黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

カッコいい背中見せた!東浜のノーヒットノーラン

東浜巨ノーヒットノーランを達成した。いつも帰宅がナイター開始に間に合わないため、帰りの車内ではradikoRKBまたはKBC)、帰宅後はDAZNで擬似生放送を楽しむわけだが、今時、リアルタイムで情報を「入手しない」のは大変である。スマホのプッシュ通知、テレビ、ラジオのニュース速報。筆者は新聞社員だから、フロアで編集情報をゲットしてしまうかもしれないし、何より新聞社員は人に「伝えたい」気持ちがものすごく強い。今季もパイセンたちから何度か不意打ちのネタバレを食らっており、この日も「大変なことが起きている」とガヤガヤしだしたので店じまいして帰宅した。

急いでradikoで聴くと東浜が西武の隅田と投げ合っていた。柳田悠岐がヒットを打っていたから隅田のノーヒットノーラン完全試合の線はない。とすると東浜か? 帰宅してDAZNで追いかけ再生スタート。その後なんやかんやありまして、試合はとうとう9回に突入した。一応、試合終了前には会社を出てきたから結果までは知らない。この前の中日・大野雄大の例もあるし、最後まで気は抜けないぞ。お、ついにあと1人。金子侑司か…最後にしぶといのがきてしまった。

そして打球が東浜を襲った。グラブが弾かれて…え、まさか終わった?未遂?お、三森!アウト!やったーっ!追いかけ再生だったため、22時台に家の中で絶叫してしまった。

何とか「生」でノーヒットノーランを体験できた。実は前回、千賀滉大の時は会社を出る直前にスマホを開いてしまい「千賀ノーヒットノーラン」のプッシュ通知を見てしまっていた。今回はリベンジできた。

しかし、ノーヒットノーランの喜びは翌日じわじわ来た。昼休み、スマートニュースでホークス記事をチェックしていたらある記事のサムネイルが目に止まった。川瀬晃が東浜と抱き合っていたのだ。他にも、三森大貴が東浜と抱き合っているのがあった。いいなぁ。今季は佐々木朗希がほぼ2試合連続完全試合をやってしまったため、恐らくこれ以上の偉業は難しい。だが、30代の東浜が20代の後輩と抱き合って喜びを分かち合うこの感覚は、佐々木朗希にはない。いいなぁ、先輩がかっこいい背中を見せるって。この日は風間球打ら未来のホープが観戦した。先輩の偉業に感じるものがあったに違いない。

ドラフト1位の東浜は16勝で最多勝に輝いた年もあったが昨シーズンまでの9年で53勝。もっと勝っていても…と思ったが故障でうまくいかないしんどさもあったことだろう。千賀滉大や石川柊太が台頭し、エースの座からは遠ざかってしまった感がある。

だが、元々内に秘めた闘志はあるはずだ。筆者が忘れられないのは2020年シーズン。勝率わずか一厘差に追い上げてきたロッテとの直接対決で東浜は8回1失点の気迫のピッチングを見せた。8回、ランナーを背負いながらも三振で切り抜けた瞬間、東浜は吠えた。こんな東浜を初めて見た。いつもクールに見えるが、こんな一面もあるんだなと思い、うれしくなった。東浜にはそのあたりの物足りなさを感じていたからだ。

ノーヒットノーランをした夜はその闘志を少し感じた。強い打球に飛びついた時に。そして、甲斐拓也のリードに何度も首を振る表情に。オレはこれで行くんだと、強い意思を感じた。

東浜は18日に、地元沖縄で登板機会があるという。ノーヒットノーラン達成後という、この上ない話題性である。沖縄的には盛り上がることだろう。今年は本土復帰50周年という節目の年でもある。打者では山川穂高がホームランを量産中。必要以上に本土復帰と絡める必要もないが、2人とも地元の励みになることはうれしいに違いない。

ちなみに沖縄球界のレジェンド、安仁屋宗八の記事がデイリーに出ていた(【野球】ソフトバンク・東浜 沖縄本土復帰50周年に沖縄の星・安仁屋宗八を超えたノーノー)。安仁屋は9回ツーアウトまでノーヒットノーランだったことがあるという(阻止したのは巨人の黒江)。「わしは沖縄でオープン戦しか投げたことがない。東浜には故郷で最高のピッチングをしてもらいたい」。18日の相手はまたしても西武。ノーヒッター東浜対ホームランキング山川というだけでも盛り上がることは間違いない。この日も思わぬネタバレを食らわないよう、早めに帰ることにしよう!

