黒柴スポーツ新聞

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甲子園で農業高校が優勝したことはある?~金足農業34年ぶりベスト4に秋田沸騰

秋田の金足農業高校が第100回夏の甲子園で旋風を巻き起こしている。ドラフト1位候補のエース吉田輝星が軸なのは確かだが、3回戦で劇的な逆転ホームランの高橋、準々決勝でツーランスクイズを決めた斎藤&2塁走者の菊地彪吾など、日替わりヒーローが出てきて見ている人を楽しませてくれている。

金足農業夏の甲子園ベスト4はあのPL学園と好勝負を演じた1984年以来、34年ぶりの快挙。そのPL学園で一時代を築いた桑田真澄が、金足農業日大三の準決勝前にレジェンド始球式を行うのも不思議な縁だ。34年前は桑田真澄のホームランで金足農業は敗れたが、今回はレジェンドからパワーをもらってほしい。
完本 桑田真澄 (文春文庫)

完本 桑田真澄 (文春文庫)

当時のPL学園は今で言えば大阪桐蔭。抜群のセンスや能力の選手が集うタレント集団だ。対する金足農業は雑草軍団を自認。これは今も変わらないらしい。農業高校だけに雑草というのも誉め言葉には見えない?が、雑草軍団が決勝でタレント集団の大阪桐蔭と相まみえるともなれば、判官贔屓高校野球ファンはこぞって金足農業を応援するに違いない。そのためにはまず金足農業は準決勝で名門の日大三に勝たねばならないのだが。そして大阪桐蔭を先に書いてしまったが大阪桐蔭とて実力校の済美にまず勝たねばならない。大阪桐蔭には大阪桐蔭の思いがある。みんな大阪桐蔭で甲子園を目指してきた。同じ私立の済美日大三の選手にも当てはまるだろう。こうした強豪と、金足農業のような公立校がぶつかり合うのも高校野球、甲子園の醍醐味だ。まさに100回大会にふさわしい。そこでふと疑問が。過去99回で「農業高校」が優勝したことはあったのか? スポーツ紙のサイトで歴代優勝校を眺めてみたら……答えは、農、いや、NO。中京商業や広島商業松山商業など「商業」はいっぱいあるが農業高校はゼロ。「工業」ならば三池工業があまりにも有名。果たして金足農業は農業高校初の甲子園制覇ができるだろうか?ちなみに戦前1931年に台湾の嘉義農林(かぎのうりん)が準優勝を果たしている(優勝は中京商業)。台湾というのが時代背景を感じさせるが、嘉義農林の活躍については映画化(さらには漫画化、小説化)もされているのでそちらで勉強しようと思う。興味のある方はぜひ。
KANO ―カノ―: 1931 海の向こうの甲子園

KANO ―カノ―: 1931 海の向こうの甲子園

KANO 1931海の向こうの甲子園

KANO 1931海の向こうの甲子園

奇しくも嘉義農林関係者はこの第100回大会開会式にユニフォーム姿で参加していた。胸には「KANO」の文字。金足農業のユニフォーム「KANANO」とはデザインこそ違うものの、通じるものはある。嘉義農林がつかめなかった栄冠に果たして金足農業は手が届くだろうか。秋田県民ならずとも目が離せない。

8月20日追記 金足農業は準決勝で日大三を破り決勝に進出しました。おめでとうございます!


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