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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

つながった三つの連続~則本昂大の6試合連続2けた奪三振と鳥谷敬の連続試合出場と藤井聡太四段のデビュー以来19連勝

則本昂大(前回「昴」と間違い、大変失礼しました)が2017年5月25日、野茂英雄に並ぶ6試合連続2けた奪三振を記録した。黒柴スポーツ新聞は6試合連続いけるぞと記事を書いていたが本当になるとうれしいものだ。というかフクザツな心境だ。パ・リーグではホークスを応援しているからだ。

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筆者は前日に顔面死球を受けた鳥谷敬の動向が気になりラジオで阪神ー巨人戦を聞いていた。スポーツナビ鳥谷敬の代打出場を確認して、連続試合出場が継続されたのを知ってほっとした。野球選手のフェイスガード姿は初めて見た。宮本恒靖を思い出した。鳥谷敬に強い出場意欲があったのだろうがまずは阪神が勝っていないと代打でも出にくかっただろう。負けていての代打起用ならいかにも記録更新目当ての出場に見えてしまうからだ。そういう意味での阪神の先制点は大きかった。

伝統の一戦も終盤になった時、則本昂大についてのリポートがあり、「あと2イニングで三つ三振を奪えば野茂英雄に並ぶ」とアナウンサーが途中経過を伝えた時、正直ビミョーだなと思った。6人で三つ、とは簡単ではない。

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だがあらためて則本昂大の姿を思い知った。なんと残り2イニングのうち最初の8回にさっさと3者連続三振に打ち取ってしまった。

 

これぞプロ。あと6人の中から三つ三振を取ればいいという考えでは実は成功への確率が低くなる。目の前のコイツを料理する。凌駕する。そんな気持ちの積み重ねが6試合連続2けた奪三振につながったとみた。

 そして21時からNHKニュースを見ていたら将棋の藤井聡太四段がまた勝ってデビュー以来土つかずの19連勝を飾ったと報じていた。 羽生善治をも倒しており実力は折り紙付き。まだ中学2年生というから末恐ろしい。ニュースでは「澄んだ目」で戦局を見ているという評があった。

 

藤井聡太四段に変な先入観がないことが強さの要因なら、今後も「業界はこういうもんだ」的な変なアカにまみれないでほし。いと思う。誰もがフレッシュマンであったはずなのに、純粋な心と入れ替えに経験と知識を手にするのであれば、それはちょっと悲しい。

 

藤井聡太四段は純粋に勝ちたいと思っているかもしれないが、鳥谷敬則本昂大も、記録継続は意識していたに違いない。やはり骨太の記録は意思がないと続かない。「怖さも痛さも全然ない」という鳥谷敬はえらいなあと思う。代打での出場はサードゴロだったが一塁まで全力疾走したら鼻も揺れてさぞ痛かっただろうに。

 

監督が衣笠祥雄鳥谷敬に次ぐ連続試合出場歴代3位の金本知憲というのも追い風だろう。出られるのなら出ろよと言ってくれるだろう。部下の気持ちが分かる上司の存在はありがたい。

覚悟のすすめ (角川oneテーマ21 A 87)

覚悟のすすめ (角川oneテーマ21 A 87)

 

 阪神で連続試合出場といえば三宅秀史にも触れておかねばならない。金本知憲に抜かれるまで882試合出場、700試合連続イニング出場の日本記録保持者。同僚の小山正明が試合前にキャッチボールをしていたボールが三宅秀史の目を直撃。大記録が思わぬ形で途絶えてしまい選手としての輝きも失せてしまった悲劇の人。そう、主人公が悪くなくても大記録はいつ途絶えてもおかしくないのだ。三宅秀史について興味がある方は「哀愁のサード 三宅秀史」をぜひご覧ください。

哀愁のサード三宅秀史

哀愁のサード三宅秀史

 

 そう考えると連続記録は本人の「努力」と継続への強い「意思」と、そして「運」があって成しとげられるんだなと実感する。順番としてはまずこれをやるんだという強い気持ちを持ち、それに見合う努力をして、あとは運に任せる。これが一番だ。則本昂大鳥谷敬藤井聡太四段。どこまで記録を伸ばせるか興味津々だし、途切れた時にどんなコメントを残すのかも今から気になっている。

