黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

【悲報】2019年シーズンは2000安打達成者ゼロ濃厚~福留孝介は日本通算1808安打だけど…

努力の結晶以外の何物でもない2000安打。これまで黒柴スポーツ新聞で何度も取り上げてきた話題だが2019年シーズンは達成される場面がなさそうだ。ふと気になってNPBのサイト内の「歴代最高記録 安打」を見てみて分かった。

 

*マークが付いているのが2018年現役打者なのだが、新井貴浩(2203本)は引退。松井稼頭央(2090本※日本通算)も引退。荒木雅博(2045本)も引退。あらためて見ると2018年は大物が相次いで引退したんだなと実感する。

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2019年も現役なのは阿部慎之助(2085本)、鳥谷敬(2066本)、内川聖一(2043本)、そして福浦和也(2000本)。福浦は2018年、ぴったり終わったのだった。

 

じゃあ未達成者の現役最多はと見てみたら、福留孝介(1808本)と出ていた。そう、松井稼頭央のところで(※日本通算)と書いたが、これはNPBのサイトだからアメリカでの記録は含まれない。当然、投手成績もそう。だから「歴代最高記録 勝利」には100位の備前喜夫(115勝)まで載っているのに野茂英雄の名前はない(野茂は日本通算78勝、アメリカ通算123勝)。

 

 

プロ野球ファンにとって2000安打と言えば日本通算にこだわらずともとりあえずは日米通算でいいじゃんと思うだろうから、仮に福留が2019年に打ちまくって192安打を記録して日本通算2000安打を記録しても、さほど大きなトピックにならないと思われる(本当はすごいことなのだけれど)。デイリースポーツは1面トップでやってくれそうだが。

 

というかいくら福留孝介でもこれから192安打は難しいかもしれない。となるともはや2019年シーズンは打者として名球会入りする人は、いないと言っていい。

 

 

ちなみにその次は巨人に移籍した中島宏之(1759本)。あ、中島はアメリカ行ったからその分足さなきゃねと調べてみたが、いわゆるMLBの試合には1試合も出ていなかった。だから自動的に日本通算。ちょっとくだけた書き方になってしまったが私は中島のアメリカ挑戦を肯定する。結果的に試合には出られなかったかもしれないが、挑戦もしていない人が、挑戦した人のことをあれこれ言うのはどうかなと思う。やった人にしか見えない景色は、確かにあるからだ。

 

 

巨人は若返りを図りたかったのか村田修一には引導を渡したのに中島宏之を獲得して巨人ファンはずっこけたことと思う。村田は1865安打で終わったが中島はどこまでいくだろうか。巨人には坂本勇人(1711安打)がいるため、どうやら坂本がサクッと次の2000安打達成者になりそうだ。

 

報知新聞社 坂本勇人 (読売ジャイアンツ) 2019年 カレンダー B2 プロ野球
 

 

坂本勇人の場合は、榎本喜八の最年少2000安打(31歳7カ月)への挑戦でもある。坂本は1988年12月14日生まれ。2019年シーズンはまだ30歳。2020年シーズンの前半に2000安打になれば新記録の可能性が高い。

 

打撃の神髄 榎本喜八伝 (講談社+α文庫)

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ほかに2000安打への期待が持てるのが栗山巧(1722本)。しかしこの2シーズンは84本、78本と2ケタにとどまっている。福浦和也のように何とか粘ってもらいたい。

 

 

2000安打を軽々と超える打者が相次いだことによって昔ほど大変じゃなくなった感もあったが、本来2000安打は簡単にできることではない。2019年に達成者がゼロだとしたらちょっとさびしい気もするが、2000安打の価値を再認識してもらえる契機にはなるかもしれない。

 

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野手転向の白村に送った栗山監督の魔法の言葉~人の評価軸は一つじゃない

ソフトバンクファンながら今夜も日本ハムネタ。禁断の3夜連続である。今夜は白村明弘。6年目にして投手から野手への転向が決まったという。



このキャンプまで投げているのだから、転向は思いもよらないことだっただろう。しかし、zakzak記事によれば「この2、3年はずっと思うようなボールが投げられなくて苦しかった。部屋に呼ばれたときは覚悟はしていたんです。『もしかしてトレードかな?』って気持ちもあった」とか。白村にしてみれば、霧の中で見いだした光明だったかもしれない。


と言っても投手というポジションは特別だ。誰もができる訳でもない。曲がりなりにもその才能でプロ野球入りしたのだから、未練があるのが普通である。

それを断ち切らせたのが栗山英樹監督。出ました、またもや栗山マジック。この人は人の心の操縦術に長けている。今回は白村にこんなことを言ったという。
「可能性を広げよう」
稚心を去る

稚心を去る



言葉の力はすごい。使い方ひとつで人を生かしもするし、殺しもする。だからこそ言葉遣いは普段から丁寧に、慎重にする方がよい。今回、あっさり言えば白村は投手としては見切られたのかもしれない。ここまでがどうやら精一杯だろう、と。ここで心ない上司はこう言う。
「おまえはもう、投手失格だ」


栗山英樹監督はその真逆。スポニチアネックス記事には栗山監督による説明がこう書いてあった。
「もともと(ドラフトで)獲るときから打つ方の可能性も言っていた。白村のために前へ進むということ。彼の能力を花開かせるには何が必要か。骨の髄まで野球をやって、花開かせる。どのタイミングがいいか(吉村)GMとずっと話していた。本人がどうしたら吹っ切ってやってくれるか。野球の神様がこのタイミングだと言っている」
育てる力

育てる力



もはや教育者。さすが教員免許を持つ人は発想が違うと言いたくなる(小中高の教員免許を持っているそうです)。とにかく白村のことを思っていることが伝わってくる。

冷静に、かつ、冷めた目で見たら吉田輝星や柿木蓮ら才能ある若手を獲得できたから白村を次のステップへ進ませることができたのかもしれないけれど。


いや、そんな言い方はよそう。栗山監督が言うようにきっと野球の神様が「このタイミングだよ」と言ったのだ。確かに白村は27歳。打者転向は簡単ではないからチャレンジする年齢としてはギリギリだろう。



ちなみに同じく投手から打者に転向し、4番を張るまでになったヤクルトの高井雄平は7年目でのチャレンジ。けがもあり順調にいかなかったが打者転向9年目にしてついに年俸1億円に達した。白村にしても年齢的に、チャレンジするなら今しかないのかもしれない。

きのうは吉田輝星の記事の中で「球運」という言葉を使ったが、それは白村にもあるように思う。もし監督が栗山英樹でなかったら、トレード、もしかしたら最悪戦力外の可能性も今後あったかもしれない。ただ、栗山監督とてチームを預かっている以上、戦力はシビアに見つめているに違いない。白村に打者転向を持ちかけたのは、キラリと光るものがあったからにほかならない。
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日本ハムで打者転向に大成功した人もいた。糸井嘉男。2年間で1軍登板は一度もなかったという。糸井の年俸は4億円。これもプロ野球のリアルである。



まあ、お金の話というよりは才能が花開いたらいいなという話。一つの評価軸でその人のすべてを測るのは危険だ。そして自分自身もいつまでも成長の可能性は追求したいものだ。白村の勇気ある挑戦、陰ながら応援するとしよう。

