黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

形より結果にこだわる~テラス弾得意の松田宣浩がZOZOマリン改修にワクワク

結果とプロセス。どちらを重視しているだろうか。私は結果を求めつつ、形にこだわる癖がある。今の打ち方はよかったかな、まぐれじゃダメなんだよな、なんて反省したりも。その時くらいはもっと素直に喜んじゃえばいいのかもしれない。

 

ではこの男はどうだろう。松田宣浩。先日、日刊スポーツ記事で「テラス弾得意なソフトバンク松田、マリン改装大歓迎」という見出しを発見。ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアムが改修され、左中間、右中間の外野フェンスが最大約5メートルほど手前になるというのだ。で、なぜ松田宣浩がフォーカスされるのかというと、松田は2018年のホームラン合計32本中19本が、ホームランテラスのあるヤフオクドームなのだ。

 


記事にあるこのデータは19本中何本がテラス弾なのか書いていないので少々不親切ではあるが、まあ、テラスがある球場で松田に実績があるのは事実。単にマリンスタジアムが改修されますという記事にしていないところがさすがである。スポーツ紙のエンタメ感覚と構成力は素晴らしい。


で、まず思ったのが、松田はテラス弾が得意と書かれて嫌じゃないのかな?と。やはりプロ野球選手たるもの飛距離は大事なのではないか。バッターは遠くまで飛ばし、ピッチャーなら速い球を投げたいものではないのか、習性として。だからテラス弾が得意な松田さん、マリンが改修されます良かったですねと取材されて、松田は気分を害さなかったのかなぁと思ったのだ。

 

松田宣浩メッセージBOOK-マッチアップ-

松田宣浩メッセージBOOK-マッチアップ-

 

 


なんと松田は「ワクワクしながら打席に立ちたい」と応じた。記事によると、松田はマリンが苦手。2018年はホームランわずか2本。打率は何と1割台という。確かにフェンスがぐぐっとせり出してくれたらホームランの確率は上がる。少なくとも苦手意識は薄まるだろう。


確かに考え方次第。フェンスギリギリでも場外弾でもホームランはホームラン。テラス弾でも同じである。ホームランアーティストと呼ばれた田淵幸一もいたが、ライナー弾でもホームランである。飛距離のこだわりさえなくせば、むしろテラス弾はコスパが高いとさえ言える。

 

松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)

松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)

 

 


ちなみにロッテは40年以上リーグ優勝していない(直近で1974年。CS云々は除く)。だから本拠地の改修はてこ入れ策として面白いと思う。もちろん自チームにはアドバンテージがあるが、松田のような人が敵チームにいるリスクもある。だとしても、何もしないよりはいい。何せ40年以上リーグ優勝していないのだから。ロッテ球団はあの熱烈な声援に応える義務がある。


というわけで、松田宣浩のように形にはこだわらず、ロッテのように試行錯誤して、私も形を優先せず結果をまず残すことにしよう。プロセスの検証は結果を残してからでもいいのだから。

 

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箱から出なくてはいけない~城山三郎「少しだけ、無理をして生きる」が突き刺さった件

久しぶりに古本屋に出掛けた。目的は野球本を探すこと。安く、かつ、面白い本を買えるか。ちょっとしたゲーム感覚でもある。まず文庫本で野村克也の「エースの品格」を見つけた。以前から興味はあった。108円だし、この際買おうかと手に取った。

 

その本の近くにビビビッと来る本があった。城山三郎の「少しだけ、無理をして生きる」。経済小説の開拓者。以前から興味のある作家の一人ではあるが読んだことがない。だがなぜかきょうは心が訴えた。手に取ってみな、と。

 

どストライクだった。

少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

 

 

 

「はじめに」を除き10章構成なのだが、文庫本タイトル(と同義の言葉)でもある第5章「少しだけ無理をしてみる」のこのくだりが非常によく、購入の決め手となった。

 

 中山素平という銀行家がいます。私も尊敬している人物ですが、彼がよく口にする言葉に、「箱から出なくちゃいけない」というのがあります。中山さんが人を評価する基準は、「あいつは箱の中に入って安住しているか、それとも箱から出ようとしているか」という点なのです。

 

箱、という単語に釘付けになった。自分を変えたい成長したいと念仏のように毎日唱えているけれど、本当に箱から出ようとしているのか? 冬の布団と一緒で、入っていればぬくぬく温まって過ごせるからな。環境のせいにして、やれることすらやっていないのではないか?……なんて言うとちょっと卑下しすぎだが、あのくだりに横っ面をはたかれた感じはあった。

 

城山氏は続ける。チャレンジし続けよう、と。確かにやってみてすぐ結果が出るとは限らない。でもやらなければいつまでたっても箱の中。進歩はしない。先行きがない。だから城山氏自身も「できるだけ少々無理をしよう、箱から出よう」と心がけている、と述べていた。

 

この「少々」というのがアラフォー殺し。そう、もうがむしゃらな20代でもなく、30代ほどの野心もない。が、まだ諦めてはいない。とはいえ全力はどうなのかな。なんて逡巡してしまうからこその「少々」。少々ならやれるんじゃないか。少々ならいけるよな……。

 

結果的に「少しだけ、無理をして生きる」はお買い上げとなったのだが、この本は元々は「逆境を生きる」というタイトルだったと後で知った。このタイトルだったらちょっと重たい感じがして、買っていない。少しだけ、無理をして生きてみようと思っていたからこそ、古本屋の本棚の中から見つけられたのだ。そういう意味ではいまこのタイミングで読むことにこそ意味がある。これもリアル書店の良さだろう。もちろんAmazonでもほどよいレコメンドはあるけれど。

