黒柴スポーツ新聞

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ベイスターズの進出でCSはさらに進化する~リーグ優勝の価値はもう色褪せない

3位チームが下克上で日本一になりうるクライマックスシリーズは世間的に定着したのだろうか。黒柴スポーツ新聞編集局長は、唯一未経験だったベイスターズが進出を決めたことで、一つの節目になると見ている。

横浜DeNAベイスターズ2016オフィシャルイヤーマガジン (2016年版)

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プロ野球ファンにとって最大の苦痛はシーズンオフ。試合がないからだ。ゆえに口寂しさをまぎらわせようと、引退、戦力外通告、ドラフト、入団交渉、年俸交渉、フリーエージェント権行使などなど、旬の話題でキャンプインまでしのぐ。


クライマックスシリーズがなければ下位チームとそのファンには来季までが恐ろしく長い。優勝が一番だがそれが無理でも3位なら可能な球団はいっぱいある。目標がある限り球団は手を抜かない。CSに進むことでファンに対してもガス抜きになっている面もある。


興行的にもファン目線でもヤマ場が二つあることは大きい。これが2016年、ついに12球団に行き渡る。CSに行くってこんなに面白いんだな、うま味があるんだな(興行面では本拠地で戦えない3位チームにどれだけメリットがあるか知らないが)というのが共通認識になるのだ。


ベイスターズはいきなりCS第1ステージを本拠地でできる可能性が出てきた。9月24日に巨人に勝って1.5ゲーム差。人間、目標があれば俄然やる気になる。今のベイスターズがまさにそれ。流れに乗って主砲・筒香嘉智のバットが火を吹く。いい循環になっている。広島が「神ってる」ならベイスターズは「ハマってる」である。




一方、パ・リーグソフトバンク日本ハムが激しく競っている。こちらはあくまでもプライドの戦い。CSができた時はリーグ優勝の価値が小さくなるという声があった。しかし、この激闘を見る限り、単純にリーグ1位でCS第2ステージに臨みたい的な姿勢はゼロ。何がなんでもリーグ優勝を取りたいという気概が半端ない。だから見ていてヒリヒリする。


2014年のリーグ優勝決定戦もそうだった。松田宣浩のサヨナラ打で決まったが、打たれたオリックスの捕手・伊藤光が悔しさのあまり泣き崩れたのは記憶に新しい。高校野球ではないのだ。職業野球の選手が泣くほどの戦い。だからファンの胸を打つ。こういう真剣勝負が重ねられることで、CSによって相対的にリーグ優勝の価値が下がることは回避できるのだ。


伊藤光メッセージBOOK  クールに熱く

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その点、セ・リーグは若干淡白だなあ…


メジャーリーグではワイルドカードがある。日本もリーグ3位までポストシーズンで戦う権利があるが、明らかに違うのが首位チームにアドバンテージの1勝を与えている点。これがいかにも過程を重んじる日本的な発想だ。何だかんだで3位チームには上に進みにくい構造になっている。一方、アメリカでは結果がすべてだからリーグ1位だろうがワイルドカードチームだろうが最後に勝ったチームがチャンピオン。国民性の違いである。


Numberネット版にベイスターズの池田純球団社長の記事が載っていた。CSを一つのステップにしたいという意欲的な姿勢だった。しかも横浜という「エリア」で盛り上げたいというのだ。このへんはファンが広範囲に拡がりすぎた巨人にはできない発想だ。

空気のつくり方

空気のつくり方


不謹慎にも巨人ファンなのにCS第1ステージが横浜開催なら一体どんな仕掛けがあるのかとワクワクしてしまった。こりゃ、ベイスターズファンが増えるわけである。