黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

活躍して居場所をつくる~ソフトバンク石川と福田がCS敗退の危機救う

負ければ終わりのCS2戦目、お立ち台に立ったのは石川柊太と福田秀平だった。これがソフトバンクのなせるわざだ。もちろん3打点のデスパイネ、同点ホームランやタイムリーの柳田悠岐とてヒーローインタビューを受けてもよいところだが、やはり勝利のポイントは石川と福田。ソフトバンクファンも納得だろう。

 

石川にしてみたら9月に復帰したばかり。2019シーズンは若手が台頭したから、離脱している間に自分の居場所がなくなったことになる。そんな中で、崖っぷちの試合での2イニング無失点の好投。ソフトバンク中継ぎ陣は少しだけ余裕が生まれた気がする。何よりCSファーストステージでは楽天打線が好調なだけに、石川が無失点(うち1イニングは三者凡退)に封じたことで流れが変わった。そこはラジオ解説の岸川勝也もきょうのヒーローに石川の名前を挙げて評価していた。短期決戦は特に流れは重要だ。

 

そして福田秀平。交流戦の満塁ホームランと言い、この日の勝ち越しホームランと言い、なかなかの勝負強さだ。この日は不動のスタメン松田宣浩が美馬との相性の悪さがあったとはいえ下げられてグラシアルが三塁に回り、福田が外野に起用された。そんなこともあり福田には結果を出すことが求められていた。そこで結果を出すのだから福田は素晴らしい。

 

福田はヒーローインタビューでホームラン後1周する場所を「ベンチ」と言い間違え、さらに「グラウンド1周」と訂正していたがラジオ中継では岸川勝也に「ダイヤモンドですよ」と突っ込まれていた。「ベンチが慣れているので」という言い訳は微笑ましかったが、いやいや、福田はベンチが似合うわけじゃない。選手層が厚いことや、守備固めや代打代走要員としての能力の高さからベンチスタートが多いだけ。ソフトバンクになくてはならない選手だ。あらためてFA市場で注目されるのは皮肉なものだが、ひとまずファイナルステージ進出に集中してもらいたい。

 

というわけでファイナルステージ進出争いに踏みとどまったソフトバンク。石川、福田含め全員野球で楽天を倒し西武への挑戦権を勝ち取ってもらいたい。

弱みを受け入れる~荒木雅博は2000安打時の通算本塁打が最少33本

片付けをしようと紙袋を漁ったら、熊本日日新聞が出てきた。知人にいただいたものだ。日付は2017年6月4日。前日に熊本県出身の荒木雅博が2000安打を達成しており、それを報じている新聞なのだった。

懐かしがりながらめくってみると、あるくだりに目が止まった。
「2千安打達成時に通算33本塁打は史上最少となる」
いわゆる一問一答記事の中だから、会見でそういう質問、問いかけがあったのだろう。これに対して荒木雅博はどう答えただろうか。

「33本しか打てない選手だったから徹底して小技もやってきたし、右打ちもしてきた。33本のおかげで2千本打てた」
ちょっと感動する。数に差はあれど1軍のプロ野球選手なら打つのは不可能でないホームランがなかなか出ない。それはコンプレックスになりかねなかった、いや、コンプレックスそのものだっただろう。荒木雅博がすごいのはそれを否定しなかったことだ。弱みを受け入れるのは、本当に弱い人間にはできないことだ。

望んでも飛ばす力が付かないならどうするか。荒木雅博は先ほどの答えのように小技を磨き通算犠打は284。これはプロ野球歴代11位だ(2019シーズン終了時)。右打ちも鍛えたことで安打数も伸びたことだろう。そうやってなくてはならない選手になった。だからこそ2000安打が打てたのだ。

なりたい自分を思い描くのは成長につながるから、悪いことではない。しかし自分に足りないものや弱点を認めることも成長につながるのだな、とこの一問一答記事を見て学んだ。そして新聞を読む意味はこういう体験にある、と思っている。

というわけでこのブログを書き始めたから片付けは一向に進んでいない。片付けが苦手という弱点を認めることから、整理整頓を始めよう……

強行策失敗は危機を招く~ソフトバンクCSファイナル進出に黄信号

選手にフォーカスすることが多かったが、きょうは戦術について語りたい。ズバリ3回裏ノーアウト一塁からの強行策は失敗だった。2019年クライマックスシリーズファーストステージ、ソフトバンク楽天での話。ソフトバンク明石健志がヒットで出塁するも、今宮健太は送らずレフトライナーに倒れた。

今宮健太を責めるつもりはない。センターライナーは鋭い当たりだった。ズバリ批判の矛先は工藤公康監督。ここは送ってチャンスを拡大させるべきだった。なぜなら短期決戦だから、勝たねばならないからに他ならない。

今宮健太は初回に同点ホームランを放っており、調子は悪くないのかもしれない。打たせるのは確かに一つの手であった。だが、繰り返すが短期決戦。結果がすべてなのだ。ファンが試合後あれこれ語るのはズバリ結果論で、空虚なものかもしれない。しかし送りバントをさせてほしかったのには理由がある。