 

この第5章だけでも購入する価値はあったのだが、ほかの章も面白そうだ。文庫本は200ページしかない。おちょこでちびりちびり飲むように味わおう。さて、どうだろう、皆さんは箱の中に安住しているのか、出ようとしているのか。私はもちろん箱から出たい。そのためにきょうも「少々無理をして」ブログを執筆。そう、ほんの少しの負荷がいいのだ。城山氏は励ましてくれている。少しだけ無理をすることで、自分の世界に素晴らしい変化がもたらせるかもしれない、と。このくだりはぜひ原文でお楽しみください。

少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

 

 

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飛び出す勇気とやりきる覚悟~箱根駅伝、東海大学が初の総合優勝

第95回箱根駅伝東海大学が悲願の初優勝を果たした。5連覇を目指した青山学院大学は往路6位に沈んだものの、復路で意地を見せ総合2位。往路を2年連続で制した東洋大学は力負けの総合3位だった。今回は最優秀選手に選ばれた東海大学の小松選手にフォーカスする。



8区の小松がたすきを受け取った時はまだ4秒、首位の東洋大学がリードしていた。小松はすぐに追い付いたが、すぐに抜かず、ぴったり後ろにくっついた。

持ちタイム的には東洋大学の選手より上だから、小松が先行しても良さそうだがそうはしない。ここが駅伝の面白さでもある。そう、駆け引きだ。元日のニューイヤー駅伝でもアンカー勝負で旭化成の選手がMHPSの選手と並走して最後さしきった。自分の状態と相手の状態を比べ、残り距離を計算して勝負する。駅伝選手は脚が速いだけではダメなのだ。

小松の場合はアンカーではないので、いかに東洋大学との差を広げるかがポイントだった。小松は相手が「鈍ってきた」と感じると14キロあたりでスパート。東洋大学の選手をみるみる引き離した。ここだと勝負どころを見極める目と、飛び出す勇気、そしてスパートする実行力。三つがうまくはまった。

ここだと思っても、実行に移さなければ、思っていなかったのと同じ。いつかやろう、では永遠にできない。小松とて逃げ切ったらよかったものの、追い付かれていたら真逆の評価をされていたに違いない。そう、ここだと踏んだら何がなんでもやりきらねばならない。その大変さの想像がつくからこそ、飛び出す勇気を持てなかったりするのだが。
95回大会完全保存版 女子のための観戦ガイド WE ラブ 箱根駅伝 (集英社ムック)

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年齢を重ねると、リスクを恐れず、という姿勢でいられない。きっと、失敗したら恥ずかしいと思うからだ。だが本当に恥ずかしいのは何も行動を起こさないこと。幸い、年齢を重ねたなりに状況判断はうまくなっているはずだ。勝負どころで躊躇なく前に出る。そして走りきる。何歳になっても、そんな姿勢は持ち続けたい。

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脱皮できないヘビは死ぬ~長谷部誠「心を整える。」を読んで

心を整える。素敵なタイトルだ。サッカーのロシアW杯までキャプテンを務めた長谷部誠の「心を整える。」を読了した。読んですぐに効果を発揮できるものではないが、意識は変わってきた。今回はそのおすそわけをしたい。



最も心に残ったのは第8章「脱皮する」。40代ともなると知識を付け、経験を積み、それなりにやっていけるものだ。が、実はこの「それなりに」が、くせ者だ。そつなくやれてしまうことで疑問が浮かばない。結果的に改善や成長の機会を逸しているのだ。

かつて新聞のレイアウト部門にいたのだが、先輩たちのようにセオリー通りの紙面を組めるようになるとうれしくなった。が、それはスタート地点、いろはの「い」に過ぎない。それどころか、教科書を後生大事に持ち続けるのは時代に取り残されるリスクさえある。流行や好みはすぐに変わっていくのだから、編集者とて合わせていかねばならない。

だが変われない組織はあるものだ。特に老舗なら歴史だ伝統だとさまざまな制約があることだろう。さらに、現状を変えたくない人々もいる。これらが融合した結果、変化は生まれない。

心を整える。」のサブタイトルは、勝利をたぐり寄せるための56の習慣、となっている。第8章の「脱皮する」では、46個目の習慣として、「変化に対応する」ことをすすめている。

事例として岡田ジャパン時代に、以前からの戦術と、新しい戦術のどちらを選択すべきかという局面があったことが紹介されている。大会直前でもあり、長谷部誠は以前からの戦術でいくべきと考えた。が、正解が分からなくなってしまった。
勝負哲学

勝負哲学



その時、道を示したのが持参していた本「超訳 ニーチェの言葉」。脱皮して生きていく、という項目が目に飛び込んできたそうだ。いわく、脱皮しないヘビが破滅するように、人間も古い考えの皮をかぶったままだと内側から腐っていく。成長できないどころか死んでしまう、というのだ。まことに恐ろしい。

まあ、脱皮するためにはメリメリっと皮を脱ぎたくなるくらい成長もしていないと。現状維持なら脱皮する必要がないのだ。しかし内側から腐っていく懸念はあるのだから、油断はできない。

大事なことに気付いた長谷部は岡田監督の新しい戦術を信じることにした。また、「もしまわりが脱皮しようとしているのに、自分だけが古い皮をかぶったままだったら、チームに迷惑をかけてしまっていたと思う」と振り返っている。そう、変化を恐れたらまわりを巻き込みかねないのだ。もちろん、現状維持至上主義のチームであれば話は別だが。

