黒柴スポーツ新聞

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初スタメン渡辺陸2本塁打5打点の衝撃デビュー

しばらく鳥肌が引かなかった。初スタメンのソフトバンク渡辺陸捕手が2打席連続ホームランの衝撃デビューだ。

広島戦でスタメン起用との報道があったので予定通り。甲斐拓也を休ませつつ、渡辺の経験を積ませようとの考えだろうが、自分が甲斐の立場だったら顔が引きつってしまうだろう。

左打者の渡辺陸が左中間に放り込んだ。確かに柳田悠岐をほうふつさせる。甲斐もパンチ力があるが、このスケールの大きさは別格だ…とここまで書いていたら第3打席が回ってきた。今度はレフト前にタイムリー! どこまで行く渡辺陸! 3安打のうち2本はホームラン、計5打点の大活躍だ。初スタメンならまずは守備で及第点を…となってもおかしくない。それに加えて打ってしまうのだから素晴らしい。

侍ジャパンの扇の要として金メダルを獲得した甲斐拓也に強力なライバル現る…なんて書くのはまだまだ早いのかもしれない。しかし甲斐ですら競争を迫られる状況になってきた。解説の坊西浩嗣が「明日は…」と引き続き渡辺陸の起用も楽しみだなと匂わせていたが、本当にそうだ。これだけの打棒は魅力的だ。

ただ甲斐拓也もこのままスタメンを譲るはずはない。甲斐には何度も日本一になった経験、そして並はずれた強肩がある。ここは渡辺を上回る。これだけ打線が活発なら打率の低い捕手でも勝てるのだろうが、捕手の打率が高いにこしたことはない。そこをチームとしてどうとらえるかなのだが、甲斐にはスクイズ送りバントという小技もある。まだまだ甲斐の優位は揺らがない。

この日の先発は大関。渡辺と共に育成出身だ。ソフトバンクにはすでに千賀と甲斐という育成出身バッテリーがある。広島相手に大関は7回1失点。渡辺は大関の好投を引き出せたわけで、これからは大関の時は渡辺という選択肢が生まれよう。

われわれファンは甲斐も渡辺も見たいというぜいたくな悩みが生まれただけだが、2人にとっては正捕手争いが正式にスタートしたようなものだ。甲斐には刺激になっただろうと坊西浩嗣が言っていたが、まさにその通り。ソフトバンクの事実上の1人正捕手状態はこれで解消されるのか。経験者で強肩の甲斐に、伸び盛りで打力の渡辺。正捕手レースは最高の形で火ぶたが切られた。


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