間合いはそもそも一人一人違う~投球間隔を指摘された藤川球児はスタイルを変えられるのか
いつもはエラーばかりの草野球チーム。それがある日、たった1本のポテンヒットで敗れた。負けは負けだが好ゲーム。いったい何が普段と違ったのか。
ずばりピッチャー。なんだ、いい投手ならいい試合ができるに決まっているじゃないかと思うだろう。その通り。じゃあいい投手って何?
球が速いこと?
確かに速球は魅力的。たとえど真ん中に投げたとしても、かすりもしないかもしれない。でも全球それではピッチャーは疲れてしまう。
いい投手とは、いい間で投げる投手だと思う。これは守っている側からの評価だ。
夏の暑い日だった。スピードボールを投げられるということでマウンドにたったその投手は一生懸命投げたものの四球を連発。外野を守っていた黒柴スポーツ新聞編集局長はたまらず芝生にひざをついてしまった。結果的に打球は飛んでこなかったものの、もし来ていたら捕球に手間取ったに違いない。
もちろんいい間で投げるためにはストライク先行でないと難しい。ということはコントロールがいいということでもある。
ただし、やはり今回は「間」にこだわりたい。ピッチャーには自分なりの間がある。それと同じで守る側にもリズムがある。大概の人間の集中力なんて限りがあるから、どれだけストライク先行だと言ってもあまりにピッチャーがのんびりしていたら守備陣はじれてしまう。
間のことを考えたのは藤川球児の間について、田尾安志が注文をつけた記事を見たからだ。藤川球児は抑えで一時代を築いたがいまは中継ぎが居場所だ。守護神時代はじっくり焦らず抑えればよかった。が、田尾安志が指摘するのは例えば1点ビハインドの場面。反撃するためにもリズムよく打ち取りたいものだというのだ。確かにもたもたしていたら反撃ムードもしぼんでしまう。
※2001年版の藤川球児のカード。若い。そして細い。
間合いというのは一人一人違う。スピード重視の人、いけいけどんどんの人がいる一方で、ゆっくり、慎重派もいる。チームスポーツでのプレーや組織での仕事では本当に、息を合わせることが大事だ。じゃないとうまくいくこともいかなくなる。
間合いを合わせるためにまず必要なのは、そもそも間合いは一人一人違うということを認識するということだ。守備陣には藤川球児の間合いを、藤川球児はバックの間合いを理解する必要がある。
注目したいのは藤川球児が自分の間合いを変えることができるのかどうか。実績を残してきた抑えじゃないと仕事しないよ、というタイプの選手じゃないから順応はすると思う。
だが結果を残した人ほど過去の成功の残像があってスタイルを変えにくいもの。スタイルを変えるというよりは、新しいスタイルを作る、と前向きに考えた方がいいかもしれない。
人は変われるか、変われないか。その時々で自分の中での答えは違う。よくなった人に会えば人の可能性や順応力を再認識するし、ぜんぜんよくならない人を見たら速攻で諦めたくなる。ああ、やっぱり人ってそう簡単に変われないよね、と。ざっくり言えば変われる人が「いい人」であることが圧倒的に多い。
チームプレーを大事にするために、藤川球児は自分のスタイル、間合いをどこまで変えられるか。ちょっと注目してみたい。
何年でもチームに必要とされる人になる~パニック障害と付き合う小谷野栄一がオリックスで奮闘する理由とは
オリックスが2017年シーズン、好調だ。楽天、西武も頑張っている。まだ4月だけれど、きれいに2016年シーズンのAクラスとBクラスが入れ替わっている。たまにはこんなシーズンもなければ。
今朝、寝床でスマートニュースを見ていてうれしい記事を見つけた。オリックスの小谷野栄一のグッズが売れているという。プロ野球カードの値段と個人選手のグッズの売り上げは活躍と人気のバロメーター。特に小谷野栄一の場合は日本ハムからの移籍組だから、ようやくファンにも認められたっぽくてこちらまでうれしくなったのだった。
オリックス初年度の2015年度は56試合54安打、2016年度も50試合44安打と物足りない数字だった。でも2017年度は4月24日現在で17試合23安打。まだまだ序盤だが打率は3割3分8厘と順調だ。
日本ハムファンを中心に知られていると思うが小谷野栄一はパニック障害と付き合いながらプレーをしている。厚生労働省のサイトで見たが、理由なく動悸やめまい、発汗、吐き気などが起こる。発作が起きたらどうしよう、という不安にも襲われ、狭い空間もつらいという。
克服できるものなのか、だましだましやらざるをえないのかは、専門的な知識がないので分からない。だがこの事実を公表してプレーしているだけでもかっこいいし、応援したくなる。
なんて言ったって野球とは失敗の多いスポーツである。そして不確定要素が多い。天候一つでもそうだ。雨、風、日差し。吉井理人みたいに雷が苦手な人もいた。2017年シーズンからアメリカでは「投げずに敬遠」が導入され日本でも話題になったが必ず取り上げられる「ドラマがなくなる」論のエピソードに柏原純一のホームランやクロマティ、新庄剛志のサヨナラヒットがあるように、野球では「やってみないと分からない」ことが本当に多いのだ。
職場の一つであるバッターボックスに立つのもやっとの小谷野栄一にとってスタジアムは不安要素の塊だろうと思う。じゃあなぜプレーし続けられるのかと言えば野球が好きだし野球が自己表現の一つだからと推測している。
打席で吐き気を催してしまうなんて、よっぽどと思う。小谷野栄一は日本ハム2軍時代からこの症状を抱えている。だが、指導者や同僚の理解と支えがあって今がある。
小谷野栄一が日本ハムを出る決断をした時、失礼ながらこうとらえた。今チームは若返りの時期だ。このまま日本ハムにいても試合に出続けられるかは分からない。ならば出場機会を外に求めるしかないと考えたのだろう、と。
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まったくの外れではないと思うが、小谷野栄一はインタビューでこんなことを言っていた。
「何年でもチームに必要とされる選手になりたい」
オリックス移籍を決めたのは35歳のシーズンを迎える前だった。世間的にはこれからでも、プロ野球選手の35歳は「高齢」だ。引退の2文字もちらつく。複数年契約を受け入れることは打算にも見えがちだが選手にとっては生活費を稼ぐ、というよりは自己表現の場を失わずに済む、ということなのだろう。
小谷野栄一は「1年でも多く野球をやりたい」とは言わずに「何年でもチームに必要とされる選手になりたい」と言った。そこに打算なんて意味はない。普通に考えれば自分が発症したときに支えてくれた指導者や同僚、熱いファンがいるのだから日本ハムを離れたいはずがない。ただ、「何年でもチームに必要とされる人で居続ける」ための選択肢が移籍だったのだ。
必要とされる人。サラリーマン的にも見習いたい姿勢だ。
オリックスとしても低迷が続いており、小谷野栄一の加入時は中島宏之らと一緒で、再建を託す意味合いがあった。だが最初の2シーズン、小谷野栄一は期待に応えられなかった。それが2017年は好調な滑り出し。だからファンは素直にグッズを買い始めたのだ。
報知新聞記事によると、ユニホームの背中にアイロンで貼り付ける「ネーム&ナンバーシート」は好調の小谷野栄一と宮崎祐樹の分が売り切れだそうだ。2人の名前入りタオル販売数も急上昇とか。2人のグッズを球場でたくさん見られる状態が続けば、今年のオリックスはいいところまで行くに違いない。
オリックスの指揮官は福良淳一監督。イチローらとオリックス黄金期を支えたプレーヤーであり、かつ日本ハムでの指導経験がある。そう、小谷野栄一のパニック障害を理解して、解きほぐしてくれるのに一役買った人だ。小谷野栄一がオリックスに移籍した2015年シーズン当初は森脇浩司監督と福良淳一ヘッドコーチ体制だった。それが成績不振の責任を取る形で福良淳一が監督代行になった。サラリーマン的にいつどんな上司に仕えるかは人生の岐路である。小谷野栄一にはオリックスで頑張る理由がより濃くなった。
広島に優勝され、12球団一優勝から遠ざかっているオリックスの覇権奪回のキーマンの一人、小谷野栄一。オリックスファン、日本ハムファンならずとも注目したい。
小谷野栄一も帽子をヒップホップかぶりするふしがある。
野球帽のヒップホップかぶり記事はこちら。