この「心を整える。」はほどよく世の中に浸透したようで、5年前の2014年1月現在で136万部を突破したそうだ。遅まきながら筆者もその輪に入れていただいたわけだが、一つずつ、少しずつ、勝利をたぐり寄せる習慣を取り入れていこうと思う。皆さんも、もし心がいくらか乱れてるかな?と思った時は心をメンテナンスするために、この本をぜひ手にとってみてください。

同じ顔ぶれでも成長すれば新記録~箱根駅伝、東洋大が2年連続往路優勝

第95回箱根駅伝東洋大学が2年連続の往路優勝を果たした。総合5連覇を目指す青山学院大学は5分30秒差の6位。ただし復路には力のある選手が控えており、逆転もあり得る。ファンにはたまらない展開になりそうだ。

 東洋大学は1区平山が2年連続の区間賞と流れに乗り、常に上位をキープした。本命の青山学院大学は3区に、けがで出場が不安視されていたエース森田を起用。森田は区間新の快走で首位を奪還し、早くも青山学院大学の流れになると思われた。


ここで東洋大学が踏ん張った。4区に入った時は8秒差の2位だったが、たすきを受けた相澤が区間新の好走。結果的にはこれが青山学院大学へのカウンターパンチとなり、そのままの流れで往路を制した。


タイムは往路新記録だったが、実はこの往路メンバーは昨年と同じ顔ぶれだそうだ。酒井監督は優勝インタビューで「成長が証明できた」と話していたが、素晴らしい。伸びしろのある学生だからあり得ないことではないが、同じメンバーで同じことをやり、よりレベルの高い結果を出せて、さぞ気持ちよかったことだろう。


組織で言えば、異動がなければないで、メンバーたちは1年間の流れも分かるし、お互いの個性も分かるから、うまくいかないはずがない。しかし安定とはうらはらに、こんなもんだと思う罠が待ち受けていたりもする。そして、いつもどおりでいいだろうという甘いささやきもどこからともなく聞こえてくるものだ。 

 

東洋大学の往路は顔ぶれは昨年同様だが、配置だけは一部変わっていた。 昨年と同じ配置ならある程度の予測は立つ。しかも昨年は往路優勝しているのだ。無理に変えないという選択肢もあっていい。しかしこの1年で個人の力も変わっているはず。酒井監督は各区間に最適な配置をしたということだろう。

あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド! 2019 (ぴあMOOK)

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青山学院大学が総合4連覇中だと言っても、昨年は東洋大学が往路を制した。結果的に往路2位の青山学院大学が復路で逆転したのだが、その昨年は6区スタート時の東洋大学とのタイム差は36秒だった。2019年復路はトップ東洋大学と2位東海大学との差が1分14秒でスタートする。だが東洋大学が意識するのはあくまでも青山学院大学だろう。青山学院大学は6区と7区で必死に差を詰めて来るはずだ。


テレビ中継解説の渡辺康幸氏は言っていた。優勝の芽は東洋大学東海大学、そして青山学院大学にあると。果たして青山学院大学のゴーゴー大作戦を東洋大学がどう封じるのか。第95回箱根駅伝復路は最後まで目が離せない展開になりそうだ。

 

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展望しない人は目標が言えない~ソフトバンク上林誠知がメジャー志向明言

野心。最近目にしない言葉だが、元旦、西日本スポーツ記事を見てこのことばが浮かんだ。見出しは「年男ソフトバンク上林を直撃!メジャー志向を激白 高3夏の屈辱が起点」。上林誠知がメジャーを目指していたことは初めて知った。

上林誠知はなかなかのことを言っている。トリプルスリーを狙う。2000安打は通過点。日本にいるうちに1000安打しておきたい……。


仙台育英高校時代から上林は名前を売っていたし、ソフトバンク入団後は特にこの3年、着実にステップアップ。2018年は全143試合に出場し、ホームランは自己最多の22本。歴代4位タイの14三塁打を記録した。



柳田悠岐が仮にメジャーに行ったら穴を埋められるのは上林しかいない。まだまだ力強さは柳田に負けるが長打力は魅力的。確実性が上がれば3番、4番も夢ではあるまい。
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ゆえに記事中でトリプルスリーやら2000安打を目標に掲げても、ほらを吹いているようには見えない。むしろ、具体的に目標を掲げていることを頼もしく思った。



それに、向上心の源が高校時代の苦い経験、というのがいい。高3夏の甲子園で9打数1安打だったという。同世代でナンバーワンになりたい。メジャーで活躍したら認められるのではないか……。なるほど、すごい負けん気だ。
あのシーンを思い出した。2017年ポストシーズン楽天を下して日本シリーズ進出を決め、喜びにわくホークスナインの中で、上林は涙を流していた。不調の上林はファイナルステージ第5戦、出場登録から外されたのだ。ふがいなさから流れる涙。ほとばしる悔しさ。気持ちがものすごく伝わってきた。それをバネに2018年CSは1試合6打点の最多タイ記録など大暴れ。日米野球でも両軍最多の10安打を放ち、存在感を示した。上林は発奮する男なのだ。
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若いうちからドーンと目標を言ってしまうと、あいつ何なんだ、となる風潮はまだまだ根強い。しかしあいつ何なんだと言う顔ぶれを思い浮かべてほしい。そう、得てしてなにも成し遂げていない方々なのである。


ドーンと目標が言えるくらいの覚悟がある。やり遂げてやろうという野心がある。だから元旦から西日本スポーツの上林誠知の記事を見て、いいもの読ませてもらったなと思った。具体的に目標が言えないのは、何も先を考えていないのと同じ。野心あふれる上林を見習って、なりたい自分になれるよう、アグレッシブに行動しよう。

