黒柴スポーツ新聞

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退団もチラついた⁉︎ 3億円ダウンの松田宣浩の胸のうちとは

松田宣浩が頬を紅潮させていた。野球協約を超える67%の年俸ダウン。減額3億円は2018年の和田毅と並び球団最大だそうだ。それでも年俸は1億5000万円だから、松田は4億5000万円という高給取りだった。大方のホークスファンは納得しないだろう。打率2割3分4厘、本塁打14、打点47。日本シリーズ5連覇を逃すばかりかリーグ4位。ホークスファンからポストシーズンの楽しみを奪った責任は大きい。ゆえに大方のホークスファンは松田の大幅ダウンを納得していることだろう。それは松田自身にも当てはまりそうなのだが、松田はなぜ頬を赤らめていたのか。


一つは減額幅が予想以上に大きかったことではないか。リチャードが後半戦で使われるなどして松田は115試合出場にとどまった。とは言え100試合以上出たわけだし、2軍暮らしでもなかった。9年連続の2ケタ本塁打もマークした。行っても半減くらいに思っていたのではなかろうか。それが一気に3分の1に。オレの評価はそんなに低いのかと思ったのかもしれない。一部報道では移籍の選択肢もチラついたという。(fullcount記事 鷹・松田宣浩、退団の選択肢も「ゼロではなかった」 減額制限超え3億円ダウン」など)。野球協約では1億円を超える選手は減俸されても40%までなのだが、それを拒否した場合は自由契約になり移籍を模索できるという。


熱男とまで呼ばれる男である。チームを愛する男が退団まで考えるとはよほど腹に据えかねたに違いない。だがいかんせん松田宣浩は数字を残せなかった。そして目標である1000打点、2000安打を達成するためにはホークス残留が最もよいと判断した。そんなところではなかろうか。前述の記事には「正直な話、相当な時間がかかりましたし」という松田の言葉が出てくる。迷いながらも現実的な判断を下したというところだろう。移籍したとて三塁手は各球団、主力が鎮座している。松田が勝負してスタメンを勝ち取るのは容易くはない。


とにかく試合に出て個人成績を残すこと。それが一番の貢献だと松田宣浩は考えた。そこは間違っていない。2000安打まで残り189本だから1シーズンでは届かないだろう。現実的にはあと2シーズン。松田は41歳だ。2000安打を目標、モチベーションにできることは松田にとってもホークスにとってもプラスだろう。何とか試合に出たい松田とリチャードが争い、調子のいい方を使えるからだ。松田は試合に出るために一塁を守ることも考えている。三塁手出場のパリーグ記録を作ったのはもう過去の話ということか。このあたりの潔さは松田の魅力の一つでもある。


松田にはムードメーカーとしての魅力がある。しかし実績や立場からして、打つことが最大の貢献でありファンサービスだ。幸いけがを抱えていることはなさそうだ。できればコロナが沈静化してもう少しファンが集まったところで熱男を連発…そんな興奮状態で顔を赤らめた松田宣浩が見たい。


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