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黒柴スポーツ新聞

現役記者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

田中浩康、指導者より現役を選ぶ~時には我を通すことも大切

ヤクルトが10月7日、田中浩康戦力外通告した。ネットの記事で見た。指導者としての将来も球団から提示されたが、現役続行の意思があることからやむを得ず通告となったという。


黒柴スポーツ新聞編集局長はヤクルトファンではないが、このやりとりにグッと来た。田中も素晴らしいし、ヤクルトも情け深い。


きょうの1枚は田中。尽誠学園、早稲田出身だったんですね。

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社会人で言えば第一線からは引いてもらう、ただし雇用は継続しようという今時ありがたい打診である。少なくとも無職にはならない。だが田中はそれを断った。いわゆるスター選手ではなくいぶし銀。ヤクルトはそういう選手が切れ目なくいる。天狗にもならないだろうから指導者としても地道に結果を出しそうな想像もできる。さすがに球団もちゃらんぽらんの人に指導者になる期待はしないだろう。


田中は34歳。プロ野球選手としてはビミョーな年齢だ。30代中盤以降もプレーできるのは実績を残した選手に限られてくる。特にヤクルトは2015年の優勝から想像できないほどの低迷。思いきった若返りを球団が考えるのは順当だ。


二塁手として歩んできた田中にとって2年連続トリプルスリーの山田哲人という壁はあまりにも高い。


だがおれはまだやれるんだと田中は自信がある。もしかしたらどこも獲得してくれないかもしれない。そのリスクを冒してでも現役にこだわった。編集局長としてはさらに若い森岡良介こそ現役続行を模索してほしかったが、引き際に対する考え方は人それぞれだ。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com


逆に見ていて痛々しいのが松坂大輔。本当のファンは彼が輝いていた過去と今を比べない。しかし大多数の人は10年ぶりの日本1軍登板を見て、こらアカンと思ったのではなかろうか。何かフォームがおかしく、関節や筋肉の動きにしなやかさがない。実績を残した選手もまた引き際が難しい。


田中がピースとしてはまりそうなチームを考えた。浮かんだのは巨人。ない、ないと言われそうだが巨人の二塁手だって特定の顔は浮かぶまい。広島に優勝を決められた試合は若手の辻東倫が起用され、たどたどしい送球で阿部慎之助のタイムリーエラーを誘発したではないか。


移籍してきたベテランがセカンドに入った例は井端弘和がある。田中は勝負強さがあるから巨人打線に粘りをもたらす可能性はあるとみた。セカンドでベストナインにもなった田中獲得は面白いと思うのだが。


多村仁志栗原健太の記事でも書いたが温かく送別会を開かれるよりもプレーヤーでありたいと思うのは理解できる。だが実行するのは勇気がいる。田中もまだ完全燃焼していないということだろう。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com



別にプロ野球選手に定年はない。他の誰でもない自分の人生。環境さえ許せば田中のように我を通すのはありと思う。田中は大人しい選手と思っていたがなかなか芯があるんだなと思わされた。うぬぼれや勘違いで粘られてもええーっとなるだけだが、それが許される選手には納得いくまでやりきってほしい。


歴代6位、通算296犠打の男、田中浩康。ここらで自分だけのためにバッターボックスに立とうとする姿もカッコいい。