球数制限と休養日論~高校野球の底力を信じて甲子園改革を

夏の甲子園の日程が弾力的になるらしい。2018年は金足農業高校が準優勝の旋風を巻き起こしたものの、エース吉田輝星が決勝で大量失点。またもや球数制限論が浮上した。新潟県では2019年春の大会から球数制限を導入する予定だ。今のところ、球数を制限するか、大会日程を緩和するというのが代表的な投手保護策である。



夏の甲子園では休養日が準々決勝後に設けられている。4校が恩恵にあずかれるわけだ。が、準決勝と決勝は2日続けて行われる。金足農業のようにエースが1人で頑張る場合は連投になるのだ。

甲子園決勝と言えば、高校球児の頂点を決める試合である。2年半の集大成だから、万全な状態で戦ってほしいもの。だとすると、増やす休養日は準決勝後でどうだろうか?
甲子園 2018 [雑誌] (週刊朝日増刊)

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3回戦後の休養日設定案もあるそうだが、大会前半はくじ運もあるが試合が過密な確率は低い。また、勝ち上がった学校こそ日程上優遇されるべきだ。勝てば勝つほど学校や保護者らの負担は重くなるが、一生の何度かの夏。お金をかけたり休みを取ったりするのは今しかない。苦労できるのはよい成績の裏返しなのだから、そこはうれしい悲鳴を思いっきり上げていただきたい。



さて、地方大会もまた連投は課題だ。特に夏は暑さもあり、選手の体を守らなければならない。新潟県では春の大会から、100球投げたら次のイニングは投げられない。翌日投げることはできる。選手保護へ一歩前進という印象だ。

これについて、金足農業がある秋田県内の反応はどうだろう。地元の新聞、秋田魁新報によると否定的だという(下の記事参照)。そう、部員が少ない学校には代役がいないのだ。皮肉にもエースが大エースであるほど、二番手、三番手のピッチャーは見劣りする。エース降板後の大どんでん返しはありうるのだ。もしかしたら絶対数が足りなくて、そもそも二番手投手をつくれない可能性すらある。
https://this.kiji.is/451876424179205217

強豪高校の選手にとっては、出場機会が増えることになる。いろんな才能が開花する可能性があるし、チーム全体のレベルが上がるはずだ。選手層が厚くない公立校とは対照的。そう、今でこそ「私高公低」の流れがさらに加速する恐れさえあるのだ。
大甲子園 文庫全17巻 完結セット (秋田文庫)

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となるとやはり夏の甲子園は休養日をしっかり確保して、選手を守ってもらいたい。みんなこの日のために人生を費やしてきたのだから、無理をしないわけがない。そこはルールで制するしかない。
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地方大会も梅雨明けから順次開幕させ、過密日程にならない工夫にはできないか。暑さ対策には早朝の試合開始や、夕方~夜の試合などできる限りの策を講じてほしい。選手も大変だろうが応援する人も暑さ対策は大変なのだ。暑さ対策がうまくいけば投手の負担も減るはずだ。
高校野球 2019年 01 月号 [雑誌]

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暑さ対策としてはそろそろ京セラドーム開催を本気で検討する時期にきている。青空と芝生と全力疾走。甲子園じゃないとダメなんだという声が根強すぎるのだが、新しい歴史を京セラでつくるという流れはつくれないものだろうか。高校野球は京セラで昼間に、阪神は甲子園でナイターをやることができる。野球ファンは野球観戦のはしごができるし、プロ野球の過密日程対策にも一役買えるはずなのだが。

ドームでよければ、京セラじゃなくても、東京ドームやヤフオクドームなど選択肢はある。こうなれば北海道で2023年に開業する新球場もありだ。開閉式だから天候に応じて屋根を開け閉めしたらよい。
http://sp.fighters.co.jp/news/detail/00001446.html

選手の負担軽減をきっかけによりよい高校野球全国大会をつくる。単に伝統に縛られて思考停止になるのは愚の骨頂だ。タイブレークで野球の醍醐味が損なわれる懸念もあったが済美が劇的な逆転サヨナラ満塁ホームランで勝ったりと、高校球児はきちんとドラマをつくってくれる。地域事情を考慮しつつも高校野球の底力を信じて、柔軟な改革に取り組んでもらいたい。

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契約更改をボーッと眺めるのはもったいない~ソフトバンク石川柊太と武田翔太に学ぶ

成功するためには、過去の失敗と向き合わねばならない。仕事師の先輩たちとそんな話をした後に、ソフトバンク武田翔太の契約更改記事を読んだ。そして知った。飛躍のきっかけがあの最短KOされた日だったと武田が自覚していることを。


500万円ダウンの8500万円。確かに4勝9敗は武田翔太のポテンシャルからしていただけない。ただし後半戦は、複数回投げられる「第2先発」というポジションを確立したかに見え、ポストシーズンはうまく勝ちパターンにはまっていた。



面白いのは石川柊太との違いだ。石川も武田同様、先発ができる。石川は中継ぎもこなして、チーム最多タイの13勝をマークした。石川は今後も先発・中継ぎの両立を求められることを見越してオフに出来高払いの契約を提案。球団の理解を得た経緯があることは下の記事で紹介した通りだ。
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武田翔太は中継ぎに配置転換されたことにより、短いイニングでペース配分すればよくなったことで球速がアップ。それが抑えられる一因だと秋山幸二が解説していた。武田翔太は新しい働き場所を見つけたかに見えた。


