黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

劣勢の中でも最善を尽くす~第90回センバツ明徳谷合逆転サヨナラ弾への布石

第90回選抜高校野球で高知の明徳義塾が初戦を突破した。九回二死から四番・谷合悠斗が劇的な逆転サヨナラ3ラン。派手な勝ち方だけに谷合がフォーカスされたが、それだけではフツーすぎる。明徳ウォッチャーは知っている。ポイントはその前の8回の攻撃だったということを。
 

 市川、魔の8回

大会屈指の好投手・市川悠太が8回、突如、四死球を絡めて崩れこの回だけで4失点。明徳は初回3点を奪ったが以後は無得点に封じられており、8回表が終わって3-5と劣勢に立たされた。

 
やられたらやり返したいところだがその8回の攻撃は先頭の渡部颯太が四球を選ぶも主砲・谷合悠斗が最悪のダブルプレー谷合も必死のヘッドスライディングを試みるもアウトになり、あごに付いた土が余計に敗戦ムードを漂わせているように見えてしまった。
 
明徳たるゆえん
が、おそらく敗戦ムード云々を言うのは部外者だけで、明徳ベンチは追い上げる気満々だったのだろう。ここからが、こここそが明徳の明徳たるゆえん。続く中隈廉王が内野安打。そしてすかさず盗塁成功。二死ながらスコアリングポジションランナーは進み、安田陸がしぶとくタイムリーを放ち1点を返した。これで4-5。試合はまだまだ分からない。
 
ずるずるいかない
最終回を1点リードで迎えるか2点リードで迎えるかは、精神的にはちょっと違うだろう。近年は打力がすさまじいから2点リードでもまったくセーフティリードではないのだが。しかし、明徳の8回の1点は、劣勢の中でもやれることはやって勝ちにつなげようという一手だった。そう、明徳は黄金期の西武ライオンズばりに「負けない」チームなのだ。劣勢でもずるずるいかない姿勢は大事だなと再認識させられた。
 
じわじわいく
じわじわいく反撃は9回にも。野球はツーアウトからの言葉通り、田中闘がヒットで出塁。ここでさらに最善を尽くして代走に保市勇平を送った。そして渡部颯太は死球を受け、舞台は整った。バッターボックスにはあごに土を付けたままの谷合悠斗が入り、豪快に逆転サヨナラ弾をスタンドに叩き込んだのだった。
 
陰のMVPは
というわけで陰のMVPは8回谷合ゲッツーの後も気持ちを切らさなかった中隈&追い上げイムリーの安田を個人的には選びたい。エース市川だけでもなく、四番谷合だけでもなく。しぶとさが信条の明徳イズムの忠実な継承者がそろっているように見える今年の明徳義塾。初戦の厳しいヤマを越えたから余計に、優勝が狙えるのではと期待している。
 
 
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片平晋作で清原和博を描いた山際淳司~「ルーキー」を堪能

ただ片平晋作を「読む」ためだけに買った。山際淳司の「ルーキー」。

ルーキーとは清原和博のことだ。清原和博が日の出の勢いならば、当時すでにベテランの片平晋作は夕陽と言って差し支えない。この対比は素人でも思い付くのだが、さすがに山際淳司片平晋作を単なる夕陽には描かない。

ルーキー (角川文庫)

ルーキー (角川文庫)

文庫本(平成8年のもの)では206ページに出てくる片平晋作のくだりは「トレード」というタイトルが付けられている。南海から西武へ。西武から横浜大洋へ。二度目のトレードの頃の話だ。

同じトレードではあるが片平晋作は一度目と二度目は違うととらえている。この辺りが味がある。それを書けるのが山際淳司でもある。また、片平晋作を通じて初期の西武ライオンズの本質を描いている辺りも秀逸。

今や競うように速報が出されていて、勝った負けたは誰でも発信ができる時代。であるからこそ余計に、心模様だとか独り言を映像化できる書き手は貴重だ。そこは目指していきたいと思う。

書き切る力と、感度が必要だ。

片平晋作清原和博の才能をさらさらと話していた。リアルタイムで清原和博を見た人ならそうそうと言うような話。打撃指導みたいな、決してテクニカルな話ではないのだが、清原和博のすごさがうかがえる。この辺りが山際淳司の真骨頂に思える。

それにしてもパラパラと本をめくっただけでも、山田久志、西川佳明、石田文樹、藤原安弘、藤本修二、松山秀明などなと、黒柴スポーツ新聞の読者にはたまらない名前がわんさか出てくる。清原和博が強烈な光を放つから周りが影になってしまうのだろうが、影をもって清原和博というまばゆい光の輪郭を描く手法にはうならされる。ウイスキーをなめるように、もしくは和菓子を上品に食べるように、少しずつ「ルーキー」を楽しもうと思う。この本の中の清原和博であれば、受け入れられるから。

あらためて、好打者・片平晋作さんのご冥福をお祈りします。

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成長を妨げるのはあの技~栃ノ心初優勝の陰で鶴竜大失速

初場所は栃ノ心が優勝した。その頑張りは認めつつ、あえて注目したい。横綱鶴竜の大失速だ。

引き技は鶴竜の悪い癖。自他共に認める悪い癖だ。これが何とも、自分の弱い心とダブる。

スキルが足りない。時間がない。人手が足りない。相手方の都合が悪くなった…仕事がうまくいかない理由はいろいろある(あえて口にするかは別として)。

しかし社会人は結果がすべてだから、最低限の成果は残さねばならない。そこで繰り出されるのが「間に合わせ」の成果。可もなく不可もなく。怒られるほどではないが褒められることはない。

NHKラジオで舞の海秀平氏が言っていた。鶴竜は関脇時代など横綱になるまでに、土俵際の逆転で勝ち星を拾ってきたのだと。数字上、結果は残してきたのだから横綱にはなることができた。しかし圧倒的な力が示せているかと言えば違う。優勝は通算3回しかない。

間に合わせは確かにピンチをしのげる。一方で間に合わせでしのいでしまったツケは必ず来る。その時はダメージが少ないが成長の妨げになる。
そう感じているからこそ今回の鶴竜の失速は、自分の弱い心とダブってしまったという訳だ。

対照的に栃ノ心は持ち前の怪力で初場所を制した。よく「自分の相撲をとる」と言うが、それができる人はやっぱり強いなとあらためて思った。相撲は力だけでは勝てないだろうから、栃ノ心は駆け引きなり柔軟さが加わればさらに上を目指せるのではと期待している。

