甲子園でガッツポーズは悪なのか~創志学園・西投手に球審が「指導」
岡山が生んだ「燃える男」星野仙一ならどう評価するだろうか。創志学園(岡山)の西純矢投手に対し、必要以上のガッツポーズをしないよう球審から指導が行われた。舞台は夏の甲子園。気持ちが高ぶるのも無理はないのだが…
高野連事務局長によれば大会本部からの注意ではないという(8月15日スポニチ記事より)。審判が見るに見かねて、といったところだろう。映像で見てみたが確かになかなかのもの。体を反らせながらの「チョレイ!」でおなじみの卓球・張本智和をほうふつさせる。
そもそも野球は礼儀にうるさいスポーツ。高校野球ならなおさらだ。試合前は整列して一礼。グラウンドの入退時も帽子を取って一礼。勝ったチームは負けたチームより先に引き揚げるが、その際も破ったチームの最前列にいる監督に一人一人一礼してから出ていく。必要以上に礼儀を求めるのはどうかと思うが、これらからは勝利史上主義は感じられない。あるのは野球ができることへの感謝なり、相手校への敬意といったところだろう。
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創志学園の西純矢が相手をリスペクトしていない、とは言わないが、割合としては自分を鼓舞する要素が非常に多いように見える。スポニチ記事によれば長沢監督いわく、ガッツポーズは西の自己表現であり、弱いからこそ取る態度という。
同じ高校野球で活躍した田中将大は現役屈指のガッツポーズ実践者だ。日本シリーズでは派手に吠え、当時巨人のロペスと険悪なムードに。沢村賞選考委員からは少年の模範であれと、マウンド上の態度に注文がついたこともある。
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田中将大の場合はエンジンがかかってきたなというのが見ていて分かる。勝負所でギアを上げる。そこで仕留めて雄叫びを上げる。それでも相手に対してやっているようには見えない。
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そう、ガッツポーズにもやりようがあるのだ。クールに見える大谷翔平だってここぞの場面では声が出ていた。菊池雄星みたいにうつむきながらパチーン!とグラブをはたいて自己完結する手もある。
自分がやりたいからやる、というのはいかにも未熟。自分さえよければいいのかとも思ってしまう。自分のペースでしか話せない。自分のペースでしか動かない。話を聞かない。そんな方々は社会に一定いて、迷惑この上ない。そういう人にはなりたくないものだ。
創志学園には申し訳ないが、2年生である西純矢の精神的成長を期待する意味でも、この下関国際に喫した逆転負けには大きな意味があったと思う。伸びのあるストレートは一級品。クールに試合運びができるようになれば鬼に金棒だ。
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一つ残念だったのは球審からの指導を西は「強い口調」と受け止め、リズムが狂ったと感じていることだ。そもそも原因を作ったのは西だから自業自得にも思うし、敗因をそこに置いてほしくもないのだが。熱くなりがちな選手には特に、的確に指導するためにもイニング間に監督も交えて一緒に「しっかりやろう」と諭すことはできなかっただろうか。今回は非常にレアケースだろうが効果的な指導を求めたい。
また、ガッツポーズ自体は悪くないので必要以上にナーバスにならないでほしい。確かに西純矢が言うように「出てしまう」ものなのだろう。学校によっては一律禁止の所もあるようだがそれも何だか味気ない。相手をリスペクトしつつガッツポーズすることはできるし、そういう人の方が素敵と思う。お互いに力を出しきり、高め合って、これからも熱い試合を見せてほしい。