まずは千賀滉大の不安定さ。いきなり初回浅村に先制ホームランを浴び、3回オコエにも打たれた。内川聖一が2回に勝ち越しツーランを放っていたからまだ勝っていたが、1点差になった後は四球を連発し満塁になった。何とか後続は断ったが大量失点の危機だった。

ソフトバンクが手堅く送りバントしなかったのはそのピンチの裏なのだ。フラフラのエースを一刻も早く援護するのが打線の責務であり、作戦ではなかろうか? あれだけ貧打に苦しんだのなら、少ないチャンスを有効に活用しないと勝てない。そう、二つ目の理由はこれ。後半戦打てずに苦しんだのなら、まずは得点圏にランナーを送り、得点の可能性を高めるのが合理的だと思うのだが。今宮は犠打の名手でもある。

結局この3回、ソフトバンクは今宮がランナーを進められず、グラシアルは内野ゴロでゲッツーは何とか免れた。続く柳田悠岐がヒットを放ってグラシアルが一塁から三塁まで進みチャンスは拡大したが、デスパイネが倒れて追加点は奪えなかった。ランナーを二塁に進めた上で、グラシアル、柳田悠岐デスパイネの中から得点を期待する。それでよかったのではないか。そうしなかったのはアウトを与えることを惜しんだからなのか。中軸が打てないから、あわよくばノーアウト一塁二塁さらにはノーアウト一塁三塁を望んだのか。だとすれば中軸はあまり期待されていないのかもしれない。そう勘繰ってしまうほど、作戦の意図を汲み取れずにいる。

作戦の意図が分からない試合を見るのはなかなかしんどい。試合途中、立花コーチを中心に円陣が組まれ、中では松田宣浩も手を叩いて鼓舞していたが、結局得点は前半だけ。工藤監督含め、ファイティングポーズを見た気がしないのはなぜだろうか。9回に送り込んだのは高橋純平。逆転するためには1点差を守りきらねばならない。高橋純平も勝ちパターンの一角だが、ここはチームを鼓舞する意図も込めて森唯斗投入が見たかった。

 

考えたくもないが、2戦目負けたらソフトバンクの2019年は終わる。たった一つの送りバントだが、もしソフトバンクがCSファイナルステージ進出を逃したら、分岐点はこの回だと私は見る。そう、結果論だけれども。勢いのある時はイケイケでいい。しかし盛り下がっている時こそ、少ない可能性は拡大すべきではなかろうか? もがくエース、バットが湿る中軸に少しでも結果が出るよう整えるのがベンチの役割のはずだ。千賀の4被弾ばかりクローズアップされがちだが、この強行策失敗は看過できない。

ソフトバンクファンが「タラレバ」を言うためには何としても2戦目を勝たねばならない。パ・リーグは過去、ファーストステージ初戦に勝った15チーム中、13チームがファイナルステージに進んでいるという。圧倒的に不利なデータはあるが、今の戦力とチーム状態で勝つためには、ということを考えて戦ってもらいたい。

福田秀平のFA宣言をソフトバンクファンは受け入れられるのか

ソフトバンクの福田秀平がFA権の行使を検討しているという。具体的には中日やヤクルトが興味を示しているとの記事もあった。福田は代走や守備固め、代打で活躍しているイメージが強いが、実際、規定打席に達したシーズンはない。他球団ならレギュラーとも言われる福田はどのような判断を下すのか興味深い。

 

もちろん私はソフトバンクファンだから福田秀平にはこのままチームにとどまり大活躍してもらいたい。打撃も勝負強く、福田が巨人戦で森福から放った満塁ホームランは、個人的には2019年ソフトバンクの最も心に残る一発だった。何よりけが人の穴を颯爽と埋める福田の姿に感動していた。

 

だが、福田秀平とてプロ野球選手。実際、プロ野球選手ならスタメンで頭から試合に出たいと発言もしている。そうだ。試合後半からだと打席も限られる。打つに限らず、守って、走って、と丸々1試合活躍したいと福田は考えているのだろう。

 

となると、福田秀平がFA宣言したらファンはどう受け止めるだろう。もちろん引き留めの声は多いはずだ。これからもソフトバンクになくてはならない存在だから。福田秀平はいま30歳で、引退するまであと何年やるか分からないが、残りすべてソフトバンクにいてもらいたいと私は思う。

 

そのためにはしっかり球団に評価してもらいたい。ズバリ今の推定年俸3500万円は低すぎる。この評価のまま「これからもよろしく」というのは少々虫が良すぎないか。査定についてはド素人ながら、倍プラスの8000万円の4年契約でどうだろう。レギュラー確約ができないなら出場試合数に応じた出来高も付けてあげてほしい。

 

FA宣言するのは決して今のチームが嫌な訳ではあるまい。福田秀平の場合はお金というより出場機会がほしいのだと思う。理想はソフトバンクの中でレギュラーを奪うことだが、柳田悠岐中村晃、グラシアルの牙城を崩すのは容易ではない。ライバルには上林や周東らがいる。そんな中でぜひ使いたいという球団からオファーがきたら、腕試ししたくなるのは当然だ。だから私は福田秀平には残留してほしいけれども、FA宣言すること自体は納得できる。

 

じゃあ移籍も容認するかと言われたら心情的には無理だ。やはり福田秀平はソフトバンクのユニホームが一番似合うと思っている。どうしても移籍するならパ・リーグは御免だ。セ・リーグにしてもらいたい。