記録にまつわる話はこちら

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がん闘病中の大島康徳にエールを~鉄拳くらうも反骨心で3打席連続ホームランを打った男

大島康徳(以下敬称略)が、がん闘病中だという。幼少時代から巨人ファンだが大島康徳のドラゴンズ時代のユニフォーム姿が大好きだ。

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(写真は1973年の復刻版です)

 

大島康徳について調べようと、久々に新聞記者の大先輩、近藤唯之氏の本をあさってみた。「プロ野球 新サムライ列伝」に大島康徳が出てきた。以下、大島康徳に関する描写をこの本からざっくり引用する。興味がある人はぜひ実物をご覧ください。

プロ野球 新サムライ列伝 (PHP文庫)

プロ野球 新サムライ列伝 (PHP文庫)

 

 二軍の四番だった大島康徳が10試合で打点1と苦しんでいたが、本多逸郎監督が皮肉交じりに「どういうことか説明しろ」という。世の中にはどうしてこういう人がいるのだろう。頑固者の大島康徳はだまっていたら本多逸郎監督に鉄拳をくらった。

 

本多逸郎監督の怒りは収まらずなんと2週間も大島康徳のユニフォームを没収。この間大島康徳はパンツ1枚で素振りを続けたという(ほんとかな?とは思いますが)。このガッツが実り大島康徳は阪急戦で3打席連続ホームランをかっ飛ばした。

 

すると本多逸郎監督に名古屋の栄に連れていかれ「テーラー大倉」という洋服屋で背広を作ってもらった。この間ホームランをほめる言葉は一切なし。本多逸郎監督は理不尽なのか人情家なのかよく分からないがとりあえずいい人そうなのは分かった。

 

大島康徳は頑張りが認められ一軍への切符をつかむ。食堂で開かれた壮行会には新調した背広姿で臨んだという。近藤唯之氏はこの話がお好きらしい。全く同じ話を「プロ野球 トレード光と陰」でも書いている。

プロ野球トレード光と陰 (新潮文庫)

プロ野球トレード光と陰 (新潮文庫)

 

 この本にも書いてあるが大島康徳星野仙一監督の「チームの若返り」という構想のため日本ハムにトレードされる。この時のセリフを近藤唯之氏は激賞している。こんなセリフだ。

球団が本当に必要だと思ったら、トレードには出さないよ。だけど相手球団も本当に必要だと思わなければ、トレードしてくれとは言わないよ

 

その後大島康徳日本ハムで2000安打を達成。監督になったのも周知のとおりである。

大島康徳―負けちたまるか!反骨男 (名球会comics (5))

大島康徳―負けちたまるか!反骨男 (名球会comics (5))

 

 「昇竜の軌跡」によれば、そもそも大分の中津工から中日に入った時は投手。長打力が買われて野手転向。初出場の日に初安打、初ホームランを記録したものの三振が多く「三振王」とやゆされる始末。内野に転向後ブレイクするが1980年には交通事故にあう。その後32歳でホームラン王、中日と日本ハムで通算26年の長きにわたる現役人生だったがまさに山あり谷ありだった。

 だからこそ、今回のがん闘病もきっといい結果をもたらしてくれるのではないかと期待している。そんな気休めが言える話題ではないと分かっているが、あの3打席連続ホームランの原動力となった反骨心をいまこそ、がんにぶつけてほしい。

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ウィルチェアーラグビー池透暢選手5/24、27出演情報 25~28日はジャパンパラぜひ観戦を!

夢を見た。詳しいストーリーまでは覚えていないがウィルチェアーラグビー日本代表キャプテンとしてリオデジャネイロパラリンピック銅メダルを獲得した池透暢選手が出てきた。しばらくお会いしていないのだが、いつも刺激をもらっている素敵な人である。

マーダーボール (字幕版)
 

 そんなことがあったので「お元気ですか?」と久々にやりとり。なんとスクープ?だが2週間前のアメリカ遠征ではアメリカに3連勝すべて1点差のゲキアツな試合だったらしい。

 

その過程で情報をゲット。近々立て続けにメディアに登場するという。今回はその告知。

 

5月24日22:54~23:00  フジテレビ「PARA☆DO!~その先の自分(ヒーロー)へ~」

関東ローカルのようですが、チャンスがある方はぜひぜひご覧ください。

5月27日17:00~18:00 BS日テレ「ストロングポイント」

民放BS初のレギュラー障がい者スポーツ番組だそうです。時代は変わりましたね。

 

