黒柴スポーツ新聞

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高校野球にある「1勝の格差」~4勝で甲子園の明徳義塾、7勝で行けない大冠

2018年は夏の甲子園が100回の記念大会。例年の49代表からどれくらい記念枠が設定されるのか把握できていないが、埼玉県からは2校行けるという朝日新聞デジタルの記事を見つけた。


それは優勝、準優勝校という選出ではなく、南埼玉大会と北埼玉大会に分かれてそれぞれ代表を決めるという。


レベルが低くなるとかいう下世話な意味ではなく、甲子園を経験する学校が増えることは望ましい。一つは高校野球のレベルアップの観点から。もう一つは若者の人生のスパイスになるという観点から。

一方で、がく然とした。この夏、気合を入れて観戦した高知大会の参加校は28チーム(連合チームを含むため学校数では31)。参加校の多さで有名な神奈川大会は189チーム。これで果たして甲子園への道のりが平等と言えるのか?
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政治の世界では一票の格差が問題になっている。これになぞらえば「1勝の格差」と言える。


例えば高知大会を制した明徳義塾はシード校とはいえ4勝で高知代表になれる。試しに激戦区の大阪府大会を見てみると準優勝だった大冠高校は8回も試合をしたが決勝で大阪桐蔭に負けたから甲子園には行けない。4勝0敗は甲子園に行けるが7勝1敗では甲子園に行けないのだ。


白球に青春を費やす球児にとって1勝に格差などあるはずはない。しかし甲子園への行きやすさ(行きにくさ)は確実に存在する。そういう意味での「1勝の格差」である。


すべての地方大会を調べてはいないが鳥取大会の25チームが最少だろうか。あまりに少なかったら隣の県と合同で、例えば高知(2017年28チーム)・徳島(同じく31チーム)大会になってしまうかもしれない。これを足してもまだ、前述の埼玉大会分割バージョンの1大会参加校よりも少ない。


二つの県の合同大会は、選挙でいう「合区」である。ちなみに参院選の時の高知と徳島の合区は、二人の候補とも本拠地が徳島だったので、高知県民には「置いてけぼり」感が少なからずあった。これは人の感情として仕方ない話。同じように、例えば徳島の高校が高知・徳島の代表になったら、甲子園で応援する気になるのかなという懸念はある。また、高知ですらアウェー感がある明徳義塾が高知・徳島の代表になった場合、徳島県民は応援してくれるだろうか?


元々、高知や徳島には南四国大会があり、県代表になっても南四国大会で勝たないと甲子園には行けなかった時代がある(Wikipediaによれば1948年~1977年)。


あの梶本隆夫も多治見工業高校時代に岐阜1位になりながら三岐大会(三重・岐阜両県の上位2校ずつによる代表決定戦)で三重1位に勝ったのに三重2位には敗れ代表を逃している(ネタ元は三浦暁子さん著「梶本隆夫物語」)。そういうこともあり得るのだ。これはこれで残酷な話。もっとも梶本隆夫は淡々としていたらしいのだが。

梶本隆夫物語―阪急ブレーブス不滅の大投手

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今のところ各地方大会は成立しているが、少子化や過疎化で甲子園の地方大会が変形していく可能性があることも、高校野球ファンはちらっと頭に置いておきたい。