 

必要とされるポジションで活躍できるなら、プロ野球選手に限らず、こんなにうれしいことはあるまい。今ソフトバンクにいても困った時に顔が浮かぶ福田の存在価値は素晴らしいと思う。残留なら今後環境が変わるリスクは低いが、ローリスクローリターン。起用方法はさほど変わらない気がする。一か八か他球団に移籍してもうひと勝負してみるのも一つの生き方だ。FA宣言してあらためて自分の評価を見つめるのも意味がある。誰も福田が年俸を上げるためにFA宣言するとは思うまい。だからこそ気になる。福田秀平がFA宣言したらソフトバンクファンはどんな反応をするのか……

私は残留◎、セ・リーグ移籍△、パ・リーグ移籍×だ。残ってほしいのはやまやまだが、福田秀平が輝くならば彼の決断を何とか受け入れよう。そう考えている。

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ホークス終戦の夜に~課題が浮き彫りになった2019シーズン

ホークスの2019年シーズンが終わった。私にとっては、DAZNradikoを駆使してほぼ全試合を追った、初めてのシーズンが。だからこそ素直に言える。西武ファンの皆さん、おめでとう。西武の打力には参りました。

 

対照的にホークス打線は終盤、爆発力がなかった。西武はたびたびサヨナラ勝ちしたが、ホークスは最後にサヨナラ勝ちしたのはいつかなと思い出せないくらい。先行逃げきりという勝ちパターンはあっても、逆に言えばそれでなければ勝てないようなチーム状態だった。

 

多くの人は同情するだろう。ホークスはけが人続出しながらよく頑張った、と。それはその通り。だからこそ感動もした。若手の台頭に胸を躍らせた。だが、終盤は柳田悠岐中村晃も戻ったのに優勝できなかった。ラインナップに戻ってはいるが本調子ではなかったということだ。それならば他の野手が二人を押し退ければよいのだが、本調子でない柳田悠岐中村晃をしのぐ野手がいなかった。

 

 

ひょっとしたら長谷川勇也や福田秀平なら代わりになれたのかもしれないが、4打席で見たときはやはり柳田悠岐中村晃の方が上回ると見られたのかもしれない。野手力の底上げは2020年シーズンに必ず成し遂げねばならない。2019年にはその課題がはっきりと見えた。

 

中継ぎ陣は新人の甲斐野やようやく花開いた高橋純平、椎野新ら若手が文字通り奮投した。石川や加治屋が本調子でない穴をしっかり埋めてくれたし、チームが苦しい時を支えてくれた。だが、終盤息切れしてしまった。ここ一番というところで打たれたり、四球を連発したりした。タラレバを言ったらきりがないが、この若手に調整面も含めてもう少し経験があれば、もう少し違った展開になったと思う。

 

ウィーラーに逆転ホームランを喫した千賀、それにつながるランナーを出した今宮のエラー……チームを引っ張ってきた主力がここ一番で踏ん張れなかった。これは本人たちも悔しいと思う。ありきたりだが、それを晴らすのはCSしかない。西武に勢いがあるから、短期決戦の経験豊富なホークスでも簡単には勝てないだろう。今の調子では3位に足元をすくわれかねないくらいだ。それだけは絶対に避けたい。

 

2年連続でシーズン優勝を逃した事実は重い。だが、CSというステージは用意されている。だからまだホークスは下を向くことは許されない。ほぼ全試合を追ったからこそ強く主張したい。
CSこそは勝ち抜け、と。

俺がやる。と思わせるために~ソフトバンク逆転優勝へ必要な合意形成

総力戦だ、執念だとマスコミは美辞麗句を並べているが、ソフトバンクはベンチが勝ち急いで見えて仕方ない。9月22日は不振の柳田悠岐の4番昇格という奇想天外なプランが当たったが、ハイリスクだった。柳田悠岐の頑張りに救われた面は大いにある。

 

その前の4番にはグラシアルが座った。残り5試合ほどで4番変えるかね?と思ったのが正直なところ。ただしデスパイネの不振もなかなかだから、ベンチは少ない可能性の中でもがいているのだろう。そこは逆転優勝へなりふり構わず行くんだという合意形成ができていれば問題ない。しかしただただ勝ちたい負けたくないという思惑だけなら、選手は落ち着かないのではないか。日替わり打線や矢継ぎ早の継投はいかにもチームのドタバタぶりが見えてしまう。

 

今日は高橋礼を初の中4日で投入するという。これは高橋礼もチームの危機的状況が分かっているから、気持ちを入れて投げてくれると思う。そう、このようにスクランブル態勢というのはプレーヤーと指揮官の気持ちが一つになってこそ効果が期待できる。

 

前日の森唯斗の回またぎもそうだ。もうあれだけ中継ぎがドタバタしたら森だって自分がやるしかないと思うに決まっている。森に関してはもともと気持ちで投げるタイプだから、残り試合すべて投げる準備はするだろう。願わくば森を出さずに終われるくらい打ち勝ってほしいのだが。

 