池透暢選手の「銅メダルお疲れさま会」の夜を思い出す。2次会も終わり、商店街のアーケードをみんなでふらふら歩いていたら「あ、池選手だ!」「銅メダルの!」「握手してください」的な触れ合いがあった。いいシーンに立ち会え、ぐっときた。その日についての記事はこちら(たくさんのシェアありがとうございました)。

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 パラ陸上選手にインタビューした時に聞いた。むかしは街を移動していても振り返られたもんだ、と。パラスポーツ選手とじっくりお付き合いをしてみればいずれよく分かる。車いすは選手の足でありボディというニュアンスがぴったり。自己表現の一部なのだ。といいつつ筆者自身もすぐそんな感覚になれたわけではなかったのだが。やはり最後は人と人との付き合いの中で信頼が生まれると思う。

 

東京パラまで実はちょっと間がある。選手にしてみたらそんなに時間はないのかもしれないが。一般人はそうはいかない。だからこそ東京パラまで興味関心を維持させる番組や記事は本当にありがたく貴重だ。

 

ちょうど5月25日から28日まで、「2017ジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会」が千葉ポートアリーナで行われるという。もしかして池透暢選手が夢に出てきたのはこの告知だった???

 

ともかく、またとない機会。ちょっとでもチャンスがある方はぜひ会場で本物のウィルチェアーラグビーを「体感」してほしい。最初は「ガン!」「ガシャン」という音が鼓膜にこびりつくかもしれないがその音以上のものがハートに響くはずだ。

 

池選手やリオパラリンピックでの日本代表の激闘記事はこちら

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山崎康晃、無失点を続けて守護神復帰~信頼はこつこつ取り返すしかない

人事異動で言えば降格だった。DeNAの守護神・山崎康晃は4月、抑えが安定だった。そして中継ぎに配置転換させられていた。だが、5月20日の巨人戦で抑えに復帰した。なぜ復帰できたのか?

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ずばり、中継ぎとして16試合連続無失点だったからだ。

 

そう、失った信頼はこつこつ取り返すしかないのだ。

 

「やれます」「もう二度と失敗しません」

ミスしたあと、ありがちなセリフだ。が、何と弁解するより結果が大事。その点、山崎康晃の無失点記録は実に分かりやすい。同じミスを繰り返していないのだから。

 配置転換あるある

配置転換を打診された人は、3通りの行動がある。

1.新しい持ち場で頑張る

心機一転、新しいポジションでやってみる。力があったり、運が良ければそこで道が開ける。「新しい自分に出会える」可能性もある。

2.腐ってやる気を失う

一番やってはいけない。配置転換(注:左遷ではありません)させられた意味を分かっていない。自暴自棄になればさらにマイナス評価間違いなし。

3.前のポジションに戻ろうとする

そここそが自分の輝ける場所と分かっている人がとる行動。戻るためにレベルアップしようと努力する。

 

山崎康晃の抑え復帰を報じる新聞記事で面白いなと思ったのは次のくだり。「ルーティンを変えないとこだわってきた」。抑えに戻るために、あえて自分のリズムを変えなかったという。そう、山崎康晃は3番目の選択肢「戻る」を強く意識していたのだった。

 

ただし、「戻る」を選んだ場合でも、ただ単にその地位の「居心地がいい」から戻りたいという自己中心的な行動の場合はほめられたものではない。組織においてその人の居心地のよさなんて二の次。戦力になって、その人らしさその人ならではの能力を発揮しないとその人にとっても組織にとっても不幸でしかない。

 

山崎康晃の場合はキレのあるストレートが持ち味。沈むツーシームもある、と新聞記事に書いてあった。巨人を応援しているのになんだが、山崎康晃が自分の力ではい上がってきたのがうれしくてネタに選んでしまった。

 ラミレス監督の深いせりふ

そしてネタ元の新聞記事で面白いなと思った下りがもう一つ。ラミレス監督は山崎康晃にこう伝えたという。

「九回を任せる。今は臨時だが、シーズンの最後まで務められるかは君次第だ」

 

深い。ラミレス監督就任時、筆者はDeNAがやらかしたと思った。話題先行だと思ったのだ。しかしどうだろう。2016年は、中畑清も成し遂げられなかったクライマックスシリーズ進出を果たした。筒香嘉智をタイトルホルダーにし、抑えを任せた山崎康晃プロ野球史上初の「新人から2年連続30セーブ」をマークした。 操縦術はあるのかもしれない。

 ラミレス監督は人情家?

