黒柴スポーツ新聞

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同期、友人っていいなと思わされる小池正晃引退試合における後藤武敏との熱い抱擁

遠方から親友が会いに来てくれており、きょうも一緒に過ごせた。せっかくなのである魚を食べに3時間かけて産地に行くことにした。何というぜいたく。スペシャルな企画はスペシャルな存在のためにある。

 

スペシャルな企画はまだ続きがあり、若干無謀とも思われるルートで別の観光地に向かった。ナビでは3時間かかるという。これはナビの時間算出に若干のサバ読みがあり結局2時間半で行くことができた。さすがにお目当てのカフェは到着の30分前に閉店していたが、物産館は見て歩けた。何より地域活性化のために頑張る施設を案内できたことはよかった。

 

友のために一緒に喜んだり、一緒に泣ける存在でありたい。そのお手本になる組み合わせがかつて横浜DeNAベイスターズにあった。小池正晃後藤武敏である。横浜高校の同級生。小池は横浜、中日、横浜。後藤は西武から横浜へ。2012年と13年はチームメイトとしてプレーすることができた。

 

小池の引退試合は圧巻だった。一打席のみの出場ではなくスタメンだったため4回打席が回ってきた。その第2打席。小池は2013年1本目のホームランを放った。引退試合にホームランを打つのは野球の神様の演出なのかちょくちょくある。それでもシーズン13試合でホームランゼロだったのだから、まさに最後の意地にも思えた。ホームランを打った小池は「打っちゃったなあ」というように笑顔でダイヤモンドを1周。ベンチで抱き合った後藤も笑顔だった。

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そして最後の打席となった4打席目。「後藤が泣いています」(実況)。ベンチで見守る後藤は涙をこらえきれない。ガムを噛んで気を紛らわせているようにも見えた。「小池も泣いています」。小池も我慢できず唇をかんでバットを構えた。「ホームランホームラン小池、ホームランホームラン小池!」。ベイスターズファンも温かい声援を送る。「戦士が集う グーランドで うーてー豪快に こーいーけーまさーあきー かっとばせえ、こ、い、け!」。その最後の「け」に合わせるかのように豪快にスイングすると打球はいい角度で上がった。

 

「レフトへ伸びるう、入ったあああああ!」。後藤は顔をまっかにし、拍手をしながらガムを噛み続けていた。小池は鼻をすすり、目頭を押さえながら、ゆっくりゆっくりダイヤモンドを回った。「通算ホームランを55本に乗せました。かつての高校の同期の、後藤の付ける背番号55に合わせるかのように、55号のホームラン!」。ベンチに戻った小池は高木豊コーチや後藤らとがっちり抱き合った。プロの選手なら引退の重みは誰もが感じるだろうが、小池と後藤との様子を見るとやはり友人というのは気持ちの通じ合う稀有な存在なのだと再認識することができる。

BBH2010 HUV SL小池 正晃(中日)

BBH2010 HUV SL小池 正晃(中日)

 

 

この日のホームラン2本が最終シーズンでの合計ホームラン数となった。プロ15年の技を見せた小池もかっこいいが、友人のために涙を流せる後藤もかっこよかった。「今年1年、本当につらい、かっこ悪いパパでしたけど、最後の最後にかっこいいパパを見せれました。本当に、ありがとう!」。もう書いていて半泣きしてしまういい引退コメントだ。これに応えるかのように花束贈呈では息子さんも娘さんも泣いていた。小さいのに泣くべき時を知っている。素晴らしいお子さんたちだと思った。友人関係だけでなくとも、大切な人のために泣ける人は素晴らしい。本紙編集局長も親友を含む、こつこつ頑張る人と苦楽を共にしていきたい。

BBH2012 黒カード 小池正晃(横浜)

BBH2012 黒カード 小池正晃(横浜)

 

 

きょうの1枚はこの王貞治756号本塁打のカード。1977年9月3日、後楽園球場のヤクルト戦で鈴木康二朗投手から放った記念の一打だ。なぜこれか? よく見てほしい。後ろの張本勲が笑顔でなかなかの高さまでジャンプしている。他人のためにこんなにも喜べるのも素晴らしいこと。この瞬間の張本には「あっぱれ」を差し上げたい。

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