黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

「おまいう」にならないために〜ソフトバンク今宮選手会長は覇権奪回のキーマン

今宮健太が新選手会長を務めることになった。東スポWeb記事、ソフトバンク・ 今宮 「自分のことで精いっぱい」なのに… 選手会長を引き受けたワケ には、「選手会長という肩書が付くことで行動を促されると思うんです」と、今宮が選手会長就任を受諾した理由が書かれていた。これはいい決断だと思った。なぜなら2022年のホークスのキーマンだからだ。

今宮健太は2021年12月、現状維持の年俸2.9億円でサインした。4年契約ので3年目であるし、大きく下がりはしないのだが、正直なところその年俸に値するのかと思ってしまった。あとから分かったが今宮は4年連続で規定打席に達していない。そう、打つ方でその年俸に見合うのか?という意味だ。今宮の守備の素晴らしさはプロ野球ファンなら誰でも知っている。

決して大きくはない体で目一杯のプレーをした代償だろう。今宮は1年間フルでショートを守れなかった。脚の状態が万全ではない。休ませながら使わざるを得ないのだ。そうした不安と低迷する打率。125試合で打率は.214。ホークスのショートとして許される数字ではない。打線が迫力を欠いた原因の一つが今宮であり、ホークス4位の背景と言ってもいいだろう。つまり今宮が活躍するかが覇権奪回の鍵を握るからキーマンと書いたわけだ。

で、今宮には何かきっかけがないとなと思っていたところ新選手会長就任を知ったので、これはいいなと思った次第。東スポWeb記事に書いてあるが、結果を出さないと選手会長としての発言に説得力がない。最近知った言葉で恐縮だが「おまいう」というネットスラングがあるそうだ。そう、おまえが言うな的なニュアンス。選手会長は球団と選手の橋渡し役だが、成績を伴わないと発言に重みがなくなってしまう。

選手会長になっていなくとも2022年は今宮にとって正念場だ。ドラフトでホークスはNTT西日本から野村勇を指名。野村は「ショートで勝負したい」と表明している。新人は抱負を問われるとは言え、これは今宮への挑戦状だ。今宮はどう受け止めたか。野村は野村で社会人出身だから結果を求めてくるはずだ。今宮とてうかうかできない。新外国人のガルビスも野村同様、内野の複数ポジションOK。となると今宮がショートにいるかどうかで内野の顔ぶれが決まる。やっぱり今宮はキーマンなのだ。

役が人をつくるという言葉もある。今宮の選手会長就任へ背中を押したのは中村晃。「選手会長をやることはプラス。思うような結果が出ていない時だからこそ、いいきっかけになるんじゃないかなと思うんです。そう思って薦めました」(東スポWeb記事より)。今宮がその思いに応えた時、きっとホークスはいい位置にいる。

箱根駅伝は全国大会になるべき?〜見どころの山登りは残してほしい

スポーツ文化評論家の玉木正之さんが箱根駅伝のあり方に苦言を呈したという(RKBにて放送、radiko newsより)。放映権料の行き先のオープン化など同意できる部分もあるが、二つ反対意見が浮かんだ。箱根駅伝を全国大会にすることと、山登りの必要はないという2点に対して、だ。箱根駅伝は関東近辺の大学が参加するままでいいし、山を登るからこそドラマチックなのだと思う。

玉木さんが全国化を提唱するのは、関東にばかり戦力が集まることを懸念しているためだ。確かに特定の地区だけレベルアップするより全国的に底上げされる方が日本のスポーツ発展への貢献度は高い。また、何でもかんでも東京集中というのは如何というのも納得。われわれ地方在住からして東京はそんなに偉いかと思わないこともないし、便利さの追求は東京も地方も平等であるべきとも考えている。


でも全国大会と言えばすでに全日本大学駅伝があるので、それでいいじゃんと思った。その大会をもっと盛り上げ、メジャーにしていけば玉木さんが言われるように、全体的なレベルアップにつながるし、地方大学であっても参加しやすくなるのではないか?…と考えたが、素人でも一つ課題を見つけてしまった。箱根駅伝に出ないと、出雲駅伝を含めた「三冠」にはなれない…。


もう一つの山登り不要論には真っ向反対する。玉木さんはこの高低差はマラソンではルール違反と言われるが、箱根駅伝はマラソンではない。また、選手起用の失敗はあり得るが基本的には山登りを意識して選手は選ばれるし、登りを得意と思うからこそ5区を走りたいと思うわけだ。視聴者としては単純に山登り区間を楽しんでいる。なぜなら順位変動が起こりそうだからだ。平地だと持ちタイムがそのまま結果に現れるのではとドキドキ感が少ない。しかし山登り区間は高低差、気温差、風ありと選手を苦しめる要素がある。トップを走るからと言ってセーフティーなわけでもなく、下位だからと言って諦める区間でもない。一発逆転もあり得るし、リタイアや体調不良の危険性もある。選手にリスクを負わせることを喜んで見るつもりはないのだが、安全性が担保できるならぜひ山登りや山下りはそのままでお願いしたい。