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バックスクリーン3連発と完全試合とプロ初先発初完封の槙原寛己~人生はいいことも悪いこともある
購読している新聞に載っていた。きょう4月17日は槙原寛己が「バックスクリーン3連発」を打たれた日だそうだ。ただし見出しは「センター越え3連発」。そう、野球ファンは知っている。阪神タイガースの主軸が放った3発すべてがバックスクリーンに入ったのではないことを。そしてその差異がどうでもいいということも。黒柴スポーツ新聞編集局長は巨人ファンではあるけれど、この記事ではあえてバックスクリーン3連発で押し通す。
バックスクリーン3連発単体で見ると槙原寛己は被害者だ。打たれたのは1985年。プロ生活4年目のことだ。まだまだ若さあふれる直球主体のピッチングだった印象で、それがあだになったようにも見える。7回表、2死1、2塁。巨人が3-1とリードしていた。
一発出れば逆転という局面で3番バースなら慎重に攻めないといけない。バースはここまで打率1割3分3厘。しかもこの日のチャンスで、槙原寛己が初めて投げたというシュートを引っ掛け併殺打に倒れていた。
槙原寛己自身、これが伏線と認めている。7回のバースの打席ではキャッチャー佐野元国のストレート(で外す)のサインに逆らい勝手にシュートを投じた。一方のバースは併殺打に倒れた反省を生かし、次もシュートを投げてくると読み切って振り抜きバックスクリーンに叩き込んだ。
たった1球でリードを失った槙原寛己。野球も人生もこういう残酷なことが起きる。槙原寛己とバースの対決からは「反省」の大切さと「悦に入る」危うさを学ぶことができる。
槙原寛己の失敗は続く掛布雅之の打席でも。バースに対しストレート勝負を挑まなかったことを「後悔」し今度はストレートを選択。アツくなってしまったのだ。掛布雅之は差し込まれたが左手を冷静に押し込むことでスタンドまで持っていった。槙原寛己はまだまだ若くここで冷静になれというのは無理な話かもしれない。
一方の掛布雅之はさすが。バースの派手な逆転弾でお祭り騒ぎとなった甲子園にちょっと「間」を作るべく、初球は打つ気なし。2球目も見送って「掛布雅之VS槙原寛己」の場面を作ろうとした、とインタビューで説明していた。やはり「間」を意識できる人は強い。
3発目の岡田彰布は自身がそのシーズン、まだホームランを打てていない焦りがあったという。だが前のバース、掛布雅之への投球内容を見て「ストレートはない」と分析。スライダーに合わせると打球は再びバックスクリーンに吸い込まれていった。掛布雅之いわくバックスクリーン3連発で最もいい内容の1発だそうだ。確かに巨人ファンから見ても美しい。 巨人バッテリーはもうなすすべがなくなっていた。
バックスクリーン3連発の映像はYouTubeでもいろいろある。「こーれもいくのか、こーれもいくのか」「クロマティーはーーーー、追わない!」などなど植草貞夫アナウンサーの名実況も併せてお楽しみください。黒柴スポーツ新聞編集局長的には「平田(勝男)は自分が打ったわけじゃないのに一人で喜んでいますね」が秀逸だと思う。
さて。これだけだと槙原寛己が凡庸な投手になってしまう。ご存知のように槙原寛己は日本プロ野球で15人しかいない完全試合達成者である。
【完全試合達成者】
藤本英雄(巨人)
島田源太郎(大洋)
森滝義己(国鉄)
佐々木吉郎(大洋)
外木場義郎(広島)
佐々木宏一郎(近鉄)
高橋善正(東映)
八木沢壮六(ロッテ)
今井雄太郎(阪急)
槙原寛己(巨人)
黒柴スポーツ新聞編集局長が大好きな本「完全試合」(北原遼三郎著)の出番である。
これによると完全試合(1994年5月18日)の9回表、槙原寛己と村田真一は先頭バッターへの入り方をこう相談していた。
村田「変化球でどうだ」
槙原「まっすぐでいきたい」
変化球で打たれたら悔いが残るから、だった。ストレートにも自信があった。もしかしてのもしかして、だが、バックスクリーン3連発の1発目、バースに直球を投じなかったこともうっすらと影響しているかもしれない。後悔だけはしたくないものだ、と。
槙原寛己と村田真一は同期。当初槙原寛己の背番号は54。村田真一は56。駒田徳広の50、吉村禎章の55ともども50番台カルテット(世間一般的には50番トリオ)であったが村田真一は最も遅咲きであった。だが同期はいいものだ。ともすれば自分勝手にも見える槙原寛己に村田真一はこう答えた。
「わかった。好きにせいや」
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槙原寛己の完全試合の舞台裏で何があったのか。どうして完全試合ができたのか。興味がある方はぜひ「完全試合」(北原遼三郎著)をご覧ください。
先日、広島の新人、加藤拓也が初登板初先発ノーヒットノーランなるかという快投を見せた。槙原寛己は初登板初先発初完封をしている。
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槙原寛己の初完封は延長10回だった。果たして現代野球でありえるだろうか。ちなみに投げ合った相手は阪神の野村収だった。15年目の大ベテランである。槙原寛己はまだ2年目。
巨人は10回に待望の先制点。阪神は10回裏2アウトながらランナー1塁。バッターは掛布雅之。最後の最後にしびれる場面だ。そして掛布雅之はセンターに大飛球を放つ。が、センター中井が好捕し試合終了。やれやれという槙原寛己の表情が印象的だった。
プロ野球ニュースではこの日掛布雅之が4回空振りしたことを指摘。解説の西本幸雄は「それほど槙原の球は素晴らしいということが言えるのでは」と話していた。
槙原寛己がプロ初登板初先発初完封をしたのが1983年4月16日。その2年後の1985年4月17日に同じ阪神からバックスクリーン3連発を喫するのだから人生は分からない。別の視点で見ればこれは掛布雅之のリベンジ劇でもあった。1983年4月16日は最後のバッターだったがその2年後には4番としてバックスクリーン3連発をお見舞いしたのだから。
いまさらながら、いい時も悪い時もひっくるめて人生。権藤博も人間万事塞翁が馬と言っていた。少々のことは一喜一憂せず前に進んでいこう。
送別会で侍ジャパンチップスうすしお味24袋入りの箱をもらった男~菓子大手のポテトチップス販売終了、休止相次ぐ
ポテトチップスを作る菓子大手が販売終了や休止に追い込まれている。購読している新聞の経済面で見た。その前にどこかの記事をネットで見ていたのだが。2016年夏の台風で北海道が被災。ポテトチップスの材料であるジャガイモ確保が難しいという。農家の皆さんにはあらためてお見舞いを申し上げます。
ポテトチップスは滅多に食べないが、その分たまに食べると「おいしいなあ」と思う。子供の時、ポテトチップスに炭酸飲料というのはゴールデンコンビだった。もし今後品薄になったら、ポテチ愛好者はきっと悲しむに違いない。
黒柴スポーツ新聞でポテトチップスと言えば野球カード付きチップス。と言っても少年時代には滅多に買えなかったから、カードはたいして集められなかった。これが原体験となり社会人になってからのカード収集につながった。
最近野球チップスを思わぬ形でいただいた。実は先日新しい職場に異動したのだが、前職場の送別会で餞別として野球カードチップスをいただいたのだ。しかも箱で。
写真でお分かりのようにすでにいくつも食べてカードも開封。「増井」「小久保」などと金色で名前が書いてあるものもあるが基本、青系の下地にキラキラした装飾。「キラカード」というらしい。
前職場での存在感は薄さ全開であったが野球好き、野球カードマニアということだけは認知してもらっていたようだ。メジャーリーグのカードもおまけで餞別についていた。
もらったチップスはカルビーの野球日本代表侍ジャパンチップスうすしお味。一袋22グラム入りで一箱に24袋入っている。
キラカードが一袋に1枚ずつ入っている。
普段スーパーなどで売られているプロ野球チップスは昔50円でカード1枚だった記憶がある。今は倍の100円くらいだがその分カードは2枚入っている。
2017年WBCでの侍ジャパン快進撃は記憶に新しい。ちょっと気を付けたいのはこの侍ジャパンチップスのおまけカード、ラインナップは出場選手とズレがあるのだ。
袋に書いてあるメモを見てみる。