もう1試合も落とせないからなりふり構わず打順を組む気持ちも分かる。だが、それならばそうチーム内で宣言して打順を組んでもらいたい。そうすれば何番だろうがみんな必死のパッチでバットを振るはずだ。俺がやるんだ、と。2014年にはスローガン「俺がやる。」を掲げて日本一になったソフトバンク。逆転優勝に向けてそれぞれが、俺がやる、の気持ちで戦い抜いてもらいたい。

本調子ではなかったとしても~ソフトバンク内川聖一のガッツポーズに闘志を見た

島田誠がさかんに訴えていた。ヒットを二千数百本打ったバッターに8番を打たせてはいけない……そう、内川聖一のことだ。もちろん内川は8番だからといって手は抜かない。何番だろうがやるべきことはやる。

ヒットが打てなかった打席でも、最低限の仕事イコール進塁打を放った内川。「一番に手を差し伸べにいったのは松田ですよ。分かってるんですよ」と島田誠。ベテラン同士、勝つために必死にならなきゃいけない状況であることは共通認識としてある。松田宣浩は内川が進めたランナーを返すタイムリーヒットを放った。

内川はこの日6番に昇格していた。勝負を決めた8回には一塁に俊足・周東を置いた場面で打席へ。周東を警戒してオリックス増井は内川に集中できない。盗塁もあり得るため、直球主体になるはず……そのくらいは野球ファンでも分かる。そしてストレートを内川はセンターに打ち返した。これでランナーは一、三塁。さすが内川だなと思ったら池田親興は「ストレートを待って詰まるのは、今の内川の状態を表している」と解説した。確かに内川クラスなら、以前の内川ならばホームランあるいはタイムリーになっていたかもしれない。内川が下位を打たされるのはこのあたりが見極められているのかもしれない。

それでもなお気持ちでセンター前に持っていった内川のバッティングには心を動かされる。チャンスを拡大したソフトバンク中村晃の犠牲フライで勝ち越した。代走を送られてベンチに退いていた内川は飛び出してガッツポーズをしていた。タイムリーにならないあたりが今のソフトバンクの苦しさなのだが、今は勝つことが最優先。勝ち方は二の次だ。内川のガッツポーズにはまだまだ優勝を諦めないという闘志が見えた。

数字的には優勝争いが厳しくなってきたが全員が内川や松田宣浩ばりの闘志を見せればまだチャンスはある。きれいな勝ち方じゃなくていい。ここまできたら一つでも多く勝って西武にプレッシャーをかけたい。ソフトバンクファンもまだまだ諦めてはいけない。

各自が持ち場を全うする~ソフトバンク「執念の継投」は美談なのか

ソフトバンクが9月15日の日本ハム戦に敗れ、西武がロッテにサヨナラ勝ちしたため、西武にマジック9が点灯。Twitterではまずい守備で西武に決勝点を献上したロッテに対する激辛コメントが並んでいたが、ソフトバンクファンとしては西武戦よりもまず日本ハム戦での敗因を見つめたい。私は6回の継投と見ている。

 

え? 甲斐野が清宮らにタイムリーを打たれた8回がポイントじゃないの?と思われるだろう。確かにそこが決定的な場面だが、伏線は6回に求めたい。なぜならソフトバンクは6回、先発した和田毅を含めて4人のピッチャーがマウンドに立った、つまり早めにコマを使ってしまったのだ。

 

和田毅からスイッチした嘉弥真は対左のワンポイントだったから仕方ないが、高橋純平が中田翔にタイムリーを浴びた。ここが痛かった。チームへの貢献度が高い高橋純平が1本タイムリーを打たれただけで責められるのは酷だが、結果的にはこれで継投のタイミングが少しずつ早まった。高橋純平は続く渡邉諒から三振を奪ったところで降板。清宮に左を当てるためにモイネロが投入された。

 

モイネロは回またぎできるから、登板が早まった1イニング分は取り返せる。しかし仮にモイネロが温存できていたとしたら……つまり、甲斐野が失点した8回にこそ、モイネロを対左として清宮にぶつけていたら……と考えてしまった。もちろんタラレバなんてプロ野球を語る上では意味がないのだが、タラレバをついつい口にしてしまうのが熱烈なファンである。

 

早いイニングや短いイニングにどんどんピッチャーをつぎ込むことをマスコミは「執念の継投」と美談に仕立てる。それは果たして的を射ているのだろうか? 特に近年はますます投手の分業化が細かくなり、回またぎなんて言葉も定着するほどだ。つまり、強いチーム、磐石なチームほどピッチャーの出番は定番化している。ソフトバンクが立て続けに「執念の継投」という記事を書かれているのは、投手陣が磐石ではない何よりの証拠に思えるのだが。

 

残り試合が一桁になった今、確かに出番がいつも通りなのかをいちいち気にしては勝てないかもしれない。しかし、スクランブル発進せずに済むならそれにこしたことはない。武田翔太の四球という悪い流れを断ち切り逃げ切った前日の執念の継投と、ヒットやタイムリーを打たれながらの前倒しの継投は意味合いが違う。残り試合が少ないからこそ、今一度各自のピッチャーが持ち場を全うする継投が見たい。

 

ライバル西武の勝ちパターン投手である平井や増田も登板が多く、特に平井はいっぱいいっぱいに見える。まさに根比べ。奮闘してきたソフトバンクの中継ぎや抑えは今が一番しんどい時だろうけれど、そんな時こそ各自が持ち場を全うすることでお互いを助けてもらいたい。

