黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

2016年シーズンで亀井善行が淡口憲治になるのかどうか気になる件

ここ数年ずっと感じてきた。亀井善行淡口憲治になってしまうのではないか、と。「なってしまう」という言い方は淡口憲治に失礼な書き方かもしれないがそれは勘違いだ。あくまでも淡口憲治は素晴らしい選手だが出場機会がコンスタントに与えられる選手ではなかったという印象からそう書いた。

 

しかし3月27日、黒柴スポーツ新聞編集局長が愛読している新聞のスポーツ面には亀井善行が開幕から2試合続けて出場機会が与えられたという記事が載っていた。3月26日の試合では先制打を放っている。亀井善行は応援したい選手だけにうれしくなった。2016年、シーズンを通して活躍できれば「ポスト淡口」(本紙独自の命名だが)返上である。

 亀井善行の球歴のおさらいから。上宮太子高から中央大を経てドラフト4位で巨人入団。巨人は選手層が厚いので亀井善行はもう一つ何か抜きんでたものがないと毎年続けてはレギュラーを張れないのだろう。11シーズンで639安打。出られさえすればもっとできるはずの選手と思ってしまう。2009年に134試合、2011年は111試合と通年出場したがほかは2けた台である。これを見るだけでもプロ野球選手はまず自軍内での競争に勝たないとそもそも仕事ができないことがよく分かる。

 そして淡口憲治三田学園高から巨人にドラフト3位で入団。バッターボックスでプリップリッとおしりを小さく振る「ルーティン」は本紙編集局長世代は定番である。あの王貞治を上回るとも言われたスイングスピードから「コンコルド」の異名を持つ。ウィキペディア情報では、打球が速いことから長嶋茂雄監督が「コンコルド打法」と命名したという。どっちが本当なんでしょうか? 

 淡口憲治は1971~85年が巨人、1986~89年は近鉄でプレーした。近鉄入りは有田修三とのトレードでウィキペディアによれば当初交換要員だった定岡正二がトレード拒否したため淡口憲治にお鉢が回ってきた。新年度を迎えるにあたり全国の会社でこうした玉突き人事が行われている模様である。

 しかしこの玉突き人事は近鉄に幸をもたらしたようだ。淡口憲治は移籍1年目の1986年に115試合に出場しレギュラーに。89年はリーグ優勝に貢献し古巣巨人と日本シリーズで対決した。今更ながらだが淡口憲治は巨人での15シーズン中8シーズンは100試合以上に出場しておりこれは立派なのだが、編集局長としては試合に出してもらえない人と思い込んでいた。

 実は伏線がある。以前読んだ山際淳司氏の「ダグアウトの25人」に出てくる淡口憲治は実に実力を出し切れていないという体で紹介されているのだ。淡口憲治のプロフィールにも「巨人以外ならレギュラーまちがいなしの好打は周知の通り」と書かれている。

ダグアウトの25人

ダグアウトの25人

 

 山際淳司氏も、レギュラーをとれる力を持つ淡口憲治がベンチを温めていると見ていたようだ。しかし当の淡口憲治は現状を肯定していた。そして生涯巨人を願ってもいたようだ。出番が来た時に実力を出しきることが問題なのだと考えていた。つまり働き場所が問題場所ではないのだ。巨人にこだわったのは巨人が自分を育ててくれたチームだからだった。

 亀井善行はどう考えているだろう。他チームを下に見るわけではないが亀井の力をもってすれば巨人以外でもレギュラーを狙えるのではないか。だとしてもやはり巨人がいいのか。もちろん他チームになど行ってはほしくないが。ちなみにもう一人好きだった矢野謙次日本ハムに行ってしまった。巨人のユニフォームでない寂しさもあるが日本ハムファンに温かい大声援を送られているのを見るとすごくうれしくなる。亀井善行には今年1年勝負の年という認識でぜひレギュラーに定着してほしい。 

 なお淡口憲治はあの10.19で名場面を演出した一人である。ダブルヘッダー第1試合大詰めの9回表1死から今風の言い方での「ほぼほぼ」ホームランという大飛球を放ち、結果2塁打に。塁上でくやしそうに手をパーンとはたく淡口憲治はもはや元巨人の淡口憲治ではなくいてまえ打線の一員だった。淡口憲治の代走、佐藤純一鈴木貴久のヒットで本塁を突くも三ー本間に挟まれ無念のタッチアウト(近鉄寄りの表現でごめんなさい)。しかし続く梨田昌孝の起死回生のヒットで鈴木が激走しホームイン…というくだりは以前の記事でも書いた。まだの方、読み返したい方は以下をご覧ください。

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