「バスに乗り遅れるな」猛攻ソフトバンクにある潜在意識

20安打16得点。ロッテに大勝したソフトバンク打線を見ながらこのフレーズが浮かんできた。「バスに乗り遅れるな」。imidas.jpによると、「時流に乗り損なう、好機を逸することのたとえ」で、「早く社内のIT化を推進しないと、バスに乗り遅れて取り返しのつかないことになるぞ」みたいに使われる。ソフトバンクは試合途中から起用された中谷、谷川原、川瀬もヒットを放ったのだが、とにかく結果を出して試合に出たい選手からは、まさにバスに乗り遅れるなという雰囲気が感じられたのだ。

その背景にあるのは藤本監督の起用方針。結果を出したら使われるし、調子が落ちたら使われない。左対左であっても上林誠知が使われたのは信頼感が出てきた証拠。そう、こいつを使ってもいいかなと思わせるには、とにかく結果を出すことだ。ロッテ戦で2日続けて中谷が代打起用されたのは、初戦で見事な同点ホームランを打ったからだと見ていて分かる。そしてそのチャンスを逃してなるものかと、中谷は見事にタイムリ二塁打。またまた勝負強さを印象付けた。

一方で、解説のジョニー黒木は、中谷は内角低めが強いよねと早速分析。だから次は外角やら、内角でも高めを試したらいいと話していた。そして本当にロッテの捕手、佐藤はそのように攻めていた。結果的に中谷はセカンドにゴロを打ち返して中村奨吾のエラーを誘ったのだが、こうやってデータは取られていく。

先頭打者弾でチームを勢いづけた三森大貴にしても、黒木は「外角高めは振ってしまう」と見抜いていた。実際、佐々木朗希に喫した三振もそうだった。プロ野球は同じ相手と何度も対戦するわけだから、傾向と対策の繰り返し。その意味では、まだまだソフトバンクの若手のデータは少ないだろうから、今後マークが厳しくなることは間違いない。真価が問われるのはこれからだ。

それにしても、代走や守備固めで使われる谷川原や川瀬がヒットを打つのを見ると、こういうアピールっていいよなと思う。若手芸人がオンエアで爪痕を残したいと思うのを彷彿させる。打つ方もそこそこいけるんで、ぜひ使ってください! そんな感じだろう。バスに乗り遅れるな。その合言葉が聞こえるソフトバンクのバスは今、中堅若手で満席状態。この調子で首位楽天に食らいついていってほしい。

中谷移籍初アーチは劇的同点弾!同い年のエース千賀の黒星消す

それは今年見たソフトバンクのホームランで、一番うれしかった一発だった。ロッテ戦、土壇場の9回。マウンドには益田直也がいた。中谷将大が益田の変化球をすくい上げ、豪快にスタンドに運んだ。2点のビハインドを埋める2ランはソフトバンク移籍後初アーチ。翌朝、私が購読する新聞のスポーツ面には「代打中谷 起死回生同点弾」の見出しが立った。

まさにこの長打力が中谷のも持ち味。必ず紹介されるのが阪神時代のシーズン20発の実績だ。それを買われてのトレード(相手は二保旭)だったのだが、移籍初年度は1軍に上がれなかった。何でかなと思っていたが、結果が出せていなかったらしい。しかしソフトバンク2年目の今年は1軍に呼ばれ、ちょこちょこ試合にも出られていた。三森、柳町、上林、牧原らソフトバンクには左打者が育ち結果を残しつつあるが、右が手薄。その意味でも中谷は魅力的だ。ロッテ戦でもホームランを期待されての代打だったのだが、本当にホームランを打ち、藤本監督の起用に応えた。

DAZNで、中谷の打球を目で追っていた時も幸せな気持ちだったのだが、ホームインした中谷がベンチ前でチームメイトと笑顔でハイタッチしているのを見てさらにうれしくなった。中谷、めちゃくちゃうれしそう。最後に抱き合ったのは千賀滉大かな? 移籍してきた選手は結果を出して真の意味でチームメイトになるのかもしれない。そう考えると、中谷はようやくソフトバンクの戦力になった。

元々この日は佐々木朗希と千賀滉大という珠玉のエース対決に注目が集まっていた。千賀は序盤から160キロが出ていて、佐々木への意識を感じさせた。打球が足に当たって野手のいない所にボールが行く間に勝ち越しのランナーを還すなど3失点した。試合途中で足がつるアクシデントがあったという。このままロッテが逃げ切るかなというムードもあったが、中谷同点弾に加えて、延長にはグラシアルのヒットで勝ち越しに成功。千賀降板後にソフトバンクのリリーフが失点しなかったのも大きい。又吉、モイネロと勝ちパターンのリレーで締めた。

佐々木朗希に1得点に封じられたが、打線はこの日も2ケタ安打。得点力はまだまだ課題だが、今年の打線は活発だ。矢のように次々に好投手を襲うイメージか。このところ、山本由伸や宮城、佐々木朗希相手の試合でことごとく勝てたのは、一人一人の力を結集できた結果に見える。いかに優れた投手が相手でもチームで対峙すれば勝機はある。そう思わせてくれている。

