黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

サブローに学ぶ自分なりの結果の出し方~2010年日本シリーズ第6戦同点打を例に

サブローが9月1日に引退会見を開いた。ロッテファンではないながら、記憶に残った一打を詳しく書き残したい。サブローと言えばここ一番の勝負強さ。「つなぎの四番」とも表現されるが、派手さはなくともここぞという時に結果が残せる人が職場にいるととても助かるものだ。

早速、きょうの1枚として紹介する。2001年版なのでやはり若い。

f:id:tf-zan96baian-m-stones14:20160903165732j:plain


今回は黒柴スポーツ新聞編集局長が好きな日本シリーズの一つ、2010年のロッテ対中日の中から第6戦8回表のサブロー同点打を紹介する。


1死2塁で井口資仁が、浅尾拓也の投じたワンバウンドのフォークに思わず手が出て空振り。サブローが打席に入った。実況は森脇淳アナウンサー、解説は古田敦也。どうやら野茂英雄がゲスト解説で来ていたようだ。


森脇 「さあ、そしてきょう3出塁。(先発の)チェンが唯一嫌がっていた印象のありますサブロー」
ロッテファン 「おーおーおーおー おおおーおーおーおー」
古田 「サブローは変化球打つの得意ですからね。甘くいかないことですね」


初球は真ん中高めにボール。

森脇 「ストレート」
古田 「ストレートですね、裏をかいて」
森脇 「ルーキー、シリーズ男清田がツーベース。四番サブローつなげるか。この後が今江」

ここでサブローのグリップ付近をカメラがアップ。

森脇 「例によって短くバットを握っています」
ロッテファン 「おーおーおーおー おおおーおーおーおー おおおーおお おおおお おー」

2球目がびしっと外角に決まった。谷繁元信の構えたミットが動かない。

森脇 「ストレート続けていくう。場内の表示は150キロお」
古田 「いいボールですね」
森脇 「そうですねー」

森脇 「ワンストライクワンボール」
古田 「今のは見逃したというよりは読みが完全に外れてますね」
森脇 「あー、なるほど、はい。ストレート、ストレート」


森脇 「ひとつ息をつきました浅尾拓也


3球目、内角に快速球が投じられた。

森脇 「んまたストレートお!」

投げ終わった勢いで、背番号41がマウンドで小さく跳ねた。サブローは差し込まれながらスイングし、空振り。乾いた捕球音が聞こえた。ドラゴンズファンはたまらず拍手。


森脇 「真っ向勝負146キロ。」

サブローはいったん打席を外し、軽く1回スイング。

森脇 「野茂さん、続けていきますね」
野茂 「そうですね。あのー、ボール振らせてんのは大きいですよね」
森脇 「振ってったサブロー。きょうフォアボール二つ選んでいるサブロー。ボール球に強振」


森脇 「カウント、ツーストライクワンボール」
中継画面は左半分が浅尾のアップ。残りはサブローの気合の入ったアップ。


森脇 「追い込んだ浅尾」
果たして、ストレートなのか、フォークなのか。差し込まれないように始動を早めるところにフォークを投げたら、前打者井口のように空振りが取れそうだ。


森脇 「ツーアウト2塁。同点のチャンスの千葉ロッテ
静止していた谷繁がすっと外角に移動し低めに構えた。


森脇 「ここでフォークう!」
やや態勢を崩されながらもサブローのバットが浅尾のフォークをすくって、打球は外野へ。
森脇 「センターの前に落ちるう! マリンガン打線の執念ん! 2対2、同点ん!」
ロッテファン (ハイタッチをしながら)「さーぶーろ、ドンドン、さーぶーろ!」
森脇 「お祭り騒ぎの黒い軍団! 2対2、浅尾が打たれて同点。打てなくても、ずーっと四番に起用してくれた西村監督に感謝したい(肝心なこのあとが何と言っているか分からない)」
森脇 「4球目、最後の最後に来た変化球をバットの先に乗せました」
古田 「うまいですね、変化球を打つのはやはり(おれの解説をほめてよね)」


田尾 「今の一球は谷繁君からすれば、あの井口君に投げたようにボール気味要求じゃなかったかな」
ここで田尾安志登場。いたのね。
野茂 「そうですね」
森脇 「はあはあはあ」
野茂 「でもボールっぽいですけど」
田尾 「ボールっぽいけどね、ボールっぽいけど…」
野茂 「いい、いいバッティングですね」
田尾 「まあ、バットが届く所へねえ、へっへっへ」

確かに悪いところではない。あれはここしかない所にバットを持っていけるサブローがすごいのだ。そしてあの場面でできたのは「つなぎの四番」だから。おれが決める型とか、ホームランバッター型の四番だったら浅尾のフォークの餌食になっていた、かもしれない。


なお、Youtubeでサブローを検索すると太平シローサブローが出てきたので大爆笑してしまった。


さて、この記事の併用写真でサブローの横に立つ女性をご存じだろうか。
http://full-count.jp/2016/09/01/post44355/
実は編集局長も知らなかったのだがQVCマリンの打順コールでおなじみの谷保恵美さん。サブロー~!というあの声だ。これを知っていないとなぜ引退会見で彼女がいるのか分からない。もっとも彼女は球団スタッフだから花束を贈呈しても不思議ではないのだが。「サブロー~」コールは戦略的に成功、とのサブローのコメントが記事書いてあった。
谷保さんについては東スポがまとめているのでご覧ください。
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/539576/


たかがアナウンス、されどアナウンス。東京ドームのようなクールなコールもあれば、甲子園のようなちょっと明るめもある。スタジアムDJの草分け、DJ KIMURAさんの革新的なコールも忘れがたい。賛否両論ありそうだがオリックス2軍のセクシーすぎる場内アナウンスがYoutubeにあって笑ってしまった。追跡取材した番組があったが実はこれもオリックス阪神に押されてしまうからこその戦略だそう。


四番と言えば単純に四番目のバッターではない。勝負強い、試合を決める、頼りになる、王貞治のようにホームランが打てる、畠山和洋のように打点が稼げる。これが日本の四番の典型だったがサブローは新しい四番像を提示したとも言える。


オーソドックスな四番を好む人もいるだろうが、編集局長はサブロー式の四番も嫌いではない。サブローもドラフト1位入団だからスター候補だっただろうが、最初から順調なプロ人生ではなかった。1年目の安打は9本。以後、1本、5本、0本。5年目に30本、6年目に71本。まさにコツコツ型なのだ。打点も日本一になった2010年の71が最多だ。もしも過去の四番打者と自分を比較してしまったらそのギャップに悩んでしまうだろう。できる範囲で新しいポジションにチャレンジする。自分のやり方で結果を残す。このあたりは社会人としても参考にしたい。サブローの引退試合は9月25日に予定されている。
※重要※チケットはもう、ほぼないようです。参考記事はこちら。http://www.sanspo.com/baseball/news/20160903/mar16090315100004-n1.html