とまあ偉そうに言う前に自分もスキルアップを心がけよう。

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インフルエンザ明けで区間賞!都道府県対抗駅伝の鍋島莉奈に学ぶ

都道府県対抗女子駅伝で、高知の鍋島莉奈選手(土佐山田高校出、日本郵政グループ)が1区の区間賞に輝いた。序盤から先頭集団の前方にいて、勝機をうかがっていた。そして満を持してのスパート。やはり勝つのは、脚が速いのはもちろん、クレバーなランナーである。

応援していただけに、区間賞になってうれしかったのだが、その後、思わず得した気分になった。


それは走り終わってからのインタビューの時のこと。

「きょうのベストを出そうと思った」

鍋島莉奈選手は、走るにあたっての気持ちをそう表現した。

何とインフルエンザ明けだったとか。それであの走り! 断続的に駅伝中継をチェックしていたから聞き間違えたかと思ったが、間違いではなかった。

体調が十分ではなかったからこその言葉であり、だからこその発想だったのだろうけれど、この言葉は深いなと思った。

そう、やみくもにベストを狙うというよりも、「きょうの」ベストを出せばいいのだ。


忘れていた。1日1日は違うことを。体調。心境。作業の難易度。仕事をする場所、相手やライバルの有無…。職人のように、決まった場所で作業する人もいるが、気温や湿度、天気などによりやり方を変えているはずだ。そう、自分も周りも同じ日なんてない。

とはいえ、上級者なり、プロだからこそ一定の成果を上げることが求められる。毎回ベストが出せるにこしたことはないが、伸び盛りでもない限り、それは難しい。だからこそ「きょうの」ベストを出せば、狙えばいい。なかなかいい発想に思えた。

不安定な毎日ではあってもその中でのベストを出す。デキる人なら仕事を連続性のある「線」でやる。だがやはり線も1日1日の点のつながりがあってこそ、線に見えるというものだ。

「きょうの」ベストを出し続けることで安定感が出る。安定感を出す。まずはそこから意識しよう。鍋島選手が作った流れを受け継ぎ、高知は過去最高の16位。年頭からいいものを見せてもらった。

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俺が潰した…野村克也元監督の伊藤智仁氏への酷使謝罪を語る

野村克也氏が、俺が潰した、とか、謝罪、とかいう話になればあの人しかいない。伝説のスライダーを投げていた元ヤクルトの伊藤智仁氏(両氏とも以下敬称略)だ。正月の番組「消えた天才~一流アスリートが勝てなかった人大追跡SP」(TBS系)の話だが、録画しておいたものを見た。

幸運な男――伊藤智仁  悲運のエースの幸福な人生

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いよいよ身辺整理
25年の時を経て野村克也が謝罪、という筋書きだがプロ野球ファンは、そしてヤクルトスワローズのファンはどう見たであろうか。黒柴スポーツ新聞編集局長は、野村克也がいよいよ身辺整理を始めた、と受け止めた。鎧を脱ぎ、一人の老人になったんだなと。

それに付き合わされた伊藤智仁も気の毒だが、酷使により選手生命が短命に終わったことを謝罪された伊藤智仁が「そんなこと思ってほしくない」と言ったのは、どんな意味だったかなと考えしまった。

そんなこと思ってほしくない、とはどんな意味?
普通に考えたら「気にしてませんよ」という意味だ。実際、「けがしたのは自分が悪い」とまで言っていたし、投手はマウンドに上がったら投げきるものだとも言っていた。だから悔しさはあっても後悔はしてなさそうに見えた。

しかし、「そんなこと思ってほしくない」は見方を変えれば、過去を否定することにつながるからこそ今さら謝罪はしてくれるな、とも見えはしないか。

宝くじを買う球団
何が言いたいか。そう、謝るくらいならやるな、という話。プロ野球は美談だけでは成り立たない。プロ入りは球団からしたら、選手の人生に大金を投じて「買う」行為だ。スターになれば球場が賑わいチームも強くなり「おつり」が来る。一方でモノにならない場合もある。前評判通りに活躍する選手もいるが実際は宝くじ=夢を買うような感覚ではなかろうか。選手自身も夢をかなえる立場だから、「おれの人生を金で買いやがって」とは思わないだろう。

選手は打ったら生き残れるし、打たねば価値を見出だしてもらえない。投手は抑えたら評価されるし、抑えられなかったら必要とはされない。分かりやすい弱肉強食の世界だ。

謝罪しなくてよかった?
だから、ヤクルトの野村克也監督が「チームを勝たせる」職務を全うすべく惜しげもなく伊藤智仁をつぎ込み続けたのは、ある意味必要なことだった。ならばノムさんも今さら謝罪はしなくてもよいのでは。黒柴スポーツ新聞編集局長はそう考えたのだった。番組でも再現されていたがそもそも伊藤智仁の獲得は野村克也の主張で実現したという。2017年の清宮幸太郎と同様、伊藤智仁が指名されたドラフトでは松井秀喜が目玉だった。そこで伊藤智仁を欲しいというのだから、やはり野村克也はよほど伊藤智仁を買っていた、ということになる。

プロ野球選手にとって、細く長く生きるのが幸せなのか、短くとも太く、鮮烈な印象を残すのが幸せなのか。当人にしか分かり得ないが、本人が納得してさえいたら周りがとやかく言うものではないと思う。
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稲尾も酷使がなかったら…
野村克也も「稲尾和久伊藤智仁か」と言っていたが、稲尾和久は名将・三原脩が自身を起用しまくったことについては酷使とはとらえていなかったようだ。稲尾和久の体を優先に起用していたら少なくとも300勝はしていたと想像する。

稲尾和久は1958年の日本シリーズ西鉄が3連敗から4連勝した時の立役者で、7戦中6登板4完投、5連投ありの4勝とまさに獅子奮迅の活躍。今ならこれを酷使と言うのだろうが、稲尾は結果を残しただけに「神様仏様稲尾様」と評された。結果が出たからかもしれないが、三原脩監督が「酷使した」という批判は見たことがない。ましてや三原監督が稲尾に謝罪した話なんて…。

神様、仏様、稲尾様―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

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もし謝罪していたら西鉄ファンはどう思っただろうか。1958年に感動しまくっただけに、きっと興ざめしたに違いない。

皆さんのご感想は?
だから、やっぱり野村克也氏は今さら伊藤智仁に謝罪などしなくてもよかった、との結論に達したが読者諸氏はいかがだろうか。どうしても引っ掛かるものがあり、一言すまんな、と言いたかったのならカメラ抜きで謝ればいいのになと思う。もしかしたら番組の企画があればこその謝罪実現だったかもしれないが。

