黒柴スポーツ新聞

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不安を打ち消す良薬は結果~中日・堂上直倫が戦う内なる敵

中日の堂上直倫が好調だ。打ち合いになったヤクルト戦で自身初の2打席連続ホームランをマーク。もちろん1試合2発も初めてだから大当たりだ。ドラゴンズファンでもないのに、京田より根尾より堂上派の私としては非常にうれしい。

 

中日スポーツに堂上の記事があった。見出しは「ドラゴンズ6年ぶり神宮3連勝堂上の連発が呼んだ!劇的ドラマ」。そこに堂上の気になる発言を見つけた。

「僕の場合は打席に入るとき、不安を取り除けるか、それだけ。そのためにも打たないと。やれることをやって、ダメなら仕方ない」

 

不安。まさにこれまでの堂上の球歴を象徴するかのようだ。愛工大名電時代から強打で鳴らし、地元中日がドラフト1位指名。スター街道ばく進が期待されながら先輩たちの壁は崩せずレギュラー定着は遠い道のりだった。レジェンド高木守道も付けた背番号1はいつしか、戦力外になった兄・堂上剛裕も付けた63になっていた。

 

特に2019年はゴールデンルーキーの根尾が入団。期待の星の京田もおり、遊撃手争いはこの二人かと思われたが堂上が割って入り、プロ13年目で初の開幕スタメンに名を連ねた。しかし京田も実力者。ショートは京田が入り、堂上はセカンドに回るも台頭著しい阿部が存在感を高める。またもや堂上は失速してしまうのか……と思っていただけに堂上が打撃でアピールする姿を見て「いいぞ!」と拍手を送りたくなる。

 

天狗にならないのは堂上直倫のよい所だろうが、打席に入った時の最大の課題が不安の払拭というのはプロ野球選手としていかがなものか。それでは自分自身との戦いになってしまい、相手ピッチャーとの勝負以前の問題だ。

 

ではどうしたら不安を拭えるか、というとそれは堂上自身が言うように結果を残すしかない。それは学生でも社会人でも同じだ。特にプロ野球選手は1年1年が勝負。さらに言えば若手ではなくなった堂上にしてみたら1試合1試合が勝負とも言える。結果が出なかったら、と考えるなという方が無理なのだが、2019年はホームランも出ているし、十分アピールできている。結果に一喜一憂する段階はひとまず脱したのではないか。

 

中日では同じく毎年期待されながら一皮むけきらなかった高橋周平が一つ上のレベルに行った感がある。打撃の神様川上哲治や、イチローも成し遂げた月間8度目の猛打賞を記録。5月はまだ4試合あるのでプロ野球記録更新も期待できる。素晴らしい。

 

中堅、ベテランに目がいくようになるとは、私も歳をとったなぁ、なんて必要以上に卑下するつもりもない。むしろ中堅、ベテランの頑張り踏ん張りを楽しむとプロ野球はますます面白く見られるのでおすすめだ。堂上直倫、そして高橋周平。楽しみな二人がそろった中日もチラ見していこう。


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