が、武田は石川とは違って、先発を希望した。中継ぎを経験したことでその大変さを実感。先発をして、いい形で中継ぎにつなげたいのだという。


2018年の武田翔太は好不調の波が激しすぎた。4勝ではあるが3完封している。ファンとしてはイライラした。そう、期待値が高いと、うまくいかなかった場合はそのギャップがそのままストレスになるのだ。もちろん武田翔太だって自分自身にいらだったことだろう。こんなはずじゃない、こんなはずじゃないんだ、と。


象徴的だったのが武田自身が分岐点と認識している、7月18日の北九州での登板。2回7失点で最短KOされ、2軍行きを命じられたのだ。無期限調整という表現も飛び出した。調整というよりは降格、反省せよという意味合いが強い。


ところがここで武田翔太に風が吹いた。先輩の中田賢一がウイルス性胃腸炎に。武田が緊急登板することになり、なんと完封してしまったのだ。結果的には短期間ではあったが2軍での調整が効を奏した。


そう、7年目でプロ最短KOを喫したことで武田はあらためて、自分と向き合ったのだ。失敗を受け止めたことで、改善の余地を見いだした。本来の姿を取り戻そうとしたのだ。


武田は勉強ができたらしい。プログラミングもできるそうだ。そして読書家でもあるらしい。飄々としている印象で、例えば2018年にサファテの代役を務めた森唯斗みたいに背中から湯気の立つタイプではない。そのためやる気を周りが感じられないふしがある。だが、武田は実はものすごく考える人だと筆者は理解している。


第2先発として結果を出した二人のうち、石川は石川なりに考えて先発&中継ぎを想定した。そして武田翔太は本来のポジションである先発を目指すことにした。起用法は首脳陣が考えるから2019年がどうなるかは分からないのだが、頼もしいのはこれからのピッチャーたちが能動的である点だ。これからの時代、働く場所は自分でつくらないといけない。そうしないと、少なくとも成長はできない。


トップ選手を除き、いくら上がりました、いくら下がりました、は実はたいしたトピックではない。契約更改シーズンは選手の個性やモチベーションを垣間見られる貴重な時期。そして交渉の経過や結果には、仕事を前向きに進めるヒントが埋もれている。誰それが何億円、何千万円という見出しを付けたり、流し読みするだけではまったく意味がないのである。

2018年シーズンオフの契約更改関連記事はこちら。
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挑戦を是としない空気への違和感~菊池涼介メジャー挑戦の意向表明

広島の菊池涼介が将来的なメジャーリーグ挑戦の意向を表明した。おっ!と思ったがそれ以上にガッカリした。ニュースに対するコメントには「無理」「通用しない」という言葉が並んでいたからだ。



実は自分も菊池涼介が通用するかは疑問視している。菊池の守備は素晴らしい。もっとも、好きなのは菊池ほどの派手さがない源田壮亮の方なのだが。それでも、菊池涼介の守備にはエンターテインメント性を感じている。華がある。数少ない、守備でお金を取れる選手である。
二塁手革命 (光文社新書)

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それでもなお、菊池涼介はメジャーでは厳しいと言われる。確かに体格差もある。そしてパワーも。日本人野手は、投手ほどは結果を残してこられなかった。結果を残したイチローも、松井秀喜も、外野手だ。内野手松井稼頭央井口資仁の名前は浮かぶ。だが何人もの日本人内野手がメジャーの壁にぶち当たった。

そう、プロ野球ファンが菊池涼介のメジャー挑戦に否定的なのは、なまじ過去の日本人メジャーリーガーがことを知っているから。別に菊池涼介のことが嫌いなわけじゃないのだ。



また、守備が一級品でも、打撃力への物足りなさが指摘されている。そこもある。やはり打てなければ使ってもらえないだろう。川崎宗則の姿が浮かんでくる。守備のイメージが強いオジー・スミスとて通算安打数は2460本。やはりメジャーでは攻守とも一流でないと試合に出してもらえないだろう。

ということを踏まえた上で、である。菊池涼介もトップレベルを目指すゆえのメジャー挑戦なのだから、「難しいかもしれないけれど、応援する」と、もっと言ってあげられないものか。カープファンは戦力ダウンを避けられないからそう簡単には認められないかもしれない(逆に、応援する人もたくさんいそうだが)。

では、他球団のファンはどうだろう。単純に、菊池涼介が通用しそうかどうかで判断してはいないか。それに限らず、何か、新しいことに挑戦することを是としない雰囲気を感じることがよくあるのだ。

今でこそ否定する声は少なくなったが大谷翔平の二刀流も賛否が分かれた。まあ、大谷翔平の場合は投打のどちらも一流だから、どちらかに絞っては?という趣旨は分からなくもない。だが何割かは、投打の両立は難しいからやめとけ、だの、前例がない、といった保守的な思考だったと思う。

先日NHKスペシャル小選挙区制導入の舞台裏を取り上げた中で、当時のキーパーソンの一人の小沢一郎も言っていた。誰しも現状を変えるのは嫌だ。特に日本人はそうだ、と。なぜなのか?