結論
カメラが回っていて、野村克也が隣にいて、伊藤智仁がどれだけ本音を語ったか分からないが、酷使を謝罪した野村克也に「そんなこと思ってほしくない」と、現役時代のスライダーばりのキレで潔く言い切った伊藤智仁はカッコよかった。それだけは間違いない。

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青山学院大学に箱根駅伝5連覇の可能性を見た~楽しむ人と削り出す人

第94回箱根駅伝青山学院大学が総合4連覇を果たした。往路は東洋大学に優勝を譲ったが、6区の山下りと、以降の7区、8区も磐石。選手層の厚みを感じさせた。

学年もポイント
視聴者なりに強さを分析したが、やはり黄金時代を作るには「学年」もポイントと見た。単純に、主力が4年生など上級生だけではその年か翌年に卒業してしまい、戦力ダウンは避けられない。この辺りは高校野球にも通じる。

青山学院大は3年前は神野大地という山の神がいたし、去年も一色恭志というエースがいた。今年は下田裕太が8区に起用され勝利へダメ押し。毎年のように柱がいる。

エースは両刃の剣
東洋大学青山学院大学の独走に唯一、太刀打ちできそうな地力があるがやはり往路までだったとの印象は否めない。その東洋大学はかつて柏原竜二という山の神がいたが、このような絶対的エースの存在は頼りになる半面、代わりがいない点で両刃の剣と言える。だから4年以上の黄金時代を築くには一人の主流だけでは無理なのだ。

その点、青山学院大学は6区山下りの小野田、8区で区間新の林がまだ3年。来年がある。この点だけでも青山学院大学5連覇は可能性がある。

悲壮感がない、楽しんでいる
そして勝因をもう一つ。
解説の渡辺康幸氏が放送中に言っていた。
「青学の選手は、悲壮感がない。楽しんでいる」

確かに箱根駅伝は歴史と伝統を脈々と受け継いでいる。母校の誇りもかけているわけで、プレッシャーも相当あろう。さらには失敗した場合、次回は予選会からのチャレンジになる場合もある。他にもお世話になった方や、出られなかった控え選手への思いも背負っていたら硬くなるなという方が無理だ。

しかし。青山学院大学は今回ディフェンディング・チャンピオンとして追われる立場にも関わらず、焦りが感じられなかった。勝利を確信できる貯金があったからかもしれないが、下田裕太はキツさの中にも笑みさえうかがえた。

それは原晋監督の授けた前向きな発想の賜物なのだろうか。

アメリカでは…
一つの単語を思い浮かべた。
「game」
日本では試合、という仰々しい単語だがアメリカではゲームという。単にイメージの問題かもしれないが、そこには「楽しむ」というニュアンスを感じることができる。

どちらかというと挑戦者
他の大学はまだまだ青山学院大学を必死で追わねばならないから、gameなんて雰囲気ではなかろう。東洋大学の「1秒を削り出せ」もチームの絆を感じさせて好感が持てるが、王者のフレーズというよりは挑戦者が使いそうに思える言葉にも聞こえる。

東洋大にも伸びしろ
楽しんで走れている青山学院大学は死角がなさそうに見える。青山学院大学に入って箱根駅伝を走りたい。そう思って有望な選手が入る流れが出来上がってしまっているのかもしれない。しかし、東洋大学のエントリーメンバーを見ると来年への楽しみも感じられた。下級生が多かったのだ。

楽しんで走る、勝ち方を知っている王者・青山学院大学と、1秒を削り出す東洋大学。早くも来年が待ち遠しい。

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たった50メートルの箱根駅伝~第94回、山梨学院大の西山令と上田健太

第94回箱根駅伝、往路は東洋大が制した。青山学院大は復路で巻き返すに違いない。

しかし、書きたいのは別のことだ。2018年、最初に感動したシーン。下位に沈んだ山梨学院大の5区での話…

歯を食いしばるキャプテン
山上りに挑んだのは上田誠仁監督の次男で、キャプテンの上田健太。4年生として、主将として順位を上げねばならないが16位と苦しい位置だった。坂道を上るが、歯を食いしばり苦しい表情が絶えなかった。

盟友からの給水
給水ポイントには盟友の西山令が待っていた。山梨学院大学付属高校で共に駅伝日本一になったメンバーで、当時はキャプテンだった。

一緒に箱根駅伝を走れたらよかったが、西山令はメンバーから外れてしまった。本番の中継ではペットボトルを持った姿がとらえられていた。

「走ることはありませんでした」
「西山が箱根駅伝を走ることはありませんでした」

給水ポイントで、実況のアナウンサーは恐らく西山令の努力に敬意を表しつつも事実を伝えた。しかしー。

上田健太に水を渡しながら西山令は50メートルほど「箱根路」を走った。何ごとか、上田に声を掛けながら。きつい時だからこそ、上田健太には西山令の存在が染み渡ったに違いない。ある意味給水の水よりもー。

健太はカッコよかった
西山令はTwitterに思いをつづっていた。わずか50メートルでも箱根駅伝を走れたこと。そして結果はどうあれ上田健太はカッコよかった、と。

山梨学院大学箱根駅伝物語

山梨学院大学箱根駅伝物語

本物の関係とは
結果を出した人が有名になると「親戚が増える」なんていうが、調子がいい時だけ群がる人はいつしか離れていくものだ。逆に不調な時でも離れず側にいてくれる人は「本物」の関係だ。だからこそ大切にしないといけない。

すごく気が早い話だが、いつか上田健太監督、西山令コーチの体制で山梨学院大箱根駅伝で優勝ー。なんて素敵な夢を描いてみた。

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川島慶三劇的サヨナラ打!ソフトバンクが日本一奪回~内川奇跡弾にサファテも熱投

のどが痛い。なぜか? 内川聖一が土壇場で起死回生のホームランを打ったから。仕事帰り、カーラジオを聞きながら歓喜の雄叫びをあげていた。

ここで打ってくれという時に打つのがヒーロー。いや、もはや神。ちょっとナイスなことをするとすぐ神だなんだと騒ぐがソフトバンクファンにとっては内川聖一こそ神様。クライマックスシリーズファイナルステージでホームランを4戦連発したり、逆王手寸前の9回1死から同点ホームラン打ったりと奇跡的な活躍をしてくれている。どうしたらこんなに勝負強くなれるのか。