意識して「意識」する人、しない人~ノーヒットノーランの千賀と、キャッチャー大野奨太

何か大きな出来事を控えている時、あなたはそれを「意識する」派だろうか? それとも「意識しない」派だろうか? 今月2人がノーヒットノーランを達成したが、当の本人やそれにまつわる人、それぞれの思考はとても興味深い。

 

1人目はソフトバンクの千賀。ノーヒットノーランの次の登板日は宿敵西武との天王山2連戦の初日。エースとして意識しないはずがない。ところが天王山で勝ち星を挙げた翌日の新聞記事を見ると「(その試合が)大事かどうかも考えなかった」という予想外の千賀のコメントが載っていて驚いた。

 

ちなみに私は大きな予定を意識する派だ。大事なことだからこそ丁寧にやりたい。慎重にやるのはいいのだが、意識しすぎる傾向がある。だからこそ今回の千賀の思考に唸った。千賀は大事な試合かどうか、考えないくらい、自分のやるべきことに集中していたのだ。

勝てなかったらどうしよう、なんてことをあれこれ考えるよりもまずは自分がやるべきことをやる。それを実行し、結果が残せたらチームに勝利をもたらすことができる。なるほどなと思わされた。ピンチを迎えた試合終盤には好打者の栗山、勝負強い外崎から連続三振を奪った。絶対に点をやらない。そのために、投げるべき球を投げるべきコースの投げるべき高さに投げた。そこにしびれた。

BBM 2018 1st 千賀滉大 BM01 プリントサイン

BBM 2018 1st 千賀滉大 BM01 プリントサイン

 

 

 

さて、もう1人はノーヒットノーランを達成した中日の大野雄大、ではなくてキャッチャーの大野奨太。元ネタは中日スポーツの「途中からマスク、中日・大野奨太ノーノー初体験 意識して大野雄大の快挙達成サポート」だが、スタメンキャッチャーの加藤が負傷したため6回から出場した大野奨太は、見出しにあるようにノーヒットノーランをあえて意識して出場したという。

 

「考えないようにじゃなく、逆にノーヒットノーランだと思って自分は行った」(中日スポーツ記事より)
これも一つの考え方だ。千賀の場合はその試合が大事かどうかも考えなかった。だが、大野奨太はいま目の前で大記録が継続中ということもあり、意識することでリードがうまくいったのではないか。

 

普段の試合でももちろんヒットを打たれないよう配球するだろうが、特に6回という後半から、しかもノーヒットノーラン継続中からマスクをかぶるのだから、引き気味に引き受けていたらあまりよい結果にならなかったような気がする。大野雄大自身、「5回くらいから絶対打たれるやろなって思って投げていた」(東スポ記事より)そうだから、大野奨太が意識してリードしたことは意味があったと思う。

 

意識する派かしない派か聞いたが、特にどちらがよいと言うつもりはない。自分の場合はいつも意識しすぎてしまうので、そんな時は千賀みたいにまずはやるべきことをやる、そこに集中してみようと思う。そして、都合よく使い分けてみたいのだが、強気で行った方がよさそうな場面では、大野奨太のようにあえて意識しながら実行してみる。どちらも今までやったことはないが、ノーヒットノーランという快挙にあやかって、大事な予定がある時は意識して「意識する」「意識しない」を使い分けてみよう。

気持ちの強い方が勝つ~ソフトバンク、川島慶三と明石健志の代打タイムリーでロッテ撃破

「西武勝利の情報が入ってきております」
試合終盤、アナウンサーが他球場の結果を伝えた。ソフトバンクは8日のロッテ戦で先制するも、逆転されるなど苦しい展開だった。しかしベテラン川島慶三の活躍で同点、そして明石健志のタイムリーで勝ち越した。

 

ヒーローインタビューではまず明石が「いつ自分の出番が来るか」と考えていたことを明かした。呼ばれるかな、というより「いつ」呼ばれるか、と考えるところがさすがだなと思った。出る前提だから、準備もきっと本気だ。本気で準備しているからこそ代打でも結果が出る。そうに違いない。

 

川島慶三も「絶対打つ」という強い気持ちで打席に入ったという。ツーストライクと追い込まれながらも、低めに落ちていく変化球に食らいつきレフト前に運んだ。絶対に打つ。当てる。そんな気持ちで打ったに違いない。代走の周東もよくホームに帰ってきた。

 

何でもかんでも気持ちがあればできるというのは嘘だと思う。逆立ちしても無理なものは無理。そんな時はある。でも1%でも可能性がある場合は、気持ちが強ければ強いほど、うまくいく可能性は高まると思う。努力のしがいはそこにある。

この日はデスパイネの先制タイムリーを皮切りに、柳田悠岐、グラシアル、松田宣浩といった主軸に打点が付いた。そこにスーパーサブ川島慶三明石健志が加わった。特に明石のタイムリー後には内川聖一松田宣浩もグラシアルもベンチを飛び出し万歳やハイタッチ。総合力で勝つ。この辺りはソフトバンクの真骨頂だ。

 

