黒柴スポーツ新聞

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終わってみれば明徳義塾8年連続甲子園、梼原高校の全員野球にも拍手~第99回夏の甲子園高知大会

高校野球ファンならもう知っている。第99回全国高校野球選手権高知大会で明徳義塾高校が8年連続19回目の優勝を飾ったことを。そして高知の高校野球ファンなら分かっている。2017年のこの大会の陰の主役は梼原高校野球部だったということを。

 

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※スコアボードは準決勝の梼原対中村戦

 

別に明徳義塾高校をどうこう言うわけではない。相撲で言えば平幕と横綱が相星決戦をする場合、どうしても平幕が応援対象になる。その構図だったのだ。

 

じゃあ梼原高校が期待されていなかったかというとそれは違う。筆者は運よく高知大会の準々決勝と準決勝の日が仕事休みだったため、両方の梼原戦を観戦したのだがとにかく打線が活発だし、しかもここぞという時に打つ。だから7月26日の明徳義塾との決勝だって、ひょっとするとひょっとするなあと見ていた。

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そもそも梼原高校とは縁もゆかりもなかったのだが、休みの日なので今しか見られない高校野球を見に行こうと出かけたのが始まりだった。そして完全に梼原高校野球部に魅せられてしまった。みんな本当に楽しそうに野球をやっていた。

 

そして愛されていた。梼原側の観客席で見ていたのだが、攻撃時はバッターがファウルで食らいついても「よーし、よし」とか、きわどいボールを見逃しても拍手が生まれたりして、守っている時もエースの浅井君がストライクを取るたびに盛り上がっていた。その様子はこちら。

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 だから決勝もその雰囲気を感じたかったのだがさすがにそれができるほど運はよくなかった。例年通り、仕事をしつつ職場のテレビで試合の流れをチェックしたのだった。そこには準決勝で近くに座っていたおじさんの姿も映っていた。

 

試合は明徳義塾が終始ペースを握っていた。4回の中坪君の3ランホームランが効果的だった。5-0となった時、やはりこのままねじ伏せられるのかと思ってしまった。

 

しかし粘りは梼原高校の真骨頂である。思い起こせば準々決勝も高知高校に先行されながらワンチャンスをものにし、逆転にこぎつけた。明徳義塾であっても痛い目にあうことは十分ありえた。実際、7回一死満塁からあと一本が出ていたら試合はどうなっていたか分からない。そこを打たせないのが明徳義塾なのだが。

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 その7回梼原の攻撃をテレビの録画を使って振り返る。まず代打の中山君がヒット。今大会梼原の代打成功率は高いのではないか? 中山君は準々決勝の高知高校戦でも延長10回に勝負強くタイムリーを放っている。スタメン以外がここぞという時に打つ。このあたりが梼原に流れをもたらしている。さあ逆転した高知高校戦の再現なるかというムードがじわじわと出てきた。スタンドからは笛の音と三・三・七拍子の音が響く。

 

一死から打席はエースの浅井君。5回にタイムリーを打っている。そして今度はきれいに右中間を真っ二つに割った。ランナーが帰り6-3。スタンドは大盛り上がりだ。続く代打・市川君。中山君と同じく高知高校戦で活躍した人が今度は内野安打。出す代打が次々結果を出す。層が厚いというか、チームを率いる横川恒雄監督の采配がさえているというか。流れは梼原に来ている。

 

さらにこの試合2安打の1番・秋山君が続く。カッキーンと快音を響かせレフト前へ。当たりが良すぎてセカンドランナー帰れず満塁に。梼原側観客席ではチームカラーの緑のメガホンが揺れて大盛り上がりだ。お祭りだ。チャンチャンチャン、チャンチャンチャン、チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャン。三・三・七拍子がまた発生だ。

 

次は2番・長岡君。準決勝の中村高校戦で試合を決める3点タイムリーを放った勝負強い男に回ってきた。まだ一死満塁。中村高校戦の再現なるか???

