黒柴スポーツ新聞

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脱皮できないヘビは死ぬ~長谷部誠「心を整える。」を読んで

心を整える。素敵なタイトルだ。サッカーのロシアW杯までキャプテンを務めた長谷部誠の「心を整える。」を読了した。読んですぐに効果を発揮できるものではないが、意識は変わってきた。今回はそのおすそわけをしたい。



最も心に残ったのは第8章「脱皮する」。40代ともなると知識を付け、経験を積み、それなりにやっていけるものだ。が、実はこの「それなりに」が、くせ者だ。そつなくやれてしまうことで疑問が浮かばない。結果的に改善や成長の機会を逸しているのだ。

かつて新聞のレイアウト部門にいたのだが、先輩たちのようにセオリー通りの紙面を組めるようになるとうれしくなった。が、それはスタート地点、いろはの「い」に過ぎない。それどころか、教科書を後生大事に持ち続けるのは時代に取り残されるリスクさえある。流行や好みはすぐに変わっていくのだから、編集者とて合わせていかねばならない。

だが変われない組織はあるものだ。特に老舗なら歴史だ伝統だとさまざまな制約があることだろう。さらに、現状を変えたくない人々もいる。これらが融合した結果、変化は生まれない。

心を整える。」のサブタイトルは、勝利をたぐり寄せるための56の習慣、となっている。第8章の「脱皮する」では、46個目の習慣として、「変化に対応する」ことをすすめている。

事例として岡田ジャパン時代に、以前からの戦術と、新しい戦術のどちらを選択すべきかという局面があったことが紹介されている。大会直前でもあり、長谷部誠は以前からの戦術でいくべきと考えた。が、正解が分からなくなってしまった。
勝負哲学

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その時、道を示したのが持参していた本「超訳 ニーチェの言葉」。脱皮して生きていく、という項目が目に飛び込んできたそうだ。いわく、脱皮しないヘビが破滅するように、人間も古い考えの皮をかぶったままだと内側から腐っていく。成長できないどころか死んでしまう、というのだ。まことに恐ろしい。

まあ、脱皮するためにはメリメリっと皮を脱ぎたくなるくらい成長もしていないと。現状維持なら脱皮する必要がないのだ。しかし内側から腐っていく懸念はあるのだから、油断はできない。

大事なことに気付いた長谷部は岡田監督の新しい戦術を信じることにした。また、「もしまわりが脱皮しようとしているのに、自分だけが古い皮をかぶったままだったら、チームに迷惑をかけてしまっていたと思う」と振り返っている。そう、変化を恐れたらまわりを巻き込みかねないのだ。もちろん、現状維持至上主義のチームであれば話は別だが。

この「心を整える。」はほどよく世の中に浸透したようで、5年前の2014年1月現在で136万部を突破したそうだ。遅まきながら筆者もその輪に入れていただいたわけだが、一つずつ、少しずつ、勝利をたぐり寄せる習慣を取り入れていこうと思う。皆さんも、もし心がいくらか乱れてるかな?と思った時は心をメンテナンスするために、この本をぜひ手にとってみてください。