勝負を決めた明石のタイムリーに至る起点は内川聖一二塁打だった。ここで内川は頭から滑り込んだ。タイミング的にはそこまでしなくても間に合っただろうが、気持ちが入っていたのだろう。2000本以上ヒットを打ったベテランが必死に次の塁を狙う姿勢は若手にもぜひ見習ってほしい。アラフォーの私にもよい刺激になった。

 

西武も勝ったためゲーム差は1のまま。ここまで来たら気持ちの強さがわずかでも上回った方が勝ちそうだ。最後の直接対決は死闘になる可能性大。ますます優勝争いから目が離せない。

千賀が初ずくめのノーヒットノーラン~甲斐との育成出身バッテリーで快挙

ソフトバンクのエース千賀が9月6日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成した。令和初、育成出身初、育成出身バッテリー初、ソフトバンクホークス初、ホークス福岡移転後初と「初」ずくめだ(ほかにもあったら教えてください)。

 

ホークスとしては1943年南海の別所昭(後に毅彦)以来76年ぶり。最も達成から遠ざかっていた球団だったそうだ(歴史が浅い楽天を除く)。工藤公康斉藤和巳和田毅も攝津正もやっていない。

 

単純に、ノーヒットノーランをやっただけでも素晴らしいのだが、やったタイミングがよかった。千賀自身は3連敗中で、チームに勝ちを付けられていないことに忸怩たる思いがあった。やり返す、という意味ではこれ以上ないリベンジだ。

 

ホークスファンとしては甲斐拓也との育成出身バッテリーという点にフォーカスしてもらいたい。この二人が入団時、3桁の背番号だったなんて……今や知名度は全国区だ。育成出身投手によるノーヒットノーランはこれからもありそうだが、育成出身バッテリーによるノーヒットノーランは少しハードルが高そう。しかし、甲子園経験者でもなく、大学時代にタイトルがなくてもプロ入りして結果は残せる。そんなよい事例だから、プロを目指す豊かな才能たちに希望をもたらすことだろう。

 

甲斐は甲斐で心中機するものがあっただろう。正捕手ながらここ2試合は先発マスクを高谷に譲る形。しかも高谷はリード面と勝負強い打撃でチームに貢献した。甲斐にはよい刺激になったに違いない。

 

リード面では早速高谷の配球の影響かもというシーンがあった。藤岡だったと思うが左打者のインコース、ストレートで三振を奪った。前日、高谷が甲斐野に左打者のインコースにフォークを投げさせて見逃し三振に仕留めたシーンがよみがえった。甲斐野のフォーク、千賀のストレート。得意球をインコースに決めて見逃し三振を奪うリードはどちらも見ごたえがあった。

 

甲斐野のフォークに関しては、甲斐は空振りを奪うために使っている印象だから、見逃し三振を奪うために投げさせた高谷の組み立ては非常に参考になると思う。なんて偉そうに語ってしまうが、単純に、近くに思考の幅を広げてくれる存在がいることを、素晴らしいと思う。

 

ノーヒットノーランなんて明るい話題があるのだから首位固めは磐石、と言いたいが西武がなかなか脱落しない。さすが2018年クライマックスシリーズ終了後に辻監督が涙しただけのことはある。執念を感じる。現役時代、西武の黄金期を知っているだけに勝ち方を心得ているのだ。

 

となるとソフトバンクと西武の直接対決(11、12日)が本当に本当の天王山になりそうな……。その時千賀は投げるのか分からないが、最終盤、ノーヒットノーランとはいかなくてもまたチームに勢いをもたらす好投をしてもらいたい。

代わる代わる穴を埋める~ソフトバンク優勝ならMVPは誰なのか

東スポWebにこんな見出しを見つけた。
「パ首位なのに…ソフトBにはMVP候補がいない」

そんなことないだろうと思ったが、「?」。確かにこの人だ!と決めかねる。

 

MVPだから成績はぶっちぎるくらいでないと。その点、2019年のソフトバンクは打者でも投手でも軸があるようなないような。デスパイネは4番でそこそこ勝負強い打撃をしてくれているが例えば西武の山川やら中村剛也の方がインパクトは大きく数字も残している。

 

投手はもちろん千賀が軸だが 最多勝には届いていない。勝ち星では高橋礼と変わらない。さらにここのところ打ち込まれており、被弾はリーグワーストだ。印象があまりよろしくない。

 

それでもやはりMVPは優勝チームから選んでもらいたいのだが、このままでは票が割れると予想する。個人的には交流戦で活躍した松田宣浩かなと思う。数字的には抜きん出ていないが、チームに勢いをもたらした意味で、交流戦の活躍は評価されるべき。また、故障者続出の中、よく試合に出続けてくれた。

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なお、開き直るがMVP候補がいないのはチームの総合力で首位にいることの、何よりの証しではなかろうか。特に前半戦、あれだけ故障者が続出したら下位を低迷してもおかしくない。もともとソフトバンクは野手が「高齢化」している懸念があった。だが、こんな時はスタメン奪取のチャンスとばかりに周東ら若手が台頭した。さすがに定着までは至らなかったが一時的には穴を埋めてくれた。

 

ピッチャーも五十嵐や攝津らがチームを去り、若返った。ルーキー甲斐野を筆頭に、椎野、高橋純平、松田遼馬らが競うように結果を残そうと踏ん張った。先発でも高橋礼が初のローテーション入りながら2桁勝利は立派だ。