また、ラミレス監督は案外人情家かもしれない。そう思わされたのは三浦大輔引退試合の「続投指令」。最終登板で三浦大輔はめった打ちにあい、降板かな、と誰もが思っただろうが5回も6回も続投。もう交代かと思いきやそのままバッターボックスに立たせ、もう終わりかと思いきや7回もマウンドに送った。

 

この続投や最後のあからさまな雄平の三振は賛否両論あると思うがあれこそがプロ野球の引退興行である。そこに真剣勝負の要素を求めてはいけない。間違っても雄平だけは責めてはいけない。あの状況で上手に空振りするのはさぞ難しいことだろう。もちろんそういうわがままが許されるのは三浦大輔みたいなレジェンド、トップクラスの選手だけだ。

逆境での闘い方(だいわ文庫 D 341-1)

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 自覚を求める

人情を感じさせたラミレス監督ではあるが山崎康晃への「君次第」発言はドライな感じがする。ビジネスの世界ではよくありそう。ドライではあるが「任せたぞ」というよりも「自覚」を求めて言う言葉だ。山崎康晃のような伸び盛りの若者にはもってこいの言葉に思えた。

 

配置転換は意図せず「腐ってやる気を失う」状態に陥れるリスクもある話。今やみんながみんなガッツがあると思ったら大間違いのご時世だ。だからこそ山崎康晃のような若者が実力で前の地位を奪い返した姿に目が行ってしまった。やはり失った信頼はこつこつ取り返すしかないんだなと思った。それはプロ野球選手も一般人も同じ。山崎康晃の頑張る姿を見ると、何だかこっちまでやる気が起きてくる。

 

抑えとは過酷なポジション。リードを守って当たり前。失点して負けたらすべての責任を負わねばならない。それがたった1球の過ちだったとしても。だからこそ1球に魂を込める山崎康晃の救援から目が離せない。山崎康晃が守護神のポジションを守り通したらおのずとDeNAは2016年シーズン同等かそれ以上の成績を収めることだろう。

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村田諒太WBAミドル級王座奪取失敗に学ぶ~「うーんエンダム」は流行語大賞になるのか

日本中が吉本新喜劇ばりにズッコケたボクシング村田諒太WBA世界ミドル級王座決定戦判定。筆者もその一人だった。「歴史に残る敗戦」を見た思いだが、この敗戦の教訓を二つ考えてみた。 

101%のプライド

101%のプライド

 

 

 勝負は勝ち切らねばいけない

疑惑の判定は勝敗を分けた理由が添えられていないため、「手数の差が出たか」などと推測するほかない。ボクシング通を自任するビートたけしは「プロの視点から見るとプロらしくない試合なんだろうな」と言っていた。確かに村田諒太のパンチは一発の破壊力は抜群だがワンツーといったコンビネーションにはなっていなかった印象だ。

 

ヤフコメにもあったが、挑戦者の、しかも日本人挑戦者がチャンピオンベルトをまくためには、誰もが分かるKO勝ちしかない。特に今回の対戦相手、アッサン・エンダムは粘りが持ち味。ダウンしても数秒で回復する自信があるという。アッサン・エンダムを見ていてムカデのようだと思った。ムカデは多少火であぶっても胴体を切っても死なない。いずれ死ぬのだがしばらくはのたうちまわっている。

 

だからこそ、だ。別に手抜きをしたなどという意味ではないが、もっと畳みかけるべきだった。アッサン・エンダムはのたうちまわっている間に12ラウンドをしのいでしまった。日本人唯一のミドル級王者経験者、竹原慎二も試合は村田諒太の勝ちだったとしながらも、「やっぱりゴングが鳴るまで倒しにいかなきゃならんのですよ」(デイリースポーツ記事より)と言っていた。村田諒太のボクシングは、ギラギラしたプロボクシングの世界ではまだまだ美しくスマートすぎるのかもしれない。やはりタイトル戦など結果がすべての戦いでは、何が何でも勝つという姿勢が求められる。それはきっと、あなたも変わらない。

 