中谷というカードが加わり、さらに厚みを増したソフトバンク打線。これからもヒットを浴びせてパリーグの好投手たちを打ち崩してもらいたい。

柳町、上林…野手「渋滞」のソフトバンクはいい流れ

周東が2軍から上がってこない。オリックス戦の中継で周東への言及があり、周東いないんだよなぁと再認識した。すると、ベンチの野村勇が映った。うわっ、野村勇さえベンチなんだよな、と再認識した。ショートには絶好調の今宮健太がいるし、セカンドにはこの日で8試合連続安打になった三森大貴がいたのだった。

そんな感じでソフトバンクの若手野手が「渋滞」している。ベテランぞろいで野手の高齢化が課題とされていた近年では考えられない、いわゆる「うれしい悲鳴」である。今や松田宣浩がベンチを温めている。松田には松田のよさがあるのだけれど、長期的に見たら、やはりチームの若返りは歓迎されるべきだろう。

その象徴が柳町達である。栗原陵矢の長期離脱で垂れ込めた暗雲を吹き飛ばしている。チームにとっては危機だが柳町にとっては千載一遇のチャンス。プロ野球は弱肉強食の世界だから、不動のレギュラーの栗原が抜けた穴を埋めたらそこを死守することでレギュラーが勝ち取れる。ヒーローインタビューで好調の背景を問われた柳町は素直に、結果を求めていることを話していた。貴重な2点タイムリーを放ち、これで三森を上回る10試合連続安打とした。

外野手争いの渦中にいるのは上林誠知も同じ。満塁の場面でダメ押しのタイムリーを放ったが、その裏には、左投手から打つという結果を残すことが、使ってもらうことにつながると同じくヒーローインタビューで答えていた。打つ方が充実してくると、守備でもいい結果につながるようだ。この日は吉田正尚の大飛球を、フェンスに激突しながらスーパーキャッチ。前の試合ではライトから強肩も披露したし、ありゃ、何年も前の、輝いていた上林が戻ってきたんじゃないか?と期待してしまう。

打点が稼げる栗原陵矢の長期離脱はものすごく痛いのだが、栗原とはまた違う持ち味でそれぞれがその1枠を狙っている。例えばリチャードはパワーで。野村勇は俊足とパンチ力と好守で。柳町はヒット量産で。上林もコンスタントに打ちだしたし、守りも持ち味が出てきた。勝負強い牧原大成ですらスタメンが長続きしない。これらの選手は日々結果を出さないと使ってもらえない。その危機感が若手や中堅を成長させている。結果を出した人を藤本監督が使っているのも分かりやすい。ソフトバンクはいまとてもいい流れができている。

神に感謝の柳田悠岐満塁弾!得点への執着感じるエンドランもハマる

久々にピッチャーが膝に手をつくシーンを見た。しかもそれは山本由伸。柳田悠岐が勝ち越し満塁ホームランを放ち、山本由伸をノックアウトした。ソフトバンクは連敗を4で止めることができた。

4連敗の後、オリックスの先発が山本由伸だと分かった時は何とも言えない気持ちになった。「泣きっ面に由伸」というフレーズが浮かんだ。一方で前回はエラー絡みとは言え山本由伸の連勝を止めたソフトバンク。ひょっとしたら今回も…と淡い期待は抱いていたが、本当にその通りになった。

ソフトバンク4連敗は歯車が噛み合わなかった結果に見えた。打線は活発でヒットは出る。それが得点に結び付かなかった。「あと一本」が出ないというやつだ。楽天戦で則本を攻略しかけながらイニング5安打で1点しか取れなかったり、雨によるぬかるみでグラシアルが「オーバーラン」してタッチアウトになったあたりは象徴的だった。

だからこそ、オリックス戦ではベンチが積極的にエンドランを仕掛けたり、ものにはできなかったがスクイズを指示したりと得点しようという意図が感じられる采配だった。あと一本が出ていたらもっと楽に勝てたはずだが、そのモヤモヤを吹き飛ばしたのが柳田悠岐だった。

打った瞬間は「神様ありがとう」と思ったというギータだったが、主砲対エースの対決は見応えがあった。際どい球を何とかファウルした後、見事に153キロのストレートを弾き返した柳田悠岐に軍配が上がった。

山本由伸の7失点は自己ワーストらしい。本調子ではなかったとは言え、三森大貴の3安打など10安打を浴びせた。佐々木郎希がソフトバンク戦に当てられる話もあり、次々いいピッチャーが来るなと心配していたがこの勢いで佐々木朗希を返り討ちにしてほしいと、俄然強気になってきた。

懸案の救援陣だが、今日は先発石川柊太が5回を投げきれずに降板するも、藤井が押し出しの1点でしのいだ。その後は津森、又吉、モイネロとつないで「勝ちパターン」の継投を実践できた。楽天戦で追いつかれた挙句のサヨナラ負けだっただけにすぐ悪い記憶を上書きできたのは大きい。

打線に勢いがあるうちに首位楽天とのゲーム差を一つでも縮めておきたいところ。歯車が噛み合わない時期は今日のエンドランのようにジタバタするのが意外と手っ取り早いのかもしれない。もしくはギータばりにドカンと結果を残す。5月の反転攻勢を期待させるソフトバンクの勝ち方だった。