「このカードは侍ジャパン強化試合/2015年11月強化試合/2016年3月強化試合に出場登録があり、2016年8月末時点でNPBに所属している選手で構成しました」
【カードリスト】
小久保裕紀監督
秋吉亮
則本昴大
山﨑康晃
小川泰弘
戸根千明
炭谷銀二朗
銀次
筒香嘉智
そう、2017WBCで大ブレイクした小林誠司は入っていない。
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ベストナインに選ばれた千賀滉大も入っていない。
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もちろんカードはWBCまでに作って商品化しないといけないからこういうことはある。黒柴スポーツ新聞が注目したいのは「カードリストに入ったのに2017年WBCに出られなかった」選手たちだ。
日本代表に選ばれること自体は名誉あることだ。しかし彼らは本番に出られなかった。大谷翔平のようにコンディションが万全じゃなかった人もいる。
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チーム内の競争で落選した選手もいる。その選手たちは野球チップスのおまけに自分のカードが入ってることをどう見ているのかな、と思う。悔しいだろうか。これはビジネスで、ファンサービスだから何とも思わないかもしれない。
何でもかんでも「これをばねに」「これを糧に」と簡単にくくるのは好きじゃない。でももし自分が同じ立場だったら、きっと心に期するものはあると思う。よし、次はやってやろうじゃないか、と。
そう言えば最近、「やったろう」という気持ちで鵜久森淳志が代打サヨナラ満塁ホームランを打った。こういう、気持ちでプレーする話、嫌いじゃない。
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黒柴スポーツ新聞編集局長にあれこれ考えさせるための餞別、だったわけではないだろう。だが歓送迎会の帰り道、スーツ姿で野球日本代表侍ジャパンチップスうすしお味24袋入りの段ボールを抱えて電車に乗って帰った男は今ひそかに燃えている。次はやってやろうじゃないか、と。前の職場の皆さん、素晴らしい餞別をいただき、ありがとうございました。何かの時にはぜひ力を貸してください。
その他のWBCネタはこちら。期間中はたくさんのアクセスありがとうございました。
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広島のルーキー加藤拓也初登板初先発ノーヒットノーラン逃す~近藤真一になるのか外木場義郎になるのか沢村栄治になるのか
4月7日のヤクルト戦で広島の新人、慶応大学卒の加藤拓也が初登板初先発ノーヒットノーラン!と思いきや9回1アウトからバレンティンに打たれて大記録を逃してしまった。
きょうは妙に疲れてブログも休もうかな…なんて考えながらカーラジオで野球中継を聞いていた。すると「広島の加藤がノーヒットピッチングです」なんて聞こえてきた。まだ4月だから当然初登板だよな、そして初先発、だったらきょうノーヒットノーランを達成したら近藤真一と一緒だよなあと思って急にワクワクしていた。
だがラジオでは阪神ー巨人の伝統の一戦がやっていたし、周波数を変えても中日ーDeNAとか、ソフトバンクー西武がかろうじて拾えるくらい。肝心の広島ーヤクルトが聞けない。
帰宅を前にラジオからは「8回を終わってノーヒットです」と聞こえてきた。おいおい、ほんとに達成するのかね。急いで家のラジオをいじる。ざあざあ、ざーざー。周波数が合わない。と思ったら急に広島戦の音声が入った。後で分かったがどこかの局の阪神戦の中継が急きょ切り替えられたようだ。
「花束が用意されています」とも聞こえてきた。ブログ用に録音しようとICレコーダーを探しに行くもあれ? 見つからない。探している間に達成するなんてオチは嫌だなあと思って急いで戻ったら「レフト前~」と聞こえた。バレンティンが余計なことをしてくれた(ヤクルトファンの方、ごめんなさい)。バレンティンはWBCでも打ったし阪神戦では乱闘騒ぎも起こしたし今年は何かと存在感がある。
もしも加藤拓也が初登板初先発ノーヒットノーランを達成していたら1987年の近藤真一(真市)以来30年ぶりの快挙だった。この大記録は大好きだ。
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加藤拓也が初勝利をノーヒットノーランで飾っていたら広島の大先輩・外木場義郎(1965年)に並ぶところだった。
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外木場義郎は3度もノーヒットノーランを達成しているすごい人。あの沢村栄治も同じく3回ノーヒットノーランを達成している。
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今年は沢村栄治生誕から100年。そういう意味でもぜひ加藤拓也にノーヒットノーランを達成してほしかったなあ。
活躍したから書くわけじゃないが加藤拓也が慶応大2年か3年の時のピッチングを早慶戦中継で見て以来、注目はしていた。久々に力感のある投げ方をする選手がいるなあと。
ドラフト1位とはちょっと評価が高すぎかなあと思っていたがこんな素晴らしいピッチングをされたら素直に謝らねば。2016年に抑えを任された中崎翔太と一緒にダブルストッパーでも組んだら面白いと思っていたが完投能力も十分ありそうだ。
ノーヒットノーラン達成者の生きざまも様々。近藤真一はすさまじい閃光を放つも通算12勝。ただ偉業から30年を経ていま中日でコーチをしていることがなおカッコいい。
外木場義郎は通算131勝138敗。
この負け越し7つというのが味がある。
沢村栄治は名投手でありながら戦争に翻弄されたイメージがある。もしも平和な時代であればきっともっと活躍した。野球もできない悲しい時代には二度としてはいけない。
今回大記録にあと一歩だった加藤拓也のプロ人生は始まったばかり。初登板で火だるまになった大野豊のような人もいるなかで上々のスタートを切ったが果たして近藤真一的な彗星になるのか外木場義郎的な大黒柱になるのか沢村栄治的な名投手になるのかはたまた加藤拓也なりの野球人生を歩むのか。少々粗削りな投球も含め加藤拓也のこれからに注目したい。
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このほかのノーヒットノーランネタはこちら。
27歳で引退「山の神」柏原竜二の箱根駅伝解説が早く聞きたい
箱根駅伝で山の神と呼ばれた柏原竜二(東洋大学OB)が引退した。27歳での決断を惜しむ声もあろうが、まずはお疲れさまでしたと言いたい。
陸上競技マガジン2009年2月号増刊 第85回箱根駅伝 東洋大学初優勝
- 作者: 池田哲雄
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箱根駅伝5区で4年連続区間賞。3度の区間新。「甲子園は清原のためにあるのか」という名実況があるがまさに箱根の山登りは柏原のためにあるのかとでも言いたくなる。
そう、これぞ適材適所。用兵の妙。監督が5区に指名したのだろうが登りに強い適性を生かした起用で柏原竜二は輝いた。優れたリーダーとは個性を見極め、伸ばす人のことをいう。
そして柏原竜二を柏原竜二たらしめたのは当然ながらチームメイト。在学中は東洋大学が4年連続で箱根駅伝往路優勝、うち3度は総合優勝を果たしている。柏原竜二だけが速くても達成できない。
駅伝だけじゃない。甲子園で優勝できるチームは総合力で勝つ。例えば2017年センバツ優勝の大阪桐蔭のように。 適材適所と総合力。これは組織で仕事をする上で意識しておきたいキーワードだ。
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柏原竜二の27歳という年齢をどう見るか。陸上選手で言えばまだ現役を続けられそうだ。柏原竜二は東洋大学卒業後、富士通に入社。しかし故障があり思うような結果が残せなかった。
誰もが思うことだが、全盛期は確実に箱根駅伝を走っていたころだ。しかしそれが毎年往路の5区を走る日にドンピシャではまっていたことに鳥肌が立つ。ピーキングの天才ではないか?