箱根駅伝は中継も含めて総合芸術と思っている。日本テレビアナウンサーの淀みない実況はまさにプロの技。事前取材の内容はどの程度盛り込めるものなのか。当日のレース展開により話す内容は変わるはずなのに、上手に紹介できるよなと感心してしまう。解説陣も安定感あるし、ゲストは結果を残したOBらなので、タレント感もなく純粋に競技性を楽しめる。サッポロビールや競馬のCMが多い印象で、そこはちょっとげんなりしてしまうが、まあ正月らしさも感じられる。CM前に昔の映像が流れるが、ランナーの近くを走る車はだいたい人がわんさか乗っており法律違反じゃないのかと思う。そんな絵巻物感、心地よいマンネリズム、そのあたりが箱根駅伝人気につながっていると分析する。ちなみにわが黒柴スポーツ新聞も、箱根駅伝期間中は通常の3倍から4倍のアクセスがある。そして明らかに駅伝記事が読まれている。


出場校の栄枯盛衰もありながら連綿と続いてきた箱根駅伝はぼちぼち100回目だという。玉木さんは改革したらと提案されているが、変わったらよい点も、残してほしいスタイルもあると思う。レース自体はまだ高速化するというハイレベルな状況で、日本の若者の能力の高さには脱帽してしまう。箱根駅伝がどうなっていくにせよ最終的には、若いランナーが思う存分実力を発揮して、視聴者が楽しめる大会であってほしいと願っている。

お土産、ネクタイ、背番号。元ソフトバンク岩嵜の中日入団会見はどう報じられたか

暇ネタと言われるフリーなネタの取材が多かったためか、記者会見に出たことはほとんどない。横一線、構えられた場での取材はいかにもつまらなそうという偏見を持っているのだが、恐らくそこにも質問の仕方や他社との駆け引きがあり、そこはそこで戦場だろうと想像する。で、各社ほぼ平等な取材条件ならどれだけ差別化できるかが腕の見せ所なのだが、ソフトバンクから中日に移籍した岩嵜翔の入団会見記事も各社いろいろと工夫してあり、読み比べが楽しめた。

読んだ中では日刊スポーツ、人的補償で中日入り 岩崎翔が青ネクタイで入団会見、 又吉の 背番 「16」継承 が面白かった。なんと岩嵜は報道陣にお土産「博多通りもん」を差し入れした。入団会見でお菓子をあげた選手、過去にいたのだろうか? このエピソードからも岩嵜の人柄が伝わる。福岡のお菓子だから、いかにもソフトバンクから来ましたがよろしくお願いしますというメッセージにも見える。岩嵜ナイスチョイスである。


このお土産については中日スポーツも【中日】岩崎翔、報道陣に「博多通りもん」配る 青色のネクタイはイオンで購入 背番号は又吉と同じ『16』 と見出しに取って報じた。が、日刊スポーツの何がよかったかというと、記事の終わりに博多通りもんについての紹介メモを付けたことだ。これは新聞記事でよくあるのだが、実はこのひと手間をやらない記者はいる。ま、分かるよね、という感覚なのだろう。しかし料理と同じでそのひと手間を惜しむと素材の良さは引き立たない。


トータルの見出しでは中日スポーツがよかった。お土産にも触れたし、岩嵜がイオンでドラゴンズカラーの青いネクタイを買ったことにも言及。岩嵜の「早く中日の一員になろう」という気持ちも伝わってくる。また、今回の移籍はFA宣言してソフトバンクが獲得した又吉の人的補償であるから、岩嵜の背番号が又吉と同じ16になったことを見出しにすることでそこも網羅している。見出しで全部言うかどうかはテクニック論になるが、一通りもれなく紹介するのはドラゴンズ与党紙、地元紙としての責務なのだろう。

ちなみにその他各社の見出しは以下の通り。

スポニチ】中日・ 岩崎  セット アッパー 名乗り  又吉の 背番号 16 継承 「立浪監督を 胴上げ したい」

東スポWeb】人的補償で 入団の 中日・ 岩崎が 会見  背番号16に 「又吉君の イメージに 負けない ように」

【スポーツ報知】ソフトバンクから 人的補償で 加入の 岩崎翔が 入団会見 「立浪監督を 胴上げ したい」 背番号は 16

時事通信】岩崎 「プレーで 恩返し」  プロ野球・ 中日

共同通信】中日の 岩崎 「監督 胴上げを」  入団会見、 背番号は 16に


見出しや記事で何とか差別化を図り、買ってもらおう読んでもらおうという意気込みはスポーツ紙やネットメディアから感じられるがわれわれ一般紙はどうなのか。確かに幅広い世代に読まれるからどの人にも満遍なく受け入れてもらえるようにと無難な表現になりがちだ。また、例えば今回の岩嵜の会見のように地元ネタではない場合は通信社記事を使わざるを得ない。通信社こそ各社どのように使うか分からないから偏った書き方にはならず、「過不足ない」表現になりがちだろう。だからそこからエンタメ性の高い見出しを付けるのは難しい。だが何とか目に触れるようキャッチーな見出しにしないとますます読者は減るのだと最近特に危惧している。ネクタイ、背番号、お土産。岩嵜の入団会見からはネタを何とか活かそうという各社の意気込みが伝わってきた。