目の前の成果に走らない~桑田真澄が日本ハム吉田輝星に「直球」アドバイス

日本ハムのゴールデンルーキー、吉田輝星が桑田真澄と対面した。桑田が日本ハム2軍のキャンプ地、沖縄を訪れたのだった。時代は違えど、ともに甲子園を沸かせた右腕。どんな話をしたかすごく気になる。

 

 

この模様は各メディアが取材したようだが、目についた時事通信記事にあった、桑田のコメントがすごくよかった。

「変化球に走らず、目の前のアウトに走らないようにしてほしい」

 

 

誰だって目の前の成果がほしくなるだろう。努力家であればなおさらだ。頑張ったのだから結果が欲しくなるのは素直な気持ちだ。特に吉田輝星はどんどんアピールして1軍を目指さねばならない。もっとも、日本ハムは新人を大切に育てる球団だから焦らなくていいのかもしれないが。

 

 

実際、記事に書いてあったが吉田は先輩たちの変化球に目が行ったという。抜群の切れ味。「(変化球習得に)目がいきがちだった」と吉田。先輩たちの高いレベルに追いつきたいと思う気持ちも素直なものだろう。決して悪くない。

 

 しかし桑田は直球を磨けと言った。

「ストレートを磨けば、5年後、10年後が見えてくる。そういう投手に育ってほしい」

 

野球の神様がくれたもの

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そうだ。吉田輝星最大の魅力はあの低めにずばっと決まるストレートだ。まずは持ち味を徹底的に磨く。変化球のレベルアップはそれからでいい。

 

桑田真澄のピッチングを思い出す。ナイター中継で投球後「MAX」と表記が出たがその時は148キロだった。今ならもっと速い球を投げるピッチャーはゴロゴロいる。このあたりがピッチングの妙。決して球が速ければ勝てるわけではない。

 

Number PLUS 桑田真澄 完全復刻版 (Sports graphic Number plus)

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桑田にもピッチング理論があるだろうが、個人的にはいわゆるキレとコントロール。桑田はそれを存分に生かしたピッチャーだと思っている。桑田は吉田輝星に対して、自分と似た部分を感じたからこそ、「直球を磨け」とアドバイスしたのではなかろうか。

 

完本 桑田真澄 (文春文庫)

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「球運」という言葉がある。チャンスに打席が回ってきた。先輩のけがで出番を得た。プロ野球に入ってくる類まれな才能の中で生きていくには、いくばくかの運も必要だ。吉田輝星がこのタイミングで桑田真澄に出会ったのを見て、吉田には球運があると感じた。先日の紅白戦での1回1失点はひょっとしたら消化不良だったかもしれない。しかし最高のタイミングで最高のお手本がやってきたのだ。

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もちろん、最高のアドバイスは素直に聞く気持ちがあってこそ効果がある。吉田輝星は桑田と出会い、直球で勝負する決心がついたという。

 

「ストレートを磨けば、5年後、10年後が見えてくる」

 

そう、吉田輝星は何年も輝いてもらわなければならない逸材だ。目先の成果にとらわれて自分を見失ってほしくない。才能を開花できずに球界を去る若者を見るのはプロ野球ファンだってつらいのだ。期待が大きい分、それに応えなくてはと思うのは責任感の表れだろう。でも、焦る必要はない。ファンもそこは辛抱のしどころ。今よりもスケールの大きな吉田輝星が見られるのなら、ぜひ見てみたい。だからファンも成長を楽しみに見守りたいものだ。

 

と言いつつ、毎回書いているが私はソフトバンクファン。いつかスケールアップした吉田輝星にこっぴどくやられることがあるかもしれない。しかしそこは堂々とソフトバンク打線が迎え撃てばいい話。きっと名勝負になることだろう。

 

 

5年、10年先を見据えて、自分の武器を磨けばいい。

桑田真澄のアドバイスは、吉田輝星以外の人の背中も押してくれている。

 

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吉田輝星にプロの洗礼を浴びせた大田泰示~移籍先を自分が輝く場所にした男

日本ハム注目のルーキー、吉田輝星と柿木蓮がそろって紅白戦に登板した。甲子園決勝の再来とあって大勢の観客が押し寄せたらしい。公式戦ではないが、公式戦ではありえない「夢の再戦」。ファンはいいものを見られたと思う。

 

紅白戦での対決はネットニュースでチェックしていたのだが、私は下の記事に書いた通り、マラソンの前日イベントに業務で出ていたため、紅白戦の結果はスマホに表示されたプッシュ通知で知った。吉田輝星は1回1失点だったという。柿木は先輩たちを3者凡退とした。どちらもそれなりに手ごたえがあったことと思う。

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大方のメディアはもちろん吉田輝星と柿木の出来について報じていたが、デイリーは吉田輝星からバックスクリーンにホームランを叩き込んだ男について記事を仕立てていた。彼の名は大田泰示

 

このあたりがプロ野球の醍醐味で、さすがデイリーはよく分かっていらっしゃる。大田だって鳴り物入りで巨人に入ったのだ。 2008年のドラフト1位。ご存知の通り、2017年からは日本ハムに移籍して大ブレイク。プロ10シーズンで通算315安打なのだが、うち215本は日本ハムの2年間で打った(110本と105本)。開花するまで年月を費やした男が、同じく鳴り物入りで入団したルーキーに一発をお見舞いした。このあたりがプロ野球の面白さである。

   

 「壁にぶちあたるのは当然のこと」。デイリーの記事にあった大田泰示のコメントには若干の先輩風が吹いている。いや、そんな言い方はよそう。大田だから分かる、ドラフト1位の宿命だ。吉田輝星が無意識のうちに感じているプレッシャーも、大田は手に取るように分かっているのだろう。

 

そう、胸のうちなんて、当事者にしか分からない。

 

 

大田泰示は調子がいいようだ。翌17日の阪神戦でも新人投手からホームランを放った。2日連続で「プロの洗礼」を浴びせたわけだ。サンデーモーニング張本勲が「いまの時期いくら打っても意味がない」旨の発言をしていたが、だとしても大田泰示には意味がある。2019年から背番号が33から5になり、名実ともに日本ハムの主力にならねばならないのだ。アピールしすぎるくらいでちょうどいい。

 

他力本願でもいけないのだが、レアードがロッテに移籍したことも追い風だろう。本塁打王の実績があるレアードが抜けた分、チームは長打力がほしい。そこで大田の出番だ。大田はこの2年、ホームランは15本と14本。そろそろ20本台を記録したいところだ。

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巨人入団時、あの松井秀喜が付けた背番号55を託されたのは高い期待の表れだった。だが巨人では才能が花開かなかった。そして日本ハムへのトレード。いくら巨人が花形と言ってももしあのトレードがなければ大田は見切りを付けられていてもおかしくなかった。

 

しかし大田はあのトレードを見事、チャンスに変えた。日本ハムでもらった背番号は33。はっきり言って花形ではない。それが2年間の頑張りの結果、若い背番号5を背負うことになった。自力で勝ち取ったのだ。その上で、新人たちにプロの洗礼を浴びせている。やるな、大田。

