黒柴スポーツ新聞

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結果は出せる時に出しておく~脇腹を傷めたソフトバンク柳田悠岐はCSに間に合うのか

勝つならさっさと勝つ。結果は出せる時に出しておく。それが無難だと思えたのはソフトバンクの主軸、柳田悠岐のけがを知った時だ。

脇腹を傷めた柳田悠岐。フルスイングが真骨頂だからファンは「やるな」とも言えない。しかしホークスファンには痛い思いがある。2016年のホークスは柳田悠岐の離脱とともに失速したからだ。いつも全力プレーがギータの代名詞だからけが自体は責められなかったのだが、けがのきっかけになったあのスライディングキャッチがなければ…と思ったファンは少なくあるまい。

柳田悠岐がけがしたんだから結局今年も去年と一緒じゃないと言われそうだが、それは違う。今年の離脱はリーグ優勝を決めた後。ホークスがぶっちぎりで優勝した結果、クライマックスシリーズまで約1カ月の時間的余裕が生まれた。柳田悠岐は全治3週間だからスケジュール的には間に合う。あとはコンディション的に間に合うかどうかだ。

とにかくクライマックスシリーズ絶望、なんてならなくてよかった。デスパイネがいくら頼りになると言ってもシリーズは初出場だし、マークが集中したらシーズンのようにもいくまい。ともかく相手投手に柳田、デスパイネを4回当てることが「圧」になるのだ。スポーツ選手と一般人ではけがの回復スピードも違うから全治3週間が額面通りなら必ず間に合う。ただし脇腹はくせになると怖い。ぎりぎりまで体を休めてほしいと思う。

従来のパ・リーグ最短優勝記録を1日更新したホークス。おかげで柳田悠岐の治療期間に加え、サファテにも休暇が発生した。2試合に1回以上投げてきた岩嵜翔には休みが与えられなかったのは工藤公康監督流のギャグにも思えたが、あまり余裕を見せすぎるのもよくない。フツーが一番だ。

明日24日の試合には攝津正が復帰する。東浜巨、石川柊太、松本裕樹ら若手の台頭ですっかり影が薄くなってしまったが攝津正は紛れもなくホークスのエースだった。その前は優秀な中継ぎだった。岩嵜翔の登板数もすごいが攝津正もシーズン70試合、平気で投げていた。

今、もろにその影響が出ているように思えるが、攝津正はここしかないという時期に勝ちまくってエースの地位と億単位の年俸を勝ち取った。そう、勝つべき時に勝てば成功するのだ。もはや攝津正にエース級の投球を望んではいけないのかもしれないが、経験は豊富。クライマックスシリーズに間に合うとしたら投手陣に厚みが増す。こういうテストができるのもホークスが優勝を決めているからにほかならない。攝津は攝津で仲間たちが作ってくれたこのテスト機会をぜひ生かして復活ぶりをアピールしてもらいたい。

いつかは終わらせなければならない仕事や課題があるならさっさと終わらせるに限る。それができるなら苦労はしない、のかもしれないがそれができる人はどんどん先に行ける。


マラソンの高橋尚子も言っていた。「魔の1メートル」。いつかは追い付けるとタカをくくっているうちにどんどん差がついていく。そして気付いた時にはもう追い付けなくなっている…そうならないよう、追い付ける時に追い付いておく、勝てる時に勝っておく、やれる時にやっておく、倒せる時に倒しておく。やはりこれが鉄則だ。魔の1メートルにはくれぐれもご用心を。


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