仮説を一つ立ててみた。日本は災害が多いからではないかと。いつ何時アクシデントがあるか分からないから何でも手堅くいきたい。リスクは少なければ少ないほどいい。新しいことにチャレンジなんかしなくてもいいんだ、と。

そして農耕民族であること。きっちり栽培しておけば一定量は収穫できる。それを溜め込むことで安定を感じられる。日本の野球もそうだ。1回から送りバントでチャンスを拡大させ、手堅く先制点を取りにいく。アグレッシブさより堅実性を重視するのだ。

また、農作業はみんなでやるものだから、スタンドプレーは嫌われる。目立つ行為は不要なのだ。コツコツやることこそが美徳。それも一つの価値観ではあるが、上のレベルを目指すための行動をセーブさせるのも考えものだ。やる前から諦めるのは、何だか寂しくないか。

別に菊池涼介のファンでもないのだが、もし本当にメジャーに挑戦するならば、その時は応援したい。華があるから、ハマれば人気者になるかもしれない。どうせならもっとひげを伸ばして、オジー・スミス風にしてはどうだろう。菊池は小柄だがアルトゥーベだって165センチでも結果を残している。きっとアルトゥーベも「その身長ではね……」と何度も言われたことだろう。挑戦を否定する声を覆すにはアルトゥーベや大谷翔平のように圧倒的な結果を残すしかない。それもまた事実である。

日本シリーズMVP甲斐が保留。年俸提示額は妥当?

smartnewsに並んだ甲斐保留の記事。ソフトバンクの甲斐拓也が1500万円アップの年俸5500万円を保留したという。メディアがこぞって取り上げたのは、ひとえに日本シリーズMVPの男が保留した、という事象からであろう。



しかしプロ野球ファンの関心事は甲斐の年俸の妥当性だった。細かく見れば、5500万円というよりは上げ幅1500万円に甲斐は納得がいかなかったように見えた。

なお、きっちり書いておきたいが甲斐拓也はごねてはいない。数字的には胸を張れない趣旨のコメントもしている。ネット上では「勘違いしている」とも書かれているが、勘違いなんてしていない。一度整理したい、と言っている。

面白い分析をしている方をヤフコメで見つけた。守備で2500万円アップ。打撃は1000万円ダウン。だから1500万円アップになるのは妥当だと。なるほどなと思った。確かに投手と違い、野手は打撃と守備の両立が求められる。この点、甲斐も自覚している通り打撃の数字(打率は.213)は物足りない。ここが大きく足を引っ張っている。

では守備はどうかというと、甲斐キャノンという言葉が象徴する強肩で日本シリーズを制したものの、レギュラーシーズンは2位だったのだ。そう、クライマックスシリーズから日本シリーズまでソフトバンクが快進撃したためにホークスファンは嫌な記憶に上書きしてしまっていたのだが、ソフトバンクはレギュラーシーズンは2位だったのだ(筆者もホークスファンなのであえて2回書いた)。

そう、捕手の評価はレギュラーシーズンの順位と連動すべきと筆者は考える。やはりチームの要なのだから。きつい書き方にはなるが、2018年、西武とのマッチレースで致命傷を負ったのは千賀と甲斐のバッテリーだったと思っている。所沢での直接対決で浅村にホームランを喫した瞬間、ソフトバンクのレギュラーシーズン優勝は限りなく厳しくなった。そんな一発を浴びたことを考えると、甲斐の上げ幅は抑制されても仕方ない。
だが、チームの成績と連動するならば、日本シリーズも考慮していい。MVPを獲得できたのは甲斐拓也の力が大きい。結果からみたらソフトバンクが押しきったと見えるが、広島がいくつか盗塁を決めていたら押せ押せムードになっていただろう。そんな広島は手が付けられない。やはり甲斐の貢献度は高かったのだ。

ということから、甲斐の頑張りから現状の1500万円アップに500万円を加えて年俸6000万円としたらどうかと思うがいかがだろうか。


なお、守備の面でも、甲斐拓也が1試合フル出場していない点を指摘する声がある。それについては一部だけ反論したい。ソフトバンクは捕手併用制が奏功して日本一になった。だからウイークポイントではない。終盤、もうひと押しするきっかけとして甲斐に代打を送り、高谷を投入して逃げ切る。少なくとも2018年はコレがうまくはまった。もし高谷的な存在がいなければ、甲斐がそのまま9回までマスクをかぶったはずである。ゆえにどさくさ紛れでアピールするが高谷の評価もしっかりしてあげてほしい。



もちろん甲斐がリード面でも成長し、打撃でも数字を残せば名実ともに一流選手の仲間入りをするに違いない。課題が分かっている人はそこをしっかり手当てすればいいのだ。捕手の負担が重いのは否めないが球史に名を残す名捕手は打撃面でも数字を残している。甲斐拓也にもぜひそこにチャレンジしてほしい。

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隙間を埋める便利屋の矜持~ソフトバンク石川柊太の交渉力に学ぶ

石川柊太が年俸6000万円で契約を更改した。3000万円からの倍増だが、注目すべきは出来高が付いたこと。これ、石川からの提案だったという。



若いのになかなかのコミュニケーション力だ。得てして球団側が力を持つものだが、きちんと説得できたということだろう。

それもそのはず。石川柊太は42試合という登板数もさることながら、先発、中継ぎの両方をこなした。中何日という言葉があるように、先発と、毎日登板があり得る中継ぎとでは調整方法が異なる。だが石川はその兼ね合いを見事にこなした。チームトップの13勝。だからこその説得力。最終盤の離脱はさすがに無理がいったということだろう。

石川は来季以降もそのような起用があり得ると見越した上で、球団に正当な評価がほしいと申し出た。そしてソフトバンクも了承した、という形。石川はこのスタイルを便利屋と表現したが、そんな言い方をする必要はない。いわゆるユーティリティープレーヤーなのだから。

才能を示すことで働き場所を獲得する。王道である。これは石川と同じ「ポジション」である武田翔太もそうだった。先発失格と烙印を押されたものの、後半は第二先発というポジションを確立。日本シリーズではずばりこの差が広島との明暗を分けた。近年のプロ野球は分業化が確立されており、来季以降も重要なポジションになりそうだ。