佐々木朗希にちなみ「完全試合」関連記事まとめ2022

ロッテの佐々木朗希が2試合連続の完全試合目前で降板した。この調子ではいつまた達成するか分からないので、ここらで過去のわが黒柴スポーツ新聞で紹介した、完全試合関連記事をまとめておく。

 

あの別所さんもあと一人で完全試合を逃す…。阻止したのは大打者ではなかった。

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酒にまつわるエピソードで知られる今井雄太郎完全試合達成者。

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元ロッテ監督の八木沢壮六も完全試合達成者。

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佐々木朗希の前に完全試合を達成したのは槙原寛己

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藤本英雄完全試合達成者第1号。

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森滝義己は通算16勝でも完全試合達成者として球史に名を残した。

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元中央大監督の高橋善正も完全試合達成者。

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完全試合達成者の中には「佐々木」姓が3人。

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もう一息というところで完全試合を逃す人もちらほら。

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完全試合達成者の中には黒い霧事件の渦中にいた人も。

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佐々木朗希と島田源太郎は20歳で完全試合達成。

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日本シリーズ優勝と完全試合(継投)が同時に成し遂げられた時も。

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完全試合に興味をもった方はぜひこちらの本「完全試合」がおすすめです。槙原寛己までの達成の瞬間や達成者の足跡がコンパクトに、詩的にまとめられています。プロ野球ファンならぜひ手にして見てください。

笠谷をフォローできなかった海野。からの森唯斗〜苦しい時に見捨てない

鹿児島での楽天戦、リリーフの笠谷が炎上した。3イニング被安打10、6失点のメッタ打ち。解説の坊西浩嗣はキャッチャー海野の姿勢を指摘した。14点目のタイムリーを浴びてホームにバックアップに回った笠谷がマウンドに戻る際、2人は無言で交錯したのだ。

「マウンドまで一緒に歩いてあげて、声を掛けてあげるのも愛情ですからね」

本当にその通りだ。ただ、海野がそういうケアができない選手だとも思わない。アナウンサーは「そういうことをするゆとりすらなくなっている」とフォローしてくれたが、これも本当にその通りだと思う。一旦火がついた相手打線がもう手を付けられないくらい活気付いている。海野も余裕がないのだ。


さらにヒットを浴びて、ようやく海野はマウンドに向かった。タイミングが遅い、と坊西は言った。

「気持ちは分かる。僕もこういうことがあり、よくベンチから怒られた。キャッチャー的には苦しい。何を投げても…って感じで。ここを何とかしてあげなければいけないという気持ちは大事」

若いバッテリーはようやくこの回を締められた。


今のソフトバンクで、もう1人孤独な投手がいる。そう、守護神の森唯斗だ。私は鹿児島の試合を視聴中に、森が登録抹消になったことを知った。期限は特に設けられていないという。モイネロや又吉との配置転換、つまり投げるイニングの前後を変えるかと思っていたので2軍行きは驚いた。藤本監督いわく「前にいっても余計におかしくなる」(スポニチアネックス記事、ソフトバンク森が“無期限”登録抹消 藤本監督「9回いける状態まで期限決められない」より)ということだが、分からなくもない。森にも最終回を任されてきた自負があろう。

ただ、個人を尊重しすぎてチームに影響してはいけない。鹿児島での楽天戦は明らかに、北九州での逆転負けを引きずっているように見えた。

われわれファンはそれを踏まえつつ、森唯斗が1軍のマウンドに戻るまで見捨てない、苦しい時こそ声を掛ける。そういう愛情ある姿勢が求められているのではないだろうか。

森唯斗3敗、ついに守護神交代論〜選手とチーム成績のはざまで

プロ野球は結果がすべてとは言うが、シーズン序盤で早くも森唯斗配置転換論が浮上した。北九州で楽天相手に手痛い逆転負け。今季4敗のうち森で3敗。いやが上にも目立ってしまう。

筆者自身、森が打たれたら又吉の顔がチラついてしまった。モイネロもいる。選択肢があるという意味では決して悲観的になる必要はないのだが、気になるのはファンが森を信じられなくなっていることだ。

森が守護神として結果を残していた時期は、ソフトバンクが日本一になっていた頃と重なる。サファテが故障で離脱することになった時、森が代役になったのだが、うまく受け継げたと思う。球には勢いがあり、連投を厭わない。だが今、肝心の球威が落ちてきているように見えているのだろう。だからファンがざわついていると見た。

2021年シーズンの故障の影響もあるのだろうか。森の離脱はチームに響いた。岩嵜や板東が投げたが森にはなれなかった。だが、今年はモイネロがいる。そして中日から来た又吉も結果を出している。チーム事情を考えたらすぐに守護神を交代させてもおかしくはない。