 

プロ野球選手の経歴なんて、どこでどうなるか分からない。変な話、吉田輝星とて10年後はどこのユニホームを着てどんな背番号を身にまとっているか分からないのだ。あの松坂大輔が中日にいることなんて、誰が想像しただろう。あの剛腕がカムバック賞を受けるなんて誰が想像しただろう。しかしそれが現実だ。

 

日本ハムのルーキーで、注目度は吉田輝星が上だが、柿木蓮の評価も上々だ。ドラフト1位じゃなくても結果を残した選手はたくさんいる。私は吉田も柿木にも頑張ってもらいたいが、柿木が吉田輝星を押しのけてエースになっている可能性だってあるのだ。入団時の評価がずっと付いて回るわけではない。むしろ入ってからが本当の勝負だ。

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しかし、私はソフトバンクファンなのに今年はいったい何本、日本ハムの記事を書いていることやら。これが一番の想定外だ。が、書きたいことを書くようにしているのでこれからも自然体でいこう。頑張る選手に「いいね!」と思うのは自然なことだから。吉田と柿木はもちろん、背番号5の大田が大活躍するところも期待している。

もちろんソフトバンク戦以外で、だが。

 

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私たちの街にランナーがきて沸き起こった感情~2月17日は高知龍馬マラソン2019

あす2月17日は高知龍馬マラソンの開催日だ。前日のきょう、私はある業務で、高知を訪れたランナーの皆さんと触れ合うことができた。そして地元の力を見直した。

 

ランナーズ 2019年 03 月号 [雑誌]

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見直しただなんて言うと偉そうなのだが、単純に、地元にいるとその魅力に気付かないのだが、高知に来られたランナーの皆さんとの触れ合いによって、「ああ、高知も魅力があるのだな」と再認識できた、という意味だ。

 

ランナーの皆さんの気持ちをちょっと想像してみた。「どちらからですか?」と尋ねたら警戒するだろうか? いや、意外に話が弾むのではないか? 地元に関心をもってもらって気分を悪くする人も少なかろう。私は後者と予想した。

 

どちらからいらっしゃいましたか?

「北海道です」

「埼玉です」

「神奈川です」

「東京から」

「静岡です」

「三重です」

「大阪です」

「岡山です」

「広島です」

「徳島です」

「香川です」

「愛媛から」

「大分です」

「福岡から」

 

 同じ四国や中国地方は想定内であったが、リアルに遠方からの参加だった。実は私はマラソン未体験。ゆえに、高知に来ていただいてすごくうれしいのだが、マラソンとはかくも魅力的なものなのかと思い知らされた。貴重なお金と時間を使って、高知で走ろうとしているランナーがこんなにいるのか…。

 

さらにこんな方々も。

「高知に来たのは初めて」

「マラソン自体が初めて」

いやはや。

ようこそと言いたくなる。

そして初マラソンの場を高知にしてくれたことが妙にうれしい。

練習を積み重ね、力試しをしたいタイミングがたまたま高知龍馬マラソンだっただけかもしれない、とも思った。

だとしても、ありがたいことだ。

私は別に自治体の移住促進担当者でもないのだが。

 

ランナー (幻冬舎文庫)

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全国的に市民マラソンが開催されており、ランニング熱が高まっている。だから高知龍馬マラソンだけがにぎわっているわけではない。それでも、前日イベントで途切れない人の流れを見せつけられると、龍馬マラソンも結構やるじゃないかと実感できた。ここまでイベントを育ててきた方々の喜びも一入だろう。

 

そんなご苦労も知らず、にぎわいに混ぜてもらってちょっと恐縮してしまう。そして本当に幅広い年齢の参加なんだなということも実感できた。恐るべしマラソン。お話しできた限り、皆さんそれぞれのペースで楽しまれているようで。何より。

 

マラソンランナー (文春新書)

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それに引き換え、私はどうだ。イベント会場で6時間立っていただけでふくらはぎが痛くなってしまった。「ふくらはぎ痛で今季ゼツボー」なんて心の声でふざけていたが、帰宅してふくらはぎをもむとまあまあ本格的に痛い。日頃デスクワークしかしていないつけがきた。

 

だが、もちろん心地いい部類の痛み。明日どうなっているかは分からないけれど。

 

私との会話にお付き合いいただいた方は、皆さん無事に完走できるだろうか。ほんの少しずつの触れ合いだから心配をする立場にもないし、そもそもマラソンを走ったことすらない私が完走できるかななんて思うのもまったくの筋違いなのだが、ともかくいい意味で気になっている。

 

もし高知でいい思い出ができたらまたいらしてください。

 

モチベーションをあえて上げない~オリックス田嶋大樹のIH投法に期待

新しい年度が間近に迫ってきた。新しい目標を立てる人もいることだろう。そんな中、Full-Countに面白い記事を見つけた。「オリ田嶋が2年目の今季『目標を立てない』理由 『昨年は10勝したいと言って…』」。あれ、田嶋大樹は目標を立てないの???

私はソフトバンクファンながら密かに、2018年のパ・リーグ新人王は田嶋大樹ではないかと予想していた。社会人からの即戦力。期待通りに前半戦で早くも6勝と上々だったが、肘痛でのリタイアだったらしい。これがなければ2けた勝利&新人王だったのではなかろうか。

2019年シーズンを前に田嶋大樹があえて目標を立てない理由はどうも、有言実行ではなく不言実行というニュアンスらしい。去年は「10勝する」と言ってできなかったし、もしかしたら、前のめりになったことがけがにつながったのかもしれない(あくまでも推測だが)。

「上がるものは下がる。モチベーションを上げずに、感情を抑えていつもフラットで投げる。『絶対勝つぞ』と気持ちを上げすぎないように」(Full-Count記事より)
なるほど。モチベーションは上げる方がよいとばかり思っていたが、こういう考えもあるのかと新鮮だった。上げないイコール下げるではなく、キープ。気持ちが乱高下するよりはいいかもしれない。特に田嶋はピッチャーだから。



ガスの火をイメージしてみよう。強火でガッ!とやるだけが料理ではない。中火で一定の熱量をキープする。もはやガスというよりはIH調理である。

あれ、IHって何の略だっけとPanasonicのサイトを見てみたら「Induction Heating」で電磁誘導加熱のことだという。「鍋底自体が発熱」するため、「エネルギーのロスが少なく、スピーディーに立ち上がって、強い火力が得られます」とのこと。立ち上がりがスピーディーだなんて、先発投手にはもってこいの表現である。

昭和の野球ならガスの強火で一気に仕上げる投手がよしとされたが、平成も終わり新元号ともなれば、田嶋のような「IH投法」もありかもしれない。ムダなエネルギーを投入しない、働き方改革にも合致しそうだ。何より鍋自体(自分自身)が発熱するというのがよい。うん、すごくいい。

田嶋が言うように、モチベーションは上がることもあれば下がることもある。ならば一定の熱量を保つことを意識するのはすごく意味がある。エースの金子弌大や西勇輝が抜けた今、田嶋にかかる期待は大きい。田嶋のIH投法が結果を出すのか楽しみにしよう。