一方のDeNA山崎康晃投入までは何とか流れを渡さずにいた。1点差でデスパイネ内川聖一中村晃と長打力のある打者との対戦だったから、ソフトバンクファンとしては、ひょっとしたら…との思いもあった。しかし相手は山崎康晃横浜スタジアムの時みたいにまた牛耳られてしまうのかとも思ったが内川聖一が見事に打ち砕いた。3点目を失った山崎康晃がクローズアップされてしまうだろうが、ポイントは2失点目。柳田悠岐のピッチャーゴロの時に三塁ランナーが飛び出した。この時のピッチャー砂田が一塁に送球する間にランナーが本塁を陥れた。「この1点がどうなるか」とNHKのラジオ解説で大野豊が言っていたが、まさか内川聖一の同点ホームランの伏線になるとは。

ここまで書いたところで川島慶三が劇的サヨナラ優勝タイムリー。あの内川聖一の劇的弾をしのぐ劇的な幕切れ。ここで時報が11時を告げた。新聞各紙は今から劇的な紙面を仕上げにかかる。速報メディアには負けるが、明日の朝、また優勝を味わうことができる。それが新聞。果たして一番デカい写真は誰だ?

内川聖一という千両役者がいながら決めたのは川島慶三というのがソフトバンクの強さの象徴。家に着いてからラジオを聞いていた。川島慶三が胴上げしてもらっているのを聞いて涙が浮かんできた。サファテも胴上げされた。1点ビハインドからのまさかの3イニング。きょう負けたり引き分けで明日第7戦だったら大丈夫なのか?と思ったが、きょうで熱戦は終わった。しかし第7戦があったとしてもサファテはマウンドに立っていたことだろう。この人はまさにサムライである。
[asin:B014BIC46O:detail]
今、アナウンスがあった。MVPはサファテ。「チームのために。それだけ」。カッコいい。チームのためには先発陣に苦言も呈した。もはや助っ人ではない。精神的支柱だ。外国人選手はほとんど日本に根付かない。サファテもいずれ去るのだろう。でもソフトバンクファンはサファテを決して忘れない。神奈川にいるネタ元によると、日本シリーズ中、「私実はベイスターズファンでした」とカミングアウトが続出したらしい。いやいや、そんなに恥ずかしがらずに! こんなに素晴らしいチームなのだから。若い選手、伸び盛りの選手ばかりだし、日本シリーズの経験も積んで来シーズンはさらに手強い存在になりそうだ。来シーズンの広島対横浜はプラチナチケット化必至とみた。これだけ熱戦だったからCS不要論も沈静化するのではなかろうか。広島ファンも少しは認めてくれよう。

明日はのどが痛むかもしれないが、それもソフトバンクが勝ったからこそ。しばらくは余韻に浸ろう。やっぱり勝負事は最後まで諦めてはいけない。努力したら何とかなる論は好きじゃなく、努力したら奇跡は起きるかも派だが、その思いを強くした夜だった。

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張りつめた気持ちを緩める必要性~ソフトバンクvsDeNA日本シリーズ第5戦の夜に

リーグ3位からの日本シリーズ進出を快く思わない人たちに言いたい。まがりなりにもCSを突破しているのだからそれは言ってはいけない

今年だって何だかんだ言いながら、日本シリーズ楽しめてませんか? DeNAの頑張りで。今、青き軍団の若人たちはソフトバンクの肉厚の胸を借り、一戦一戦かけがえのない経験をしている。これこそがCSおよび日本シリーズの副産物である。

いかにソフトバンクとはいえ、第6戦を取らないと「万一」はある。さすがに相手はプロなのだから。

CSからラミレス監督の大胆采配がクローズアップされてきたが、第5戦では過去にない守護神山崎康晃のイニングまたぎが実践された。

イニングまたぎなんていつから言い出したのだろう。昔の抑えは3イニングくらいフツーに投げていたわけで、いちいちイニングまたぎなんか言わなかった。今や投手の分業化は確立され、1イニングごとにリレーしていく。だから2イニングいくとかえって目立つ。

しかし本来抑えはここぞというときに投入されてこそ。だから8回でも山崎康晃投入は禁じ手でもなんでもなかった。

ただし。気持ちの切り替えは大事らしい。今回の日本シリーズDeNA進出のおかげで、前のオーナー局であるTBSが中継してくれたがその解説の佐々木主浩が言っていた。まずは投入された場面を抑えることだ、と。まず最初のピンチを乗り切り、ベンチに帰ったら一度気持ちを切り替えるという。確かに未来は今の連続。まずは今を乗りきらねば次の展開などない。山崎康晃も8回2死一、二塁、次のバッターは柳田悠岐というしびれた場面で投入された。山崎康晃の速球に柳田悠岐のバットが当たれば弾丸ライナーでスタンドに突き刺さることだろう。第5戦のヤマ場の一つだった。ここは速球とツーシームのコンビネーションで討ち取った。ソフトバンクはここで得点できなかったのも痛いが直後に柳田悠岐が退いたのが脇腹のけがに関わることならなお痛い。士気にも関わる事態だ。窮地に追い込まれている間、人によっては緊張やら高いテンションをずっと持続させるかもしれない。一旦気持ちが切れると再び気持ちを高めるのが簡単ではないからだ。

一方でずっと緊張し続けるにしても限度はある。ゴムもずっと引っ張りっぱなしだと伸びきってしまう。最悪の場合、ぷっつり切れてしまうかもしれない。

仕事の仕方が100メートルなどのスプリント型である人と、ひたすら走るマラソン型の人に分けたら、黒柴スポーツ新聞編集局長は今、マラソン型だ。もちろんその日とかその時間にダッシュでこなさねばならないことは人並みにある。だがならして見渡したらずっと一定のリズムで作業をしている。作業の連続だ。たばこも吸わないから1日机に、パソコンに向かっている。

人より緊張しているなんてことは言わない。誰しも心を砕き、神経を使いながら仕事をしている。だからこそ、あまり緊張をし続けるのもいかがなものかと思い始めている。自分自身、オンオフの切り替えがうまくいっていない実感がある。疲労は少しずつ体をむしばんでいく。だからこそ気を付けないといけない。

黒柴スポーツ新聞はソフトバンクの与党メディアなのだが、大変さはサファテも山崎康晃も変わらないなと思っている。抑えて当たり前、打たれたら戦犯。中継ぎや抑えは厳しい職場環境にある。だからこそ、一回一回気持ちを切り替える必要があるのだろう。いちいち考え込んでいたら次の登板に響いてしまう。それは反省していないのではない。