あきらめなければ何かが起こる、かもしれない

一方で、立ち位置を正反対にしてみたら何が見えるのか。日本中を敵に回しかねないがあえてアッサン・エンダム肯定論も展開してみる。アッサン・エンダムは4回に右ストレートでダウンを喫した。序盤、手数こそ上回っていたがそれは村田諒太が「攻めない」という作戦を実行していただけ。徐々に村田諒太の圧を受けじり貧になっていった。

 

現在TBS系列で放映中のドラマ「小さな巨人」の主人公・香坂真一郎(長谷川博己)が再々言っていたセリフを思い出す。「我々(所轄)には、足がある」。強敵である捜査一課長・小野田義信(香川照之)に追いつめられるなど難局のたびに口にするセリフだ。「オレには足がある」とばかりにアッサン・エンダムもあきらめずフットワークを徐々に復活させ、ジャブを繰り出し続けた。

 

お構いなしに村田諒太は右の大砲をアッサン・エンダムにぶち込んだ。そのたびにアッサン・エンダムはよろけるもロープを背負い、またはロープをつかみながら、あるいは白目をむきながら必死に耐えてなかなかダウンをしない。ぶちかまされながらも「効いてない、効いてない」と首を振る。アッサン・エンダムの判定勝ちは、ピンチ、劣勢の中でもやれることをやった結果、と言える。そう、あきらめなければ何かが起こる、かもしれないのだ。これも「小さな巨人」をほうふつさせる。

 

アッサン・エンダムはこの日の試合までに37戦35勝2敗(21KO)。泥臭さと経験という意味では確かに村田諒太を上回っていた。世の中にはアッサン・エンダムのようにしぶとい人がいっぱいいる。いい意味でのしぶとさは見習いたいのだが、村田諒太のような善人が馬鹿を見ることが多い世の中であることもまた事実なので、狡猾(ずるがしこい)という意味でのしぶとい人間にはならないよう気を付けたいものだ。

 

そのジャッジに覚悟はあるか

さて…。買収だ八百長だとジャッジについてはさんざんな言われようだ。確かに、アッサン・エンダムを優勢としたパナマのパディージャ氏は116-111、カナダのアール氏も115-112と、よくも差をつけてくれたものだ。

 

この日のフジテレビ中継には、「小さな巨人」の小野田義信・捜査一課長役の香川照之がゲスト出演していた。WBAヒルベルト・メンドサJr会長は「公正な採点が下すことができないスポーツに怒りと不満を覚える」(スポニチアネックス記事より)と異例の再戦要求をする始末。香川照之には小野田一課長の決めぜりふばりに「そのジャッジに覚悟はあるか!!!」とヒルベルト・メンドサJr会長になりかわって詰め寄ってもらいたかった。まさか、香坂役の長谷川博己のように「私の勘です!」なんて答え、だったりして。

「小さな巨人」公式BOOK ―PHOTOS&INTERVIEWS― (角川SSCムック)

「小さな巨人」公式BOOK ―PHOTOS&INTERVIEWS― (角川SSCムック)

 

 

 気になる今後

敗戦後、村田諒太は「気持ちの整理が必要」と語る。今後は?と試合後すぐ聞かれるアスリートには気の毒なのだが、それはファンの関心や期待の裏返しでもある。多くのファンは村田諒太の再起を願っている。アッサン・エンダムと再戦してやり返してほしいと期待している。ただしミドル級はそうそうマッチメイクできない階級らしい。であるならなおさら村田諒太にはじっくり今後を考えてほしい。試合後一切言い訳をしない村田諒太人間性だけが救いだ、というヤフコメもあったが本当にその通り。今回の敗戦でまた多くのファンを得たのだから、そのファンを熱くさせる試合を楽しみにしたい。とにもかくにもすっきりしない負け方に、筆者の頭の中では「うーん、エンダム」というフレーズがぐるぐる回っている。

名脇役・山崎裕之の2000安打が語る「出続ける」尊さ~派手でなくとも、ヒーローでなくともいい

2000安打射程圏内の選手が騒がしくなってきた。5月19日のニュースウォッチ9のスポーツコーナーで、気になっていた情報をゲットした。

 

「同一シーズンで最も多く2000安打達成者が出たのは何人で、いつ?」

 

答えは1983年の4人。

藤田平

衣笠祥雄

福本豊

山崎裕之

 

