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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

近藤真一のプロ人生はノーヒットノーランから始まったんやて

無事これ名馬という言葉がある。近年はドーム化の影響なのかご長寿選手が多い。もっとも彼ら独自の節制や調整法などのたまものだろう。イチローが大リーグ16年目というラジオニュースを耳にして、アメリカだけでそんなにもプレーしたのかとか、26歳にして渡米したのにすさまじいインパクトを日本に残していたんだなとか、いろいろ考えた。人生は42歳から始まるんやて。

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一瞬のきらめきの意味

一方で、短命でもすさまじいインパクトを残した選手も味がある。短命だから現役引退後の人生の方が圧倒的に長い。気になるのはその「余生」にどれだけ現役生活が影響しているのか。それは球界にとどまれるかどうかという意味ではない。現役時代の一瞬のきらめきが、長い人生という香りを芳醇なものにしているのかどうかということだ。

 

きょーえーこーこー

前置きが長くなったが、大好きな選手がいる。近藤真一(真市)。中日投手としてプロ初登板ノーヒットノーランを達成した。もちろん史上初の快挙だ。Youtubeを探ってみたら、1986年の甲子園で高知商業と対戦した時のピッチングがアップされていた。その後ノーヒットノーランをするという目で見てしまうとはいえ、なかなかダイナミックなフォーム。すでに風格が漂っている。プロのスカウトたちのハートもわしづかみにしたに違いない。ドラフトでは5球団(ヤクルト、阪神、広島、日本ハム、中日)が競合。闘将・星野仙一がくじ引きで当てガッツポーズしどうだと言わんばかりの顔をしていた。「こんどうしんいち、とうしゅ、18さい、きょーえーこーこー」。パンチョ伊東の声が懐かしい。

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※2006年版ベースボールマガジンの野球カードを使わせていただきました。「ドラフト物語」の1枚。この写真が貴重なのは胸のチーム名が赤い筆記体のユニフォームだから。近藤が偉業を達成した時はデザインが一新された青い筆記体のユニフォームでした。

新人を助けたベテランの味

1987年8月9日はドラゴンズファンにはたまらない日になった。日曜日の巨人戦とあってナゴヤ球場には3万5000人のファンが来た。ルーキー近藤真一が緊張しないはずがない。これをうまくリードしたのがベテラン大石。力のある直球と落差のあるカーブのコンビネーションで巨人打線を手玉に取る。このへんがベテランの力。社会人の世界でも経験のある人がリードすれば新人は抜群の力を発揮するのかもしれない。7回にセカンド仁村徹がゴロをさばけない場面があったが内野安打とはならずエラー扱い。大記録への挑戦はクライマックスへと向かっていく。

 最後の一球はボール?

9回2死、バッター篠塚。近藤真一あるあるだが、最後の一球は内角のボールに見える。誰かが書いていたが篠塚が気の毒だ。ただしこの日切れに切れていた近藤の出来栄えからして結局はノーヒットノーランができたと思う。それよりもキャッチャー大石がぐいっとミットをストライクゾーンに持ってくる動作が何とも親心と言うか若者を精いっぱいバックアップしてやりたいという愛情に見えて仕方ない。近藤真一の偉業の陰にはベテランの功があったことを書き記しておきたい。そして何より球審自身が若者の快挙を応援してストライクと叫んでしまったに違いない。なお、初勝利をノーヒットノーランで飾ったのはもう一人、外木場義郎だ。外木場は3回もやってのけた。3回達成したのはあの沢村栄治以来だった。

ピークがあってなんぼ

「近藤真一はこの時がピークだった」という声もある。しかしピークを迎えられるだけ近藤は幸せだった。毎年毎年多くの若者がプロに入ってくるが結果を出せる人はごく一部と言っていい。通算12勝、しかも実働6年のうち最初の2年だけの勝ち星だった。12分の1勝ではあるが近藤真一の偉業は一生語り継がれる。サラリーマンだってその他大勢として埋没してしまうよりも「あの人はあのプロジェクトで結果を出した」と言われる方がいいに決まっている。ピークという頂点があるだけましなのだ。2016年シーズン、中日には小笠原慎之介という期待のルーキーがいる。果たして近藤のようなド派手な初登板が飾れるだろうか。背番号11の大先輩、川上憲伸も2002年にノーヒットノーランを達成している。

1991 Qカード レギュラーカード 近藤真一
 

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