ペナント圧勝もCS敗退の広島が不満を言えない理由
2017年の日本シリーズにはセ・リーグからベイスターズが出場する。ペナントレースを独走した広島および広島ファンにとっては納得しかねる結果だろうが、現行ルールでは仕方ない。
意外に思ったのは反論が少ないこと。ベイスターズが勝って、待ってましたとばかりにクライマックスシリーズそのものについて異論が噴出すると予想していた。それがどうしたことか、黒柴スポーツ新聞によるネット巡回では朝日新聞デジタルに一つ記事を見つけたのみ。なぜだか考えてみた。
最大の理由はベイスターズが完勝したことだ。丸佳浩は結果を出したがベイスターズ投手陣はタナキクマルを軸とする勝負強い打線を沈黙させた。まさかの本拠地4連敗。これでは広島も言い訳ができない。
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つまりベイスターズの躍進のきっかけがほかならぬクライマックスシリーズ進出であり、それによる球界のレベルアップや盛り上がりにつながった、ということが言いたい。今回の日本シリーズ進出は19年ぶり。ベイスターズは低迷が続いていた。中畑清を監督に招聘したり、親会社がDeNAに変わったということもあるが、一番の節目は巨人を叩いて昨年クライマックスシリーズファイナルステージに進んだことだ。もはや負け犬ではない。巨人戦で嶺井博希が放ったあの勝ち越しタイムリー。巨人がなんだ。そんな雰囲気になる、潮目が変わった瞬間ではなかったか。
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優勝チームにしてみれば3位チームの粘りなど鼻で笑うものかもしれない。しかし3位に入るだけで喜んでいたチームは後年、常勝チームを脅かす存在になりうる。そう考えると笑ってばかりもいられない。
今回驚いたのは横浜スタジアムのパブリックビューイングに2万人を超す人が押し寄せ、タオルを掲げて広島で頑張るベイスターズナインに声援を送ったことだ。グラウンドに選手はいない。応援だけなら温かい部屋でテレビの前からでもできる。じゃなくてなぜわざわざスタジアムに向かったのか。それはベイスターズが強くなったことをみんなで共有したかったからにほかならない。
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そう、自信は人を変えるのだ。今回広島はベイスターズに自信を与える側になってしまっただけで、かつては自信をもらう立場だった。広島自身も恩恵を受けた訳だから、クライマックスシリーズという制度に対し不満は言えないということになる。もちろん、潔いカープファンはいちいち言い訳しないだろうけれど。
切磋琢磨し合うことで野球界が発展し、ファンも盛り上がっていく。たまに番狂わせがありそこのファンは落胆してしまうこともあるが、ドラマがあるからこそクライマックスシリーズは目が離せなくなる。
2017年はファイナルステージで敗れたものの楽天が躍進。西武も来年忘れ物を取り返しにしゃかりきになってくるだろう。ソフトバンクとてうかうかしていられない。
クライマックスシリーズは消化試合対策からもう、球界のレベルアップという次のステージに移行している。クライマックスシリーズにすら進めないチームにはどんどん厳しくなる。その意味では久々にBクラスに転落した巨人が来年すぐ建て直せるかどうかが気になっている。
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