今回は山崎裕之に注目する。

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山崎裕之は上尾高校出身。東京・ロッテを経て西武で活躍した。上の野球カード裏の情報によれば、1963年度高校野球でナンバー1の遊撃手であり、激しい争奪戦が繰り広げられたという。あくまでウワサではあるが史上初の「契約金5000万円」という話さえあったそうだ。

 

現代において契約金5000万円の高卒選手もいるが、時代が違う。山崎裕之のプロ初年度は1965年度。昭和40年前後の契約金5000万円と言えば相当の大金だ。ちなみに黒柴スポーツ新聞編集局長が初めて買ったプロ野球選手名鑑(1985年版)の上川誠二のページには「一流選手である2000万円プレーヤーに仲間入り」的な文章があったと記憶している。現代では8000万円から1億円プレーヤーが各球団のスター級選手だから、単純に4倍の価値と見込むと、山崎裕之の契約金が5000万円だとしたら2億円クラスの価値になる。

 

以前、何の実績もない高卒のドラフト1位選手に1億円も契約金がいるのかと問う記事を書いた。山崎裕之はドラフト制度以前の入団だが球団としてもばく大な投資であった。が、結論から言えば山崎裕之は実働20年、2000安打を達成した。東京・ロッテ在籍は1965年から1978年までの14シーズンだが、レギュラーを確保するまでに要した最初の3年と、1973年を除いて毎年100安打以上打っていた。まさに計算できる選手であり、東京・ロッテは投資額を回収できたと言ってよいだろう。

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 そう、山崎裕之は派手さはないものの計算できる選手だった。こういう人が職場にいると周りはとても楽だ。安定感があるので安心感がある。

 

同時期に2000安打を達成した顔ぶれをもう一度書く。その上で獲得主要タイトルを加筆してみよう。

藤田平首位打者1回)

衣笠祥雄打点王1回、盗塁王1回)

福本豊盗塁王13回)

山崎裕之(なし)

 

なし、と書いたが山崎裕之ベストナインを5回、ダイヤモンドグラブ賞を3回とっている。藤田平ベストナインを7回、ダイヤモンドグラブ賞を3回とっているから似ているように思うが、打率は名球会ホームページによると、藤田平が3割を4回記録しているのに対し、山崎裕之は1回のみだ。

 

山際淳司の「ダグアウトの25人」に山崎裕之が出てくるがそこにはこう書かれている。

「打率は常に2割台だがアップ・ダウンが少ないのも山崎の特徴だ」

ダグアウトの25人

ダグアウトの25人

 

 ここで本の紹介をしておく。もし山崎裕之のような味わいのある選手が好きな方はこの本、「買い」だ。「25人」の顔ぶれを見たら絶対買いたくなる。黒柴スポーツ新聞を「定期購読」されている方には本当におすすめだ。

【登場人物】高橋一三野村収鈴木康二朗山本功児太田幸司、辻恭彦、松岡弘森繁和小川亨有藤道世山森雅文達川光男池田親興、D・レーシッチ、河埜敬幸、西田真二、淡口憲治杉浦享、キム・アレン、田尾安志二村忠美山崎裕之川口和久水上善雄小川邦和

 

どうですか? ほしくなったでしょう。

 

「長くレギュラーとしてやってこれたことに誇りを持っている」

 

「ダグアウトの25人」の中にあった、山崎裕之の言葉だ。山崎裕之は打撃タイトルとは無縁だったが「レギュラー」だった。2017年、2000安打を達成しようとしている選手の一人の内川聖一について、解説者の多村仁志がこう評していた。「出続けているのがすごい」。そう、そうなのだ。毎年若くて力も期待感もあるフレッシュな面々が入ってくるプロの世界において、コンスタントに出続け結果を残すことがいかに大変なことか。

 

「長い間ユニフォームを着つづけることで、『2000本安打』という大台に到達できる。派手でなくてもいい。ヒーローとして持ち上げられなくとも、そこまでやることができるのだということを、彼は身をもって示しているのだろう」

 

「ダグアウトの25人」で書かれていた、山際淳司による山崎裕之の評価だ。山際淳司山崎裕之のことを「脇役」と書ききっているがその脇役にも確実にスポットライトが当たるのも、2000安打の素晴らしさだ。

 

