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黒柴スポーツ新聞

現役記者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

松井秀喜5連続敬遠に「忘れられる権利」はないのか~早実・清宮幸太郎の明徳義塾イメージは「松井さんのやつ」

明徳義塾高校馬淵史郎監督はくじ運がいいのか悪いのか。第89回選抜高校野球でいきなり早稲田実業とぶち当たる。今大会屈指の視聴率男・清宮幸太郎と相まみえるのだ。強打者VS試合巧者。高校野球ファンならよだれものの対戦である。

 

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「明徳の印象は」と聞かれた清宮幸太郎は「松井さんのやつ」と言ったらしい。清宮も清宮だが、質問した人も質問した人だなあ。ダチョウ倶楽部の「押すな押すな」的呼び水にしか見えない。

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一度のミスも許さない。日本は実は不寛容な社会。毎日どこかで謝罪が繰り広げられている。だが一度貼られたレッテルをはがすのは容易ではない。明徳義塾高校も全国制覇までしたチームなのに、いまだ1992年の松井秀喜5連続敬遠のダークなイメージのままだ。

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 ただし、いい人ぶるつもりもない。何を隠そう自分も1992年当時は松井秀喜の肩を持っていた。甲子園でプレーするために頑張ってきたのだから1回くらいバットを振らせてあげろよなあと。明徳義塾高校には申し訳ないけれど「やりすぎ」と思った。

 

だが25年も経つとものの見方も変わってくる。そして今は明徳義塾高校の作戦が「合理的」に思える。高校通算60ホームラン、打率4割を誇る強打者にバットを振らせたらかなりの確率で何かが起きるのだ。

 

あの日、かなりの人がアツくなりすぎて忘れていた。松井秀喜が甲子園でプレーするために頑張ってきたのと同じように、明徳義塾高校ナインもまた人生を賭けてプレーしていたことを。

 

久しぶりに映像を見ると覚えておかなければならないことをいくつか見つけた。

 

一つ目は松井秀喜の次打者、月岩信成が1点目をスクイズで入れたこと。世の中的には下のスポニチ記事のように、松井秀喜の次の月岩信成が打てなかったから星稜は敗れたと記憶されている。確かに無安打だったからそうなのかもしれない。しかし試合が3-2のロースコアだったことを考えればこの1点は決して小さいものではなかった。

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もう一つは松井秀喜が9回、5度目の敬遠でなすすべなく1塁に向かったと思いきや2アウトなのに走って盗塁を決めたことだ。5連続敬遠が重すぎて盗塁していたことを知らなかった。そしてさすがだなと思った。松井秀喜はあの絶望的な状況の中でも自分でできることを探し、実行していたのだ。きっとこういう人が成長して力を付けていくのだろう。

 

最後に5打席連続敬遠の指揮官、馬淵史郎監督が当時まだ36歳だったこと。30代なんてまだまだ青年監督で通せそう。だがその若さで、老獪と評されても仕方ない作戦を実行していたのだ。正攻法だけじゃ勝てないとある種究極の戦法をその年齢でとっていたことにうならされた。

 

こんなことを書くとまだまだ「卑怯な野球を肯定するのか」と言われるかもしれない。だが松井秀喜を打席に迎えた状況を振り返ると明徳義塾高校がとった敬遠策はうなずける。え?ランナーなしでも敬遠しましたよね!とツッこむ人もいるだろう。確かにそうだ。が、松井秀喜なのだ。ランナーなしでも相手は松井秀喜。ホームランを打たれたら1点入る。繰り返すが試合は3-2で終わっている。もしも松井秀喜がホームランを打っていたら…

 

むしろ5連続敬遠してもなお接戦だった、というのが本当のところなのだ。

 

そんなの高校野球らしくないとも言われるだろう。だが高校野球らしさって何? 全力疾走、確かに小気味いい。だが夏なら炎天下に走ること自体負担大。「さわやかだねえ」と思う我々はクーラーの効いた部屋で高校野球中継を見ているのだから説得力ナシ。

 

調子に乗って提案するがそろそろ甲子園じゃなくて京セラドームで全国高校野球大会を開催してはどうか。きっとここでも「青空の下」が高校球児には似合うんだ!と言われるだろう。それはそうだ。だが環境省熱中症予防情報サイトを見てみてほしい。暑さ指数(気温とはちょっと違います=詳しくはサイト参照)が28~31度は厳重警戒(激しい運動は中止)。暑さ指数31度以上になると運動は原則中止なのだ。

環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?

例外が大好きな日本的なことも書いてある。暑さ指数31度以上は「特別な場合以外は運動を中止する」なのだ。それみたことか、甲子園は特別なんだぞ!という人とはこれ以上やり合わない。実際に2015年には体調を崩した人がいるとだけ書いておく。

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敬遠も高校野球らしくないというならルールを変えたらいい。これも100万回言われたことだが敬遠は進塁させたり走者を増やすリスク込みの戦法だ。実際月岩信成のスクイズ松井秀喜敬遠により舞台が整っての得点だ。明徳義塾高校も必死だったのだ。

 

だが表面的な高校野球らしさとやらに負けて明徳義塾高校はヒール役になってしまった。悲劇的なのはそれが25年も続いていることだ。

 

どうだろう。そろそろ松井秀喜5連続敬遠の評価を変えてみては。見方を変えれば雑草魂。与えられた環境でしたたかに生き抜く雑草。松井秀喜という稀有な強打者に対して、5連続敬遠は弱者の兵法だったのだ。大阪第3代表と揶揄されようが甲子園に出たもん勝ち。明徳義塾高校のひたむきさはほかの県代表と何ら変わらない。 

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そして実は高知県内でも明徳義塾高校ファンはいる、ということも書いておこう。今回のセンバツは根強い人気がある「高校野球らしさ」満載の「二十四の瞳」中村高校とセットで出るため、高知県高校野球ファンにはたまらないのだ。

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 中村高校は前橋育英明徳義塾高校早稲田実業と、いずれも強敵との対戦。試合展開によってはまた明徳義塾が清宮幸太郎を敬遠するのか。そしたらまた松井秀喜5連続敬遠がクローズアップされる。そしたらまた月岩信成がクローズアップされ…もっとも月岩信成も人生を熟成させてきているようだからさらりと受け止めてくれるかもしれないが。

 

人は一度貼ったレッテルをなぜ簡単にはがそうとはしないのか。なぜそんなに他人を攻撃したがるのか。悲劇の当事者・月岩信成にまで攻撃が及んだことを知ってぞっとする。甲子園は何人もの球児の人生をファンが消費してきた壮絶な場所。だからやっぱり爽やかさだけでは語れない。

 

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