戻ってきた人たち〜ソフトバンク2022年は4位から巻き返せるか

2022年にソフトバンクホークスはどうなるのか。2021年はリーグ4位だったからかなり負けたと思っていた。が、実は負け越しが2だけ。もちろん優勝するにはたくさん貯金が必要なので、借金2というのは良くはない。だが必要以上に落胆する必要もないのでは?と思った。

次に、あらためて気付いたのはヘッドコーチが交代したこと。藤本新監督がクローズアップされがちだが、しれっと森浩之ヘッドコーチに戻っている。あら?小久保ヘッドはどうなった?と調べてみたら2軍監督だった。この配置転換をどう見るか。正直なところ、いちホークスファンとしては、2021年の敗因の一つが選手起用や戦術と考えている。どうせ波に乗れないなら若手起用というファンの声もあったが実際は川島慶三や明石頼み。川島は開幕カードでサヨナラ打を放つなど存在感を示したがシーズンを通した活躍とはならず。代打明石に至ってはヒットが出ずTwitterでトレンド入りする始末。明石もプロとしてどうかと思った一方、そういう状態の明石を一発勝負、一か八かの場面で使い続けた首脳陣も悪いと思った。右の打者が手薄と阪神から中谷を取ったのに使わないのも疑問。新外国人も泣かず飛ばずで終わり、打線は火を吹かずに終わったと言っていい。やはり誰かが責任を取らねばならなかった。となると指揮官の工藤監督の辞任は不可避だったかもしれないが、ヘッドコーチもろともとなると、チームとしてはツートップに責任ありと見たのではないか。


個人的には藤本監督が1軍監督として初めてのシーズンなので、経験がある森ヘッドコーチの復帰は頼もしく思う。何せ森ヘッドは日本シリーズを連覇したヘッドコーチなのだから。選手が入れ替わったから前と同じことをして勝てるかというとそうではないが、柔軟性が感じられなかった小久保ヘッドでは藤本新監督を支えるのは難しそうと思う。ヘッドコーチ交代は全く注目されていないが、一つ安心材料には感じられる。


元に戻ると言えば外国人選手もそう。デスパイネとグラシアルは退団の報道もあったが結果的に契約継続。グラシアルはけがの回復がどの程度なのか不安が拭えたわけではないが、未知数の新外国人だらけになるよりはマシだろう。経験があるこの2人に加え、ガルビスという、ショートを中心に内野を守れる新外国人が加入。これは今宮や牧原、グラシアル、中村晃の負担軽減も考えられてなかなかよい補強と見た。あとはどれだけ打つか、ではあるが。投手ではマルティネス・ロスが気になるが、レイが復帰。先発ローテにはまれば心強い。


工藤監督辞任から長谷川引退、高谷と川島戦力外、平石コーチも倉野コーチもマルティネスも去るなど、なんか頼りにしていた人が次々といなくなるなぁとファンとしてはダメージを感じていたが、コーチとして残った人もいる。即戦力は厳しいかもしれないが、将来が楽しみなドラフト1位の風間も取れた。あとは昨年1軍に定着できた三森や、後半から存在感を出してきたリチャードも真価が問われる2022年。4位からの逆襲を楽しみにしている。

ただ勝つのではなく圧勝する〜箱根駅伝、タイムにもこだわった青山学院大学

2022年の箱根駅伝青山学院大学が総合優勝を果たした。2位に10分以上の大差をつける圧勝。勝負は決していたのに、最終盤の9区と10区で区間賞かつ区間新。容赦がない。前年4位だったわけだからまずは勝つことが至上命題なのに、タイムにこだわったのはさすがだ。

勝ち方にこだわった人のことを思い出した。ある首長選。引退の現職に、最後にやりたいことを聞くと「(後継を)勝たす」。さらに付け加えた。「圧勝で」。あまり賑やかなタイプではない政治家だったから、驚いた。だが考えてみたら当然か。圧倒的に勝てば支持基盤は盤石。目指す施策を実行しやすいに違いない。その道筋を作るのが最後の仕事というわけだ。後継候補を作るというやり方の是非は別として、勝ち方にも意味や違いがある、ということは勉強になった。


その点、青山学院大学は他校を萎縮させる意味まではなさそうだ。あくまでも自分たちで高い目標を立ててそれを追い求めた。ただ勝つのではなく、いいタイムで勝つ。優勝以外にも目標を持てた時点で青学は一つレベルが違った。それにしても箱根駅伝はどれだけレベルが上がっていくのか。きょうからまたしのぎの削りあいが始まっている。

勝負事はやってみないと分からない〜箱根駅伝2022、巻き返した順大と法大

仕事始めだったため、箱根駅伝の復路はじっくり見られなかった。往路は見ていたので、青山学院大学が逃げ切るかなとは予想していた。で、昼休みにいそいそ見てみると…何と2位が順天堂大学! 往路何位だったっけ?(今確認したら5位)。やはり学生スポーツはやってみないと分からない。だからこそドラマチック。諦めずに追った順大は素晴らしい。