感情をコントロールできる人に~栗山監督が託した日本ハム開幕投手は上沢直之

日本ハム栗山英樹監督が、開幕投手上沢直之を指名した。先日、この黒柴スポーツ新聞でも注目の開幕投手争いだと書いたが、元ネタの新聞記事に書いてあった通り、最有力の上沢が選ばれた。
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スマートニュースで日本ハムの記事を漁っていたら、JBPRESSで「開幕投手・上沢、真のエースへと踏み出した『ある試合』」という記事を見つけた。栗山英樹監督の近著「稚心を去る 一流とそれ以外との差はどこにあるのか」からの再構成だった。

稚心を去る

稚心を去る

詳しくは元記事を読んでいただくとして、ある試合とは2018年クライマックスシリーズ、ファーストステージ第1戦だった。2戦先勝だから先発投手の責任の比重は大きい。栗山監督の、上沢に対する期待の大きさが伝わってくる。

ゲームプランとしては「誰かの2ランで得点し、上沢がソフトバンクを1点に抑えて勝つ」。そのホームランも、テラスに入るイメージまでしていたそうだ。リアルである。

伝える。

伝える。

実際、日本ハムは近藤のホームラン(何と本当にテラス弾だった)で先制した。しかし、上沢はソフトバンクの先頭、上林にヒットを許す。しかもレフトが打球の処理をもたつく間に上林は二塁を陥れた。

決してよい当たりでなかっただけに、上沢にはモヤモヤが残っただろう。続く明石健志は四球。3番中村晃は内野安打と流れはソフトバンクに。そして4番柳田悠岐がタイムリー、5番デスパイネが満塁ホームランで上沢は一挙5点を失った。

結局、日本ハムは初戦を落としたのだが、栗山監督は短期的な評価をしなかった。短期決戦だから結果がすべてなのだけれど、大人になり、感情をコントロールできるようになることの大切さを上沢が学んだのならそこに意味があるのだという。

育てる力

育てる力

こんな考えの人が上司なら部下は刺激を受けるに違いない。今は何かにつけて効率性重視。人材育成も例外ではなく、促成栽培できるならそれにこしたことはない、という流れになっていないか。だから部下は挑戦したくてもしにくいし、上司は上司で、失敗を許したくても許せないのではないかと思う。

「最高のチーム」の作り方

「最高のチーム」の作り方

栗山英樹監督自身、日本ハムに長い目で見られている。実に監督就任後7シーズンが経過。2年契約で結果が出なければ即解任というパターンもある監督業で、2019年は8年目を走っているのだ。日本一になった実績もさることながら、日本ハムは栗山監督の育成力、人心掌握術を買っているとみている。


栗山監督の著作「稚心を去る」のタイトルが気になった。これは幕末の福井藩士、橋本左内が15歳くらいで書いた「啓発録」にある言葉だという。

稚心とは幼い心。誰かに頼りたくなる依存心やついつい遊んでしまう慢心も含まれるだろう。稚心があるようでは大成しないぞ、という戒めのようだ。橋本左内は今でいう中2くらいで自分を律しているというのに私は何をしているのか……とちょっと恥ずかしい。

幕末・維新人物伝 橋本左内 (コミック版日本の歴史)

幕末・維新人物伝 橋本左内 (コミック版日本の歴史)



今年は年末年始に長谷部誠の「心を整える。」、城山三郎の「少しだけ、無理をして生きる」といった本で自分をメンテナンスして調子がいい。この流れで栗山監督の本か、橋本左内に手を出してみようか。ひとまず「買い物かご」に入れることにする。昨日も書いたが、アンテナを張っておくといろいろな刺激を受けるものだ。感度を鈍らせないよう、基礎正しい生活にも気を配ろう。


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丸佳浩は巨人で何番を打つのか~西鉄・三原脩監督譲りの流線型打線の可能性も

日経新聞を読んでいたら、巨人の打線構想が出てきた。原辰徳監督は丸佳浩を2番で起用する考えがあるという。これには少々驚いた。



じゃあ3番は誰かといえば坂本勇人。4番は岡本和真。岡本は昨シーズンの活躍から、アクシデントさえなければ順当にくるだろうと思っていた。だから、ポイントは丸や坂本の位置だ。

てっきり丸が3番と思っていた。が、坂本は5番という感じでもない。1番もなくはないが、斬り込み隊長でもない。チャンスで回したいバッターだ。
坂本勇人―読売ジャイアンツ (スポーツアルバム No. 25)

坂本勇人―読売ジャイアンツ (スポーツアルバム No. 25)



それは丸佳浩も同じだから、丸を5番に置いたらどうかと思うのだが、あえて2番に置くことで、打線前半に厚みを持たせたいのだろう。

流線型打線を思い出した。昭和30年前後、西鉄三原脩監督が実行した強力打線。2番に強力打者を置くのが特徴だ。

今でも2番は送りバントなど小技ができる打者が起用されることが多い。ゆえに流線型打線は良し悪しなのだろう。仮に丸がいた広島が、丸を3番にしていたら流線型打線と呼んでもよかったかもしれない。しかし、その場合は菊池涼介のよさは発揮されなかったように思う。

単に小技ができる2番を用意できなかっただけなのか。それとも丸、坂本、岡本で打ち勝つ野球を目指すのか。そうだとしたら、丸の巨人入りは戦い方にかなり影響を与えたことになる。

なお、強力打線は打率を問うものではなかった。西鉄が初優勝した昭和29年は2番に豊田泰光を置く流線型打線だった。3割バッターは大下弘だけだったが、得点は487から590にはね上がった(出典は立石泰則「魔術師〈上〉三原脩西鉄ライオンズ小学館文庫)。ちなみに並びは以下の通り。
1番仰木彬
2番豊田泰光
3番中西太
4番大下弘
5番関口清治
6番河野昭修
7番高倉照幸
8番日比野武
9番ピッチャー

2番に強力打者を置くことには賛否あるだろう。ただ、やれる人材がいればやる価値はあるかなと思う。巨人はいつだったかホームランバッターをずらり並べて不発だったことがあった。それと今回は違う印象だ。丸という好打者の加入で戦略が立てられたことは興味深い。単純に面白い。まあ、巨人の意思というよりは丸のFA宣言の副産物だったのだが。



黒柴スポーツ新聞も副産物効果でまさかの流線型打線の調査ができた。ネタ探しで日経新聞を読んでよかった。アンテナを張っていたら知識はどんどん増えていく。新聞の効能はこれだと実感している。
小宮一慶の「日経新聞」深読み講座 2019年版

小宮一慶の「日経新聞」深読み講座 2019年版



さあ、流線型打線が実現したら巨人はペナントを奪回できるのか。確かにこのくらいの手を打たなければ広島には勝てない。開幕戦はこの2チームが直接対決。両チームの打線にも注目しよう。

サインや触れ合いは節度を守ってこそ~松坂大輔の負傷で問われるモラル

松坂大輔の肩が心配だ。ファンと接する中で右腕を引かれ、傷めてしまったという。中日はサインの転売が問題になったばかり。まさに今、ファンのモラルが問われている。



もちろん行きすぎたのは一部で、ほとんどのドラゴンズファンはただただ一生懸命、応援しているだけだろう。だからこそ、球団に規制される前に、自制してもらいたい。選手はあくまでもファンとの触れ合いを大切にしているのだから。

