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黒柴スポーツ新聞

現役記者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

千賀滉大、痛恨の押し出し響き勝率第1位逃す~武田翔太とのエース争いはCSから始まる

ソフトバンク

パ・リーグの全日程が10月5日に終了。6日の朝刊に個人タイトルの一覧が載っていた。黒柴スポーツ新聞編集局長イチ押しの千賀滉大の名前はない。分かっていてもなお見つめてしまった。あの試合、あの押し出しさえなければ…。

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投手関係を並べてみよう。

最優秀防御率=石川歩2.16
・勝率第1位=和田毅.750
最多勝和田毅15勝
最多セーブ=サファテ43セーブ
・最優秀中継ぎ=宮西尚生42ホールドポイント
最多奪三振=則本昴大216個


千賀がとる「はず」だったタイトルは勝率第1位。いわゆる最高勝率である。千賀は2016年、12勝3敗。勝率は.800だから和田よりすごいんじゃないの?と思ってしまう。実際、参考に見たウィキペディアの千賀のページにはタイトル歴に「最高勝率(2016年)」と書かれていたがこれは誤りだ。なぜならこのタイトルは「13勝以上」という条件があるのだ。


千賀は13勝に指の第一関節くらいまでは届いていた。9月27日のロッテ戦。7回までわずか2安打、無失点に抑えていたが2-0とリードして迎えた8回に落とし穴が待っていた。2アウト1、2塁から3者連続の四球。押し出し二つで2-2の同点になってしまった。


連日「球史に残る大逆転V」と言われてホークスファンとしてはグサグサ刺さるのだが、9月27日時点も激しい優勝争いを繰り広げていた。試合は3-2でものにしたから千賀がことさら責められることはなかったがもし負けていたら批判は免れなかった。救援を仰いでしまったから、リリーフを休ませられなかった意味でチームにダメージはあった。


ここが踏ん張り時だと千賀自身も分かっていた。だからこそ四球を出した時は「やってしまった」と顔に出ていた。8回を何とか切り抜け9回も抑えれば13勝目を手にすることができる。勝率第1位もほぼ手中…そこまでは考えなかったかもしれない。千賀はチームのためにピンチを脱しようと踏ん張ったが踏ん張りきれなかった。一つも負けられないぎりぎりの戦いの中でチームを崖っぷちに追い込む押し出しになってしまった。だからこそ千賀はマウンドで顔をしかめたのだ。


ちゃらちゃらしたところがなく、逆にそっけないとも見える千賀。若い時の仲村トオルのような風貌である。サムライ的な雰囲気が好きだ。直球を生かしセットアッパーから2016年にはローテーションの一角を担うまでになった。若手が頭角を現す瞬間を見るのはとてもうれしい。


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そう、まだ先発ローテ1年目なのだ。だから12勝なんて出来すぎとも言える。だがあえて言いたい。千賀のポテンシャルなら13勝はいけた。チームの優勝があるからこそ個人タイトルの価値があると先日書いたが、若手には違う側面がある。若手にとってタイトルはスターへの階段なのだ。千賀にもスター選手になれる素地が十分にある。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com


だからこそ2016年にタイトルをとってさらなる飛躍をしてほしかった。そう思っているホークスファンはきっと多い。


千賀ファンなら忘れられないシーンがある。2015年の日本シリーズ第3戦でシリーズデビューを果たしたのだが、いきなりその日2打席連続ホームランを放っている山田哲人を迎えた。ホークスが4-3で迎えた5回だった。インコース高めに投げ込んだ直球を山田に打ち返され、逆転2ランを喫した。千賀は思わずマウンド上でかがみ、両ひざに手をやった。あまりに苦すぎるデビュー戦だった。


だが千賀はつぶれなかった。翌日の第4戦に登板し4-6と2点差の場面で追い上げを許さず、前夜の「リベンジ」を果たした。この登板はプロ生活でも大きな意味を持つと編集局長は見ている。


千賀はまだまだ真綿に水がしみこんでいくようにさまざまな知識と経験を吸収している段階。なぜ勝負どころのロッテ戦で押し出しを出してしまったのか。球威の問題だったのか、制球力の問題だったのか、組み立ての問題だったのか、ハートの問題だったのか。このシーズンオフにしっかり振り返って来シーズンに臨んでもらいたい。和田が貫録の15勝で来季も大黒柱であることは変わらないかもしれないが、14勝の武田翔太とはいい意味でライバルになって切磋琢磨してほしい。


2人を比べてみた。
【千賀】1993年1月生まれ。2010年ドラフト育成4位。通算101登板16勝10敗。
【武田】1993値4月生まれ。2011年ドラフト1位。通算87登板42勝22敗。


こう見るとエースに近いのは武田のような気がする…。2人は年齢も近いし、このまま江川卓西本聖のようになっていくのだろうか? 思えば西本もドラフト外からの出発。千賀とダブるところはある。


CSの先発起用法を見れば首脳陣がどちらをより頼りにしているかもうかがえよう。次世代のエースの座をめぐる戦いはもうこのCSから始まるのだ。


きょうの1枚は勝率第1位と最多勝の両タイトルに敬意を表し、和田毅。終盤の離脱はあまりに痛かったがこの働きではとても責められない。本人もタイトルをとるにはとったが「複雑な気持ち」と言っていた。できるだけコンディションを整えて、またホークスのために活躍してもらいたい。

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