 

その1球目はボール。ここで事件が起きた。明徳義塾の左のエース・北本君がベンチを「ん?」と凝視する。そして下唇をかんだ。ピッチャー交代。むむむ、である。さすが名将・馬淵史郎監督。ここがヤマと踏んだのだ。ただしテレビカメラがとらえたダグアウトの馬淵監督の表情はまだ余裕が感じられた。勝負に出た、というよりは安全策を選んだというところか。

 

代わったピッチャーは2年生の市川君。このピンチで起用されているのはよほど信頼が厚いと見た。そして今知ったが彼は高知市内の中学出身だ。明徳義塾イコール高知県外選手の集まり、でもないのだ。甲子園という大目標をかなえるため、明徳義塾にはさまざまな思いで選手たちがやってくるのだろう。筆者は高校野球においては劣勢必至の高校を応援するモットーがあるので高知大会では明徳義塾を応援する機会がないのだが、明徳義塾という環境を選び一途に白球にかける若者の思いは評価してあげたい派であるのでもちろんこの7年間は夏の甲子園では応援している。

 

だがきょうは「高知大会」なので梼原目線でついつい見てしまう。何せ梼原はまだ創部10年と歴史が浅い上に地域が野球部を応援して初めて決勝の舞台に立っている。ましてや相手は甲子園の常連・明徳義塾判官びいきが大好きな日本人的には梼原を応援する雰囲気がどうしても出てしまうのだ。

 

 明徳義塾の市川君はのびのある球をズバズバ投げこんでくる。長岡君も積極的に打ちに行く。そして2-2から浮き上がるようなストレート。長岡君は食らいつくがバットの上っ面をかすめた球はそのままキャッチャーミットへ。三振。見ごたえのある攻防だった。市川君は投球動作の流れからガッツポーズしたように見えた。気合が入っている。続く3番・西岡君はいいかんじでとらえたがショートゴロに倒れ、あと一本が出なかった。むしろ明徳義塾の市川君がよくしのいだということだろう。

 

8回表梼原はまた中山君がヒットで1死一、三塁にチャンス拡大。ここで代打・濱﨑君。この2-2からの外角いっぱいに決まるストレートはかなり厳しいコースだった。プロ野球並みの精度だ。ここ一番で投げられる市川君を誉めるべきだろう。市川君は続く浅井君を外角の球で三振に打ち取る。ランナーを背負っていても市川君は得点を許さない。締めるところは締める。まさに明徳野球を体現している。この直後8回裏に犠牲フライで得点し逆に4点差にリードを広げるあたりがさすがだ。

 

梼原もまだまだあきらめず全力プレー。8回裏の守備ではライト市川君が背走した上にフェンス直前、フェンスに正対しながら頭越しに大飛球をナイスキャッチ。セカンド濱﨑君もセンターに抜けようかという打球を捕るだけでなく素早く一塁に送りアウトにした。9回裏は三者凡退に終わったがこの日は明徳義塾を上回る12安打を放った。応援しがいのあるチームだったことは間違いない。3試合本当に楽しませてもらった。ありがとう。

 

終わってみれば明徳義塾という驚かない結果で大会は終わったが梼原高校の快進撃の意味は大きい。2016年の中村高校の善戦に続き県立高校がまたも大会を盛り上げた。高知県内全体のレベルアップや野球熱の高まりにつながればなと思う。

 

一方で高知高校土佐高校トーナメントを勝ち上がれなかった。また公立高校と切磋琢磨することで好結果につなげてもらいたい。

 

明徳義塾は優勝したし随所に「明徳らしさ」は感じられたものの、例年ほどの強さは感じられなかった。野球はミスの多いスポーツではあるがここぞという時はきっちり技を決めてきた明徳義塾からするとちょっと物足りない。決勝でも5-1からダメ押しの6点目を狙いにスクイズを仕掛けたが不発に終わっている。このあたりはきっちり修正してきそうだが、ぜひ甲子園では1試合でも多く勝ち進んでもらいたい。

 

全く権限がないが、個人的には決勝までの4試合で572球を投げ、決勝でも8回を投げた梼原の浅井君に敢闘賞を贈りたいなと思う。浅井君たち3年生の姿を見て梼原高校の後輩たちがますます成長してくれることを期待しながら高知大会のリポートを締めます。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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