サインをもらいたい気持ちはすごく分かる。何せ普段はテレビやネットの中にいる人が目の前にいるのだ。興奮するなという方が無理。ましてや自分のためにプロ野球選手がサインを書いてくれるのだから、それこそ一生の思い出に違いない。

転売があるのだから、買う人もいる。みんなが練習を見に行けるわけではないから、何とかプロ野球選手とつながりたくて、サインを買う気持ちは分からないでもない。しかしやっぱり、言いたい。サインは自力でもらう方が素敵な思い出になりますよ、と。
月刊ドラゴンズ 2019年 01 月号

月刊ドラゴンズ 2019年 01 月号



ここに1枚の色紙がある。私がもらった唯一のプロ野球選手のサイン、といいたいところだがビミョーだ。サインを書いたのは伊良部秀輝。当時、NPB復帰を目指して独立リーグ高知ファイティングドッグスにいた。
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ヤンキースタジアムにまで行った男が高知市営球場で先発するという。伊良部はどの程度本気でNPB復帰を目指しているのか。それを見たくて市営球場に向かったのだった。
球童 伊良部秀輝伝

球童 伊良部秀輝伝



ロッテ時代も阪神時代も見ていないから比べようもない。だが全盛期には程遠いことは素人目にも分かった。それでもナイター照明ではなく南国土佐の日差しの下で投げる伊良部秀輝から私は感じるものがあった。
「この男は本当に、野球が大好きなんだ」と。

だから、球場のアナウンスに胸がときめいた。
「試合終了後、伊良部選手のサイン会があります」
もう、鼻血ブー。

もともとサイン狙いではなかったため、色紙などない。だが、もともと球団はサイン会を予定していたのだろうか。色紙が売られ始めた。もう、流れで買うしかないよな。けど、ファイティングドッグスの色紙だから、これはある意味激レアだ……

牛を飼う球団

牛を飼う球団



この日は伊良部登板とあって、各スポーツ紙のカメラがいっぱい。写るのは嫌だったので、サインを求める列の後ろの方に並んだ。そしていよいよ自分の番。かつ、伊良部秀輝と話せる人生最大のチャンス。ここはもう、思いを伝えるしかない。
「絶対、プロ野球行ってください!」

「行けるかな……」
伊良部はニヤッと笑いながら答えてくれた。きょうの調子じゃダメだろうな、という幾ばくかの自嘲というか、諦めもないではなかった。でもまぁ、やってみるさ。そんな感じに受け止めた。

伊良部が自分のためにサインを書いたのを見て、かなり満たされたのだが、欲が出た。
「握手してください」
まさかのおねだりに、伊良部はしょうがねえな、という感じで手を出した。確か右手だったと思う。ゴツゴツした手と思っていたから、手のひらの予想外の柔らかさにとまどった。それが伊良部との一部始終である。

プロ野球復帰を果たせなかった伊良部はその後、自ら命を絶ってしまった。寝床で速報を確認して何とも言えない気持ちになった。サインをもらったからこその衝撃だった。
伊良部秀輝ラストインタビュー (SPA!BOOKS)

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サインには本当に魅力がある。私は人脈を駆使して、当時オリックスにいた清原和博と、メジャーにいたイチローと田口のサインをいっぺんにもらったことがある。この時もものすごくうれしかったのだが、やはり伊良部のはピカイチだ。だからやっぱりファンにはルールの中でサインをもらってほしいと思う。

それができない人はたくさんいるので、おすすめしたいのが直筆サイン入りの野球カードを買うことだ。できれば、野球カードの新品(例えばボックスのインサートカード)として買うとか、きちんとしたショップで買うようにされたい。選手はそういうルートでファンの手に渡ると知って、サインを書いている。つまり「あなた」のために書いたサインと解釈することができるのだ。オークションも構わないが、本物かどうかの判断はあくまでも自己責任であることは言うまでもない。
2018 BBM ベースボールカード 1stバージョン BOX

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野球カードは選手の写真とサインの組み合わせだから、大きささえ求めなければ最強である。これは色紙にない美しさ。芸術である。もしあなたが選手だったら、自分の野球カード出されて「サインください」と言われてテンションが上がらないはずがない。きっとしっかりサインしてくれるはずだ。お気に入りの選手の野球カードを持っている人はぜひチャレンジしてもらいたい。
2018 BBM ベースボールカード 2ndバージョン BOX

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せっかく応援にいっても選手を邪魔しては意味がない。中日は根尾昴が入団して活気が出ていることだろう。マイナスのニュースより景気のいい話題を振りまいてもらいたい。先日記事に書いた堂上直倫が打撃好調という記事を見つけた。今なら堂上のサインがもらいたいところだ。いや、松坂大輔も根尾もほしいな……いかんいかん、やはり節度をもって応援しましょう。

日本ハム開幕投手争いに見るキャリア論~期待の上沢、奮起を促す有原、実績十分の金子

開幕投手には二つの意味がある。文字通り、開幕戦に投げるピッチャー。もうひとつは1年間、このピッチャーを軸に戦うんだという意思表明である。ゆえに開幕投手はエースまたはエース候補の意味合いが強い。その意味でも、日本ハムが2019年の開幕戦に誰を起用するのかは大変興味深い。

日本ハム開幕投手争いは上沢直之、有原航平、金子弌大で、上沢が最有力だと新聞記事で見つけた。連日キャンプ記事がネットやら新聞に掲載されるが本数はあっても心を揺さぶられるものが少ない。そんな中、この日本ハム開幕投手争いはキャリア形成の意味で非常に興味深く読めた。

ざっくり言えば、上沢は2018年シーズン、日本ハムの勝ち頭だった。とはいえ11勝。この辺りが日本ハムが優勝できなかったことを物語る。上沢がブレイクしていたらペナントレースの順位も変わっていたとみている。

そう、もし上沢が初の開幕投手に指名されたらそれは栗山英樹監督からのブレイク指令の意味合いが強い。一皮むけろ、と。おまえにはそれくらいの能力があるんだ、と。栗山監督はそうやって選手の自覚を促すタイプだ。

「最高のチーム」の作り方

「最高のチーム」の作り方

また、上沢直之開幕投手にすることで有原航平に刺激を与える裏効果があるとみている。上沢は実働4年で28勝。有原は同じく4年で37勝。有原からしたら、うかうかしていられない。

ドラフトは上沢が2011年の6位で有原が2014年の1位。上沢の方が入団が早いが、上沢は1994年2月生まれの専大松戸高校出(25歳)。有原は1992年8月生まれの早稲田大学出(26歳)だから学年は一つしか違わない。切磋琢磨していけばしばらく日本ハムのローテーションを形成する二人なのだ。

日本ハムは競争心をいい意味で煽ることで成長を促すところがある。この辺りは吉田輝星と柿木蓮の扱いをみてもよく分かる。
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有原航平は2017年に開幕投手の経験がある。また実働4年のうち2度、2けた勝利をした実績もある。ただし2018年は8勝止まりだった。上司としては悩みどころだ。成長に期待しての上沢か。奮起を促す意味での有原か。