さて、もう一つ感動したのはわが母校・法政大学。往路は13位ながらシード権は射程圏内。頑張ってほしいなあと思っていたが、ちょうど鶴見中継所だったか30秒くらい及ばない!もどかしいなと思ってほとんど諦めていた。するとゴール前あと1キロあたりで11位から逆転したという。前を走っていた東海大学の選手は最後かなりきつそうな表情だったので調子が悪かったのかもしれない。そもそも本番に体調合わせるのも大変な話だとそこで気付く。そうした外的要因があったかもしれないが、やはり諦めずに走り切ったことが法政のシード権獲得につながったことだろう。法政は往路7位。立派だと思う。勝負事はやってみないと分からない。そんな当たり前のことを正月早々思い出させてもらった。

適材適所で勝つ〜箱根駅伝2022往路は青山学院大学・原晋監督の作戦勝ち

2022年の箱根駅伝は、目まぐるしく首位が入れ替わり、見てる方としてはすごく面白かった。結局、青山学院大学が往路優勝したのだが、山登りの5区に1年生を立てて好結果を出すなど、選手の起用で勝ったとの印象を持った。さすが原監督である。

花の2区という言葉があったりと、区間の持つ意味合いやらコースの特徴がある。そこに「ハマる」選手をいかに使うか。ライバル校の選手を想像しながら組み立てたりもするのだろう。学生陸上界には毎年精鋭が入り、箱根駅伝もどんどんレベルが上がる。学生連合は昨年の往路に比べて15分もタイムを縮めたという。学生が粒ぞろいになれば、余計に誰をどのように走らせるかが重要になってくる。


選手個人にしてみたら言われたところで結果を残すしかないのだが、やはり適性というものはあろう。下りが得意な人は山登りは意味がない(5区にもアップダウンはあるけれど)し、スピードランナーは平地を爆走したらよい。箱根駅伝クラスになれば勝つためにどの監督も計算に計算を重ねてやるだろう。それは一般社会でも同じはずなのに、勝つための布陣にしないところがあるから不思議。玉突き人事なんて言葉があるくらいだから、適材適所でないところは案外多いのかもしれない。


青山学院大学は全員28分台という整った選手層が売りのようだが、往路の優勝を見る限り、しっかり選手の特徴を活かしたのではないか。トップに立った3区は1年生だったが勝ち気な顔つきに見えた。初出場なら臆しても無理はなさそうだが、思い切って勝負したのが功を奏した。同じ1年生の5区山登りも攻めた走り。区間賞には届かなかったものの同じレベルでの好走だった。また、渡辺康幸氏が実は鍵を握ると解説した4区はキャプテンが盤石の走り。こうしてみると、青山学院大学は勝つべくして勝ったとすら思えてくる。面白いことを言ったり独創的なことを実行するので原監督を好まない人も一定いそうな気もするが、今回の選手起用を見てあらためて原監督の戦術に脱帽したし、勝つために選手の特徴を活かすことの重要性に気がついた。一般社会でもぜひそういう適材適所であってほしいと思う。

ニューイヤー駅伝、富士通を追い込んだのは誰だ?

Web用に見出しを付ける仕事をしていると、ついバズりたいなという欲望が頭をもたげる。ただでさえわんさか見に来てもらえるサイトではない。どうにかこうにかというのが実際のところである。そこは腕の見せ所だろうと前向きにとらえているのだが。だから想像してみた。もし仕事だったら、ニューイヤー駅伝富士通に何と見出しを付けただろうか?と。

 

もはや富士通イコール優勝旗紛失がセットになるくらい世間に浸透してしまった。正直に言えば最初にこの不祥事を知った時、こんなことあるのか?と興味を持ってしまった。おいおい!とツッコミも入れた。富士通としては謝るしかないし、実際そうした。それで終わればいいじゃないかと思う。選手がじゃれあって破いたとかそういう話ではないだろう。管理がずさんと言われればそれまでだが、これを機に本物の授与から見直したらという意見があるのも納得できる。個人的にはレプリカで返還なしでよいかなと。強豪チームならレプリカをさらに作るのではなく、何年度うんぬんと書いたヒラヒラを付け足して豪華にしていけばよし。富士通は出場辞退ものだと騒ぐ人は、物をなくしたことはないのだろうか?


富士通は12位だった。連覇を狙いながら優勝争いとは遠い戦いになってしまった。果たして優勝旗紛失がどのくらい響いたのか。皆無ではないだろう。だとしたら非常に残念だ。一年かけて積み上げてきたものを一瞬で破壊する批判とは恐ろしい。かくいう自分も記事を書いた後に言われたことがある。社会的制裁は受けたからな、と。おまえの記事でな、そういうニュアンス。こちらは事実を伝えただけだが、そうとらえる人がいるのだなと実感した。今回富士通の記事を書いた記者もそうかもしれない。それでもレース後の見出しは「優勝旗紛失の富士通」ではなく、せめて「連覇狙った富士通」にしてほしかった。やはり見られる見出しとしては「優勝旗紛失」なんだろうが…。そして唖然としたのはまだ優勝旗関連の質問があったこと。却下されたそうだが、そこは本線なのだろうか? 確かに今後どうするか聞くのは構わないが、もっとレースそのものの方が大事だと思うし、現場にいるからこそ書ける記事を読みたいものだ。今年、自分も見出しをいくつも作るだろうし、記事も書くだろうけれど、対象へのリスペクトや節度はしっかり守ろうとあらためて考えた。

