黒柴スポーツ新聞

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牧原大成、ジョーカーかレギュラーか〜FAなら争奪戦必至⁉︎

牧原大成の最大の魅力は「野心」だと思う。プロ野球選手なら誰しも試合に出たいと思うだろうが、これまでいわゆる便利屋として使われてきたバックグラウンドがそう言わせるのだろう。牧原は時折呼ばれるヒーローインタビューではレギュラーの座やら出場機会への欲を隠さない。正直で、聞いていて気持ちがいい。

27日の広島戦はスタメン、ショートをゲットした。センターに抜けそうな当たりをショートゴロにした。ヒーローインタビューではちょっと謙遜して、欠場の今宮健太の代役ショートだから、お客さんは物足りないでしょうなんて言ってしまう。そんなことないですよね、とアナウンサーが促すと球場では拍手が湧いた。牧原はちょっとうれしそうだった。たまにやってしまうエラーが失点や敗戦につながることはあるのだが、牧原の魅力は内外野を守れる器用さ。ユーティリティープレーヤーゆえにレギュラーに固定されないのは皮肉だが、確実に出場機会は得られている。

広島戦では3安打、うち2本はタイムリー。西武に行った平石洋介元打撃コーチは、マッキーはすごいと認めていたが、スイングの鋭さも魅力。脚も速い。これだけ書いていたら非の打ち所がないのだが、昨日の解説の柴原洋も「スタメンで使い続けたらいいのに」と何度も言っていた。ただ、藤本博史監督はそうしていない。ジョーカーだ、と切り札的な使い方をしている。

それってどうなんですか?とアナウンサーに聞かれたら、「ジョーカーと言われるのはうれしい。たまに打てないと『ただの数字やんけ』と言われるので、最後までジョーカーでいられるように頑張りたい。byジョーカー」(日刊スポーツ記事より)と茶目っ気たっぷりに応えた。だが長年、牧原大成を見てきたソフトバンクファンは知っている。マッキーは本当はただの数字、不動のレギュラーになりたいのだと。

ポテンシャルがありながら不動のレギュラーたり得なかった人として、福田秀平の顔が浮かんだ。守備固め、代走、代打。まさに縁の下の力持ちだった。パンチ力もあり、満塁ホームランやサヨナラホームランを打ったりもした。そんな福田はレギュラーの座や出場機会を欲してFA宣言。ロッテに移籍した。だがロッテでもスタメン争いはあるわけで、けがもあって結局レギュラーを勝ち取れたわけではなかった。じゃあ移籍しなかった方がいいのかというとそれもまた違うと思う。少なくとも手を挙げなければレギュラー獲りの確率は上がらなかったはずだ。

おっと、こんなことを書いていたら牧原がFA宣言してしまうかもしれない。宣言したら福田秀平以上に争奪戦が展開されそうな気もする。現に冗談とは言え日本ハム新庄剛志監督が「FAいつ?」と言っていたとか…。権利獲得はもう少し先だろうが、遠い未来ではない。ソフトバンクは権利獲得の前の武田翔太に引き留め的なニュアンスの大型契約を提示した。であれば2022年オフ、牧原大成にも複数年契約があるのでは…と早くも予想してしまう。何より牧原にはソフトバンクにいてほしい。どの球団でもレギュラー争いできる逸材だから勝負してほしい気持ちもあるが、大砲に頼るわけでもなく大技小技、適材適所で勝ってきたソフトバンクだからこそ牧原の良さが引き出された面はある。あとは牧原が自分の野球人生をどう考えるか…。

セカンドには成長著しい三森大貴。ショートには攻守に計算できる今宮健太。外野も柳田悠岐、グラシアルは外せないし、柳町達はレギュラーに近づいてきた。ああ、牧原はどのポジションで勝負したらいいのか。一塁は勝負強い中村晃がいる。固定できていないサードか? その日その日の手薄なポジションか? でも試合に使いたいから「ジョーカー」。藤本監督だって好きで牧原を固定化しないわけではなかろう。とかく残塁が目立つソフトバンクなだけに、勝負強く積極的な打撃が持ち味の牧原の起用方法はこれからも注目だ。


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