黒柴スポーツ新聞

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「バスに乗り遅れるな」猛攻ソフトバンクにある潜在意識

20安打16得点。ロッテに大勝したソフトバンク打線を見ながらこのフレーズが浮かんできた。「バスに乗り遅れるな」。imidas.jpによると、「時流に乗り損なう、好機を逸することのたとえ」で、「早く社内のIT化を推進しないと、バスに乗り遅れて取り返しのつかないことになるぞ」みたいに使われる。ソフトバンクは試合途中から起用された中谷、谷川原、川瀬もヒットを放ったのだが、とにかく結果を出して試合に出たい選手からは、まさにバスに乗り遅れるなという雰囲気が感じられたのだ。

その背景にあるのは藤本監督の起用方針。結果を出したら使われるし、調子が落ちたら使われない。左対左であっても上林誠知が使われたのは信頼感が出てきた証拠。そう、こいつを使ってもいいかなと思わせるには、とにかく結果を出すことだ。ロッテ戦で2日続けて中谷が代打起用されたのは、初戦で見事な同点ホームランを打ったからだと見ていて分かる。そしてそのチャンスを逃してなるものかと、中谷は見事にタイムリ二塁打。またまた勝負強さを印象付けた。

一方で、解説のジョニー黒木は、中谷は内角低めが強いよねと早速分析。だから次は外角やら、内角でも高めを試したらいいと話していた。そして本当にロッテの捕手、佐藤はそのように攻めていた。結果的に中谷はセカンドにゴロを打ち返して中村奨吾のエラーを誘ったのだが、こうやってデータは取られていく。

先頭打者弾でチームを勢いづけた三森大貴にしても、黒木は「外角高めは振ってしまう」と見抜いていた。実際、佐々木朗希に喫した三振もそうだった。プロ野球は同じ相手と何度も対戦するわけだから、傾向と対策の繰り返し。その意味では、まだまだソフトバンクの若手のデータは少ないだろうから、今後マークが厳しくなることは間違いない。真価が問われるのはこれからだ。

それにしても、代走や守備固めで使われる谷川原や川瀬がヒットを打つのを見ると、こういうアピールっていいよなと思う。若手芸人がオンエアで爪痕を残したいと思うのを彷彿させる。打つ方もそこそこいけるんで、ぜひ使ってください! そんな感じだろう。バスに乗り遅れるな。その合言葉が聞こえるソフトバンクのバスは今、中堅若手で満席状態。この調子で首位楽天に食らいついていってほしい。


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