ミスは自分で取り返すのみ~花咲徳栄の岩瀬君、同点打献上もサヨナラ負け防ぐファインプレー
9回裏というのはなぜかくも尋常でないパワーが発揮されるのか。応援する人にしてみれば8回までにそれやってよと言いたくなるだろうが9回裏は魔法がかかったように連打が出たりする。第99回夏の甲子園も最終回はドラマ満載だった。
敗れはしたが天理のねばりも立派。一発出ればサヨナラまで持っていったのはさすが。それは決して絵空事ではなかった。前の試合にホームランの1大会最多記録となる一発を放った山口君が打席に立ったからだ。
しかしフルカウントから低めに沈む球で仕留めた広陵バッテリーが一枚上手だった。個人の1大会最多本塁打新記録を作った中村奨成君にどうしても注目が集まるが、あそこで空振りを取る投球もさすがだった。
そう、きょうは中村奨成君の新記録の日なのだがリアルタイムで見なかったこともあり、別のプレーが心に残った。二つのショートゴロに。
花咲徳栄ー東海大菅生の9回裏、ツーアウト一、二塁から東海大菅生の打者の打球はショートゴロ。ただし強烈な一打だった。ショート岩瀬君はたまらず弾いた。しかも外野へ。ボールが転々とする間に一塁ランナーの上林君(ソフトバンクホークス上林誠知の弟)が激走しタッチをかいくぐり生還。9回ツーアウトから同点になった。
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大阪桐蔭の一塁の一件といい、ドラマは人の心を揺さぶるが当事者は大変だ。さらに東海大菅生がサヨナラ勝ちでもしたら、花咲徳栄の岩瀬君は言葉はきついが「戦犯」になるところだった。別に花咲徳栄を応援していたわけではないのに、思わず念じていた。「頼む、とりあえずサヨナラだけは……」。花咲徳栄は後続を断ち延長戦に持ち込んだ。
しかしまたもや10回裏に東海大菅生は得点圏にランナーを進める。そして打球はまたもやショートへ……
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岩瀬君はレフトへ抜けようかというゴロに飛び付いた。そしてすぐに起き上がり一塁に送球。間一髪アウト。ボテボテのゴロだったからあのままレフト前ヒットになったとしても二塁ランナーはホームに帰れたかどうか分からない。しかし内野安打であればランナーは三塁に進みサヨナラの確率は高まった。最悪の場合はボテボテのままレフト前に達し東海大菅生の持ち前のアグレッシブな走塁が奏功したらサヨナラ負けだったかも。岩瀬君にしたらあれは死んでも捕ろうという打球だったのだ。
高校野球、甲子園は一発勝負。一個のミスが勝敗を分け、チームメイトの人生さえ変えかねない。花咲徳栄は初の決勝進出までアウトあと一つだった。それを自分が打球をさばけなかったことで同点に追い付かれてしまった。こんな大事件は挽回できるチャンスなどまあない。ほとんどの球児はミスを取り返せないまま甲子園を去るのだ。
そこへギリギリの打球が岩瀬君の方向に飛んできた。岩瀬君はど根性でこれに食らいつき、一塁にナイス送球。映画のような紙一重のアウトに一塁塁審もアウトのコールを興奮しながらしているように見えた。
ここで何がカッコよかったかって、岩瀬君の表情。ムスッとしながらダグアウトに走って帰ってきたのだ。
タイミングとしてはビミョーだったが最悪サヨナラ負けするピンチを防いだのだから、もっと威張っていいはず。しかしそもそも延長に入ったのはオレのせいなんだから自分でケツふくわばりの気持ち、意地に見えた。岩瀬君、カッコいいぞ!
そう、ミスをしない人なんていない。大事なのはミスをした後だ。高校球児同様、就職活動中の学生も、社会人も、一発勝負の局面はけっこうある。やり直せるものならやり直したいなあなんて場面はいっぱいある。だが残念ながら挽回したくてもできないことがほとんどだ。難しい仕事をしている人ほどそうだ。
だが神様の味な演出で挽回のチャンスがめぐってくることはある。その時に下を向いていてはそれを見逃してしまうだけ。取り返せる可能性を信じて、求めて、準備をしている人だけがチャンスに気付いて、まずはミス挽回にチャレンジできる。岩瀬君は見事に挽回できた。
これで流れが来たのか花咲徳栄は集中打で勝ち越して、見事初の決勝進出を決めた。
甲子園で痛恨のミスをした選手にも、実はその後の人生でいつか、岩瀬君に向かって飛んできたような「2回目のショートゴロ」はあるのかもしれない。それをさばけるかどうかで心持ちはずいぶん変わるはずだ。ミスは厳密に言えば帳消しにはできないけれど、備えて、取り返そうと思ってさえいれば、取り返せることはある。岩瀬君は実際にそれをやって見せてくれた。もしかしたら打球よ、こっちに飛んで来い!くらいに思っていたかもしれない。
やってもうたな、なんてことは、ないにこしたことはない。しかしやってしまった時はあの岩瀬君のど根性ダイビングを思い出そう。そして取り返しに行こう。結局ミスを取り返せるのは自分だけなのだから。
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