黒柴スポーツ新聞

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片岡治大の2008年日本シリーズ第7戦で見せた神走塁ばりの活躍をまた見たい

由伸巨人が好調だ。7戦6勝。さすがスターである。開幕前はいろいろあっただけに選手には全力プレーでファンに応えてほしい。それがこの結果なら本当にうれしい。

黒柴スポーツ新聞編集局長が押す選手は明暗が分かれている。先日記事を書いた亀井義行岡田幸文は上々のスタート。一方、大好きな摂津正は苦戦している。しかし摂津はシーズンを終わってみたら何とか2ケタという年もあるので焦らず見守りたい。各選手の関連記事は以下を参照ください。

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4月1日の対戦カードは各球団エース(エースクラス)2度目の登板。菊池雄星則本昂大涌井秀章ー金子千尋摂津正大谷翔平能見篤史ー井納翔一、大野雄大ー小川泰弘。広島ー巨人の岡田明丈ー高木勇人はこれからの選手として、ほかのカードは予告先発を見ておけばいきたくなるカードばかりだろう。いつか書きたいが予告先発制度を好ましくは思っていない。これについてはまた別の回に。

その特に目立たなそうだった広島ー巨人の終盤。残業明けに聞いたカーラジオで何とか間に合った。延長10回、本紙編集局長が好きな片岡治大がヒットで出塁。ここで盗塁したら点が入るかなあと思っていたらすかさず盗塁で得点圏へ。広島バッテリーが警戒して牽制していた中での好走。さすが片岡治大である。

片岡治大と言えばあの走塁が忘れられない。2008年巨人西武の日本シリーズ第7戦。1-2の8回、西武は片岡治大が死球で出塁した。越智大祐の投球が抜け左ひじ付近に当たったが片岡治大は「ヨッシャ」とばかりにバチーンと両手を合わせた。塁に出さえすればオレは何とでもできるんだと。ノーアウト1塁で塁上に片岡治大。巨人としては最悪だ。「当たった打者も痛いが当てた投手も痛い」というのはこの手の場面おなじみのフレーズだがまさにそれ。

そして片岡治大は初球で盗塁を決める。野球の「流れ」を一気に引き寄せるプレーだ。越智よなぜ牽制を挟まなかったのだ? といっても片岡治大ならそれでも盗塁できたかもしれないが。「今の鳥肌立ちました」とは解説の赤星憲広スペシャリストもうならせた。この時点で日本シリーズ5盗塁5成功。

続く栗山巧も初球でバントをきっちり決めて1死3塁。繰り返すがランナーは片岡治大である。がぜん同点の確率は高まった。何よりこの過程が素晴らしい。初球盗塁、初球バント。高校野球にもお手本になる「流れ」づくりのお作法である。「流れが非常にいいですよね」とは解説の掛布雅之。打順は3番中島裕之、4番中村剛也。点が入らない方がおかしい流れになってきた。

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これまた初球から行くと決めていたのか中島は外角低めの投球に合わせサードゴロ。しかし片岡治大はもう本塁寸前。送球に先んじ生還。1塁に転送され中島はアウトになった。わずか3球で同点。しかしカウンターパンチのように8回同点の状況はむしろ西武有利の状況になった。これが流れの怖さである。「素晴らしいスタートしましたよ」「すごい打球判断」とは掛布の談。べた褒めである。ライオンズファンは水色の旗を振りまくってスタンドはお祭り状態だ。「この1点は片岡君一人でとったようなもの」。赤星にも褒められた。 

BBH2 追加 OT片岡 易之(西武)

BBH2 追加 OT片岡 易之(西武)

 

中村、野田浩輔ともに死球で2死1、2塁。野田には申し訳ないが2008年シーズンは9-1の打率1割1分1厘なのだから越智なら抑えられたかもしれない。しかし何度も書いている「流れ」にのまれて越智は四球を献上してしまった。野田も球をよく見ていた。そして平尾博嗣登場。このシリーズ13打数7安打ホームラン2、打点5の5割3分8厘と大活躍中だ。依然巨人には逆風が、西武には追い風が吹きまくっていた。3ボール2ストライクからの一球を平尾はセンターにはじき返し西武が勝ち越した。そして試合は西武が勝った。

掛布が言うように、堀内恒夫が解説したようにベースは一つ空いていたのでボールになる変化球でよかった。しかしストライクゾーンに行っていた。すべては片岡治大の好走塁が、もっと言えばあのデッドボール後の片岡治大の気迫が日本一を引きよせた。

そんな片岡治大も巨人移籍後、輝きが年々衰えている気がする。若手の台頭もあり出場機会は限られるだろう。しかし4月1日の勝負強さでまた期待感が出てきた。片岡の激走を2016年、一つでも多く見たい。

※2017年10月1日追記   片岡選手が今シーズン限りでの現役引退を決断、との報道。


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