黒柴スポーツ新聞

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契約更改をボーッと眺めるのはもったいない~ソフトバンク石川柊太と武田翔太に学ぶ

成功するためには、過去の失敗と向き合わねばならない。仕事師の先輩たちとそんな話をした後に、ソフトバンク武田翔太の契約更改記事を読んだ。そして知った。飛躍のきっかけがあの最短KOされた日だったと武田が自覚していることを。


500万円ダウンの8500万円。確かに4勝9敗は武田翔太のポテンシャルからしていただけない。ただし後半戦は、複数回投げられる「第2先発」というポジションを確立したかに見え、ポストシーズンはうまく勝ちパターンにはまっていた。



面白いのは石川柊太との違いだ。石川も武田同様、先発ができる。石川は中継ぎもこなして、チーム最多タイの13勝をマークした。石川は今後も先発・中継ぎの両立を求められることを見越してオフに出来高払いの契約を提案。球団の理解を得た経緯があることは下の記事で紹介した通りだ。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com


武田翔太は中継ぎに配置転換されたことにより、短いイニングでペース配分すればよくなったことで球速がアップ。それが抑えられる一因だと秋山幸二が解説していた。武田翔太は新しい働き場所を見つけたかに見えた。


が、武田は石川とは違って、先発を希望した。中継ぎを経験したことでその大変さを実感。先発をして、いい形で中継ぎにつなげたいのだという。


2018年の武田翔太は好不調の波が激しすぎた。4勝ではあるが3完封している。ファンとしてはイライラした。そう、期待値が高いと、うまくいかなかった場合はそのギャップがそのままストレスになるのだ。もちろん武田翔太だって自分自身にいらだったことだろう。こんなはずじゃない、こんなはずじゃないんだ、と。


象徴的だったのが武田自身が分岐点と認識している、7月18日の北九州での登板。2回7失点で最短KOされ、2軍行きを命じられたのだ。無期限調整という表現も飛び出した。調整というよりは降格、反省せよという意味合いが強い。


ところがここで武田翔太に風が吹いた。先輩の中田賢一がウイルス性胃腸炎に。武田が緊急登板することになり、なんと完封してしまったのだ。結果的には短期間ではあったが2軍での調整が効を奏した。


そう、7年目でプロ最短KOを喫したことで武田はあらためて、自分と向き合ったのだ。失敗を受け止めたことで、改善の余地を見いだした。本来の姿を取り戻そうとしたのだ。


武田は勉強ができたらしい。プログラミングもできるそうだ。そして読書家でもあるらしい。飄々としている印象で、例えば2018年にサファテの代役を務めた森唯斗みたいに背中から湯気の立つタイプではない。そのためやる気を周りが感じられないふしがある。だが、武田は実はものすごく考える人だと筆者は理解している。


第2先発として結果を出した二人のうち、石川は石川なりに考えて先発&中継ぎを想定した。そして武田翔太は本来のポジションである先発を目指すことにした。起用法は首脳陣が考えるから2019年がどうなるかは分からないのだが、頼もしいのはこれからのピッチャーたちが能動的である点だ。これからの時代、働く場所は自分でつくらないといけない。そうしないと、少なくとも成長はできない。


トップ選手を除き、いくら上がりました、いくら下がりました、は実はたいしたトピックではない。契約更改シーズンは選手の個性やモチベーションを垣間見られる貴重な時期。そして交渉の経過や結果には、仕事を前向きに進めるヒントが埋もれている。誰それが何億円、何千万円という見出しを付けたり、流し読みするだけではまったく意味がないのである。

2018年シーズンオフの契約更改関連記事はこちら。
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