2021年よくシェアされたホークス記事は?黒柴スポーツ新聞的ベスト3

2021年も黒柴スポーツ新聞をご覧いただき、本当にありがとうございました。残念ながらわがホークスは日本シリーズ5連覇を逃すどころか、リーグ4位。ホークスファンは例年より長いシーズンオフとなりました。とは言え、選手はよく頑張ってくれました。そこに敬意を表しつつ、2021年シーズン、黒柴スポーツ新聞のホークス記事でよくシェアされた記事ベスト3を紹介したいと思います。

 


【第1位】
信じる力〜甲斐拓也が岩嵜に送った激励のシグナル
134シェア

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5月19日の西武戦、追い詰められた岩嵜を鼓舞した甲斐拓也のちょっとした振る舞いが注目されました。勝った負けたの表層ではなく、バッテリーの心理に感動するあたり、わが黒柴スポーツ新聞の読者はレベルが高い、お目がタカいと自画自賛したくなりました。この時励まされた岩嵜翔は又吉のFA加入に伴う人的補償で中日へ。新天地でもキャッチーとばっちり信頼関係を築いてもらいたいです。


【第2位】
中村晃が9回劇的同点弾。勝ち越し許した津森宥紀を救う123シェア

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4月18日の西武戦で手痛い失点の津森。しかし中村晃が帳消しにする同点ホームランを放った。ベンチで小さくなって迎える津森に中村晃がしたこととは…晃センパイカッコいいッス! ついでにご結婚おめでとうございます。後輩を思いやれる中村なら幸せな家庭を築くことは間違いなしです。


【第3位】
さらば打撃職人・長谷川勇也〜あの勝負強さをもう一度 96シェア

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そのプレー、その気迫でホークスを鼓舞し続けた長谷川勇也がついに引退。長谷川のプレースタイルから、長谷川の記事はいつもよくシェアされました。この記事では私がホークスにのめり込むきっかけになった、あの杉内と涌井が投げ合った試合での長谷川同点タイムリーや、大けがを負った本塁突入などを振り返っています。長谷川は2022年からはコーチに。指導者として強いホークス再建に力を貸してくれるはずです。期待しましょう。


こうして見ると、やはり心を揺さぶるプレーや振る舞いを追った記事がよくシェアされていることが分かります。2022年も皆さんに楽しんでいただけるよう記事を書いていきます。これからもよろしくお願いいたします!

人的補償は突然に…ソフトバンク岩嵜翔が中日移籍

中日からソフトバンクにFA移籍した又吉の人的補償で、岩嵜翔が中日に行くことが決まった。ホークスファンとしては誰が指名されるかソワソワしていたのだが、個人的には岩嵜の移籍を惜しみつつ、又吉を取ったのだからこのくらいの痛みは仕方ないと受け止めている。年齢的にも又吉31歳、岩嵜32歳と、それぞれもうひと花咲かせてほしいところ。移籍選手は早めに結果を求められがちだから、岩嵜も又吉も2022年からの2年間が勝負だろう。

 

ソフトバンクからの人的補償で経験のあるピッチャー流出と言えば馬原孝浩を思い出す。寺原隼人オリックスから来ることに伴うものだった。馬原と言えばソフトバンクで一時代を築いたストッパーだ。故障明けとは言えプロテクトしなかったんだなとその時ちょっと憤慨した。どの組織でも功労者にはそれなりの待遇をしてほしいからだ。しかしプロ野球は契約の世界、そして実力の世界でもある。馬原は人的補償に驚きつつも、リリーフに転向してからは「チームに貢献できなくなったらいつやめてもいい」と考えていたという(Sportiva記事、人的補償を告げられた瞬間。馬原孝浩は一瞬戸惑い、寺原隼人は絶句した より)。


岩嵜もまた覚悟はしていたようだ。「さすがに驚きはしましたが、プロテクトから外れているんじゃないかということは覚悟していたので。そうなった場合に選んでもらえなかったほうが悲しいなと。選んでいただいたことに感謝してやりたい。どこに行こうがやるしかないので」(東スポ記事より)。この言葉の中で、悲しかったのがプロテクト漏れを覚悟していたこと。岩﨑はなかなかに派手な負け方をするから傷が深い。個人的には2021年、パリーグペナントレース結果を決定付けたのは岩嵜だと考えている。オリックス戦で宗にサヨナラの長打を食らったのだ。ソフトバンクはこのところオリックスがお得意様だったのだが、どうもこの勝利で決定的に、オリックスに自信を与えてしまったのではないか。宗は今年ブレイクしてオリックスの軸になった。対象的に岩嵜はプロテクト漏れし、中日に移籍。プロ野球はくっきりと明暗が分かれる、厳しい世界である。


