黒柴スポーツ新聞

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根尾は31年ぶり高卒新人開幕スタメンなるか~ひたすらにショートの話

中日ドラゴンズへの入団が決まった根尾を応援したい。藪から棒に何なんだと言われそうだが、急に見方が変わったのだ。彼がショート一本で勝負したいと言ったからだ。


大谷翔平が球界の大物たちの見立てを覆して二刀流を軌道に乗せたことで、マルチに才能を発揮することの価値は不動のものになるかと思っていた。が、根尾はそこに挑戦はしなかった。それはなぜなのだろう。



ひょっとしたら、自分は大谷翔平ほどにはできないと思ったのかもしれない。春夏連覇に貢献して才能は十二分に発揮したし、評価もしてもらえたはず。しかしデキる人だからこそ、自分の到達点は自覚しているのかもしれない。もっとも大谷翔平と比べたら大概の人は同じステージを目指そうとはしないだろうけれども。

そもそも、高校を出たばかりでプロの1軍でやろうというだけでもすごい。もし根尾が開幕スタメンに名を連ねることになれば、立浪和義の高卒新人開幕先発メンバーだという。そう、その1988年以来30年誰もなし得なかったすごいことなのだ。

根尾ならばやろうと思えばピッチャーとしてもそこそこやれるかもしれない。そこを封印してショート一本でやる。何か覚悟のようなものを感じた。まったく慢心がない。

迎え撃つ中日のショート、京田もまた勝負の年。レジェンド荒木雅博が引退したため、セカンドに回るのか。だとしたら根尾に屈したとも見えてしまう。チームの方針とはいえ、プライドはズタズタだろう。

ちなみに立浪和義の場合は宇野勝がセカンドに回ることになった。宇野はショートでも41本塁打(遊撃手史上シーズン最多ホームラン)をマークするなど実績十分だったが、遊撃手の座を高卒新人に譲らされた。だが立浪和義が後に名球会入りしたことを考えると、新人時代から使った中日首脳陣の見立ては確かだったことになる。

野球好きならここであの男の名前が頭に浮かぶはずだ。森岡良介。根尾や立浪和義と同じく甲子園制覇のショートとして、中日にドラフト1位指名された。筆者は立浪和義のようにドラゴンズの主軸として長期的に活躍する森岡の姿を期待していた。しかし森岡立浪和義にはなれなかった。なぜならばこの時期中日の内野はアライバコンビがいたからだ。そう、プロ野球選手には「時の運」も必要なのだ。

大多数の野球ファンと同じく、根尾には抜群のセンスを感じている。だから、根尾がショート一本で頑張りたいと言った時に、それならぜひ名ショートになってほしいと思った。池山隆寛宇野勝のような長打力が魅力のショートもいいが、センスの塊のようなショートも見てみたい。

今、一番うまいショートは誰なのだろう。2018年のゴールデン・グラブ賞はセ・リーグ田中広輔パ・リーグ源田壮亮だ。筆者は今宮健太が好きなのだが、ゴロをことごとく確実にさばく源田もうまいなと思う。派手さはない。むしろ地味である。ポジションは違うが同じ内野手では華やかさが売りの菊池涼介が何かと注目されるが、守備力という意味では源田が上だと思う。菊池の場合は攻撃的でチームを活気付ける守備だ。職人芸ではない。その点、源田のゴールデン・グラブ賞は通好みである。

果たして根尾は開幕先発の栄誉を勝ち取りショートを守ることができるのか。ショートに定着するなら堅実派なのか派手なのか。来春まで楽しみに待っておこう。