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柏原竜二には、ここぞという時にピークを持ってきて最高のパフォーマンスを発揮する秘訣をぜひ若いアスリートや社会人に伝授してほしい。引退後は社業に専念するとのことだが、ぜひ経験を講演や新人向け研修などで伝えてほしい。
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社会人での競技生活で結果が残せなかったことを不遇だとか燃え尽き症候群だったんじゃないかと見る人もいるかもしれない。でもそれはあまりに短絡的ではないか。
確かに箱根駅伝のキャリアがすごすぎて、柏原竜二自身が負担に感じた面はありそうだ。が、燃え尽きるのは決して悪いことばかりじゃない。むしろうらやましくさえ感じる。世の中には力を発揮できずに生涯を終える人はいくらでもいるのだ。陸上選手として記録と記憶を残した柏原竜二の陸上競技人生が不幸であるはずがない。
そして完全燃焼したこともない人が別の人を燃え尽き症候群呼ばわりすることはあってはならない。
日刊スポーツの記事で、「なるべく自分の言葉で書きたい」とつづった柏原竜二のコメント全文を読んだ。誠実そうな人柄が伝わってきた。
栄光の学生時代に、人と接するのが怖い時期があったとは。そんな中でもそっと見守った家族の存在。優しさが目に浮かぶようだ。柏原家の人々のように、人と接するときはその人がどういう状態かを見極めてから絶妙のタイミングで声を掛けたいものだ。見習いたい。
箱根駅伝は瀬古利彦の解説が定番だが、柏原竜二くらい若い解説者もほしいところ。特に5区は超絶リアル解説が期待できる。力の入れどころ、抜きどころ。若干のコース変更はあったものの山登りのスペシャリストはそのまま山登りの解説のスペシャリストになるに違いない。
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そして柏原竜二はアニメや漫画、ゲームが好きだそうだ。これを生かして駅伝アニメ、駅伝漫画、駅伝ゲームをプロデュースしてはどうか。スポーツファン以外も箱根駅伝に注目してもらうビッグチャンスである。
気が早いがいつか母校を率いて箱根駅伝に挑むことも十分考えられる。もろもろ考えたら27歳という年齢はむしろアドバンテージかもしれない。物は考えようだ。柏原竜二には陸上の素晴らしさを伝える伝道師になってほしい。
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鵜久森淳志「代打サヨナラ満塁ホームランサヨナラTシャツ」を生んだ「やったろう」の意気込み
2017年度がスタートした。多くの企業は月曜日である4月3日に入社式なりイベントを行った。フレッシュマンが輝く日の新聞で、一度クビになった男の写真を見つけた。
鵜久森淳志。愛媛・済美高校から日本ハムに入団するも今一つ輝けず戦力外に。しかしヤクルトが救いの手を差し伸べた。移籍1年目の2016年に印象に残るホームランを放った際はそれをネタに記事を書いた。
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新入社員の門出をくさすつもりはまったくない。初心を忘れないでほしいし、社会や組織の常識という非常識に染まってほしくもない。だからこそ知っておいてほしい。鵜久森淳志のような素敵な生き方もあるんだよ、と。
4月2日のDeNA戦、10回1アウト満塁。鵜久森淳志は代打をコールされた。
「やったろう、という気持ちしかなかった」
鵜久森淳志はそう振り返った。やってやろう、ではない。やったろう。かつて済美高校の四番を張った男もプロ実働10年、もう30歳になっていた。
そして見つけてしまった。鵜久森淳志「代打サヨナラ満塁ホームランサヨナラTシャツ」。あれ、サヨナラが1個多くない???
これはもう二度と代打サヨナラ満塁ホームランは打ちませんよ、劇的勝利とは決別しますよという意味なのか?ただのダブリなのか?
ちなみに限定アイテムらしい。4月3日18時から4月4日23時59分までの販売とヤクルトの公式サイトに書いてあった。
詳しくは公式サイトで写真を見てほしいが正直デザインも何もないというかスポーツ新聞チックなデザインが吉と出るか凶と出るか。
どうせなら期間限定で、懐かしい杉浦享の代打サヨナラ満塁ホームランTシャツを作ってほしい。
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プロ野球も将来のエース候補、四番候補、1軍候補が毎年わんさか入ってくるが輝けるのは実は一握り。自分で引き際を選べる人も実は数少ない。鵜久森淳志だって日本ハムの将来を嘱望されたが力を発揮できなかった。それでもトライアウトを経てヤクルトに拾われ、ここぞという時に「やったろう」と心でつぶやいてホームランをぶちこんだ。これはこれで一つの生き方。
きょうキラキラ輝いていた若者たちが後ほど挫折したとしても大事なのはそこからだ、と鵜久森淳志のホームランは示唆してくれている。
挫折、戦力外、再起、引退ネタが好きなあなたへのおすすめはこちら(我ながらこういうネタ好きだなあ)。
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野球は9人でやるものではない~2017年センバツ優勝の大阪桐蔭に学ぶ
たった1度の雨で運命が変わることがある。2017年のセンバツ決勝は大阪桐蔭が履正社との大阪決戦を制した。が、もしも前日の雨天順延がなければどうだったか。
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31日の決勝が雨天順延と知る直前、テレビのデータ放送で決勝の見どころをチェックしたら、履正社のエース竹田祐は準決勝が救援登板だったのに対し大阪桐蔭のエース徳山壮磨は決勝も先発すれば準々決勝から3連投になるのでそこがどうなるかと書いてあった。
高校野球は夏の地方大会に象徴されるようにエースは連投する宿命にある。それに耐えられてしまう人がいる一方で、甲子園では勝ち進んだものの本調子でなくなったエースが打ち込まれるのもままある。大阪桐蔭の徳山壮磨も気合で力投するタイプに見えるから3連投となればきつかったかもしれない。
雨で休養日を得られるかどうか。それも含めて球運である。