そういう意味では決勝点になってしまった明石健志のエラーもかばいたくなる。確かにプロなら何とかしないといけなかったが、年間を通したらたくさんのゴロをさばき続けているわけで、数少ないエラーがクローズアップされてしまうのは気の毒な気もする。最後のソフトバンクのチャンスに明石に打席がめぐってきたのは野球の神様のいたずらか。DeNAの外野は極端な前進守備を敷いていたから頭を越したら一気に逆転…と夢を見たがそこまで甘くはなかった。内野ゴロに倒れ、決戦は福岡に持ち越された。

ここで移動日。

ソフトバンクともども、こういう「間」、時間の使い方は大事だ。

張りっぱなしのゴムを緩めるように、肩の力を抜かねば。そして逆襲…。いろんな意味で、ソフトバンクと共に戦おうと思っている。

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DeNA痛恨のエラーを生じさせた今宮健太の快足~ソフトバンク、日本シリーズ第2戦も快勝

スマホが定着した今、速報から逃れる方が難しいかもしれない。のっぴきならない用事があり、愛する日本シリーズを帰宅後の録画で楽しむつもりでいたのだが、なんてことはない、スマホを開いた瞬間途中経過が見えてしまった。

あわてて目をそらしたがしっかり目線はとらえていた。あれ、1-3だと? ソフトバンクは負けてるのか?

帰宅してからブログを書くことを考えると今、9時過ぎからラジオで試合を聞いた方がよさそうだ。急ぎ車に向かいNHKラジオの中継に耳を傾けた。やはりソフトバンクはリードを許していた。森唯斗が宮崎敏郎に勝ち越し2ランを喫したみたいだ。

家に帰るまで小一時間かかる。毎日のことだから楽ではないが日本シリーズを聞きながら帰れるなら楽しい時間。しかもきょうは7回、ソフトバンクの追い上げを聞きながらだったから最高だった。

代打の明石健志が口火を切る二塁打。ナイス。代打城所龍磨がきっちり送りバント。ナイス。ここで柳田悠岐DeNAが前進守備を敷いたのを見てラジオ解説の小早川毅彦が警告を発した。「1点をあきらめるくらいでいい。でないと同点、逆転があり得る」

いわく、阪神や広島の打線が本調子でないからベイスターズのリリーフ陣が機能したが、ソフトバンク相手だとそうはいかない、と。DeNAには不幸にもその見立てが当たってしまった。デスパイネは三振に討ち取ったものの、中村晃にタイムリーを浴びてしまった。ちなみにその瞬間わが家にたどり着いたのだが、ラジオでは今宮健太による4点目の本塁生還を「アウト!」と実況していた。あぁ、同点止まりかと思ったが車のエンジンを切る寸前、聞こえた。「工藤監督が出てきました」そうだ、今はリプレー検証があるんだった。急いでテレビを見たが、何なんだこのビミョーなタイミングは!!! 2016年の広島-日本ハムでもクロスプレーがあったがそれに匹敵する微妙なプレー。しかも同点止まりか逆転かという、下手したらシリーズの行方を決定しかねないビッグプレーだ。

毎日書いているが黒柴スポーツ新聞はソフトバンク与党メディア。しかしそれをもってしてもアウトかセーフか踏ん切りがつかない。フジテレビの解説の大矢明彦は「(キャッチャー経験者だから)アウト」と言っていたし、突入してきた今宮健太は勢いがつきすぎてベースに触れる時のヘッドスライディングの手が反り返っている。キャッチャー戸柱恭孝のミットがそれに触れているようにも見える。だがミットに触れる前に数センチ、いや数ミリ空間がありそこに一瞬速く今宮の手が到達してはいないか?

審判がようやく説明に出てきた。「セーフ」。工藤公康監督が喜びを爆発させた。ソフトバンクファンも同じ心境。今宮もうれしそうだ。

あともう少し早く帰れていたらビッグプレーをリアルタイムで見られたのだ。そこは残念。だがとにかくソフトバンクは逆転できた。これがあるからソフトバンクファンはやめられない。

ついついこのビッグプレーに目が行きがちだが、勝敗を分けたのはその少し前の今宮健太の打席。いい当たりをセカンド柴田竜拓がナイスキャッチするもダブルプレーになるはずのセカンドへの送球をショート倉本寿彦が落球した。ラジオ解説の小早川毅彦いわく、打者走者の今宮健太の脚力を警戒しての焦りがあったようだ。となると逆転のチャンスはそもそも今宮健太自身が作ったことになる。

このダブルプレーが成立していたらスリーアウト、チェンジ。同点も逆転もなかった。あまりにも大きなプレーだった。

日本シリーズのような短期決戦ではこうしたワンプレーが命取りになりうる。第1戦では明石健志のエラーにつけこみDeNAが1点を返した。あの後デスパイネがタイムリーを放ったからよかったものの試合が動いても不思議ではなかった。

やはりアウトは取るべき時に取らないと苦しくなる。サラリーマンも休める時に休まないと後々堪える。まあそれは余談か。

第1戦でエラーした明石はエラーを取り返すヒットを打った。それが着火点になりソフトバンクが逆転に成功した。これがいい。ミスはしないに限るが起きうることだ。ならば切り替えて再び信頼を勝ち取るまでだ。明石、ナイスヒットでした。

じゃあ倉本も応援するのかというとそれは別の話。あくまでもソフトバンクに勝ってもらわないと困る。相手のミスにつけこむのはプロの強さの一つだが、そんなことしなくてもソフトバンクはきっと勝てる。2試合を終えてソフトバンクの2勝。黒柴スポーツ新聞の予想4勝1敗にまた一歩近づいた。だが次から舞台は横浜へ。果たして風向きは変わるのか…

第3戦、ソフトバンク和田毅DeNAは石田健大と予想。そろそろラミレス監督のサプライズがあるかもしれない。

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ソフトバンク育成出身の千賀と甲斐が日本シリーズ開幕バッテリー~成長すると働き場所が変わる

2017日本シリーズ開幕。初戦からソフトバンク打線が爆発した。デスパイネの先制タイムリーから喜びすぎてのどが少し痛い。明日も仕事だから6回からブログを書き始めた次第。

これだけ打線が好調だと明日の西日本スポーツ1面は誰でいくのか。勢いをつけ3安打のデスパイネか。だめ押しタイムリーの柳田悠岐か。黒柴スポーツ新聞で写真が使えるならデスパイネだ。千賀滉大が1点を失った後だけに4点目は大きかった。