球団から与えられたポジションで結果を出し、説得力をもって評価方法を自ら提案。それに意思をもって取り組もうとしている石川柊太。輝ける環境を自ら構築していく姿勢は、ぜひ見習いたいものだ。

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内海哲也、人的補償で西武入りも巨人往復切符が見え隠れ

昼休み、ウッと声が出た野球ファンは多かったに違いない。巨人で通算133勝の左腕・内海哲也が、FA移籍してきた炭谷銀仁朗人的補償で西武入りすると報じられたからだ。


内海哲也のキャリアは十分だが下り坂感は否めず、文字通りプロテクトから「外れた」感はありあり。巨人からすればただでさえ中継ぎも先発も薄いのに若手を持っていかれたらかなわない。そんな思惑、数合わせの論理が透けて見える。広島に一岡を取られたトラウマがまだ響いているという推測は深読みし過ぎか。

ただし、内海哲也は功労者であり、将来的な復帰含みのプロテクト外しに見える。今は枠の関係で仕方ないのだが、ゆくゆくは戻ってきてほしい。そう、これは巨人から西武への「出向」なのである。実際、球団社長が「将来戻ってきてほしい」という趣旨の発言をしている。巨人にしては潔い意思表示だが、怒れる巨人ファンをなだめすかしたい思惑もありそう。

そんなこともあって、内海哲也には悪い話ではあるまい。辻監督はリストを見た時から内海に目をつけていたという。確かに西武にはベテランの投手が足りない。2018年は仮に涌井やら岸あたりがいたら短期決戦であれほど苦戦しなかったかもしれない。内海哲也なら多和田真三郎や今井達也あたりにいい影響を与えられそうな気がする。

なお、炭谷クラスの人的補償内海哲也なのかという声もネットで見つけたが、巨人は明らかに捕手がウイークポイントゆえ、今回の移籍はトレードだったとしても妥当と考える。炭谷はもうひと花咲かせたい。巨人は捕手を補強。内海は請われて西武で後輩を育て、巨人にいずれ戻る。残念なのは東京ドームで引退登板できないことくらいだろう。

とはいえ、脇谷のように戻ってくるパターンもなくはない。西武ファンからしたら最初から帰る気満々の移籍は納得できないかもしれないが、若手のスキルアップのためと割り切ってはいかがだろうか。

ちなみに巨人以上に情けないと思ったのが楽天。浅村の人的補償で西武は誰かを取れるのだが、辻監督は「ピンとこない」そうなのだ(ネタ元は日刊スポーツ記事)。金銭による補償も確かに選択肢ではあるが、何とも寂しい話だ。浅村が来てくれたと言って喜んでばかりもいられない。

ちなみにオリックス阪神移籍の西勇輝人的補償で通算1勝の竹安大知を指名した。仮にプロテクトされていなかったらズバッと能見篤史辺りを指名しても面白かった(選手本人は大変だろうが)。竹安が大ブレイクする可能性はあるのだが、オリックスは話題づくりの面でも地味である。人的補償にも各球団のカラーが表れるなと実感した1日だった。

変わるより、変わらない方が恐ろしい~松田宣浩が異例の背番号再変更

変化は勇気だと思う。「例年通り」「慣例」。年々、変わらないことへの抵抗感が薄れる。それどころか心地よささえ感じつつある。危ない、危ない。だからこそ、気持ちがいいなと思った。松田宣浩の背番号再変更。そう、だめだったら変えたらいいのだ。

背番号3に変更したのは長嶋茂雄への憧れからだった。さらに、背番号3を背負うことでサードは誰にも渡さないとまで言っていた。それだけに、あの決意は何だったんだと最初は思った。

年がら年中 長嶋茂雄

年がら年中 長嶋茂雄



そこで元に戻せてしまうのが松田宣浩の良さなのだろう。今季はスタメンを外れる試合があり、連続先発出場が途切れた。打撃もホームランは32本を放ったが、精彩を欠いてクライマックスシリーズ日本シリーズでもスタメンを外れた日があった。だからこそ、何かを変えなければならないと考えたのだろう。
松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)

松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)



今季、印象的なシーンがあった。9月29日の西武戦。2009年以来の9番へと降格させられた日に松田は奮起し、ホームランを2発放った。しかし最初のホームラン後は恒例の「熱男」をやらなかった。松田のキャラからしたらパフォーマンスしてもよかった。だが、松田はやらなかった。そこに松田の意地を見た。明るく元気なムードメーカー。その裏には激しい闘志がある。

今回の背番号再変更はきっと、松田なりの危機感の現れだろう。歩みを止めれば、あっという間に流されていく。だからこそ常に流れ以上のスピードで進まねばならない。松田にとっては背番号再変更が仕切り直しの号砲なのだ。ベテランになればもう誰もきっかけなんてくれない。自分で献立るしかない。

背番号5に戻ることは即、近年の好調時に戻ること、ではない。だが、戻すという決意の現れとも取れる。敢えて言えば松田が本調子だったら西武とはもっと競り合っただろう。2019年、ホークスがペナントを奪回するためには松田の復活が欠かせない。

ホークスは日本シリーズ中、グラシアルや西田にサードを守らせたりした。あの大一番の最中、したたかである。それは2019年シーズンへの布石だったのか。確かに松田の実績はグラシアルより西田より十分だが、松田からしたら危機感は十分だろう。パッと見、松田は追い込まれているが、もし松田が2020年も現役を続けられていたとしたら、それは2018年があったから、になると思う。そう、落ちることは、決してマイナスばかりではない。

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巨人ファンは菅野智之の年俸6億5000万円を素直に喜べない