そういう意味では黒柴スポーツ新聞編集局長は球運がなかった。もっとも、プレーヤーではないのだが。31日は休み、4月1日は勤務日だったため雨天順延イコール決勝テレビ観戦が厳しくなったのだ。結局忙殺されて試合結果を知ったのは午後7時台のラジオニュースで、だった。8-3とはいえ履正社も粘っており見ていたら面白かったんだろうなあ。
というわけで試合を見ていないなりに驚いたことを2つ書く。
まず、勝ち越し2ランの代打・西島一波はこれが公式戦初ホームランだったこと。背番号18の控えキャッチャーが最高の場面で大仕事をした。人は人生で同じ数だけチャンスを得られる、わけじゃない。そして普段から準備をしていない人が結果を出せるほど甘くもない。西島一波は数少ないチャンスを見事にものにした。1日夜のサタデースポーツを見たが、ブルペン捕手として速い球には目が慣れているのでそこは役に立つと話していた。日ごろの地味な作業もいつどこで結果につながるか分からない。
そしてもう一つは大阪桐蔭の勝負強さ。新聞記事によると春夏通じて6度の決勝すべて勝っているという。この勝負強さの裏側にもきっと何かがある。同じメンバーで戦っての優勝6度ではないから余計にすごい。この勝負強さ、ちょっとあやかりたい。
西谷浩一監督の横顔も新聞に載っていたが、ずば抜けた選手がいない今のチームは副主将を7人にしたそうだ。会社で副部長が7人いたら、市に副市長が7人いたら収拾がつかなそうだがなんでも言い合える高校生世代ならありか。一人一人が戦力になった大阪桐蔭の強さはこういうところにあったかもしれない。
「野球は9人でやるものではなく、全員の力が束になってすごい力を発揮する。みんなで戦っていくのが桐蔭の野球」(新聞記事より)
深い。野球は9人でやるのが常識だ。が、多くの人は忘れがちだ。ダグアウトにも選手がいるということを。そしてその選手が力を発揮できたチームが勝つ。大阪桐蔭は2年生が活躍していた。履正社もこのまま黙ってはいないだろう。2017年夏の大阪府大会は死闘になりそうだ。
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守りから始まる攻撃もある~センバツ履正社エース竹田がまたも逆転劇演出
3月31日の2017年センバツ決勝は史上初の大阪勢対決が決まった。準決勝の履正社ー報徳学園、続く大阪桐蔭ー秀岳館をテレビ観戦した。
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履正社は安田尚憲のホームランで先制するなど序盤押したが3回に報徳学園が早くも投手リレー。1アウト満塁でさらに点を取られたら苦しくなるところだったが続く打者を三振とキャッチャーフライに打ち取る好救援で乗り切った。
報徳学園は同点に追いつき、逆転に成功し、そのまま3-2とリードして9回の攻防へ。1死1、3塁から打者は再三スクイズの雰囲気を見せていたが3度目の正直でまんまと成功。この場面、なぜ報徳学園バッテリーは1球外さなかったのかと疑問に思った。あまりに正直に勝負しすぎた。
もう少しで決勝進出だったのにその後悪送球が絡み9回だけで4点も取られた。決勝進出を逃しただけでなく今大会での勇退が決まっていた永田裕治監督の最後も飾れなくなってしまった。報徳学園ナインには悔やまれる結果になった。
思うに9回1アウト1、3塁のピンチは3回の1アウト満塁をしのいだことが逆効果になったのではないか。きっと今度もうまくいく。そんな過信はなかったか。
野球は実は失敗の多いスポーツだ。だからこそ慎重に守り、攻めないといけない。あれだけスクイズの構えを見せていたのだからウエストしたら逆に飛び出した3塁ランナーを殺せたかもしれない。
とまあ外野はいくらでも好きなことが言える。だがピンチの時ほど冷静に、自分の守護霊的な立ち位置から自分の行動を見ることで防げるピンチはまあまああると思う。
履正社ー報徳学園は守りをきっちりした後の攻撃が得点に絡んだ印象が強かった。9回表の履正社の攻撃も、8回裏に履正社のエース竹田祐が報徳学園の4番、5番、6番を3者凡退にしたことが起点になったと見た。やはり流れ、リズムは大事だ。竹田はこの日2番手として登板。6回に3点目を失いはしたが相変わらず大崩れはしない。しっかりペースを作ってチームの逆転を引き出した。竹田祐は開幕日の日大三高戦でも逆転劇の立役者だった。9回裏は一打同点もありうる大ピンチだったがそこは竹田祐を責めるよりかは報徳学園の粘りを誉めるべき。さすが伝統校だ。
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そう、攻めはその前の守りから始まることがある。チームの調子が悪い時でも自分たちができることをまずきっちりやることで反転攻勢を引き出せばいいのだ。年度末、年度初め、自分たちのペースで物事が進まないことはありがちだがあわてず騒がずできることを着実にこなしていこう。
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センバツ史上初の2試合連続引き分け再試合と稀勢の里戦を並行視聴~全力を出し切るって素晴らしい
センバツで延長15回引き分け再試合が珍しいのに何と2試合連続で起きた。福岡大大濠ー滋賀学園と、福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎だ。
ドラマの録画を見ていたのでもう福岡大大濠ー滋賀学園は終わったかなと思ったら延長14回が終わったところだった。で、15回の表裏で決着がつかず、いったん翌日に再試合が決まった(その後翌々日の第9日目に変更)。
その流れで福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎を見始めた。知り合いが福井にいるので福井工大福井を応援。1-0のまま9回に突入し、高崎健康福祉大高崎の攻撃も2アウト。ただしランナーは2、3塁。一打逆転サヨナラの大チャンスだ。
ここで2塁ランナーが不用意に塁を離れた。と思ったらトリックプレーだったようだ。ピッチャーが2塁に送球した間に3塁ランナーが本塁突入。まんまと陥れた。それどころか名演技の2塁ランナーもすかさず3塁に到達していた。
高崎健康福祉大高崎といえば機動力が持ち味。とはいえ、この土壇場での「ダブルスチール」にうならされた。 追い込まれたところで持ち味を発揮するとはなかなかだ。
その後得点圏にランナーが出たり、長打が出たりと再三勝ち越しやサヨナラのチャンスが生まれたものの、両チーム最後まで気を抜かずそのままゲームセットした。中継で特にアナウンスはなかったが2試合連続の引き分け再試合は史上初ではなかろうか?