だがプロ野球において守護神を降りて再びその座に戻るケースは決して多くない。ある意味横綱のように勝つか引退か、そのくらい過酷な地位である。そう考えると守護神として何百セーブも積み上げてきたレジェンドたちは化け物だ。

藤本監督はそのあたりも含めて判断しないといけない。選手よりチームだろと思われるかもしれないが、森のプライドというものもある。打たれたらプライドも何もあるまいと思われそうだが、守護神を代わるとしても代わり方がまずければ森は一気に抜け殻になりかねない。それを危惧する。

森自身、うだうだ言うタイプではなさそうだから、結果が伴わなければ受け入れるかもしれない。森の年俸のことを言うファンもいた。そう、森の年俸はチームの勝ちを含んだ額である。ゆえに森はこうした批判に耐えねばならない。守護神は本当に過酷な職場である。

野手については分かりやすいくらい、結果を出した人をどんどん起用してきた藤本監督。それを当てはめると守護神は代わる。まだ貯金は7あり、首位との差もごくわずか。あと一回くらいは森に猶予を…というのは甘いだろうか。個人の選手生命とチームの成績。藤本監督がどのようにバランスをとり、決断するのか。守護神を変えないなら変えないと即言う人もいる中で藤本監督はそうは言わなかった…。その判断に注目が集まっている。

最年少20歳で完全試合の佐々木朗希と島田源太郎

ロッテの佐々木朗希が史上最年少(20歳5カ月)で完全試合を達成した。新聞によっては完全試合を報じる紙面に、過去の達成者一覧が載っていたかもしれない。佐々木の前の最年少が誰だったのか。確か似たように若くして完全試合をした人がいたよなぁと、後日、北原遼三郎著「完全試合」を開いた。この本、藤本英雄から槙原寛己までの完全試合を丹念にまとめた傑作である。今回の佐々木朗希完全試合を機に、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。これまでの最年少達成者は大洋の島田源太郎(20歳11カ月)だった。

島田源太郎完全試合を達成したのは1960年。大洋ホエールズ三原脩監督の采配と選手の頑張りにより6年連続最下位からの日本一に輝いた。島田はエース秋山登(21勝)に次ぐ19勝を挙げ優勝に貢献した。そのくらい勝てる投手なら完全試合もできるのかというと、そうとも限らないのだが、少なくともロッテの佐々木朗希のように鳴り物入りで入団したわけではない。「完全試合」によると入団テストに合格したのだった。

佐々木朗希は岩手県出身だが、島田は宮城県気仙沼市出身。気仙沼高校卒業後は盛岡鉄道管理局への就職が決まっていたが家の事情もありプロ野球入りを目指したのだった。島田は就職しなかったが、鉄道管理局出身のプロ野球選手はたくさんいるようだ。元ロッテ監督の西村徳文は鹿児島鉄道管理局。木塚忠助は門司鉄道管理局だった。

佐々木朗希は主にストレートとフォークで完全試合を達成し、また13連続奪三振や1試合19奪三振を成し遂げた。完全試合達成時の島田の持ち球はストレートとカーブだけだったという。2人ともこれで完全試合をやってしまうのだからすごい。

完全試合達成者の中には金田正一の400勝、藤本英雄200勝、槙原寛己159勝など3桁の勝ち星を積み上げた人がいる一方、2桁にとどまった人もいる。森滝義己はわずか16勝だった。通算310勝の別所毅彦も9回2死までパーフェクトだったが、最後の最後に打たれてしまった。やはり運もあろう。

島田は通算70勝なのだが、完全試合達成の後、肩を壊してしまう。それを考えるとその後も大洋に居続けたり、勝ち星をかさねていること自体がすごいと思える。どんな治療法だったのかや、不死鳥のように蘇るあたりはぜひ北原遼三郎著「完全試合」を読んでいただきたい。

完全試合を重荷に感じたことはありません。本人の気持ちの持ちようですから」(「完全試合」より)


何と清々しい島田の言葉だろう。果たして最年少達成者の佐々木朗希は、これからどのようなプロ野球人生を歩むのだろうか。勝ち星がどうなろうと、佐々木朗希が完全燃焼できることを祈っている。

野村勇、黄金の足!快足でソフトバンク快勝

野村勇がまたロッテ戦で魅せた! 追加点がほしい8回1死二、三塁。三塁ランナーの野村勇は牧原大成のショートゴロで、猛然と頭からホームに突っ込んだ。遊撃手エチェバリアバックホームよりわずかに早くホームイン!貴重な3点目をもぎ取った。

いわゆるギャンブルスタート。しかし野村勇の場合は計算できると言っていい。とにかく足が速い。この日は2番で起用されるとフェンス直撃の長打も。脚力を活かして三塁打とした(しかもスタンディングで)。足の速さは魅力的だ。

