黒柴スポーツ新聞

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広瀬叔功の1シーズン31連続盗塁と福田秀平の5年がかり32連続はどちらがすごい?

ソフトバンクの福田秀平が5月9日に連続盗塁成功32回の「日本記録」を樹立した。カッコ付きなのはシーズンまたぎのため参考記録だから。惜しくも翌10日に盗塁死して記録は途絶えたが、代走など控えで途中出場が多い福田秀平の快挙を多くの人に覚えておいてもらいたい。

長らく破られなかった日本記録はホークスの大先輩、広瀬叔功の31。1964年に記録した。警戒されて13回続けて牽制球を送られたこともある。それでも成功させてしまった。


広瀬叔功は1964年、打率3割6分6厘で当時の右打者最高打率に。当時のパ・リーグ新記録の27試合連続安打と、打ってもすごかった。


なお、広瀬叔功は盗塁哲学を持っていた。宇佐美徹也氏の「プロ野球記録大鑑」には広瀬叔功の言葉が載っている。「点差が開いたときに走っても何のトクにもならないし、スリルも感じない」「ここ一番、相手チームが絶対に走られたくない場面で成功してみせる、これがプロの脚だ」。実際、1968年には46回走って2度しか失敗していない。成功率95.7%。通算でも82.9%だった。



後に南海監督にもなる広瀬叔功と福田秀平を比べるのも無謀かもしれないが、レギュラーだった広瀬叔功に決して負けないくらい福田秀平もすごいと言いたい。福田秀平は出番が読めないのだから好調を持続する難しさは並大抵ではない。そこをくみ取らずとも塁間は時代や球場が違ってもそう変わらないだろうから、たとえシーズンをまたいでの達成と言えど福田秀平の記録を参考記録とするのは何だかかわいそうだ。


実はバンデンハークのデビュー14連勝が達成された時、高卒1年目の短期間に13連勝した堀内恒夫もすごいんだと書いた。今度は逆。福田秀平は出番が読めない状況で5年がかりで成功させてきたんだから、もっと評価してあげてほしいのだ。代走で盗塁するのであればまさしく広瀬叔功が言う「ここ一番」なのだから、抜かれても広瀬叔功はむしろ誉めてくれると思うのだが。


社会人的にもまあこの人ならやってくれるという人よりも、こいつで大丈夫かなという人は本人もプレッシャーを感じるもの。準レギュラーがずっと失敗せずいくのは簡単ではない。乗ってるときに試合に出してもらえるとは限らないのだからやっぱり福田秀平は結果を出し続けて立派だ。


なお、黒柴スポーツ新聞編集局長的には秋山ホークスが2011年、西武とのクライマックスシリーズを制した第4戦で長谷川勇也が同点打を放ち福田秀平が笑顔で生還するシーンが大好き。縁の下の力持ち的な立ち位置の福田秀平へのご褒美のように見えた。


ここのところ、黒柴スポーツ新聞には城所龍磨という検索ワードでお越しの方も多いよう。いぶし銀大好きな編集局長もうれしい限りだ。何かとホークスは重量打線のイメージがあるが、城所龍磨や福田秀平といった控えがいるから戦力に厚みがある。もちろん熱いホークスファンはそれを知っているだろうが、他球団のファンにもぜひ城所龍磨や福田秀平の名前を覚えておいてもらいたい。


きょうの1枚はご本人、広瀬叔功首位打者1回、最多安打1回、盗塁王は5年連続。殿堂入りもしている。2157安打もしびれる。
ただし監督としては3年間で136勝227敗の勝率3割7分5厘。南海のいいときも悪いときも体に刻みこまれている。

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