前の試合の福岡大大濠ー滋賀学園が27日の第4試合に設定されていたため、「まさか27日は第5試合まで組まれるのか」と色めき立ってしまったがさすがにそんな日程は組まれなかった。福岡大大濠ー滋賀学園は第9日目の第1試合、福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎はその次の第2試合に落ち着いた。
結果的に4チームとも1日の「休養日」が発生。せっかくセンバツのために鍛えてきたのだからちょっとでもいい調子で戦ってもらいたいもの。だから1日体をケアできる時間ができてよかった。とはいえ応援団はちょっと気の毒。いったん地元に帰らねばならない人もいるし休みがもう取れない人もいるだろう。
なお福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎に熱中しつつも大相撲が気になっていた。稀勢の里が左肩を負傷しながらも14日目に強行出場。ただし調子は思わしくなく2敗目を喫した。その状態で千秋楽、本割に勝ったうえで優勝決定戦も制することができなければ優勝はない。成し遂げればまさに奇跡の逆転優勝というシチュエーションだった。
ただし延長までずっと福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎を見てきたので今更チャンネルを変えるわけにもいかない。ということで画面は小さくなるが2画面でテレビを視聴した。そのときまさに本割が行われる寸前だった。
ご存知の通り、稀勢の里は本割で押し込まれながらも照ノ富士を下した。照ノ富士は14日目、大関復帰を目指す琴奨菊に対し立ち合いで変化。すさまじいブーイングを浴びた。稀勢の里は「負傷」「逆転の可能性(への期待感)」「日本出身」という、観客の応援の要素が三つもある。優勝決定戦が行われると決まった瞬間、大歓声が起きた。
ただしまだ優勝決定戦が残っていた。福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎を見ながら優勝決定戦をチェック。アツい試合がよくぞ同時並行で行われるものだ。稀勢の里は土俵際まで追い込まれながらも会心の逆転。見ているこちらも思わず「うわっ!」と声が出た。
表彰式は6時台に突入しニュースは10分遅れに。それでも優勝インタビューが収容できなかった。君が代斉唱のあたりで稀勢の里は感極まって泣いていた。こんな時こそインタビューが生で聞きたかった…。
そして福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎はお互い決め手を欠き、というかお互い気を抜かないいいプレーの連続でそのままドロー。確かにスコアボードは0行進が続いたが実況アナウンサーが「どの0にも価値がある」と言ったのはさすがだった。
これだけ盛りだくさんだときょうは書きたいことが散漫になる。が、福岡大大濠ー滋賀学園と、福井工大福井ー高崎健康福祉大高崎、そして稀勢の里ー照ノ富士戦に無理やり共通項を見出すとしたら「実力を出し切る」ことの素晴らしさ。見ているこちらもすがすがしくなる。
これはもちろん大相撲の14日目の照ノ富士への当てつけでもある。大関復帰を目指す琴奨菊の挑戦を変化でかわしたことは目先の1勝を獲得し優勝戦線を優位にしたことは間違いない。クレバーな作戦だ。しかしこの1勝と引き換えに照ノ富士への応援ムードは影を潜め逆に稀勢の里への同情を高めることになった。
黒柴スポーツ新聞は稀勢の里の横綱昇進をよしとしていなかった。が、この稀勢の里の頑張りを見れば素直に横綱昇進を認めたくなる。不器用さを隠さない稀勢の里への応援ムードは高まり支持基盤は固まったと見える。実は稀勢の里の逆転優勝を一番喜んでいるのは相撲協会の幹部だったりして。
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新横綱としての優勝は貴乃花以来22年ぶり。くしくも貴乃花も脚をいため絶望視された状況で優勝を勝ち取ったことがある。その瞬間の「鬼の形相」は語り草だ。「痛みに耐えてよく頑張った」の小泉純一郎首相のコメントも印象的だった。もしこの日も安倍晋三首相が来ていて「痛みに耐えてよく頑張った」と土俵上で言ったら森友学園問題も一気に風向きが変わったかもしれない?なんてつい想像してしまった。
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最後まであきらめない。自分の力を信じる。その大切さを高校野球と相撲に思い出させてもらった一日だった。
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不発の清宮幸太郎に屈した明徳義塾高校~2017センバツ9回2死からまたもドラマ
何かにつけて「侍」と言うのが流行っているのか。WBCを業務中に見ていた人は「コソッと侍」。ブレイクした小林誠司の控えに甘んじた大野奨大は記事で「控え侍」なんて書かれていた。年度末、黒柴スポーツ新聞編集局長は「残業侍」な日々である。
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きょうは楽しみにしていた明徳義塾ー早稲田実業の一戦があった。履正社ー日大三も好カードだったが試合巧者の明徳義塾と強打者の清宮幸太郎がどんな試合をするのかすごく興味があった。
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予想に反して明徳義塾が先制した。さすがにじわじわと早稲田実業も迫ってきたが明徳義塾にはホームランが飛び出し貴重な4点目が入った。このまま逃げ切るかと思ったがそこは早稲田実業。きっともうひとヤマ作るはずだ…。黒柴スポーツ新聞編集局長は明徳義塾を応援していたがその予想は不幸にも、そして思わぬ形で当たってしまった。
9回2アウトからのピッチャーゴロ。からのエラー。からの清宮幸太郎四球。からの押し出しで同点。
「もしもピッチャーが捕れていたら」
「弾いてもすぐにファーストに投げられていれば」
明徳義塾を応援していた人は「タラレバ侍」になっていた。
確かにあれは大きなプレーであり、今後の清宮幸太郎の育ち具合によれば何度となく再生されそうなシーンとなった。が、1回戦を勝ち上がった履正社同様、早稲田実業も勝てたのは大物というよりは脇役が活躍した。清宮幸太郎もあの局面で打席が回ってきたら気負いそうなものだ。が、じっくり球を見極めての四球。さすがである。
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…とここまで書いたところで力尽き、執筆2日目。どうせなら試合結果を世間がどう報じたかも見てみよう。
明徳義塾がある高知県で発行されている高知新聞。社会面ではアルプスの光景が紹介されている。ぐっと来たのはあのピッチャーゴロを取りそこなった北本投手のお父さんのコメント。なんと試合当日が誕生日だったそうだ。
「いい誕生日になりました」
これ以上のコメントはあるまい。負けはしたけれど、この後こそ大事。北本投手や明徳ナインは夏に向けてレベルアップすることでこの負けに価値を付ければいい。
それにしても高知県民は今回のセンバツで、ともに9回2アウトからの内野ゴロに一喜一憂したことだろう。40年ぶりの出場となった中村高校は9回2アウトからのセカンドゴロが捕球される直前に奇跡のイレギュラーバウンド。外野に抜ける間にランナーが帰り、40年ぶりの1点を記録した。負けはしたが中村高校を応援した人々は幸せな気持ちになった。
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逆に明徳義塾は勝ちきれなかった。当たりは強かったがゲームセットと思った瞬間、歯車が狂った。25日の新聞には「これで勝てると思った」という清宮幸太郎の談話が載っていた。確かに前の打者が出塁した直後の清宮幸太郎の顔は「よっしゃ」となりつつも努めて冷静さを保とうとしているように見えた。和泉監督も「次が清宮だったし」と、清宮幸太郎の存在感を勝因の一つに挙げたという。
2016年日本シリーズのネクストバッターズサークルに立った大谷翔平のように、スターはいるだけで圧をかけられる、ということか。いや、立っているだけではなかった。試合中は声が枯れそうになるほどチームメイトを鼓舞していたそうだ。この日の清宮幸太郎は強打者である前にキャプテンの職務を全うした、ということになる。
「あと一歩で勝ち切れないのは、まだ何か足りないということ」
25日の高知新聞には明徳義塾・馬淵史郎監督のコメントが載っていた。「何か」を探す作業はすでに始まっていることだろう。夏の高知県大会がもう楽しみだ。
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侍ジャパン敗戦で2017WBC事実上閉幕~野球の魅力も厳しさも感じた準決勝
WBCが終わった。正確に言えば侍ジャパンの勝負が終わった。1-2。惜敗。時の運。いろいろなワードが出てくるが負けは負けだ。
