黒柴スポーツ新聞

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中谷移籍初アーチは劇的同点弾!同い年のエース千賀の黒星消す

それは今年見たソフトバンクのホームランで、一番うれしかった一発だった。ロッテ戦、土壇場の9回。マウンドには益田直也がいた。中谷将大が益田の変化球をすくい上げ、豪快にスタンドに運んだ。2点のビハインドを埋める2ランはソフトバンク移籍後初アーチ。翌朝、私が購読する新聞のスポーツ面には「代打中谷 起死回生同点弾」の見出しが立った。

まさにこの長打力が中谷のも持ち味。必ず紹介されるのが阪神時代のシーズン20発の実績だ。それを買われてのトレード(相手は二保旭)だったのだが、移籍初年度は1軍に上がれなかった。何でかなと思っていたが、結果が出せていなかったらしい。しかしソフトバンク2年目の今年は1軍に呼ばれ、ちょこちょこ試合にも出られていた。三森、柳町、上林、牧原らソフトバンクには左打者が育ち結果を残しつつあるが、右が手薄。その意味でも中谷は魅力的だ。ロッテ戦でもホームランを期待されての代打だったのだが、本当にホームランを打ち、藤本監督の起用に応えた。

DAZNで、中谷の打球を目で追っていた時も幸せな気持ちだったのだが、ホームインした中谷がベンチ前でチームメイトと笑顔でハイタッチしているのを見てさらにうれしくなった。中谷、めちゃくちゃうれしそう。最後に抱き合ったのは千賀滉大かな? 移籍してきた選手は結果を出して真の意味でチームメイトになるのかもしれない。そう考えると、中谷はようやくソフトバンクの戦力になった。

元々この日は佐々木朗希と千賀滉大という珠玉のエース対決に注目が集まっていた。千賀は序盤から160キロが出ていて、佐々木への意識を感じさせた。打球が足に当たって野手のいない所にボールが行く間に勝ち越しのランナーを還すなど3失点した。試合途中で足がつるアクシデントがあったという。このままロッテが逃げ切るかなというムードもあったが、中谷同点弾に加えて、延長にはグラシアルのヒットで勝ち越しに成功。千賀降板後にソフトバンクのリリーフが失点しなかったのも大きい。又吉、モイネロと勝ちパターンのリレーで締めた。

佐々木朗希に1得点に封じられたが、打線はこの日も2ケタ安打。得点力はまだまだ課題だが、今年の打線は活発だ。矢のように次々に好投手を襲うイメージか。このところ、山本由伸や宮城、佐々木朗希相手の試合でことごとく勝てたのは、一人一人の力を結集できた結果に見える。いかに優れた投手が相手でもチームで対峙すれば勝機はある。そう思わせてくれている。

中谷というカードが加わり、さらに厚みを増したソフトバンク打線。これからもヒットを浴びせてパリーグの好投手たちを打ち崩してもらいたい。


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