そこに割って入る男もいる。オリックスから加入した金子弌大だ。こちらは5度の開幕投手経験がある。さらに通算120勝と実績では上沢も有原も比較にならない。開幕戦が特別な意味を持つだけに、指揮官が金子を指名する可能性は十分ある。

そして、肝心の開幕カードがオリックス戦なのだ。因縁。話題性。知略に長けた日本ハムがこれを生かさないはずがない。金子弌大はクールだからいちいち気にしないと振る舞うだろうが、大幅減俸を提示してきた古巣と開幕戦、少なくとも開幕カードで当たるとしたら燃えないはずはない。半沢直樹ばりにやられたらやり返す。100倍返しの絶好機であり、早くも脳内で半沢直樹のテーマが流れていても不思議ではない。
半沢直樹 -ディレクターズカット版- DVD-BOX

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とここまで書いておいて何だが、私はソフトバンクファンである。他球団の開幕投手を気にするな、とは言わないでもらいたい。なぜならソフトバンクにとって日本ハムは毎年絡まれる嫌なチームなのだ(本音であり誉め言葉です)。だからライバルチームの動向が気になるので、ちょっと考えてみた次第。ひとまず開幕カードで当たらなかったことをラッキーに感じている。ソフトバンクはいきなり昨シーズン覇者の西武戦だから全く気が抜けないのだが。

西武はソフトバンクに特別な感情があるに決まっているし、日本ハムは金子が開幕投手ならオリックスと因縁の対決。セ・リーグでは人的補償で話題をさらった広島vs巨人だから、2019年は開幕カードから盛り上がらないはずがない。しばらくは開幕投手争いを観察しながら、開幕を楽しみにしよう。さて、あなたが栗山監督の立場なら、期待の上沢、奮起を促す有原、実績十分の金子、誰を開幕投手に起用しますか?


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メモすることは真剣に生きること~メモで成功した高井保弘と長池徳士と野村克也

ライブ動画配信サービスSHOWROOMを手掛ける前田裕二さんの「メモの魔力」が売れているという。累計17万部だと、購読している新聞の読書面で見た。この新聞の読書面は、日曜日のちょっとした楽しみであり、自分をアップデートするツールにしている。

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

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読書面で見ただけだからもちろん読んでいないのだが、こんなくだりが紹介されていた。
「勝負は、書くか書かないか。もはやこれは、テクニックの問題ではなく、自分の人生とどれだけ真剣に向き合うかという、『生き方』の問題なのです」

きょうはこれを念頭に、メモで成功したプロ野球人を紹介する。


まずは高井保弘。阪急が誇る代打本塁打27本の世界記録保持者だ。同僚の助っ人、スペンサーが相手投手のクセをメモしていたことに触発され、自分でもマメに付けるようになったという。



スペンサーがメモしていた風景は「豪打列伝」(文春文庫ビジュアル版)に西本幸雄の言葉でこう出てくる。
「チームが勝つために自分が何をすればいいのかを常に考えている男だった。凡打して帰ってくると、ベンチで頭をかかえて考えこみ、またそのことを克明にメモしていた」(248ページ)
豪打列伝 (文春文庫ビジュアル版)

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高井保弘は一発を期待される場面で起用されるから、相手のクセを見破り即対応せねばならなかった。二宮清純のインタビューでは、「投げるほうの手首のスジを見よった」「まずは始動から見るね」「(セットポジションの場合は)最初のグラブの位置やね」などと、鬼のように細かい観察眼を披露している(詳しくはスポーツコミュニケーションズ「長嶋監督の分かりやすいクセ~代打男・高井保弘インタビュー」をご覧ください)。

自分で集めた情報はまさにお宝。ベンツと交換しないかという申し出さえあったらしいがもちろん高井保弘は断った。書いておきたいのは、高井にはクセを見破るだけでなく的確に対応する技術力があったこと。抜群の勝負強さは研究熱心さと技のたまものだったのだ。

次に紹介する長池徳士(徳二)もスペンサーの影響を受けた一人。というか、長池はスペンサーが不在の時にスペンサー・メモを見ちゃっていた。というか、通訳に中身を教えてもらっていたという(サイト 週刊野球太郎「阪急の4番を作った“スペンサー・メモ”」より)。

そこから長池徳士は真似してメモをとるようになり、スペンサーに情報提供する側になっていったという。優秀な助っ人スペンサー、代打本塁打世界記録を打ち立てた高井、本塁打王打点王3回ずつの長池。阪急が強かった裏には飽くなき探求心があったのだ。そりゃ、結果が出るはずだ。

長池は同僚と情報を「シェア」したが高井は長池から見せ合おうと言われても応じなかったという。この辺りは野球太郎のサイトにも書いてあるが、代打から成り上がった高井と4番を張った長池の立場の違いを読み取ることができて面白い。

そして最後はやっぱり野村克也。1軍に定着した頃からメモをつけ始めた。対戦した打者の長所や短所。忘れないよう、その日のうちにノートにまとめていたという(東洋経済オンライン 野村克也「メモを取る習慣が弱者を強者にする」より)。
野村メモ

野村メモ



相手投手のクセもメモしていたが、クセが修正されたらそれも書いたという。この更新作業がやれそうでやれないこと。書きっぱなしにしないところはさすがだ。
弱者の流儀: 野村克也31の考え

弱者の流儀: 野村克也31の考え


野村克也の観察眼もすさまじい。サインを出された時の投手のうなずき方や選手の性格までメモしたという。そう、優れたメモは優れた観察眼とセットなのだ。
いかがだろうか。結果を出す人は探求心があり、観察眼に優れ、時に周りを巻き込み、メモの中身をアップデートする。メモを使い倒しているのだ。

メモから得た対応策を実行する力も欠かせないのだが、まずはレベルアップのヒントを蓄積するためにこまめにメモを取りたいものだ。今はちょっとした思い付きや気付きに過ぎなくても、いつか「あの時のメモが……」となる可能性はある。

前田裕二さんの言うように「勝負は、書くか書かないか」。人生と真剣に向き合うためにも、メモを上手に活用してみよう。
メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

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ワンポイントリリーフの絶滅を防げ~永射、遠山、森福、嘉弥真……個性を発揮してこそ

ワンポイントリリーフ。打者1人~数人を討ち取るために投入される、ぜいたくな切り札である。投手の分業が確立された現代野球で、欠かせないポジションになっているが、アメリカではアクシデントがない限り、登板した投手は打者3人を相手にせよという改革案が浮上しているという。


 
アメリカで実施され、日本もそれにならえば野球の流れは大きく変わるに違いない。球界に全く影響力はないのだが、黒柴スポーツ新聞は打者3人しばりに反対の論陣を張る。 
ワンポイントリリーフは、何人かだけ相手にするから楽かと思えば大違い。成功したらお手柄だが、失敗してチームが敗れでもしたらその責めを一身に背負わねばならない。むしろ成功して当たり前くらいに思われている。ワンポイントに限らずリリーフを高く評価してあげてほしい理由はこれに尽きる。  
アメリカで打者3人しばりが浮上した背景には、試合時間の長さがある。これは日本も同じだろう。確かに試合が長くなっているし、その要因が投手交代にあるのも事実だ。
 