 

助っ人外国人はデスパイネが徐々にエンジンを上げ、チームが苦しい時はグラシアルが勝負強いバッティングを見せた。モイネロも8回は定位置になり、森によくつないだ。キューバ代表としての活動のためグラシアルと夏場に離脱した時はもはやこれまでと観念したが、何とかチームは持ちこたえた。

 

 

…………なんて書いていたら、やっぱり一人の力だけでは勝ってきていないということがよく分かる。このままソフトバンクが優勝してMVPがさっと決まらなくても、そんなシーズンだったんだなということで別にソフトバンクファンはこだわらないのでは?と思う。みんなが代わる代わる穴を埋める。そんなチームが優勝するのも悪くない。

できる人は何度でもできる~ノーヒットノーラン3回の外木場義郎と沢村栄治

大リーグのバーランダーノーヒットノーランをやった。何と3度目だ。すごいなと思ったら、3回以上の達成者は6人目だというからまたびっくり。できる人はやはり違う。

 

ちなみに筆者が好きなノーラン・ライアンノーヒットノーランを7回やっている。余談だが、社会人になってからネット上でアストロズ時代のライアンのユニホームが36万くらいで売られているのを見つけて買おうかどうか迷ったことがある。

 

日本でもノーヒットノーランを3回やった人が二人いる。一人は沢村栄治。大リーガー相手に好投したのもうなずける。残念ながら太平洋戦争で出征し、戦死してしまった。平和な時代であればもっともっと活躍したことだろう。これだけ考えても、戦争はやってはならない。

沢村栄治とその時代

沢村栄治とその時代

 

 

 

もう一人は外木場義郎。広島のエースである。外木場がすごいのは、3回のノーヒットノーランのうち1回が完全試合ということ。そして外木場が立ち向かったのはV9時代の巨人だった。3回のノーヒットノーランのうち1回がその巨人から。ちなみに初勝利自体がノーヒットノーランだった。

 

3回には及ばないが、野茂英雄アメリカに渡り、ア・リーグナ・リーグ両方でノーヒットノーランを成し遂げている。これもまた快挙だ。

 

沢村栄治外木場義郎、そして野茂英雄ノーヒットノーランは1回やるだけでもすごいのに、何度もやるなんてすごすぎる。何でできるのかなと思う一方で、1回できた人ならもう1回やれても不思議じゃないという感じもする。つまり、地力があるということだ。

 

 

ノーヒットノーランを振り返ると、だいたい数回は味方がファインプレーしてもり立ててくれる。そういった運もないとなかなかできないだろう。と同時に、そもそもほとんどのバッターを打ち取れるくらいの制球力やら球威がないと無理だ。ノーヒットノーランを複数回できた人は、やっぱり地力があるのだ。

 

できる人は何度でもできる。反対に、できない人は何回やってもできない。それを覆すためには地力を付けるしかない。メッキではなく剥がれようのない実力を付けるしかないのだ。

 

バーランダーノーヒットノーランのニュースをきっかけに、本棚から鎮勝也氏の著作「二人のエース」を引っ張り出した。外木場義郎安仁屋宗八という名投手を丹念に綴ったノンフィクションである。外木場義郎がなぜ3回もノーヒットノーランを達成できたのか。またじっくり読んでみよう。興味がある方はぜひ手にとってみてください。

クールな人の熱いしぐさ~ソフトバンク、牧原ダイビングキャッチで首位陥落の危機脱出

「セカンドにスーパーマンがいましたね」
解説の松沼博久も脱帽だ。9月1日の西武戦。ソフトバンクが牧原大成のスーパーファインプレーで首位陥落の危機を乗りきった。

 

2点差に詰め寄られた8回裏、ツーアウトながら二、三塁のピンチ。モイネロの投じた球は外崎にうまくとらえられ、低い弾道で右中間目掛けて飛んでいった。同点か……と思った瞬間、牧原大成が倒れ込むのが見えた。起き上がる牧原。グラブには打球が収まっていた。内川聖一は両手を高々と突き上げ、モイネロはしゃがみこんだまま笑顔になっていた。

 

捕ったこと自体にグッときたが、さらにその後の牧原の動作に感動した。牧原は起き上がりながら、打球の入ったグラブでグラウンドを叩いたのだった。気合がにじみ出ていた。

 

あくまでもテレビで見る限り、なのだが牧原大成はクールだ。打てなくてもガムをクチャクチャしている一方、打っても浮かれる表情は見せない。わざとそうしているのだろうか。1番バッターとして結果が出ていない時期、見ているこちらは正直なところイライラしてしまった。初球から積極的に打ちにいくのはいいが、もう少しチームバッティングに徹してほしい。そういう思いがあった。だからこのブログでも厳しいことを書いた。

tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com

だが、守備の面では牧原は今シーズン、本当に献身的な働きぶりだ。それはもっとクローズアップされていい。レフト、センター、ライト。ショート、セカンド。こんなにこなせる牧原はすごい。牧原がいるからこそ、ソフトバンクは日替わり打線が組めると言っていい。セカンドならセカンドに集中していれば、不動のスタメンになれているかもしれない。だが、牧原は忍者のように複数のポジションと打順をこなしている。