打線が好調だからクローズアップされないがソフトバンクホークスの強さを感じたのはバッテリー。千賀滉大と甲斐拓也は共に育成出身だ。

プロ野球は夢がある。千賀128、甲斐130。背番号3けただった男たちが日本シリーズ開幕戦の先発バッテリーを務めた。仕事を終え、帰宅途中のNHKラジオで先発バッテリーを知った時はジーンときた。

千賀滉大は2度目の日本シリーズだが前回はリリーフ。当時一世を風靡していた山田哲人にホームランも打たれた。今回は堂々、開幕のマウンド。成長の証しである。

そう、成長すると働き場所が変わる。思えば柳田悠岐も背番号44の頃はDHだった。面白い若手がいるんだなと見ていた京セラドームでの試合で0-0の9回、オリックス平野佳寿から柳田悠岐は決勝ホームランを放った。もう打った瞬間スタンドは総立ち。完璧な当たりだった。小久保裕紀引退に伴い背番号9を継承したのは納得できた。

柳田悠岐はいるかいないかでチームの雰囲気が変わるくらいの選手になった。千賀滉大はこの日本シリーズで2勝したらエースの称号を手に入れられると見た。自己最高が13勝というのはまだまだエースとして少ない。最低15はないと物足りない。この日本シリーズを足掛かりにエースの地位を不動のものにしてほしい。

甲斐拓也はクライマックスシリーズファイナルステージで第1、2戦でマスクをかぶりながら連敗。高谷裕亮が立て直した感があっただけに日本シリーズも先発マスクかと思ったがやはり千賀と甲斐のペアだった。甲斐は自分が外れてから連勝したファイナルステージをどう見ていただろうか。高谷が控えているのだから甲斐は思い切ってやったらいいと思う。甲斐も息の長い選手になってほしい。

デスパイネみたいに大枚はたいて獲ってくる選手もいるが育成からスターになりつつある選手もいる。これがソフトバンクの強さ。巨人との違いである。山口鉄也という育成の星は出たけれど。

清宮清宮と騒ぐから気付かれていないが今年はドラフトで育成ドラフトがこぢんまりした印象。前みたいにバカスカ取らないのは節約なのか。このまま縮小傾向が続くと育成で選手が拾われてきた独立リーグはじり貧だ。そして千賀と甲斐のようなジャパニーズドリームはありえなくなる。ドラフトは上位指名だけがドラマではない。育成ドラフトの意義もビミョーに問われる時期に来ていないか。

働き場所が変わったと言えば9回に寺原隼人が登板。ダイエーホークスのドラフト1位。移籍先の一つが対戦相手のベイスターズだった。ホークスに戻り、日本シリーズ開幕戦でリリーフに立つ。大差がついたからゆえの起用だったかもしれないが寺原隼人の登場も味があった。まだ控え投手には攝津正の名前もあった。かつてのエース。なかなか1軍のマウンドに立てないシーズンだったが日本シリーズに参加している。果たして2戦目以降に登場するのか。楽しみではある。勝利の方程式ではないので攝津が出てくる時はウーンな時かもしれないが、個人的にはすごく応援している。攝津には何度もいい思いをさせてもらった。今年観戦した時、ヤフオクドームの売店で攝津のクリアファイルが安値で売られていたのが悔しくて、思わず買ってしまった(良心的な定価だったらスミマセン)。リリーフはエースになる前の攝津の職場だった。そこでまたもうひと働きしてもらいたい。そうこうする間にソフトバンク圧勝。差がつきすぎたからDeNAは切り替えてくるだろう。明日は要注意だ。

第2戦、先発予想はソフトバンク東浜巨DeNAは今永昇太。明日も楽しみで仕方ない。やっぱり日本シリーズは最高だ。

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日本シリーズ予告先発なしでDeNAに風は吹くのか~楽しみなソフトバンクとの「ITシリーズ」

いよいよ日本シリーズが始まる。断っておくが黒柴スポーツ新聞はソフトバンクホークスの与党メディアである。そこは差し引いてお読みいただきたい。まあ、いいプレーならどちらのチームでも称賛するのだが。

早速敵を誉めてしまうがラミレス監督はいよいよ面白い。監督会議にて予告先発を拒否したという。工藤公康監督は予告先発を取り入れたいと言ったのだが、意見が一致しないイコール破談となり予告先発ではなくなった。

これも一つの楽しみ。先発予想から試合を楽しめるのだから黒柴スポーツ新聞編集局長もラミレス監督に一票。思えばクライマックスシリーズからラミレス監督は采配がズバズバ的中。先発要員だろうが勝負所では惜しげもなくつぎ込んできた。予告先発制度にしたくないというのは事実上、予告サプライズと言っていい。お客さんを楽しませるのもプロ、とは故・大沢親分の考え。1982年、日本ハムを率いていた大沢啓二監督は9月8日に全治4週間のけがをした工藤幹夫を約1カ月後の10月9日、プレーオフ第1戦に立てた。試合前日の練習ではギプスを、試合当日の球場入りの際は指に包帯を巻いていた工藤幹夫がコールされた。大沢親分でなくともワクワクしてしまう。詳しくは工藤幹夫氏追悼で書いた記事をご覧ください。
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まあ、これくらいやらねば「世紀の奇襲」とは言えないが、そこまではいかなくともラミレスのことだ。きっと何か仕掛けてくる。

西日本スポーツだったか、ソフトバンクは初戦千賀滉大を立てると出ていた。勝ち頭という意味では東浜巨だろうがクライマックスシリーズでは立て続けに被弾。万一初戦で筒香嘉智なりロペスに一発食らったら調子に乗せてしまう。千賀滉大もホームランを打たれる可能性はあるが、今年はWBCも経験したし、大一番には弱くはないだろう。それに日本シリーズ第1戦はエースがふさわしい。黒柴スポーツ新聞も千賀滉大で行くべきと主張する。

ベイスターズは誰だろう。経験から井納翔一か。ネットをさっと見ただけで千賀と井納の取り合わせはいくつも出ていた。これでは独自目線を大切にする黒柴スポーツ新聞らしくはないのだが、まあ順当ということだろう。いやいや、みんながそう思った時こそサプライズを仕掛けるチャンス。ラミレス監督はいきなり奇襲を仕掛けてくるのか。だとしたら広島に引導を渡した第5戦に出てきた新人浜口遥大とか? 勝ち頭の今永昇太とか? そう言えばクライマックスシリーズファイナルステージでソフトバンク楽天塩見貴洋辛島航に合っていなかった。左腕にはあまりいい印象を持っていないかもしれない。初戦に左腕、あるかもしれない。と何だかんだで早速ラミレス監督の術中にはまっている黒柴スポーツ新聞編集局長。いやいや、日本シリーズを楽しんでいるだけです。プロ野球団の親会社は産業のすうせいを表す。ソフトバンクDeNA。初の「ITシリーズ」を制するのは一体どちらか。黒柴スポーツ新聞編集局長は期待も込めて予想する。「4勝1敗でソフトバンク!」(2勝1敗で巨人、と3連戦を前に断言する別所さん風に)。