そんな野村が三塁にいたらいつでも突っ込める。相手には脅威だろう。ロッテとしては打ち取った当たりだったのだが野村の脚力が勝った。躊躇なくヘッドスライディングをする選手なので、あとは柳田悠岐のようなけがをしないよう気をつけてほしい。31イニングぶりの得点に、貴重な追加点。野村勇の黄金の足でソフトバンクは4試合ぶりに勝利した。

ソフトバンク田上奏大の初登板を美談にできない理由

恐ろしい。ソフトバンク田上奏大の初登板を見ての感想だ。その恐ろしさとは、田上の力強い球威のことじゃない。この逸材が育成契約になっていたことだ。育成契約そのものを否定するつもりはないが、やはり育成は育成。支配下登録されないといわゆるプロ野球の試合には出られない。選手からしたらそういう環境に「突き落とされた」ことにはなろう。

三笠GMは「フロントの見立て違い」と言ったらしい。それがどんなトーンだったのかにもよるが、急成長を予測できなかったという。田上は履正社高校出身だが元々は野手。肩の強さを買われて投手に転向したからまだまだ「原石」だ。それをドラフト5位指名したのだからよほどスカウトが推したり惚れ込んだのかもと想像する。じっくり育てようとまさに育成するための育成契約だったのかもしれないが、田上にしてみたら入団した年のオフにいきなり育成になって、とまどいはあったことだろう。確かに支配下登録には枠があり、そこからはみ出ざるを得ない人は出てくる。じっくり育てるという趣旨や枠などそのあたりは田上も理解していたようだが。

急成長うんぬんについては田上初先発の中継でも触れられていた。そこで解説の加藤伸一が「急には成長しない」とバッサリ。元からいいもの持ってるのに評価してもらえなかったんじゃないの?というニュアンスに聞こえた。そう、今回言いたいのはそれだ。新年度はさも明るいイメージだが、受験や就職、人事異動で必ずしも全員が明るい春を迎えられたわけではない。不本意なスタートの人もいる。滑り止めの学校や会社に進んだかもしれないし、渋々新しい職場で働き出した人もいるだろう。就職活動で連戦連敗だった私も少しは気持ちが分かる。だが、うまくいかなかったとしても自分を全否定しないでほしい。田上のように外的要因やら周囲の「思い違い」でそういう判断になっただけかもしれない。正当な評価を得られないことは生きていく上で何度もあり得る。

大事なのは、その時に自分を見失わないことではなかろうか。田上は力強い投球を続けたことで支配下登録への道が開けた。ソフトバンクには広島を戦力外になり独立リーグの門を叩いて再びNPBへの切符をゲットした藤井皓哉もいる。2人とも相当努力したことだろう。そして自分の可能性を信じ続けたことだろう。

だから不本意な春を迎えた人は結果を出すことで、当初志望していた所を見返してほしい。そこに行けないと分かったら、自分を評価してくれなかった所のことは秒で嫌いになっていい。オレを落とすとは見る目ねえよなくらいに。もちろん口に出さず、胸の中で叫んでエネルギーに変えること。手のひら返してゲンキンだなと思われそうだが、入学させない、就職させないということは、それくらい切実なこと。人生がかかっている。斬られた人には斬られた人なりの流儀がある。いわゆる「倍返し」。

藤井を戦力外にした人は藤井の4年ぶり勝利をどうとらえただろうか。田上を育成契約にした人は田上の好投を見てどう感じただろうか。正直なところ、見立て違いなんて言ってほしくはない。才能をつぼみのまま終わらせかねなかったことに恐怖を感じてもらいたい。世の中的には田上や藤井の支配下登録復帰と好投を美談にするだろうが、才能が必ずしも開花するわけではないことと、人は必ずしも正当な評価を得られないというのが真実だ。自分の評価は他人が決めるとノムさんは書いているらしいが、うぬぼれでなければ自分の可能性は自分が最後まで信じ続けていいと思う。

けさ目についた記事ではスポーツ報知の、【ソフトバンク】19歳・田上奏大、デビュー戦で自己最速の155キロ 堂々の6回途中無失点 がよかった。おじさんで元ソフトバンク捕手の田上秀則のこと、おじいちゃんが投手転向を薦めてくれたこと、お母さんがガンになってしまったこと、母子家庭だと大学進学にお金がかかるからとプロを目指したこと…。この記事読んだら田上をますます応援したくなった。世間的には今は佐々木朗希一色だろう。でもソフトバンクにも田上という楽しみな若者がいる。完全試合とはひと味違うヒリヒリを感じられそうだ。頑張れ、頑張ろう、田上!