確かに岩嵜が言うように、プロテクト漏れした挙句、中日から指名されなかったとしたら、それはそれで寂しい話。別に名簿が公表されるわけではないから、もし中日が別の選手を指名していたとしても岩嵜は気付かなかったかもしれない。個人は個人で頑張ればいいのだが、実はさほど組織が必要とみていないとしたら、やっぱり頑張り甲斐は少ないだろう。実は中日は2007年ドラフトで、岩嵜を外れ1位で指名したそうだ。この時はソフトバンクが当たりくじを引いたため、中日入りはしなかった。中日にしてみたら元々高い評価をしていたわけで、届いた名簿に岩嵜の名前があったから「じゃあ」となったのかもしれない。


岩嵜は移籍コメントで「たいした成績を残していない」なんて言ったが、球団記録72試合登板は立派な数字だ。まさに岩嵜が必要とされていた証拠である。けがに苦しんだ後、再び球速を出せるようになったのもすごいと思う。ピンチの時汗をびっしょりかいて、余裕がまったくない表情で投げる岩嵜を見守るのはものすごく疲れる。でも本来、抑えというのはそういう厳しいポジション。抑えて当たり前、打たれたら戦犯。7回や8回が主戦場だったが、中日はその経験込みで獲得したと思う。結果的に又吉とのトレードみたいになったが、両方とも新しいチームでぜひ結果を残してもらいたい。

退団もチラついた⁉︎ 3億円ダウンの松田宣浩の胸のうちとは

松田宣浩が頬を紅潮させていた。野球協約を超える67%の年俸ダウン。減額3億円は2018年の和田毅と並び球団最大だそうだ。それでも年俸は1億5000万円だから、松田は4億5000万円という高給取りだった。大方のホークスファンは納得しないだろう。打率2割3分4厘、本塁打14、打点47。日本シリーズ5連覇を逃すばかりかリーグ4位。ホークスファンからポストシーズンの楽しみを奪った責任は大きい。ゆえに大方のホークスファンは松田の大幅ダウンを納得していることだろう。それは松田自身にも当てはまりそうなのだが、松田はなぜ頬を赤らめていたのか。


一つは減額幅が予想以上に大きかったことではないか。リチャードが後半戦で使われるなどして松田は115試合出場にとどまった。とは言え100試合以上出たわけだし、2軍暮らしでもなかった。9年連続の2ケタ本塁打もマークした。行っても半減くらいに思っていたのではなかろうか。それが一気に3分の1に。オレの評価はそんなに低いのかと思ったのかもしれない。一部報道では移籍の選択肢もチラついたという。(fullcount記事 鷹・松田宣浩、退団の選択肢も「ゼロではなかった」 減額制限超え3億円ダウン」など)。野球協約では1億円を超える選手は減俸されても40%までなのだが、それを拒否した場合は自由契約になり移籍を模索できるという。


熱男とまで呼ばれる男である。チームを愛する男が退団まで考えるとはよほど腹に据えかねたに違いない。だがいかんせん松田宣浩は数字を残せなかった。そして目標である1000打点、2000安打を達成するためにはホークス残留が最もよいと判断した。そんなところではなかろうか。前述の記事には「正直な話、相当な時間がかかりましたし」という松田の言葉が出てくる。迷いながらも現実的な判断を下したというところだろう。移籍したとて三塁手は各球団、主力が鎮座している。松田が勝負してスタメンを勝ち取るのは容易くはない。


とにかく試合に出て個人成績を残すこと。それが一番の貢献だと松田宣浩は考えた。そこは間違っていない。2000安打まで残り189本だから1シーズンでは届かないだろう。現実的にはあと2シーズン。松田は41歳だ。2000安打を目標、モチベーションにできることは松田にとってもホークスにとってもプラスだろう。何とか試合に出たい松田とリチャードが争い、調子のいい方を使えるからだ。松田は試合に出るために一塁を守ることも考えている。三塁手出場のパリーグ記録を作ったのはもう過去の話ということか。このあたりの潔さは松田の魅力の一つでもある。


松田にはムードメーカーとしての魅力がある。しかし実績や立場からして、打つことが最大の貢献でありファンサービスだ。幸いけがを抱えていることはなさそうだ。できればコロナが沈静化してもう少しファンが集まったところで熱男を連発…そんな興奮状態で顔を赤らめた松田宣浩が見たい。

これぞエース、山本由伸が魅せた141球〜ソフトバンク石川も千賀も見習うべし

史上初の前年度最下位チーム同士の日本シリーズが終わった。ヤクルト対オリックスの戦いは6試合すべて接戦、最大でも2点差という、まれに見る大激戦。戦力的にも拮抗していて、とても楽しめる日本シリーズだった。昨日はヤクルトの優勝が決まった第6戦を見ていたが、敗れたオリックスのエース山本由伸の力投が心に残った。特に印象に残ったのは6回。サード宗、ショート紅林が立て続けにエラーをしてしまったが動じる素振りも見せず、後続を断ち切った。まさにさすがエースという態度。今年度の沢村賞投手にふさわしいピッチングだった。


