黒柴スポーツ新聞

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お土産、ネクタイ、背番号。元ソフトバンク岩嵜の中日入団会見はどう報じられたか

暇ネタと言われるフリーなネタの取材が多かったためか、記者会見に出たことはほとんどない。横一線、構えられた場での取材はいかにもつまらなそうという偏見を持っているのだが、恐らくそこにも質問の仕方や他社との駆け引きがあり、そこはそこで戦場だろうと想像する。で、各社ほぼ平等な取材条件ならどれだけ差別化できるかが腕の見せ所なのだが、ソフトバンクから中日に移籍した岩嵜翔の入団会見記事も各社いろいろと工夫してあり、読み比べが楽しめた。

読んだ中では日刊スポーツ、人的補償で中日入り 岩崎翔が青ネクタイで入団会見、 又吉の 背番 「16」継承 が面白かった。なんと岩嵜は報道陣にお土産「博多通りもん」を差し入れした。入団会見でお菓子をあげた選手、過去にいたのだろうか? このエピソードからも岩嵜の人柄が伝わる。福岡のお菓子だから、いかにもソフトバンクから来ましたがよろしくお願いしますというメッセージにも見える。岩嵜ナイスチョイスである。


このお土産については中日スポーツも【中日】岩崎翔、報道陣に「博多通りもん」配る 青色のネクタイはイオンで購入 背番号は又吉と同じ『16』 と見出しに取って報じた。が、日刊スポーツの何がよかったかというと、記事の終わりに博多通りもんについての紹介メモを付けたことだ。これは新聞記事でよくあるのだが、実はこのひと手間をやらない記者はいる。ま、分かるよね、という感覚なのだろう。しかし料理と同じでそのひと手間を惜しむと素材の良さは引き立たない。


トータルの見出しでは中日スポーツがよかった。お土産にも触れたし、岩嵜がイオンでドラゴンズカラーの青いネクタイを買ったことにも言及。岩嵜の「早く中日の一員になろう」という気持ちも伝わってくる。また、今回の移籍はFA宣言してソフトバンクが獲得した又吉の人的補償であるから、岩嵜の背番号が又吉と同じ16になったことを見出しにすることでそこも網羅している。見出しで全部言うかどうかはテクニック論になるが、一通りもれなく紹介するのはドラゴンズ与党紙、地元紙としての責務なのだろう。

ちなみにその他各社の見出しは以下の通り。

スポニチ】中日・ 岩崎  セット アッパー 名乗り  又吉の 背番号 16 継承 「立浪監督を 胴上げ したい」

東スポWeb】人的補償で 入団の 中日・ 岩崎が 会見  背番号16に 「又吉君の イメージに 負けない ように」

【スポーツ報知】ソフトバンクから 人的補償で 加入の 岩崎翔が 入団会見 「立浪監督を 胴上げ したい」 背番号は 16

時事通信】岩崎 「プレーで 恩返し」  プロ野球・ 中日

共同通信】中日の 岩崎 「監督 胴上げを」  入団会見、 背番号は 16に


見出しや記事で何とか差別化を図り、買ってもらおう読んでもらおうという意気込みはスポーツ紙やネットメディアから感じられるがわれわれ一般紙はどうなのか。確かに幅広い世代に読まれるからどの人にも満遍なく受け入れてもらえるようにと無難な表現になりがちだ。また、例えば今回の岩嵜の会見のように地元ネタではない場合は通信社記事を使わざるを得ない。通信社こそ各社どのように使うか分からないから偏った書き方にはならず、「過不足ない」表現になりがちだろう。だからそこからエンタメ性の高い見出しを付けるのは難しい。だが何とか目に触れるようキャッチーな見出しにしないとますます読者は減るのだと最近特に危惧している。ネクタイ、背番号、お土産。岩嵜の入団会見からはネタを何とか活かそうという各社の意気込みが伝わってきた。


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