黒柴スポーツ新聞

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堂上直倫に漁夫の利はあるのか~中日ショートは根尾でも京田でもなく

忘れられないシーンがある。生まれて初めて甲子園で阪神戦を見た帰り。「アイツすげえな」。先輩が言った方向には、タイガースのレプリカユニホームだらけの阪神電鉄プラットホームに、1人ドラゴンズのユニホームの男がたたずんでいた。背番号1。背中にはローマ字で「DONUE」。



恐らく坂本勇人のユニホームなら抹殺されかねない雰囲気の中、背番号1、DONUE。ドラゴンズファンだからこそ許された行為だったに違いない。基本巨人びいきで、甲子園観戦体験のためビビってタイガースのユニホームを着ていた私とは大違い。その男は今も堂上直倫を応援しているだろうか。堂上の背番号が1から63になった今でも……

久々に堂上の見出しを見つけた。キャンプの模様を伝える中日スポーツの記事。「堂上直倫、ついに神主打法開眼 京田&根尾と三つどもえ遊撃争い」。そう、堂上はただでさえ激しいショートの定位置争いに身を投じていた。

話題や期待感では根尾昂が一歩リードか。甲子園を沸かせてドラフト1位での入団は、あの立浪和義を思わせるスーパールーキーだ。立浪和義をショートで使うため、星野仙一監督は主力の宇野勝をセカンドにコンバートまでした。
ショートにはすでに京田陽太がいる。宇野勝までの盤石さはまだないのかもしれないが、京田は2年連続で140試合以上出ていた。だから、いくら根尾が超高校級とはいえ、簡単に譲るつもりはなかろう。そもそも、簡単に譲るプロ野球選手なんているはずがない。 

ドラフトで根尾を獲るということは、当然ショートのポジション争いは想定内。それが京田のコンバート含みなのかは分からないが、中日には中日の論理があったのだろう。逆に、岐阜出身のゴールデンルーキーを指名しない選択肢など存在しなかった。

 
 
でも、こんなことを言っている人がいた。
「京田、根尾のどちらかが二塁を守っている可能性だって多いにあるし、特に根尾はどのポジションを守ってもおかしくない。ただ、こういう時は気が付いたら堂上がショートを守っているということも起きる」
発言の主は森脇浩司。2018年まで中日のコーチだった人物だ。 
 
当該記事はfull-countの【森脇浩司氏の目】根尾、京田の遊撃サバイバル「こんな興味深いポジション争いはない」。そう、ものすごいポテンシャルの新人と、結果を出しつつある期待の若手がポジション争いをするのだから、面白いに決まっている。人間模様としても興味深い。やっている本人たちは大変だろうけれど。 
ここに堂上直倫を入れるあたりがニクい。というか根っからのドラゴンズファンも思っていたはずだ。堂上を忘れてはいけない、と。根尾ほどではなかったかもしれないが、地元の強豪校・愛工大名電から中日入りした堂上だって、ものすごい期待を背負っていた。父は堂上照、兄は堂上剛裕。一家3人ドラゴンズ入団歴がある。 
 
そんな堂上直倫もはやプロ13年目。3けた出場のシーズンもあったが、荒木や井端のような一時代を築くまでには至らずここまできた。そこへ将来有望な京田陽太という若手が台頭してきて、今度はゴールデンルーキーの根尾昂ときた。これでもかこれでもかとハードルが上がっていく。 
 
そんな状況は、アラサーの堂上とは年齢こそ違えどアラフォーにはぐっとくるものがある。下が育ってきたらちょっとずつ活躍の場はなくなっていく。気づいたらずっと同じポジション…なんてこともあろう。そんな時こそあえて下と張り合いたいものだ。まだまだ負けんぞ、と。 
 
堂上とて、だてにプロで10年以上飯を食っていないはずだ。それにあの落合博満監督時代にプレーした経験は、京田にも根尾にももちろんない。荒木、井端は越えがたい高い壁だったに違いないが、その一挙手一投足を間近で見ていたわけだ。元々、落合監督にも守備のセンスは認められていたようだ。
土壇場力

土壇場力



であればあとはバッティングか。試行錯誤の結果、奇しくも落合監督をほうふつさせる神主打法(ではないと本人談)にたどり着いたらしい。写真を見たが、リラックス感が出ていていい感じだ。何度も書くがプロ13年目なので、このくらいの余裕はあっても全くおかしくない。

成果は少しずつ出ているようで、森脇浩司が言っていた「気がついたら堂上が」という状況があるかもしれない。というか、そうならねばそろそろ堂上も厳しい状況に追い込まれかねない。根尾や京田との争いである一方、自分がドラゴンズの中で置かれている状況との戦いでもあろう。

と考えると、根尾や京田も頑張ってほしいが堂上にも活躍してほしいなと思う。誰か1人選ぶなんて難しいなあ、なんて、与田監督でもないのに悩んでいる。ドラゴンズファンでもないのに、どうするのかなあとヤキモキしている。

かつて堂上の背中で輝いていた背番号1は2019年から京田が付ける。高木守道福留孝介も付けた栄えある番号だ。堂上は1を剥奪されたと書いてある記事も見たが、とにかく兄も付けた63を背負っている。その63が躍動する姿を見たい。この際、ショートでなくてもいい。どこかで堂上が必要とされなければ居場所がなくなりかねないのだ。
崖っぷちに置かれた男の底力が見たい。それはドラゴンズファンでなくても胸を熱くする瞬間だろう。ゴールデンルーキーと新人王経験者と崖っぷちの男森脇浩司ならずともこんなに興味深いポジション争いは久々だ。世間的には根尾、根尾だろうが、黒柴スポーツ新聞は密かに堂上推しでいきたいと思う。もはや気持ちはあのプラットホームの背番号1の男と同じなのである。

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