試合結果を報じる新聞業界も影響を受けている。試合が長引くということは、試合終了から、紙面を組み上げて紙面データを印刷工場に送信するまでの時間が短くなるということだ。有能な編集者なら試合終了までに見出しやレイアウトを何パターンもシミュレーションしておけよという話かもしれないが、それこそワンポイントリリーフの成功、失敗で試合結果は大きく変わりかねない。ドラマチックな分、紙面的には盛り上がるのだろうけれど。
中継ぎ投手 ---荒れたマウンドのエースたち

中継ぎ投手 ---荒れたマウンドのエースたち


 
だが新聞業界の立場で反対しているわけではない。ワンポイントリリーフには試合を盛り上げる貴重な役割があるから、それを大事にしてほしいのだ。
 
ワンポイントリリーフで名を馳せた1人、遠山奨志(阪神~ロッテ~阪神)。この球歴が物語るように、ドラフト1位で入団した遠山はトレードを経て古巣で輝けるまで、人知れぬ苦労があったことだろう。阪神復帰後は野村克也監督のもと、対松井秀喜のワンポイントリリーフとして起用され結果を残した。
 
そう、ワンポイントリリーフにはドラマがあるのだ。対戦する打者にネームバリューがあればあるほど、逆に登板する投手が「大丈夫だろうけど、頑張ってくれ」的な投手であればあるほど盛り上がる。
 
打者3人との対戦と言えば、かつて森福允彦が2011年、中日との日本シリーズで見せた「森福の11球」がある。中日2勝、ソフトバンク1勝で迎えた第4戦。1ー2とリードされながらも中日は6回に無死満塁の大チャンスを迎えた。ソフトバンクはホールトンに代えて森福を投入した。
森福允彦メッセージBOOK -気持ちで勝つ! -

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森福が対戦したのは一発のある小池正晃平田良介、そして経験豊富な谷繁元信。何せ無死満塁なのだからドラゴンズファンが盛り上がらないはずはなかったのだが、三振、浅いレフトフライ、そしてショートゴロで1点も奪えなかった。試合はそのままソフトバンクが逃げ切り対戦成績を2勝2敗とし、この第4戦は日本一の布石となった。
 
リリーフはこのように無死満塁で投入される場合もあるから、打者3人と相対しても十分見せ場になる。しかし、あの第4戦の中継で山田久志と思われる解説者が言っていたように「いつもいつもうまくはいかない」。毎回、「森福の11球」をやれと言われても無理な話だろう。
 
ワンポイントで出てくるのは、打者との相性が大きい。日本球界での先駆者は西鉄や大洋を率いた三原脩監督。例えば大洋のエース秋山登をある打者の時だけ外野に回し、すぐに再登板させた。監督はきちんと打者との相性を考えていたのだ。それを考慮せず、ただスピードアップのために一律で3人は投げろというのは乱暴だ。
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試合のテンポアップは別の方法で目指せばいい。例えば、打者が打席に入る時の登場曲。確かにエンターテイメント性もあるから全否定はしない。だが、もうちょっと短くてもよいと思う。西武・秋山翔吾の「人にやさしく」の10秒くらいが限度だろう。
 
ちなみにワンポイントリリーフで検索すると、永射保清川栄治杉山賢人藤田宗一らの名前を見つけた。やはり左対左の戦法から起用されるパターンが多いから、投げ方はさまざまだが基本的に左のサイドスローが名ワンポイントリリーフになる。遠山も森福もそうやって人々の記憶に残っている。
 
私が今応援しているワンポイントリリーフはソフトバンクの嘉弥真新也。守護神のサファテ、森唯斗といった剛速球ピッチャーではないが、左のワンポイントとして貴重な戦力だ。
 
そう、ワンポイントリリーフは個性の発揮の舞台なのだ。永射、清川、杉山、藤田に遠山、森福そして嘉弥真。いずれも個性を生かしてプロの世界で輝きを放った。日本ハムで一時代を築いた宮西尚生ソフトバンク中村晃が2018年シーズン終盤に対決したシーンなどは野球バカにはたまらなかった。  
個性派にはぜひ自分らしさを発揮してもらい、コントロール命のいぶし銀を絶滅させないためにも、投手に打者3人と対戦させるルールはナシにしてもらいたい。少なくとも、サシの勝負や「間」が大好きな日本社会ではワンポイントリリーフにまだまだ価値があると思うのだがいかがだろうか。今後のゆくえに注目したい。 
 
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マスコミはいつまでキャッチャーを女房役と表現するのか~言葉の力でよりよい社会に

まずはこのスポーツ報知記事の見出しを見てほしい。
【巨人】小林誠司、正妻はオレ!今季初実戦形式でアピール2安打
要は小林誠司が正捕手はオレなんだぞと打撃面でもアピールした(まんま、ですが)ということ。だが、私は思った。

「キャッチャーのことをいつまで正妻とか女房役というのかネ」

もう平成も終わろうとしているのに。



正妻やら女房役という表現はいつからなのか。もちろん正確には分からない。キャッチャーが妻や女房という表現なら、ピッチャーは夫ということになろう。今や同性カップルも応援されつつあるので、夫とは決めつけられない。パートナー、といったところか。

そもそもなぜ妻なのか。それは生物学的に雄は「出す」側であり、雌が「受け止める」側という考えだからだろう。ピッチャーは投球を行い、キャッチャーはそれを捕球する。だから女房役となる。

しかし、数はまだまだ少なくとも「主夫」もいる。妻が外で働き、夫が家事を主にやるパターンだ。それが今後増えていけば、妻イコール支える側という概念は薄れていくに違いない。
捕手論 (光文社新書)

捕手論 (光文社新書)



いや、むしろ日常的に、そうじゃないよという雰囲気作りのためにも、もうキャッチャーを正妻とかいうのはやめてもいいんじゃないかなと思うわけだ。

だいたい、野球を知らない人からしたら正妻争いとか意味が分からないだろう。正妻は本妻なのか? 二番手キャッチャーは側室? まさか浮気……まあ、小林誠司からしたらコンビを組んできた菅野智之がほかのキャッチャーを指名したら浮気と言えなくもないか。

さて、私が小中学生の頃はクラスの名前順はまだ男子→女子の順。今はミックスが主力だろうか。まだまだ性別に分かれているだろうか。これも深層心理で、男子からというのが男性優先が染み付く要因とみている。

また、民放のニュースはだいぶ女性がメインキャスターを務めているが、NHKはテレビ、ラジオとも男性アナ→女性アナという順で「おはようございます」「こんばんは」と番組内であいさつしている印象だ。NHKの影響は大きいから、この辺りから男女をあまり意識せず進行していけばもっと男女平等が進むと思う。
NHK アナウンサーとともに  ことば力アップ 2018年10月~2019年3月 (NHKシリーズ)

NHK アナウンサーとともに ことば力アップ 2018年10月~2019年3月 (NHKシリーズ)



というわけで、スポーツメディアも正妻とか女房役などの表現をやめれば男女平等が劇的に進む……とは言わないが、無意識に女性は支える側だ、サポートする側だ、引き出す側だ的なイメージを作らずに済むのではないかと思う。
捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』

捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』



高校野球でも大学野球でもマネージャーは女子とも限らない。男子でも女子でも、支えるのが得意だとか、サポートすることに喜びややりがいを見出だす人がやればいい。男だからとか女だからではなく適材適所でいいのだ。

去年の夏には女性教諭が部長を務める三重の白山高校が甲子園に出場した。女子生徒が練習を積極的にサポートする学校もあったと記憶する。硬球を使うから危ないという理由は分かるが、それなら安全第一の環境を作って女子もいっしょにやったらいいと思う。最近は打力が向上しているから相当気を付けねばならないだろうけれど。
江夏の21球をリードした男。

江夏の21球をリードした男。

正妻だ女房役だと書くのはある種言葉遊びだと承知している。コーチとして入団するのを「入閣」なんて書くのと同じ類いだ。だから目くじら立てる意味もあまりないのだが、正妻とか女房役と書いている限り、世の中の意識は変わらない。言葉を大事にする職業だからこそ、記者も編集者も言葉がもたらす影響に思いをめぐらせ、社会を少しでも住みよいものにしていければと思う。


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勝っても負けても自分らしく~剣道全日本2連覇の西村英久にも迷いや悩みがあった

意思の強い人に憧れる。もっと心が強ければ結果は違っていたんじゃないかと思うことは多々ある。昨夜もそうだ。つい、こたつでうたた寝……だが、昨夜はけがの功名。寝ぼけ眼で見たNHKの「アスリートの魂」がすごく心に響いた。主人公は西村英久(熊本県警)。剣道の全日本を2連覇中の剣士である。



これまで600本近くブログ記事を書いてきたが剣道ネタは初ではないか。素人ゆえに剣道の魅力は伝えきれないのだが、西村のまっすぐな気持ちには感服した。前年、下がりながらの小手という戦法も生かして全日本を制しつつも、正統派の剣道ではないととらえ、前に出る気持ちを強めていた。

世の中の流れとは逆行している。正に小手先の勝ちにこだわり、勝ち逃げも辞さない。そんな流れがある中で、西村は結果よりも勝ち方にこだわった。
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それでも剣道の全日本連覇は過去二人しか成し遂げていない偉業である。当然西村英久にもプレッシャーが掛かった。

全日本を控えながらも調子の上がらなかった西村は故郷・大分の恩師を訪ねた。そこで「勝っても負けてもいい。思い切ってやれ」とのアドバイスをもらった。敗れてしまった世界選手権では西村らしい剣道ができていなかった、との指摘もあった。

全日本連覇を狙う弟子に「勝っても負けてもいい」という師匠は本当に西村のことを考えているなと伝わってきた。でなければ「どうにか勝て」と言うのではないか。そうではなく、思い切ってやれ、しかも自分らしくやれというのだ。そう、自分らしさが出ないなら、何のために勝つのか分からない。それはきれいごとなのかもしれないが。

前に出る気持ちを強めていたけれども、いざ全日本になって、またもや下がる姿勢が出てしまった。恩師からそれを諫めるLINEが届いた。西村は強豪との試合で立て続けに一本を奪うなどして、全日本2連覇を達成した。まだまだ高みを目指している。

西村英久は、人間的にも成長したいと話していた。勝つために剣道をするのではなく、剣道をすることで一回り大きくなろうという考え方は素晴らしい。スポーツをやる意義の一つはそこだろう。ただ勝てばいいというのは、大切なものを置き去りにしている。

番組を見て、西村英久はファンを増やしたとみている。というのも、未完成な部分や成長過程の姿を披露したからだ。全日本2連覇の猛者だから完璧かと思うだろうが、迷いや悩みを持ちながら、あるいは弱気と戦いながら前に進んでいる。この辺りはすごく共感を呼んだと思うし、まさに等身大のヒーローという位置付けになったのではなかろうか。

というわけで、西村のように前に出る姿勢を、強い気持ちをもちたいところだが、今これを書いているのは暖かいこたつに入りながらであり、昨夜のようにまたうたた寝をするリスクを孕んでいる。とりあえず、前に出る前にこたつから出なければ……

西村英久のおかげで、剣道も素晴らしいものだな、と再認識できた。なかなかできるものではないと思うが、人間的に成長する過程の中で全日本3連覇をするチャンスがあればぜひ狙ってもらいたい。その時はもちろん、自分らしい剣道で。


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移籍を吉とした小久保裕紀が大切にしたものとは~ホークスから巨人への移籍の裏側

日経新聞小久保裕紀のコラムが出てますよ、とホークスファンルートで情報が入った。ありがたい。おかげで素晴らしい文章に巡り会えた。コラムのタイトルは「移籍を『吉』とするには」。広島に人的補償で移籍した長野にエールを送っている。まだ見られる方は2月5日付日経新聞をぜひご覧ください。

一瞬に生きる

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ホークスの大物、小久保裕紀の謎の巨人移籍にはおおいに驚いたものだが、小久保を待ち受けていたのは江藤智との三塁手争いだった。コラムはその裏側から始まっているが、小久保はその移籍を吉にできた。体を鍛え直したことで素晴らしい成績やしっかりした体を手に入れられたという。
ありがとう!一瞬に生きるキャプテン 小久保裕紀 [DVD]

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選択した道を正解にするかは実は未来の自分次第でもある。過去はほぼ変えられないが、未来は心掛け次第で変えられる。小久保裕紀もまたそれを体現していた。

小久保が大切にしていたのは、郷に入れば郷に従えの気持ちの中でも、野球で絶対に妥協しないという考えだったという。

これは多くの人がやれていないことではなかろうか? 新しい環境に馴染んでいく過程で、価値観や人間関係が変わっていく。そのうち何やかんやで妥協が始まる。越えてはいけない一線を越えてしまったら、あとは易きに流れる一方なのに。

だから、コラム後半に出てくるノック中の声出しはすごく気持ちが分かる。粛々と進む巨人のノックに対し、ホークスでは主力が声を掛け合っていたという。小久保はその雰囲気を大切にしていたから、巨人でもそれを貫いた。新しい環境に順応しつつも、自分が大事にしたい価値観は貫いた。

そう、大事にしたい価値観は守り抜かなきゃ。人の気分を害してまでやる意味はないかもしれないけれど、そうじゃないなら自分らしさは守りたい。ここは譲れないという部分は安易に妥協なんてしたくない。

ぼちぼち異動の季節。私は社会人生活で8回異動を経験した。どの部署もさまざまなやり方がある。元々郷に入れば郷に従えでやるタイプだから、それなりに順応できていたとは思うが、慣れずに迷惑を掛けた面も多々あったかなと反省もしている。その上で、小久保のコラムを読んで、自分も譲れない一線は死守したいなとあらためて思っている。一人一人が周りと調和を取りつつ妥協しなかったら、小久保が言うように移籍(異動や転職)を吉にできて、自分自身をパワーアップできるのではないかなと思う。

移籍の話も日経新聞で読むとキャリア論みたいで面白い。これからもコラムのネタ探しを兼ねながら日経新聞を楽しもう。

小久保裕紀がコラムの中でエールを送っていた長野久義関連記事はこちら。
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