 

一つのポジションならば覚えることが少なく済む。もちろんその分、絶対的な存在感を出さねばならないから、そこは牧原はまだまだ足りない。だが、これだけ故障者が出ながらソフトバンクが首位をキープし続けられたのは、牧原を筆頭に福田秀平や川島慶三、周東佑京らスーパーサブが機能したからだ。複数ポジションをこなす人の大変さ、フォローする側の大変さは、やった人にしか分からない。

 

この西武戦、牧原大成はスタメンではなかった。明石健志が自打球により交代し、途中からセカンドに入ったのだった。そこでファインプレーが出るのだからドラマチック。明石も球際には強いから外崎の打球には食らいつけていたかもしれない。だが、この日牧原がファインプレーできたのは、絶対に勝つんだというチーム全員の気持ちが牧原大成の体に乗り移ったからのように思えた。同じ回、ライトで森友哉の打球を処理した周東も身を呈して、打球がフェンスに到達するのを防いだ。この隠れたファインプレーも付け足しておきたい。

 

クールな牧原が見せた熱いしぐさ。ヒーローインタビューは確かにこの大事な一戦を6回無失点と粘った武田翔太が選ばれて順当だけれども、牧原大成のダイビングキャッチはシーズンの行方を左右するワンプレーだったと思う。思いの強い者が勝つ。そんなことを再認識させてくれるスーパープレーだった。

鳥谷敬はどんな決断を下すのか~阪神一筋16年。生え抜きのキャリア論

「最後の神宮」発言で、あれ?と思っていたが、阪神鳥谷敬はこのまま引退してしまうのか。阪神鳥谷敬戦力外通告したことが8月30日、報じられた。

 

筆者はソフトバンクファンゆえに虎党の気持ちは想像するしかない。想像してみると、やはり阪神のユニホームのまま引退してほしいのではないかと思う。
もちろん、まだ引退すると決まったわけではないのだが。

 

引き合いに出されるのが今岡誠。彼もまた阪神で光り輝いた男だが、現役続行の道を模索してロッテに移籍。もちろん年俸は大幅にダウンした。ロッテには2年いて、選手兼任だがコーチもやった。

感じるままに生きてきて

感じるままに生きてきて

 

 

 

鳥谷敬とて将来的には指導者としても期待されているだろう。コーチは当然として、ひょっとしたら監督をやってほしいという声もあるかもしれない。だとしたら縦じまのユニホームのまま引退した方がよいのか。もはやそんな考え方は古いのか。指導者をやるならばさまざまな球団から野球を見るのも得策なはずだ。特に阪神は関西では特別な存在。一度外から見た方がいいかもしれない。

 

だが、まずは鳥谷敬が引くのか引かないのか、だ。彼には潔さを感じるので、あまり現役に執着しないような気がする。それよりは自分のバッティングができるのかできないのかの方が問題であり、そこを見極めようとしているようにも見える。

 

ほとんどのプロ野球選手は自分で引き際が決められない。しかしプロ野球歴代2位の1939試合連続出場、球団最多の通算2082安打など偉業を成し遂げた鳥谷は、自分で進路を決められる数少ないプレーヤーだ。もし自分の限界を感じていたら、すでに態度表明しているのではないか。そうしていないのは、つまり鳥谷敬はまだ現役をやめるつもりはなく、阪神でやれるか可能性を見極めていたのではないか。

 

阪神としても、功労者をわざわざ他球団に流出させようとは思わないだろう。一方で4億円といった年俸や、常時鳥谷を出場させられる環境にはないことを考えると、鳥谷が自らやめると言わない限りは球団が引導を渡さねばならない。シーズンも終盤に入ったから、タイミングとしてはこの時期になったのだろう。

 

鳥谷敬が態度表明する前に、中日が意思表示した。鳥谷が阪神退団なら獲得への調査をするそうだ(※この記事をアップ後、球団代表が完全否定した記事を確認しました)。中日と言えば松坂大輔を1500万で獲得したことを思い出すが、松坂大輔の時よりは相乗効果があるかもしれない。代打や守備力の底上げにつながるという期待だ。よく見聞きするのが鳥谷の練習量の豊富さ。よい手本になるとの思惑もあるかもしれない。

 

ちなみに筆者は鳥谷ファンの気持ちが少し分かる。筆者は元ソフトバンクの攝津正を応援していたのだが、攝津は戦力外通告を受けてしまった。現役続行を模索したが、結局そのまま引退。惜別のセレモニーは3月に行われたのだが、その時攝津が慣れ親しんだソフトバンクのユニホームを着てくれていたことがすごくうれしかった。本来なら、違うユニホームを着てでも現役を続ける姿を望むべきだろうが、ソフトバンクのユニホームがやっぱり一番だなというのが正直な気持ちだった。その後、実は一度楽天入りを考えたことがあるという記事を見つけてドキッとした。ちなみに攝津がセレモニアルピッチをしたのは阪神戦の前だった。

 

果たして鳥谷敬はどんな決断を下すのか。そして阪神ファン、鳥谷ファンはどのように受け止めるのだろうか。人生もプロ野球選手としてのキャリアも一度きり。だからこそ少々時間がかかっても鳥谷には納得いく結論を出してもらいたい。


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