黒柴スポーツ新聞

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打たれた大阪桐蔭・柿木の肩を抱いたエース徳山~第99回甲子園・仙台育英戦で春夏連覇の夢散る

野球はツーアウトからと言うがまさかファーストミットの中にボールが収まっても試合が終わらないとは。それどころか、次の打者が試合をひっくり返す逆転サヨナラタイムリー。まさに最後まであきらめてはいけない。第99回夏の甲子園大阪桐蔭との試合で仙台育英が奇跡を起こした。

仙台育英準優勝―2015夏の甲子園

仙台育英準優勝―2015夏の甲子園

かねがね思っていた。高校野球の最後の打者による一塁へのヘッドスライディングは高校野球からの卒業儀式なのじゃないかと。さわやかに駆け抜けるのではなく、土ぼこりを巻き起こし、泥まみれになり、エネルギーを放出させてのフィニッシュ。悔しさ必死さも全開で、ビジュアル的には完璧な終わり方だ。


大阪桐蔭仙台育英もそうなるはずだった。実際、ビミョーなタイミングであれば、ヘッドスライディングした打者走者はすがるような目付きで塁審を見るはず。しかし彼はうつむいていた。


高校野球をしていた人に聞いてみたいが、やはりあそこは一塁でアウトを取るのか。というのも、ネット上で、一塁手セカンドでアウトを取ると思った(ので一塁についていなかった)のではという指摘を見つけたから。一塁送球で試合を締めるのは、ヘッドスライディングしてくる打者走者への「介錯」の意味があるのかなと。恐らく野球が好きな人であれば死ぬほど見ている一塁への最後のヘッドスライディング。その脳への擦り込みが一塁に投げさせたと筆者は見ている。


大阪桐蔭のまさかの負け方にみんな「甲子園の魔物だ」と騒いでいる。面白がっているようにも見えるがこれはこれで一塁手を救っている。一塁手なのに一塁を踏み忘れかよ、という指摘は筆者は見つけられていない。そう、きっと甲子園で成仏できなかった歴代ラストヘッドスライディンガー(グライシンガーみたいだな)たちが魔物と化し一塁手と一塁ベースにほんの少しのすき間を作った。それがドラマの布石だった。

ただし魔物が作ったのはあのすき間だけ。これまたネットの書き込みであったが「あそこで打てる気がしない」、つまり、サヨナラ逆転タイムリーは必ずしも打てるわけではないのだ。だが打たれた大阪桐蔭の2年生投手・柿木君を責めるより、打った仙台育英の馬目君を誉めたい。あそこで柿木君が直球勝負を挑むところが成熟しきれていない2年生なのかなとも思う。歴戦の強者・エース徳山君なら落ちる球で空振りを奪っていたのではないかと。


ただし、野球でタラレバを言い出したらキリがない。筆者が何に感動したかって、甲子園を去る前の徳山君の姿。ダグアウトの前に並んだ時、打たれた柿木君の肩を抱いていたのだ。


徳山君にしてみたらマウンドに立たずして高校野球生活が終わった。9回二死までは、次の試合で投げる可能性があった。彼の高校野球生活は突然終わった。周りに気遣いができる心境ではないだろう。


だが同じ投手だからこそ、打たれた柿木君の気持ちが分かったに違いない。ましてや上級生。だから当たり前に接していただけかもしれない。柿木君にしてみたら自分が選手生活を断ってしまった3年生にフォローされたらそりゃ泣かずにはいられない。二人ともオイオイ泣いていた。


あまりに強すぎて好きじゃなかった大阪桐蔭。徳山君も自信満々に見えるところがあまり好きではなかった。だけど最後の最後に印象が変わった。めっちゃいいヤツやないか、と。


こうなると仙台育英が勝ち上がるのかなと思うが意外なことにまだ仙台育英は夏に優勝したことがない。昔、大越基がいた時は応援したなあと思い出した。果たしてあの魔物がやったことは仙台育英初優勝への布石なのか。実力だけでも勝てない甲子園。運も味方した仙台育英には十分王者になる資格がある。

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