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ペナント圧勝もCS敗退の広島が不満を言えない理由

2017年の日本シリーズにはセ・リーグからベイスターズが出場する。ペナントレースを独走した広島および広島ファンにとっては納得しかねる結果だろうが、現行ルールでは仕方ない。

意外に思ったのは反論が少ないこと。ベイスターズが勝って、待ってましたとばかりにクライマックスシリーズそのものについて異論が噴出すると予想していた。それがどうしたことか、黒柴スポーツ新聞によるネット巡回では朝日新聞デジタルに一つ記事を見つけたのみ。なぜだか考えてみた。

最大の理由はベイスターズが完勝したことだ。丸佳浩は結果を出したがベイスターズ投手陣はタナキクマルを軸とする勝負強い打線を沈黙させた。まさかの本拠地4連敗。これでは広島も言い訳ができない。

惜しげもなく投手をつぎ込むラミレス監督の大胆采配がズバズバ的中。勢いの差は歴然だった。茶化してラミレス采配は三原脩監督をほうふつさせると先日の記事に書いたが、先発の石田健大を初回で交代させており、これは三原脩監督も使った手だった。さらに今季10勝の先発要員の新人濱口遥大を中継ぎで投入。何がなんでも勝つという姿勢を貫き広島を圧倒してしまった。広島は力負けだからクライマックスシリーズへの不満も言えない。下克上は言うは易く行うは難し。すべて敵地で、2位チーム相手には3戦中2勝、1位チーム相手には先に4勝しないといけない。弱いチームが勝ち上がるのは無理だ。今季広島はベイスターズに14.5ゲーム差を付けただけに、10ゲーム差以上を付けたらアドバンテージを現行の1勝から2勝にという意見もあるようだが、1位チームに至れり尽くせりになると、そもそもクライマックスシリーズやらなければいいとちゃぶ台返しが起きかねない。
広島アスリートマガジン 2017年優勝記念特別増刊号

広島アスリートマガジン 2017年優勝記念特別増刊号

黒柴スポーツ新聞は2017年こそこれまでのクライマックスシリーズの効果が表れたシーズンと評価している。そう、クライマックスシリーズは単年度で評価してはいけないのだ。単純に消化試合を作らないためのものではもうなくなっている。

つまりベイスターズの躍進のきっかけがほかならぬクライマックスシリーズ進出であり、それによる球界のレベルアップや盛り上がりにつながった、ということが言いたい。今回の日本シリーズ進出は19年ぶり。ベイスターズは低迷が続いていた。中畑清を監督に招聘したり、親会社がDeNAに変わったということもあるが、一番の節目は巨人を叩いて昨年クライマックスシリーズファイナルステージに進んだことだ。もはや負け犬ではない。巨人戦で嶺井博希が放ったあの勝ち越しタイムリー。巨人がなんだ。そんな雰囲気になる、潮目が変わった瞬間ではなかったか。

さすがに勝負の世界は甘くなくファイナルステージでは広島の前に敗れ去ったがベイスターズナインには確かな手応えが残ったはずだ。2017年終盤に巨人を振り切ったのもそんな自信が生きたのではないか。

優勝チームにしてみれば3位チームの粘りなど鼻で笑うものかもしれない。しかし3位に入るだけで喜んでいたチームは後年、常勝チームを脅かす存在になりうる。そう考えると笑ってばかりもいられない。

今回驚いたのは横浜スタジアムパブリックビューイングに2万人を超す人が押し寄せ、タオルを掲げて広島で頑張るベイスターズナインに声援を送ったことだ。グラウンドに選手はいない。応援だけなら温かい部屋でテレビの前からでもできる。じゃなくてなぜわざわざスタジアムに向かったのか。それはベイスターズが強くなったことをみんなで共有したかったからにほかならない。

BALLPARK

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思えば広島だって強くなったから忘れているだけで、上昇のきっかけは2013年に3位になりクライマックスシリーズに進んだことだろう。それまで実に15年連続でBクラス。2015年こそ4位になったがこの5年でAクラス4回。実力が定着した。そのきっかけがクライマックスシリーズ進出の自信と黒柴スポーツ新聞はみている。

そう、自信は人を変えるのだ。今回広島はベイスターズに自信を与える側になってしまっただけで、かつては自信をもらう立場だった。広島自身も恩恵を受けた訳だから、クライマックスシリーズという制度に対し不満は言えないということになる。もちろん、潔いカープファンはいちいち言い訳しないだろうけれど。

切磋琢磨し合うことで野球界が発展し、ファンも盛り上がっていく。たまに番狂わせがありそこのファンは落胆してしまうこともあるが、ドラマがあるからこそクライマックスシリーズは目が離せなくなる。

2017年はファイナルステージで敗れたものの楽天が躍進。西武も来年忘れ物を取り返しにしゃかりきになってくるだろう。ソフトバンクとてうかうかしていられない。

クライマックスシリーズは消化試合対策からもう、球界のレベルアップという次のステージに移行している。クライマックスシリーズにすら進めないチームにはどんどん厳しくなる。その意味では久々にBクラスに転落した巨人が来年すぐ建て直せるかどうかが気になっている。

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勝負所は一気に行くべし~ラミレス大胆采配でベイ19年ぶり日本シリーズに王手

広島ファンに怒られそうだがクライマックスシリーズカープが負けないかなと期待している。黒柴スポーツ新聞編集局長はベイスターズファンではない。なぜ負けてほしいのか。

理由は簡単。2年連続で日本シリーズに出たらますます経験を積んで広島が強くなってしまうからだ。ただでさえ黄金時代になりそうな雰囲気があるのにこのまま勝ち続けられたら手が付けられない。

とか思っていたら本当にカープが崖っぷちに追い込まれた。ファイナルステージでまさかの3連敗。ベイスターズに19年ぶりの日本シリーズに王手をかけられた。

今回のセ・リーグクライマックスシリーズはファーストステージから雨がドラマを演出している。ベイスターズ阪神とのあの泥だらけの試合は賛否両論あろうが、やらないで終わるよりはすっきりしてよかった。まあもう少し日程に余裕がほしいが。