脇役はどういう状況で引退するのか。その答えはぜひ「ダグアウトの25人」を読んで、かみしめていただきたい。

併せて読みたい、2000安打記事はこちら

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みんなが仕事のデキる3番打者であれ~石井琢朗が説く理想の打線とマイナス思考のすすめ

打線のセオリーは、1番が出塁率が高い人。2塁は送りバントも進塁打も打てる人。3番はチャンスメイクもできるしタイムリーも打てる人。4番は打点を挙げられるしホームランも打てる人。しかしー。と石井琢朗は言う。「カープ打線が脅威なワケ。石井琢朗コーチ『ゲームで重要な、あとづけ論』」という記事を楽しく読ませてもらった。

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(写真は1993年版の野球カード。背番号ゼロだったんですね。1992年までの4年間で安打数はまだ62本。のちに達成する2000安打ははるか遠くのことでした)

 

 

しかし何なのか、と言えば石井琢朗の理想とする打線は「3番バッター」がずらりと並ぶ打線だという。

 

いわく、例の1番から4番までの並びが効果的なのは初回の攻撃であって、以降は先頭バッターがチャンスメーカーにならねばならず、ランナーが出た以後のバッターが得点しなければならないからみんながチャンスメーカーでありクリンナップであれ、というのだ。

 

そしてそのベースになっているのは黒柴スポーツ新聞の読者なら分かっていると思うが石井琢朗自身が属していたマシンガン打線なのだった。

 確かに各職場にエースとか4番がいると周りは楽。間違いなく抑えてくれるし、間違いなく得点してくれる。でも石井琢朗が言うようにみんながチャンスメーカーである職場だったらなおよい気がする。一人一人が戦力である実感があるからモチベーションもものすごく高そうだ。無意識のうちにエースに依存する体質も改善できる。

 

まさに「打線」。石井琢朗は「いかに後ろにつなげられるか、後ろに、後ろにどんどん回していくこと」が大切だと説いている。これができる職場は強い。黒柴スポーツ新聞編集局長もそんな職場をつくりたいなあと思っている。

疾走!琢朗主義

疾走!琢朗主義

 

 

石井琢朗の記事でもう一つ面白かったのは「マイナス思考で打席に立て」という考え。

 

そんなんじゃ点がとれなそうに思うがまずは「やっちゃいけないことは何なのか」を考えるのだという。事例はノーアウト満塁。バッターは「ゲッツーはよくないな」と考える。だがおあつらえ向きのゴロを打ってしまい一気にツーアウト。でも実は1点入ったとしたら…それは「アリ」だという。むしろそれが決勝点だったら100点だというのだ。

 

ノーアウト満塁でやってはいけないことの答えはずばり書いていなかったが例えば進塁打にもならない内野フライとか三振だろう。1アウト満塁になったら次打者がゲッツーだった場合得点ゼロに終わる。

 

サラリーマン的にも「ここでこれはないな」という想定くらいはできる。ピンチの時ならなおさら「最悪これさえならなければオッケー」くらいの開き直りをすればいい。石井琢朗も「マイナスから入ることで打席の中で気持ちに余裕ができて、最低限が最高の結果になったりする」と言っていた。

心の伸びしろ

心の伸びしろ

 

 プロセスを評価してくれる人はゼロじゃないけど基本的に社会人は結果がすべて。だがついついどこかでかっこつけてしまい、クリーンヒットやホームランを狙ってしまうものではなかろうか。毎回それでは疲れてしまう。別にポテンヒットでも相手のエラーでも1点は1点なのだからまずは「勝つ」ということに集中すればいい。

 

もっと言えば「勝つ」じゃなくてもいい。「負けない」でもいいのだ。高校野球を見ていたら分かりやすいが、強豪高校は簡単に負けない。苦戦を強いられたとしても勝負どころと見るや粘り強く攻めて、試合をものにしてしまう。したたかさがないと地方大会を勝ち抜いたり、試合巧者がそろう甲子園では勝てない。

 

「負けない」ためには最悪どんな結果を残せばいいのか。それを考えるところから成功が始まる、のかもしれない。

 

チャンスメイクもできる、得点も稼げる3番バッターってカッコいい。今まで注目していなかったが各チームの3番バッターがどう機能しているか、しばらく注目して見てみよう。

併せて読みたい、石井琢朗にまつわる記事はこちら

tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com

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