これについては第6戦で解説を務めた新井貴浩も絶賛。スポニチ記事「新井貴浩氏 オリックス・由伸 エースの振る舞い、若手の失策にいらだちも落胆もせず」で褒め讃えた。私も同感。せっかく自分が頑張っているのに周りがミスすると、普通の人ならば足を引っ張るなよと思ってしまうものだ。しかし実力のある人は違う。そのミスを帳消しにすることでさらに評価を高めてしまう。ミスをカバーしてもらった人は今度は別の形で貢献しようという気になるものだ。そうやってチームは強くなっていく。きっと、エラーをした宗も紅林も次、取り返そうという気持ちになったはずだ。


8回を投げ、山本由伸は高山ピッチングコーチと握手をしていた。私はそれを見て9回は平野に交代と思った。しかし山本はコーチや中嶋監督と話をしていた。そして9回のマウンドに立った。恐らくはじめは8回で交代の予定だったのだろう。しかし同点だったこともあり山本が続投を志願したに違いない。結局、山本由伸は141球を投げた。オリックスがもし点を取れていたら、十分完投できていたと思う。


山本由伸が沢村賞に選ばれた時、選考基準が話題になった。ダルビッシュが「時代にあった基準」を求めるコメントを出していたが、確かに分からなくもない。近年はピッチャーの分業化がさらに進み、中継ぎも1イニング限定が多くなった。ほぼ毎試合が継投であり、エースといえども完投が1桁であるのは珍しくない。これでは当分、沢村賞の選考基準の一つである完投数「10以上」は難しそうだ。山本は今年6完投で、別の選考基準であるイニング数(200以上)も届かなかった。しかし日本シリーズでの山本の姿勢を見る限り、山本には常にチームのために腕を振る意識があるように思う。「自分のためではなく、チームのために腕を振ることができる。真のエースの姿だった」。先ほど紹介したスポニチ記事で新井貴浩はそう振り返っていた。


最後に、あえてこの話題を、私が応援するソフトバンクに展開する。開幕投手を務めた石川も、けがから復帰して10勝を挙げた千賀も、今シーズンの完投数はゼロだった。工藤監督は基本的に継投する作戦だから仕方ない面もある。千賀については奪三振型のピッチングスタイルだから球数が増えてしまうことも影響しよう。しかし、ソフトバンクのエース格が6回や7回で降板するのも何だか寂しい。8回にはモイネロという素晴らしいピッチャーがいるものの、石川と千賀クラスならまずは完投を目指して登板してもらいたい。新任の藤本監督は千賀の登板を山本由伸にぶつけるプランも持っているという。千賀が山本より長くマウンドに立つ。まずはそれがV奪回の条件になりそうだ。

日本シリーズ難民も楽しんだ!ヤクルト高橋奎ニが気合のプロ「初完封」

日本シリーズ第2戦、地上波はテレビ東京の中継だ。民放の少ない高知県に住む筆者は毎年何試合か「日本シリーズ難民」になるのだが、2021年も餌食になってしまった。いい加減BS見られるようにすればいいのだが、半分、ネタにしているので綱渡りを楽しむふしもある。しかし見たいものは見たい。試合開始直前に知恵袋の友人に聞いたらparaviなら無料体験があるという。ほほう、面白そうだ。だがradikoのヘビーユーザーでもあるので、1試合くらいはラジオでもいいかなと一度はためらった。が、物は試しだと無料体験をしてみた。うん、やっぱり動画は動画の良さがある。かくして豊浜SAに行ってカーナビでテレ東系を見るという裏技を使わずに済んだ。

試合は高橋奎ニが、シーズンでもやったことがない完封。2ー0でヤクルトがが勝った。オリックスの先発宮城大弥は予想通りのナイスピッチング。6回一死までパーフェクトだったのだが初ヒットを許す。8回には四球やヒットでランナーを背負うと青木宣親に先制タイムリーを喫した。高橋の方が5回まで毎回ヒットを打たれていたのに、最後までマウンドに立っていたのは高橋だった。このあたりが野球の奥深さ。だが野球は流れのスポーツだ。バックネット裏の里崎智也は言った。宮城はヒットを許した、その裏を高橋が3人で抑えたら流れはヤクルトに…と。果たしてその通りになった。6回7回を3人で抑えたことが青木のタイムリーにつながったと言える。さらに8回の追加点が力水になり、高橋は完封することができた。野球は攻撃と守備が表裏一体。そのことがよく分かった。

 そんな面白い試合をparaviの無料体験でタダでも見てしまっていいのだろうか。じゃあ有料会員になってやれよという話なのだが、普段滅多にドラマや映画を見ない私には宝の持ち腐れになりそう。仕事でも趣味でも有料商品を考える立場にありながらあるまじき態度だと重々承知しているが、どうしても見たいものにはあっさりお金を払い、なくてもよいものには1円たりとも払わないという消費者心理を再認識してしまった。お客さまに物を買っていただくのはそんなに易しくない。なかなか日本シリーズのような、お金を払ってでも見にきていただくコンテンツをつくるのは大変である。いつか拙文を有料課金させていただくことも夢見ているのだが、買った方をガッカリさせてはいけないから二の足を踏んでいる。当面はこのブログにて文章修行、人生修行である。 