ファイナルステージでも台風のからむ雨で第4戦、5戦が中止。2戦、3戦と広島が敗れていたため世間的には広島が一呼吸おけるのに対し、ベイスターズは勢いを削がれるため広島に有利と見られていた。

しかし雨がドラマをもたらしたのは仕切り直された第4戦だった。そう、本当の答えは数日後に分かることがあるのだ。このことは地上波で中継していたフジテレビの解説で、野村弘樹が指摘していた。さすがである。

主役は今永昇太。11勝ながらチームの勝ち頭である。もともと第4戦の先発が予想されていたが雨天中止となり出番が消えていた。それを何と仕切り直しの第4戦の7回からセットアッパーとして起用した。投手の分業が確立されている中、最近ではめったにお目にかかれない大胆采配と言っていい。

しかしラミレス監督はここが勝負と見た。きょう勝つという意思がある継投だった。7回の起用だけでもサプライズなのに、わずか1点リードの状況でそのまま打席に立たせて8回も続投させた。行ける人を惜しげもなくつぎ込む、懐かしい昭和の継投を見た。これこれ。一年を戦う長いペナントレースなら行き当たりばったりでは困る。しかし短期決戦なら話は違う。好調な人から投入し、抑えるべき時には抑える。そうしないと一気に敗れかねない。

これは野球に限らない。勝負をかけるべき時にかけないと、次にいつチャンスが来るかなんて分からない。ならば惜しげもなく最高の技術でチャンスをものにしにいかないと、後からジタバタしても意味がない。

今永昇太も登板する意味が分かっているから気合が入っていた。走者を一人も出さずに最終回の山崎康晃につないだ。今永昇太にセットアッパーとしてのめどが立ったことで作戦が一つ増えた。

広島に有利な雨と見られていたが、見方を変えればベイスターズの大胆采配につながっていたのだ。もし今、三原脩監督がいたらラミレス監督の采配を高く評価したのではなかろうか。

昨日の記事でも書いたが、ギータみたいに後先考えずにやってみるのもいい。見た目は行き当たりばったりかもしれないが、どうせ完走できるか分からないならば、行けるとこまで行く、という選択肢は十分ある。
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ラミレス監督の細やかな継投は「一人一殺」なんて言われているが、三原脩監督もやっていた。そのくらいちょこちょこ投手を変える一方でエース秋山登日本シリーズで4連投させている。今ならヤフートピックスに選ばれる話だ。ラミレス監督の大胆采配で思わず三原脩監督を思い出した。
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三原脩監督が率いていたのはベイスターズの前身、大洋ホエールズというのも不思議な縁。ちなみに2017年にベイスターズが広島相手に3試合連続でサヨナラ勝ちしたことが話題になった。チームの3試合連続サヨナラ勝ちは1960年の三原ホエールズ以来だった。

その1960年なのだ、ホエールズが日本一になったのは。

と、カープに不吉なことを書いて記事を終わるのは意地悪すぎるか。第5戦もきっと、マツダスタジアムカープファンで埋めつくされるだろう。それは心強い半面、相当のプレッシャーにもなる。第4戦も6回ノーアウト満塁で無得点に終わったが、何か硬さを感じた。

果たして逆転の広島の本領はこれから発揮されるのか。そう、本当の答えは数日後に分かることがある。黒柴スポーツ新聞編集局長は数日後、手のひらを返して広島をべた褒めしていたりして。そう考えるといちいち目の前の結果に悩むのがバカらしくもなる。もっと気楽に生きていいのかもしれない。

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ことなかれ主義に背を向ける全力男・柳田悠岐~ソフトバンク2年ぶり日本シリーズ進出決定!

打順を示す電光掲示板を見て目を疑った。

柳田悠岐

脇腹を傷めた影響でクライマックスシリーズに間に合わなそうって記事があったのに。何とスタメン、しかも1番バッターで現れた。

現れただけじゃない。第1打席でセンターに抜けようといういい当たりで快足を飛ばして出塁。送りバントで二塁に進んだら、次打者への投球の時キャッチャーが前に弾く間に三塁を陥れ、内川聖一の犠牲フライでホームに帰ってきた。

先発・武田翔太が立ち上がりやや不安定だったが何とか無失点で切り抜けた後だけに大きかった。ホークスはさらに松田宣浩のタイムリーで2点を追加。武田翔太には大きな援護になった。

松田宣浩には待望のホームランも飛び出し、6回を終わって6-0。ホークスはシーズン中、先制点を奪ったら73勝9敗と鉄壁の中継ぎ・抑えを誇るだけにもはや勝負あり、の展開になった。柳田悠岐はタイムリーも放ったが大事をとったか途中交代。まだまだ本調子ではないのかもしれない。柳田悠岐がけがをした時、ネット上では「けがをしないプレースタイルを模索するべきでは」とか「大事な時にいないイメージ」なんて声もあった。黒柴スポーツ新聞はこれに反論する。

それじゃあギータじゃない。常に全力プレーが魅力であり真骨頂だ。そしてプロ野球選手はそうあってほしいなと思う。

柳田悠岐は中軸だから全試合に出ることにも価値がある。しかし本当はもっと振れる、もっと走れるのにやらないというのはいかにもことなかれ主義に見える。弱肉強食のプロ野球界では、つつがなく引退まで過ごしたいなんて思っている選手は大成しないだろう。

プロ野球も一般社会も何か、先を先を見て冒険しない風潮が強すぎないか。だからこそ後先見ず全力で突っ走る柳田悠岐が輝いて見えるのは何とも皮肉だが、彼の全力プレーはとても大切なことを教えてくれている。

ホークスはそのまま楽天を下し2年ぶりにパ・リーグ代表として日本シリーズ進出を決めた。優勝決定後に笑みが絶えない選手たちの中で、若手の上林誠知が悔し涙を浮かべていた。クライマックスシリーズでは力を発揮できなかったのだ。こういう選手は大好き。悔しさを糧に、柳田悠岐の背中を追ってスター選手の仲間入りをしてもらいたい。

3戦目からキャッチャーは高谷裕亮に代わった。高谷の活躍は称賛に値するが、甲斐拓也は悔しかっただろう。嶋基宏にタイムリーを浴びた点などクライマックスで学んだことを次に生かしてほしい。日本シリーズが早くも待ちきれない。

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