三森初ホームランが逆転3ラン!切り込み隊長の活躍でソフトバンク開幕8連勝

ゾワゾワゾワ。三森大貴のプロ初ホームランを告げるRKBエキサイトホークスを聴きながら鳥肌が立った。ついに、ついにその時は来た。

お立ち台で三森自身、言っていた。公式戦では打てないんじゃないか、と。確かに三森はリチャードみたいな大砲ではない。いわゆるシュアなバッティング。ミートする、とらえるタイプだ。ホームランというよりは二塁打三塁打が出るイメージ。当ててばかりじゃなくて、もっと力強く振ればいいのにと思ったことは何度かある。

初ホームランももしかしたら狙ったものではなかったかもしれない。鋭く振り抜いたら打球が良い角度で飛んでいったように見えた。だが三森は手応えがあったのか、がむしゃらに走り出したようには見えなかった。

試合は苦しい立ち上がりだった。アクシデントがあったのか、石川柊太が制球を見出して押し出しを含む2点を献上。カーラジオを聴きながら、あ、これは負けゲームの展開だなと悪い予感がした。とうとう開幕からの連勝7が途切れるんじゃないかなと。しかし三森大貴の逆転3ランがすっかりムードを変えた。

三森につないだ今宮の二塁打もよかった。ガルビスも打率は低いが何だかんだで出塁もしている。また、その後のタイムリーを含む4打点の三森に隠れてしまったが柳町達は2安打、うち一本はタイムリーだ。栗原陵矢の離脱は痛いが柳町にとってはチャンスでもある。初めて2番を任された試合できっちり結果を出した。

三森が初ホームランを打ったり柳町が低めの球に食らいついてタイムリーを放ったり。こっそり白状すると柳町の時はちょっと泣けた。こうやって努力は報われていくんだなぁと。三森もそうだ。結果を出しても実績がないから変えられてしまうこともあった。打つ前に、バットを担いで肩に乗っけるスタイルを編み出したが、タイミングを取るのに若干時間を要して間に合わなくなっているのではと指摘されることもあった。スーパースローで見るとインパクトの瞬間体が伸び上がっているようにも見える。でもそうすることによって体が前に突っ込むのを我慢しているのかもしれない。イチローの若い頃もそうだったが、結果を残すまではさまざまな注文が付く。そういうものだろう。

お立ち台での三森は輝いていた。ちょび髭がだんだん似合って見えてきた。そのうち三森のようにバットを担いで打つ野球少年が現れるだろうか。Bクラスに沈んだホークスと今のホークス、何が違うかの筆頭は切り込み隊長・三森の存在。それがはっきりした今季初のオリックス戦だった。

上林、栗原の穴は自ら埋めよ!〜栗原は靭帯断裂で今季絶望か

今季絶望の見出しに目が覚めた。ロッテ戦で上林誠知と交錯して負傷した栗原陵矢は左膝前十字靭帯断裂と、半月板損傷の疑い…全治6、7カ月との報道もある。早期の復帰を期待していたがこれは栗原抜きでペナントを戦わざるを得ない状況だ。

外野手同士の交錯というと、アラフォーアラフィフには巨人の吉村、栄村を思い起こさせる。吉村がのちの巨人を背負うホープ、栄村は1軍で結果を残すことを目指していた、というあたりもそのまま栗原と上林に当てはまりそう。あの事故は吉村も辛かったし、栄村もしんどかった。

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試合中のことだから…と藤本監督も言っていた。だから上林には栗原のことを思うなら結果につなげてもらいたい。昇格した柳町達はすぐ安打を放ち守備でも好プレー。その柳町にも代走佐藤直樹が送られたりと、外野手は競争がいい意味で煽られている。上林とて負けてはいられない。

栗原の上昇と対照的に沈んでいった上林。だがようやく1軍に戻ってきた。もう9年目。ポテンシャルの高さから期待を裏切り続けてきたと言ってもいい。結果がほしいのはやまやまだが、小手先の当てるバッティングではなく鋭い打球を。三塁打を量産していた頃の輝きをもう一度。栗原の件で下を向くのではなく、その穴は自ら埋めるんだという気概でプレーしてほしい。

藤本ソフトバンク開幕5連勝!〜成果は戦力の充実から

今年はひと味違うと思いたい。藤本ソフトバンクが開幕5連勝。新人監督の開幕5連勝は中日の与那嶺要監督(1972年)、阪急の梶本隆夫監督(1979年)、西武の田辺徳雄監督(2015年)に続き史上4人目だという。ソフトバンクはBクラスに甘んじた2021年シーズンとは何が違うのか。

まずは目立った故障者がいないこと。針が患部に残ってしまうという信じられないことが起きた松本、ローテ入りと見られていた田中正義や武田翔太がいないものの、投手は千賀滉大がどっしり座るのが大きい。昨季は足首を傷め前半戦は不在。後半戦で盛り返し2桁勝ったのはさすがだが、千賀不在は優勝争いに大きく響いた。

野手では3番柳田悠岐、4番グラシアル、5番栗原陵矢が固定できたのが大きい(栗原のけがは心配だが)。昨季はグラシアルが指を傷めて打線の軸がなくなった。栗原や柳田がそのポジションに入るも、この2人が止まったら全体的に勢いがなくなってしまった。勝ち越されるとなかなか逆転できない印象だった。