 日本シリーズオリックス、ヤクルト共に1勝1敗。久しぶりに日本シリーズらしい展開になってきた。宮崎県出身の青木が活躍したから明日の宮崎日日新聞は青木の写真がデカデカと載ることだろう。昨日は熊本県出身の村上宗隆がヒーローになり損なったから熊本日日新聞は紙面展開が変わってしまったことだろう。今時リアルタイムでみんな試合を見るしすぐにアプリでいろんな記事が読めるのでわざわざ新聞なんて読まないだろうが、あの試合を1ページにするとこうなるんだな、この切り口って甘いな、見出しつまんねえな、おれならこうするな、なんてチャチャ入れるのも楽しいもんである。そうするためにも、第3戦もどうにか日本シリーズを見なければならない。私が住む高知県では、中継担当のテレビ朝日の放送はない。しかし次戦はAbemaがある。今年もなんとか乗り切れそうだ。そうやって、皆さん、一緒に日本シリーズを楽しみましょう。

オリックス脅威の粘り。村上、奥川は天国から地獄…2021日本シリーズ波乱の幕開け

日本シリーズ第1戦はヤクルトが3ー1で勝利。2年目の奥川が期待に応えて7回1失点の好投。4番村上宗隆に勝ち越し2ランが飛び出した。一方、オリックスは絶対的エースの山本由伸が先発だったからこの敗戦は痛い1敗となった…。とここまで予定稿を書いておきながら、最終回のオリックスの攻撃が盛り上がってきた。先頭の紅林がライト前ヒット。脅威の代打率4割のジョーンズが四球を選び無死一、二塁。さらに福田周平のバントが三塁アウトかと思われたが、送球がややされて村上が落球。無死満塁のビッグチャンスとなった。しかもバッターは宗。京セラの盛り上がりが最高潮となったところで起死回生の同点2点タイムリー。解説の松坂大輔が「球場の雰囲気が嫌ですね」と言った矢先だった。そして死球のけがから帰ってきた吉田正尚がサヨナラタイムリーでとどめ。ヤクルトベンチの高津監督は動けず、奥川の表情は色を失っていた。

天国から地獄という心境は村上か。4番としてホームランを放ちチームを勝利に近づけながら、最終回に痛恨の落球。マクガフのバント処理の送球が二塁側にそれたものを必死で取りに行ったのだから村上のミスというのも気の毒なのだが、試合の分岐点になったのは間違いない。好投した奥川と共に、この敗戦はプロ野球生活で忘れられない負けになるだろう。

それにしてもオリックスの諦めない攻撃には脱帽するしかない。シーズン中も最後の最後まで粘りに粘るのだがパリーグの各チームは痛い目に遭わされてきた(筆者はソフトバンクファン)。ヤクルトファンの皆さん、これなんです。オリックスが厄介なのは。2点差で最終回を迎える場合は最悪同点があると心の準備をしてください。クライマックスシリーズでも最終回に強硬策、強硬策でを決め、日本シリーズ第1戦もサヨナラ勝ち。ますます厄介になってきた。投手戦を予想していた日本シリーズだが、打ち合いの様相が垣間見えた第1戦。継投の難しさもにじみ出ており、見る側としては楽しめそうな展開になりそうだ。

栗原陵矢が長谷川勇也から受け継ぐもの〜背番号24に込められた思いとは

今季限りで引退した長谷川勇也の背番号24。誰が受け継ぐかと思っていたら、栗原陵矢だった。栗原は長谷川の引退試合で涙を流していた。きっと、特別な思いと共に、背番号24を受け継いでくれることだろう。

受け継ぐ、と言えばホークスの若手に言いたい。長谷川勇也の最後の打席を思い出してほしい。ボテボテの内野ゴロ。それでも長谷川は万に一つの可能性を求めてヘッドスライディングした。高校野球などである、気持ちを表すヘッドスライディングではない。セーフになるためのヘッドスライディング。その証拠に長谷川は頭から突っ込んだ後に審判の方を向いて判定を確かめていた。そしてアウトだと悟ると顔を歪めた。最後の打席をヒットで飾りたかった、というような独りよがりの思いではない。チームが勝つためにチャンスを拡大したかった。だが出来なかった。だからこそ、次打者の甲斐拓也がホームランを打った瞬間、長谷川は喜んで、涙を流した。そう、そこまでが長谷川の最後の打席なのだった。そのくらい長谷川は一打席に賭けていた。若手に言いたいのはその執念。一投一打に賭けていたか。何でも気持ちで片付けるつもりはないが、今季のホークスは気迫が物足りない感じがした。

栗原にはぜひ長谷川の背番号と共に、一打席に賭ける執念を引き継いでもらいたい。そしてもちろん、卓越した技術も。21本塁打と77打点は上等だが、2割7分5厘はやや物足りなかったか。2013年の長谷川は3割4分1厘、198安打。ものすごくハイレベルだが、栗原はそこを目指しているらしい。個人的には勝負強さを磨いてホームランと打点を量産してもらいたいが、果たして栗原は背番号24でどんなバッティングを披露してくれるのか。長打もあり、率も狙えるとしたらオリックス吉田正尚みたいになるのか。だとしたら座るのは3番か?5番か?今からとても楽しみだ。

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