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2失点はいずれもエラー絡み。野球はミスをした方が負ける、という当たり前のことを思い出した。たった1球が、たった1プレーが勝負を負ける。国際大会であればなおさらだ。だがそのはかなさみたいなものも野球の魅力ではある。発展途上の若者がひたむきに白球を追う高校野球があれだけ人を引き付けるのもこの点だろう。
それにしても野球の神様は試練を与えるな、と思う。先制を許すきっかけになった菊池涼介のエラー。芝生のふちだったか、ちょっとイレギュラーしたようにも見えた。数々のファインプレーで魅了した名手のエラーが大事な試合の失点につながったのは皮肉だ。
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だがうすうす野球ファンは気付いている。菊池涼介はスーパープレーの陰でたまにやらかす、と。2016年日本シリーズ第2戦でもセカンドゴロに思えた打球処理を誤りタイムリーエラーになってしまった。打者のバットが折れて打球が若干不規則になった面はあるが。
最近は心臓に当たったらいけないからと、体にゴロを当ててでも捕れという指導はされていないのだろうか。打球に正対する古典的なスタイルであればWBC準決勝でのあの打球もさばけたんじゃないかと思った。
決勝点につながったのは松田宣浩へのサードゴロ。前進、バックホーム態勢のところにおあつらえ向きの打球だった。が、処理前にホームを見てしまったか。プロ野球選手でもこういうことがあるんだなと思った。雨中の試合。雨をたっぷり含んだ内野の芝の上で弾んだ打球の跳ね方も独特なのだろう。なんだかんだ書いてしまったが、菊池涼介といい、松田宣浩といい、その雰囲気その局面でプレーした人にしか分からない部分はある。
そう、大変さはその人にしか分からない。
気の毒に2人が敗因を背負う格好になっているが、実は責任をひしひしと感じていると思われる人物がいる。不動の四番、筒香嘉智だ。
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得点機に一本が出なかった。ここぞという時に打ってくれた主砲だったがこの日は不発だった。クライマックスは8回。ツーアウトながら1、2塁のビッグチャンス。ここが勝負だとみんな分かっていたからこそスタンドのファンも立ってアメリカを、日本を応援してワーワーなっていた。
変則的なフォームの右投げピッチャーではあったが「左打者にはチャンスがある」と解説の原辰徳。サイドスローからの投球がややインコースの低めに来た。それを筒香嘉智がとらえた。かに見えた。昼間見られなかったので夜、録画を見たのだが、結果が分かっているにも関わらずあまりにいい角度で飛んで行ったので「うわ!」と声を出してしまった。筒香嘉智自身、いい感触はあったかもしれない。だが打球は失速し外野手のミットに吸い込まれた。
先発・菅野智之はさすがと思わせるピッチング。過去のシーズン中、ここぞという時に崩れた頼りなさは微塵も感じられなかった。
小林誠司は今大会最も成長した選手だと思う。たまに見せるガッツポーズも、一つ一つ自信を得ている証拠に見えた。捕手生活を振り返った時、転機になった大会と答えるだろう。菅野智之の快投と小林誠司の大ブレイク。巨人ファン的にはウハウハだ。
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そしてメジャーからの注目も高まった千賀滉大。決勝点は与えてしまったが圧巻の4者連続奪三振。プロ入り後3軍で鍛えた男がメジャーリーガをきりきり舞いさせたのは痛快。近い将来、法外な金額でメジャー入りしそうな雰囲気がプンプンする。
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日本においてWBC観戦がまだまだ成熟していないと感じるのは結局自国の試合にしか関心がない点だ。アメリカとの準決勝中継最終盤、今大会のスーパープレー集映像が流れたが内外野ともアクロバティックで超人的な守備がバンバン出てきた。こういうのをもっと認知してもらわないと。このへんがワールドカップのあるサッカー人気に劣る。サッカー通は自国以外の選手やスーパープレーをよく知っている。
というわけで日本国内でのWBCは準決勝をもって事実上閉幕した。肝心の決勝は後夜祭なのだ。
僅差で負けたから敢えての提案。次の4年間は打ち勝つ野球を目指してはどうか。もちろん投手力は最低でも今のレベルを維持した上で、だ。プエルトリコやオランダ、アメリカをパワーを生かしたプレーが多い印象だ。日本は緻密で繊細なプレーを信条としているが今やアメリカもパワー頼みではない。相手が細かいプレーまでしだしたのであれば日本は逆に剛腕豪打を意識してもいい。
もっともどんな野球を目指すのかは監督次第。侍ジャパン敗戦後、小久保裕紀監督は「任期満了」と退任の意向を示した。2020年には東京でオリンピックがあるので監督が交代するのであればオリンピックも視界に入れての人選となる。
個人的には栗山英樹ジャパンを見てみたい。今回は残念ながら見られなかったが大谷翔平が侍ジャパンにいるのなら起用法も柔軟にやってくれそう。もともと侍ジャパンは結束が武器なのであれば2016年に日本ハムを日本一に導いた実績からもいい結果が期待できそうに思えたのだ。
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過去の監督の中からの再登板ならもう一度原辰徳に率いてもらいたい。勝負師である点はNPB監督経験がなかった小久保裕紀を上回る。リーグ優勝7回、日本一3回。何より第2回WBC優勝監督であり、いま現在巨人の監督ではない。
エラーから監督人事の話まで欲張って書いてしまった。ともかく野球ってこんなに面白いんだなということは十分すぎるほど伝わった。心配された視聴率もそこそこ頑張ったようだし。侍ジャパンの面々を中心に、2017年シーズンも野球観戦を一緒に楽しみましょう。
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センバツ中村高校9回の粘りに心がホカホカ~40年ぶりの1点がもたらしたもの
「二十四の瞳」高知・中村高校が甲子園に帰ってきた。第89回選抜高校野球には16人での出場だから「三十二の瞳」なのだがインフルエンザなど体調不良で4人が開会式を欠席。入場行進は結果的に「二十四の瞳」になってしまったが40年前はその人数で準優勝に輝いた。4人の回復を祈りつつ、逆に吉兆と思えばいい。そう思った。
前橋育英との試合は静かな立ち上がり。前橋育英の投手はなかなか球に力がある。中村高校はそう簡単にはヒットが出なそうだ。前橋育英は下位のバッターでも鋭い当たりを放つ。機動力も交えてくる。自信があるようでランナーが出ても簡単には送ってこない。2回にはタイムリーが出て2点を先制した。
中村高校のエース北原もしり上がりに調子が出てきた。3回にはけん制でランナーを刺した。このまま何とかしのいでほしい…。だが6回につかまりさらに3点を取られてしまった。
中村高校は7安打を放ったが得点圏であと1本が出ず。6回無死2塁からのショートゴロで、走者が3塁に向かってアウトにされた場面がちょっと悔やまれるがそれは結果論。ただしその後2死1、3塁まで攻めたてながら無得点に終わったことで試合のペースは前橋育英がさらに握ることになり6回裏の追加点につながったと見た。
9回表、中村高校の攻撃に入るころからアルプスを中心にスタンドがにぎやかになっているようだった。テレビの音声を通じて伝わってきた。この日の第2試合で中村高校と同じ21世紀枠の多治見が古豪・報徳学園の滅多打ちに遭い0-21と大差をつけられた。思わず1985年の東海大山形とPLの試合を思い出してしまった。
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多治見は1点も取れなかったが中村高校にはせめて1点取ってもらいたい…。
高知県民の思いが通じたのか1死から4番・一円が2塁打。得点のチャンスが生まれた。続く5番中野が1塁ゴロに倒れるも2死三塁。まだ得点機は続いている。ここでタイムリーが出れば…。スタンドはがぜん盛り上がっていた。
「点を取って、お世話になった地域の方に恩返しを」(中村高校ナイン)
「中村高校のこれまでの頑張りをカタチに残させてあげたい」(四万十市民)
「せめて1点取れたら今夜おいしい酒が飲めるのになあ」(ただ酒が飲みたい高知県民)
※第三者の勝手な想像です。
さまざまな思いが奇跡を呼んだ。6番岡上の当たりはセカンドの守備範囲。「ああ、セカンドゴロだ。終わった…」と誰もがあきらめかけた瞬間、2塁手の目の前で打球がイレギュラーバウンド。2塁手が追いつけずライト前タイムリーになった。中村高校に40年ぶりの1点が入った。
