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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

一人相撲はとるならとりきらないといけない~ホームランを8本打たれながらも完投勝利した川崎徳次

失敗をしない人はいない。しかし、一人相撲というのは組織にあっていささか居心地が悪いもの。社会人ともなればいくらかのご経験があるのではなかろうか。かくいう黒柴スポーツ新聞編集局長は一人相撲が得意で散らかすのも片付けるのも一人というパターンが多い。


だからこそこの記録には注目してしまった。巨人時代に川崎徳次が8本もホームランを打たれながらも完投勝利したというのだ。いったいなぜ勝てたのだろうか。


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ズバリ自分で挽回したからだ。この1949年4月26日の巨人―大映戦は金沢の兼六園球場で行われた。両翼91メートルと標準サイズなのだが中堅までが100メートルそこそこ。つまり膨らみが甘いのでちょっといい当たりがホームランになってしまうのだ。ただしそれは相手投手も同じ条件だから言い訳になってしまう。川崎徳次は1回、3回、4回、7回、8回、9回に被弾した。しかし3回に逆転満塁ホームラン、7回に逆転2ラン、8回に勝ち越しホームランを放ってしまった。


2回には2点タイムリーも放っているので4安打9打点。イチローも、二刀流大谷翔平も真っ青の打撃だ。13点も取られたのに試合は15点を取った巨人が勝った。


打ったことが勝利の要因なのだが黒柴スポーツ新聞編集局長としては川崎との開き直りに注目する。実は6回ぐらいに中島治康監督代行から「代わるか」と声をかけられた。「プロ野球記録大鑑」で確認したが6回で7失点している。スコアはまだ7-7だったが変えても何ら不思議でもない。しかし川崎は「きょうみたいな日、誰が投げたって同じことでしょう」と答えたのだ。


どうだろうこの開き直り。川崎徳次は前年度までに80勝を挙げ兵役経験もある選手だがすみませんのすの字もない。しかも誰でも一緒とまで言っている。運が悪い感さえ出している。


変えられなかった理由は川崎徳次自身が自伝「戦争と野球」でこう語っている。「そんな私の返事があったからかもしれないが、それよりなにより、私が打席に入るたびにポカスカ打ちまくるものだから、代えたくても代えられなかったのだろう」。確かに。結果的に続投が勝ち越し弾につながったのだからよしとしなければならない。巨人ナインも8回に6点(川崎徳次のソロホームラン込みで)を奪っておりチームでの勝利と言ってもよいだろう。


やらかしても自分で挽回すればいい。そのうち同僚も手を貸してくれることだろう。あまりにひどい一人相撲の時は「こんな場合は誰がやっても同じッス」と言ってもよいが川崎徳次のホームラン3発に匹敵するような挽回をしないと大目玉を食らいかねないのでそこは上手に結果を残しつつ開き直りましょう。