを持ち変えるまでのコンマ何秒が稼げるというのだ。これは草野球で外野を守っていた黒柴スポーツ新聞編集局長にはとても面白かった。まあ草野球ではそんなエキサイティングなシーンはなかなかないのだが。
そして重信慎之介のスライディング。顔面タッチを食らっているように見えるが松山竜平の返球がちょうど進路に入ってきた。バウンドしてきたものをキャッチャーが捕ってタッチに行くわけだからミットは上から下への移動になる。廣瀬純は「頭から行けば低く突っ込めた」と言った。重信慎之介のスライディングは上体が立っていたからタッチしやすかったのだ。松山竜平同様、重信慎之介もコンマ何秒、本塁突入の時間が稼げた。
なお、重信慎之介の別の選択肢としてはキャッチャーを回り込む作戦もあった。かわしつつ、左手でホームベースをかすめる。中日の荒木雅博も上手だ。
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走塁やスライディングはぜひ鈴木尚広に習ってもらいたい。鈴木尚広も重信慎之介には期待している様子。このプレーについて鈴木尚広の評論はないのか?
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重信慎之介は1軍に定着するためにもこの手のプレーを次々にものにしていかねばならない。スピード自体は申し分ないがプロの世界は本塁突入一つとってみても評論の対象だ。広沢克己は西武との日本シリーズでの本塁突入でレッテルを貼られっぱなしだし、川崎宗則はWBCキューバ戦での「神の手」スライディングが記憶されている。
阪急にいた蓑田浩二は巨人との日本シリーズでの本塁突入で主力入りのきっかけをつかんだ。簑田浩二についてはこの記事をご覧ください。
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4月27日は1-0で広島が逃げ切ったわけだから重信慎之介の走塁死は勝負を分けた。巨人は一時首位広島に0.5ゲーム差に迫っていたが逆に2.5ゲーム差に広げられ3位に転落した。27日に勝っていれば再び0.5ゲーム差にできていたわけで、重信慎之介はヒーローになり損ねたどころか戦犯扱いされかねない。プロの世界はそれくらい厳しい。
いつかプロ野球生活を振り返った時、あのスライディングが出発点だった、と思えるように一層走塁、スライディングに磨きをかけてほしい。失敗を財産にできた人が成功できるのだから。
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