なおも1、2塁のチャンスだったが8番武田は三振に倒れた。だが武田は難しいファーストゴロも上手にさばいていたぞ! インフルエンザに倒れたチームメイトともども体調不良だったことを考えればバッターボックスに立てただけでも頑張ったじゃないか。9回の中村高校の粘りにスタンドからは温かい拍手が送られた。
思えば2016年夏の高知県大会も9回の粘りで魅せた。最後まであきらめない姿勢はいつも好感を抱かせる。
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エース北原は敗戦後も淡々としているように見えたがスタンドに一礼すると涙をこらえきれなかった。あの涙にはどんな意味合いがあったのか。悔しさか、それともやりきった充実感か。確かに打たれた球はちょっと高めに浮いていた気がする。前橋育英クラスになると失投は見逃してくれない(そして当然明徳義塾も)。多彩な球種は前橋育英打線にも通用していたから夏への糧にしてもらいたい。
負けたけれど、清々しい。いいものを見たなあ、と不思議な余韻に浸れている。群馬県民、前橋育英ファンには申し訳ないけれど、あのイレギュラーバウンドのおかげで今夜高知県民はちょっと心がほかほかしている。野球の神様は時々、本当に味なことをなさるものだ。
中村高校ナインの大先輩、山沖之彦さんにまつわる記事はこちら。
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追いつかれても追い越させないことが大事~センバツ履正社9回の猛攻を呼び込んだ竹田の踏ん張り
第89回選抜高校野球が開幕した。開幕式直後の第1試合は呉ー至学館。いきなり延長の好ゲームだったが呉が振り切った。第2試合は履正社ー日大三という好カードで予想通りの白熱した試合。12-5で履正社がねじ伏せた。
まだ大会初日だというのにこんなペースで面白い試合が続いては見ている方もクタクタ。しかも黒柴スポーツ新聞編集局長はひいきのチームでなければ基本的にテレビをつけた時点で負けている方を応援することにしているためどうしても力が入る。
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履正社ー日大三は強豪同士だったためどちらを応援ということもなかったが以前日大三の記事を書いたこともあり若干の感情移入はあった。
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高校野球ファンには笑われそうだが履正社の安田尚憲を初めてテレビで見た。でかい。オリックスから阪神に移籍した糸井嘉男のようだ。バットに当たったらどこまでも飛んでいきそうなスケール。さすが「東の清宮、西の安田」と言われるだけはある。
が、そこは高校野球の面白いところ。日大三のエース桜井が好投しこの日安田尚憲は3三振(5打席目にタイムリーでやり返したのはさすが)。桜井のスライダーはキレッキレで安田は翻弄されていた。
が、そこは高校野球の面白いところ。そのスライダーを履正社の石田がひっぱたき逆転3ラン。主砲が結果を出せなくともここぞというところで勝負に勝ち試合を優位に進めた。
終わってみれば12-5。どうしても履正社9回一挙7点に目が行きがちだが試合のポイントには8回裏、日大三の攻撃を同点止まりに押しとどめた履正社・竹田の踏ん張りを挙げたい。
日大三・津原の同点打は三塁打。後攻めの日大三としては一挙にひっくり返したいところだ。強い学校の選手はそういう「要所」を心得ている。逆の立場から見れば履正社・竹田は何としても逆転を許してはいけない。
世の中的にもこれが大事。調子やタイミングが悪くて勝負の過程でライバルに追いつかれてしまうことはある。だがそれに一喜一憂する暇があるなら考えねばならない。どうしたら追い越されないかを。勝ち越されさえしなければ勝機はまだある。
履正社・竹田はここで踏ん張り後続を2者連続三振にした。その裏の猛攻を呼び込んだのは竹田の好投と言っていい。竹田は初回、なんと1球目から7球続けてストライクが入らなかった。どうなることやらと思ってみていたが試合をしながら立ち直り要所を締めたのは素晴らしかった。
どうしても主砲やエースが素晴らしいチームは個人にフォーカスされてしまいがち。だが野球はご存知の通り9人でやるもの。履正社の3番・安田尚憲と4番・若林がともに1安打ずつだったのに対し1番・石田は2安打3打点、2番・溝辺も決勝打など2安打2打点の大活躍。岡田監督が「みんなでカバーしあえた」と言ったのは偽らざる心境だろう。
いきなり履正社のそういう「強さ」を見せつけられてしまった。果たしてこのまま頂点に駆け上がるのか。次戦で当たる呉ともいい戦いになることを期待したい。これを書いている大会2日目も第1試合の高岡商ー盛岡大付は6回の攻防を終えて8-8の同点。こんなにいい試合が多くては体がもたないかも…。にしても岩手代表と戦う高岡商の応援で「あまちゃん」のオープニングテーマがあるのは何とも面白い。
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引退の川上憲伸はもうナゴヤドームのマウンドに立たないのか~大物選手の引退を考える
川上憲伸が引退を決めた。ドラゴンズファンには感慨深いだろうが若干の賞味期限切れ感は否めない。
その証拠に読売新聞記事では「川上さん」とさん付けになっている。すでに過去の人扱いだ。
http://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/20170319-OYT1T50093.htmlwww.yomiuri.co.jp
とはいえ同年代の上原浩治は寂しそうだった。高橋由伸はどんなコメントを出すだろうか。
二人は東京六大学時代からのライバル。川上憲伸は通算28勝を挙げた。そして同じ明治のエースだった星野仙一を追うかのように中日へ。川上憲伸は高橋由伸と新人王を争い、そしてものにした。新人王からちょっと間はあったがMVP、最多勝、沢村賞に輝いた。
ただ、ドラゴンズファンならずとも思ってしまう。アメリカ挑戦は正解だったのかと。
もちろん結果論。だがプロは結果がすべてでもある。アメリカでは通算8勝。きっと、思い浮かべていた結果ではなかった。
日本では通算117勝。立派な成績ではあるが川上憲伸であればもっと高い数字を残せたのではないか。そう考えてしまう。
川上憲伸自身、思うようにコンディションが整わないもどかしさはあっただろう。だからこそ納得いかなかったのではないか。このまま終わるわけにはいかないんだ、と。
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川上憲伸には大きく二つの選択肢があった。現役続行を模索するか、中日の選手として引退するか。一時代を築いた選手だから、希望してもしなくても引退セレモニーはできたはずだ。が、川上憲伸は数少ない可能性を求めた。
それは無謀な挑戦に思えた。すでに川上憲伸は中日で戦力とみなされていなかったのだ。肩の調子も思わしくない。これで満足に戦えるのかと思ってしまった。
三冠王になった松中信彦もそうだったがもはやメンツではない胸中になるのだろうか。松中信彦や川上憲伸レベルになってくるともう第三者ではよく分からない。
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でも、こういう引退もいいかなとも思う。最近はこれが引退試合です、これが最終打席です、これが最終登板ですと分かっているパターンが多い。
それはそれでファンへのあいさつであり、ファンもまた感謝を伝えられるいい機会。引退試合は映像で見てもぐっとくる。
だがプロ選手の寿命はある日ある瞬間絶たれても不思議ではない。振り返ったらそれが最後の出場だったという選手の方が圧倒的に多いのだ。川上憲伸は自分で終止符を打てるだけの選手だったというだけだ。
そういう意味では黒田博樹の去り方は見事だった。日本シリーズの前にしっかり引退を表明。チームメイトにもファンにも気持ちを伝えた上でシリーズに登板した。そして脚を痛めて結果的に大谷翔平が最後の対戦対手になった(しかもきっちり討ち取って)。先日オープン戦の一場面として始球式に「登板」。自分のことで周りに迷惑をかけない黒田博樹らしい締めくくり方だった。その場面でも投手の邪魔にならないよう、プレートは踏まず一塁側にちょっとずらして立っていたというのだからこの人はどこまで素敵な人なんだと思ってしまった。
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果たして川上憲伸は何らかの形で再びナゴヤドームに立つことがあるのか。アメリカでは引退選手と1日だけ契約することがあると聞いたことがある。黒田博樹の永久欠番15をみんなで付けた黒田博樹のセレモニーみたいなことはできないとしても何か素敵なイベントはできないものか。ぜひドラゴンズファンの手で川上憲伸のプロ生活にきっちり終止符を打ってあげてほしい。
引退、戦力外にまつわる記事はこちら。って何本書いてるんだか。
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