抑えの森唯斗も去年は本調子からほど遠かった。まず戦線離脱することが想定外。戻っても追いつかれることがたびたび。代役を岩嵜や板東、モイネロが務めたが森の代わりができたかというとやはり難しかった。

という、千賀、グラシアル、森のキーマン3人がいることが大きいわけだが、そこに新戦力が結果を出していることが好調の要因だ。まずは藤井皓哉。広島を戦力外となり独立リーグの高知経由でソフトバンクと育成契約。勝ちパターンの一角に食い込み、開幕5戦で早くも2勝となった。

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同じく独立リーグ経験者の又吉克樹も好投。又吉も中日から移籍後初勝利をゲットした。働く場所が変わった人はまず結果を出すことで名実ともにチームの一員となるわけで、又吉も一息つけたに違いない。

野手では新外国人のガルビスが鮮烈デビュー。開幕スタメンは譲ったものの、代打で初安打。さらには逆転満塁ホームランで藤本監督に初勝利をプレゼントした。

ルーキーでは野村勇がロッテ戦で快足を披露。代走ですかさず盗塁。タッチアップで三塁に進むとサードゴロでも果敢に本塁へ。紙一重のセーフで無安打での勝ち越しに成功した。

こうしてみると、適材適所プラス新戦力という絵に描いたような成功例だ。開幕カードは一歩間違えばビッグボス新庄劇場になりかねなかったがそれに振り回されることなく結果を出した。レギュラーがそろうことは大前提で、新しい風が勢いをもたらす。新年度が始まるあちこちの職場でもこうありたいものだ。


さて、このブログ「黒柴スポーツ新聞」がこの記事で通算1000本投稿となった。2016年元日の創刊、7年目での達成だ。この間感性が枯れ果てたり仕事を優先したりと大スランプの時期もあったが、何とか大台に乗せることができた。これもひとえに読者の皆さんのおかげ。本当にありがとうございます。ちょくちょくのぞいてスターを付けてくださるあなた、いいねを付けてくださるあなた、シェアやリツイートしてくださるあなた、そう皆さん一人一人の力で通算1000本に到達した。これはゴールではなく通過点。フッ、いつか言ってみたかったこの言葉。これからも最高の暇つぶしメディアを目指して新しい展開も考えていきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。

勇猛果敢!ソフトバンク野村勇の快足の原動力とは

盗塁、タッチアップ、ギャンブルスタート。ソフトバンクのルーキー野村勇がノーヒットでの勝ち越し点をゲットした。実況のアナウンサーは要因を「脚の速さ」としたが、解説の初芝清は脚の速さプラス「思い切りのよさ」だとした。

その思い切りのよさはどこから来るのか?
「いきなり緊張した場面で代走があると思うけど、オープン戦の感じでいけば大丈夫。プロに入る前からタイムには自信があるし、思い切ってスタートを切りたい」(スポニチアネックス記事、ソフトバンク ドラ4・野村勇 プロ初盗塁&神走塁で開幕4連勝呼んだ!藤本監督「見事」3連発 より)
そう、自信である。自分を信じると書いて自信。信じられるから体も動く。


引き合いに出して申し訳ないが、周東との違いはそこではないか。あれだけ脚が速く人がうらやむほどなのに、どこか自信なさげ。思い切ったスタートが切れないうちに牽制死があり、走塁死があり…スタメン落ちどころか、故障もあり1軍にも残れなくなってしまった。あの黄金の輝きはどこへ行ってしまったのか。


もちろんデビューの時は怖いもの知らずだから、周東も翼を得たかのように走りまくっていた。結果も出した。しかし代走やスタメンで結果が出ないうちに自信をなくした、自分の脚力を信じられなくなってしまった…そんな悪循環ではなかろうか。


反面、野村勇はイケイケのはずだ。何せ入ったばっかりだし、何よりすでに25歳で即結果を出さねばという覚悟がある。背番号99というのもあとがない感がにじみ出ている。かつ、娘さんまでいる。背負うものがある、守るものがあるから余計に頑張れるというものだ。


野村勇の本塁突入を見てある選手を思い出した。阪急などでプレーした簑田浩二。1977年、巨人との日本シリーズ第2戦で代走で出塁すると、レフト前ヒットで二塁から果敢にホームに突っ込み1点をもぎ取った。簑田も野村勇(NTT西日本)と同じく社会人野球出身(三菱重工三原)。22歳でのプロ入り決断、奥さんは身ごもっていたという。


本塁突入で名前を売った蓑田は阪急の主力になり、1983年には史上4人目のトリプルスリーを達成した。果たして野村勇の今後はどうか。昨日は代走で生還後そのまま三塁の守備へ。強烈な三塁線のゴロを難なくさばき、守備力の高さも見せた。オープン戦では2本ホームランを打っており、走攻守、それぞれでアピールし続けたらスタメン定着も十分ありと見た。勇という名前のごとく勇猛果敢なプレースタイルを見せつけた野村勇。アグレッシブなプレーに期待したい。


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