菅野智之が6億5000万円で契約更改した。15勝8敗、3年連続の最優秀防御率など、2018年シーズンに残した数字からして妥当なのかもしれない。しかし、なぜだろう、このモヤモヤは。

 

報知新聞社 菅野智之 (読売ジャイアンツ) 2019年 カレンダー B2 プロ野球
 

 

そう、最後に登板機会になり得た広島とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージに菅野が登場しなかったからだ。


菅野智之自身は登板したかったのかもしれない。しかし登板機会は与えられなかった。中4日だったことも理由かもしれない。しかし、広島が強くて一矢報いるだけで精一杯だったとしても最後は菅野で終わりたかった。それがファン心理というものだ。


特に終戦はそのまま、由伸ジャイアンツの終焉を意味する。たとえ菅野で敗れても、高橋由伸監督はすっきりしたのではなかろうか。一説によれば、登板回避は次期監督が決まっていた原辰徳監督の意向とも。それはあくまでも推測や詮索の域を出ないのだが、勝負時にエースが登板しないことが何より、巨人の情けない体たらくを意味しているようにしか思えなかった。

…………からの6億5000万円である。一般人からしたら巨額すぎてうらやましくも思えないが、菅野智之には年俸面ではなく、ここぞという時にチームを救うエースになってもらいたい。それが真のエースではなかろうか。


恐らく田中将大なら投げていた。
恐らく黒田博樹でも投げていた。
エースとは勝ち星の多い男ではない。
負けない男だ。

菅野は2019年から伝統の背番号18を背負う。藤田元司堀内恒夫桑田真澄。18番の重みを知っている人たちだ。菅野は誰かを引きずり下ろしてエースにのしあがったわけではない。そこが菅野の弱味だ。仮に上原がチームに居続けて菅野とつばぜり合いを繰り広げていたら、菅野はもっともっと野太く育っていたはずだ。

 

闘志力。―人間「上原浩治」から何を学ぶのか

闘志力。―人間「上原浩治」から何を学ぶのか

 

 

巨人が先を見据えるならば菅野がバリバリのエースであるうちにどんどん若手をけしかけていかねばならない。そうしないと投手陣は細い木ばかりがそろっている林にしかならない。大木は簡単には育たない。巨人が優勝争いから脱落し続けている間に失ったものは想像以上に大きい。


菅野にとっても、巨人にとっても、2019年は非常に大事なシーズンであることは間違いない。

プロも認めた!西武・源田壮亮の守備がすごい理由とは

フジテレビの「S-PARK」プロ野球100人分の1位、守備No.1に西武ライオンズ源田壮亮が選ばれた。後出しじゃんけんで恐縮だが黒柴スポーツ新聞は予想的中。この賞は4年連続で菊池涼介が選ばれていたのだが、今回は2位に。玄人好みの源田に軍配が上がった点は興味深い。さすが、プロ野球ニュースをルーツに持つ番組である。



番組には源田壮亮本人が生出演。守備の極意を宮司愛海アナウンサーに問われると「はじめの一歩」が大事だと答えた。

いち早い始動は今季引退した守備の名手、ロッテの岡田幸文も意識していたと、スポーツニュースで見たことがある。バットがボールをとらえる前に動くこともあったという。

源田もまた、球種やら、ピッチャーとバッターの兼ね合いではじめの一歩を工夫しているという。キャッチャーが内角に構えるか、外角に構えるかで重心を変えたりするのだろうかとか想像してみた。とにかく1球ごとに工夫しているという。

源田壮亮がなぜ堅守なのか。今回の出演で分かったことは、想像力と適応力、そして実行力がそろっていることだ。まずは打球のコースを読む。これは上に書いた通り。

次に、ゴロならばバウンドに合わせてステップする。ゴロに合わせるのがうまい点は、この日サプライズ出演した同僚の金子も評価していた。野手は打球のバウンドを選べない。つまり自分が対応するしかない。社会人が仕事をする上でも、提携先やら発注先の都合で予定が変わることはよくある。アクシデントにも軽やかに対応したいものだ。源田はスマートに歩調を合わせて次の送球がしやすい態勢に持ち込んでいる。



そして、まとめの実行力。源田のスローイングには安定感がある。いくらカッコよく捕球できても、送球が乱れたら何にもならない。ランナーがたまってピンチになってしまう。アウトにできる時は確実にアウトにしておく。デキる人の鉄則である。

準備と適応力と確実性。そう、実は特別なことではない。源田壮亮の守備は、菊池涼介みたいな派手さはない。エンターテイメント的な要素としては、魅せる、ワクワクさせる菊池の方が高い評価なのだろうが、ゴロを難なく処理していく源田壮亮ももっと評価されてもいい。ちなみに源田の得票は選手100人中、41票にもなった(2位の菊池は32票。これも十分すごい)。経験を積めば積むほど自分の中でモデルケースが出来上がってしまい、必要な手順を省略しがちだ。基本に忠実であり続けることは案外難しい。地味ながら確実にアウトを取っていく源田の堅守を見るたびに、基本の大切さを再認識させられる。

源田壮亮は新人から2年連続で全試合フルイニング出場。これはプロ野球史上初の快挙だ。2018年は遊撃手としてベストナインゴールデングラブ賞をダブル受賞。気が早い話ではあるが、源田のFA流出を未然に防ぐためにも今のうちから最大級の評価をしてあげてほしい。

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※2019年4月12日追記:
源田選手と元「乃木坂46」で女優の衛藤美彩さんの交際が報じられました。
衛藤さんのハートもナイスキャッチ。さすが守備の名手ですね。


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