黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

引退・森岡良介に自然とわいた歓声と、申し合わせて着た背番号10~引退打席・セレモニーまとめ

森岡良介が9月28日、引退した。引退試合とは銘打たれなかったが、代打で出て涙を流したことが29日付の新聞に写真付きで載っていた。28日は北海道日本ハムが球史に残る逆転優勝を決めた日ではあったが、大谷翔平の力投に負けないくらい心に残った。試合後のセレモニーも含めればきっと笑顔の場面もあったが、アンダーシャツで鼻をぬぐうこの写真は森岡の心情をよく表している。ぜひ心に焼き付けてください。
※森岡が明徳義塾高校時代に過ごした高知県で発行されている高知新聞ホームページ
https://www.kochinews.co.jp/article/52344/

高知の明徳高校全国制覇時の主将 ヤクルトの森岡選手が引退|高知新聞


黒柴スポーツ新聞はいま、26日に書いた森岡引退表明記事によって「森岡特需」である。たくさんのアクセスをいただいている。だがそれ以上にうれしいのが多くのシェア。創刊以来初の3ケタに到達した。森岡ファンなのか、ヤクルトファンなのか、はたまた明徳フリークなのか分からないが、本当にありがたい。多くの方と、森岡の素晴らしさ、ひたむきさを再確認できたことが本当にうれしい。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com


シーズンも大詰め。引退表明が相次ぎ、サブローは引退試合を終えた。一時4番を張ったサブロークラスであれば引退試合が興行される。29日はベイスターズ三浦大輔が先発、現役最後の登板を果たした。残した記録からしたら森岡の「引退試合」というのはちょっと看板が大きすぎか。本人の意向もあって代打での登場となった。


BBH2010 白カード 森岡 良介(ヤクルト)

BBH2010 白カード 森岡 良介(ヤクルト)


プロフィール=きょうが現役最後の試合。テロップに表示されていた。バターボックスに入る時点ですでにユニフォームの胸の部分で鼻をぬぐっている。もうこらえきれない。


実況アナ「もうこみあげるものがある、かもしれません。現役最後のバッターボックスです」
スタンド「♪この打席で決める きみが主役なんだ 勝利の雄たけびを 聞かせてくれ良介♪ かっとばせー、もーりおか!」


森岡は初球から振ると決めていたのか、最後の打席をかみしめることなく高めのストレートに手を出した。カン、という乾いた音が響いた。


実況アナ「マウンド上、ザガースキー。その初球を打って、セカンド(が捕球)。懸命に1塁を駆け抜けた森岡!」


レフトのヤクルト大応援団に背を向けながらゆっくり1塁側ダグアウトに戻る森岡。もう泣いている。バッティンググローブで鼻を抑え、ヘルメットを脱ぎ、ようやくレフトスタンドにこうべを垂れた。深々と腰を折り、今度は内野におじぎ。


森岡の視界にかわいい二人の子どもとつば九郎が入ってきた。森岡はおえつが止まらない。


スタンド「もりおか! もりおか! もりおか!」
実況アナ「この歓声が、そしてお子さん二人からの花束が、涙を誘います」「去年までの2年間、選手会長としても、ムードメーカーという意味でも貴重な存在でしたけどねえ」
若松勉「チームをね、引っ張ってきましたよね」


ベイスターズファンからも温かい拍手が送られていた。


実況アナ「スワローズで過ごした8シーズン、ピリオドを打ちました。森岡自身、キャリア557試合目でした」


この日はヤクルトの主催ゲーム最終戦とあって試合後あいさつがあった。選手会長川端慎吾が来季の巻き返しを誓った後…「そして、去年まで選手会長としてチームを引っ張ってくれていた、また、ムードメーカーとしてチームを明るく盛り上げてくれていた、森岡選手が今シーズン限りで引退することになりました」


わーわーと歓声が上がる。森岡が笑顔でこれに応えた。


「最後に、森岡選手の方から一言いただきたいと思います」


スタンドでは手づくりのプラカードで「森岡」「良介」「選手」「14」「年間」「お疲」「れ様」「でし」「た!!」と作文が行われていた。


「えー、まずはじめにこの最後の与えてくださった球団の皆様、監督、コーチ、球団のスタッフの皆様、選手の皆さん、本当にありがとうございました」
「えー、14年間、ヤクルトでは8年間、野球をやらせていただきました。もう、おなかいっぱいです!」
「えー、最後の打席、本当に大きい声援をいただいて、本当にありがとうございました。家族のみんなも、ありがとう!」
「えー、来年、えー、先輩後輩たちが優勝、してくれると思います。皆さん、応援よろしくお願いします、ありがとうございました!」


飾る言葉はなく、かっこつけることもなく、逆に「おなかいっぱい」という少年のようなたとえが満足感を漂わせたスピーチだった。森岡は飯原誉士坂口智隆の間にまた収まった。飯原が肩のあたりをポンとたたいた。飯原というキャスティングがいい。坂口は同級生の年齢らしい。ドラマのワンシーンみたいだった。


この後、真中満監督があいさつしてスピーチは一通り終了。
場内アナウンス「以上をもちまして、神宮球場公式戦、最終戦セレモニーを終わります。ファンの皆様、1年間のご声援本当にありがとうございました」


選手の列がばらけ出した時、スタンドから拍手と歓声がわき出した。


「もりおか! もりおか! もりおか!(チャチャチャ)もりおか!(チャチャチャ)」


あら、飯原が黄緑色の背番号10ユニフォーム(シャツ?)を着ている。そう言えばさっきもちらっと坂口のポケットから黄緑色の布が見えてたなあ。そういう作戦か。何人も黄緑色ユニフォーム姿になっていた。

実況アナ「森岡コールに応えて、胴上げです」

だいたい5回くらいが相場かな。終わらない。7回、8回、9回と行ったときにみんな分かった。若松勉もヤクルトナインの意図を知って「ふっふっふ」と笑った。
実況アナ「背番号分、行きましたかね! 10回!」


満を持してオチを付けたい。国会で起立や拍手を促した動きがあったと物議をかもしている。リスペクトの気持ちは黙っていてもこういうふうに「自然発生的」に湧き上がるものだ。もしくは三浦大輔引退試合の背番号18着用のように堂々と企画してやったり、ヤクルトのように最初から「申し合わせて」やるから楽しい。国会議員の皆さんはプロ野球選手や野球ファンを見習ってはいかがだろうか。


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