黒柴スポーツ新聞

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複数の視点を持つ~ソフトバンクファンにも読んでほしい中日スポーツの敗因分析記事

大島洋平の幻のランニングホームランの翌日。さぞ中日スポーツはお怒りでは?と、ソフトバンクファンの私は気になって、スマートニュースを漁ってみた。すると渋谷真氏の署名記事「【龍の背に乗って】 一塁空いた 次打者は九鬼  なぜグラシアルと勝負したのか」を見つけた。

 

詳しくはぜひ記事をご覧いただきたいのだが、実に潔い。リプレー検証うんぬんではなく、勝ち越しタイムリーのグラシアルの打席で曖昧な勝負をしたことを問題視していた。もちろん敬遠策を取らなかったことも含め、である。

 

スマートニュースのアプリは使いやすく、それだけでも十分足りるのだが、記事製造元のサイトもちょこちょこ訪れるようにしている。曲がりなりにも元記者だから、どの記事でも作者への敬意は忘れないようにしたい。というわけで中日スポーツのサイトに遊びに行ったのだが、記事の下には熱烈な竜党のコメントがズラリ。一つのコミュニティが形成されており、これは紙のメディアには真似できない交流の仕方に思えた。純粋に野球やらドラゴンズの勉強にもなった。

 

大島洋平の本塁突入はセーフだったよ、という声ももちろんあった。一方で与田監督への不満も。満塁策をなぜとらないのかといぶかしがられていた。ソフトバンク戦では堂上直倫に代打・井領を送ったのだが、そこは堂上じゃないの?という意見もあった。チームが敗れたこともあり、采配に納得いかなかったのだろう。ソフトバンクファンの私としては、よその家庭の問題を見てしまった感覚だった。

 

ソフトバンクファンだから、スマートニュースで見ているチャンネルは「ホークス」「西日本スポーツ」などだ。スポニチやニッカン、サンスポ、東スポ、報知、デイリースポーツのチャンネルもざっと見る。なぜか堂上直倫は応援しているためドラゴンズと中日スポーツのチャンネルも付けている。これを考えるといかにスマホで情報を仕入れているかが分かる。

 

 

 

ひいきのチームがあればその与党系のメディアに行くのは王道だ。阪神タイガースとデイリースポーツの関係は最たるものだし、巨人と報知も同じだ。同じニュースを扱っても全く切り取り方が違う。上原浩治引退は地方紙でも1面で取り上げた社があるのに、デイリーは中面の5面に収容。ライバルチームの元エースゆえの措置か。1面は競馬記事だった。競馬をたしなまない私には重要度が分からないのだが、100勝100セーブ100ホールドやら世界一の実績の投手の引退はもう少し目立つように仕立てたらどうかなと思った。

 

新聞なんてどれも一緒だろ。そんな声もたまに耳に入る。だが本当だろうか。イメージで語られていないか。もちろん同じ共同通信配信記事は使われるからこれは別の新聞にも載っていた、なんてことはある。しかし見出しまで一言一句同じことはほぼない。それぞれのメディアにはそれぞれの立ち位置がある。そこを味わうのが併読の楽しみだ。

 

ひいきのチームの与党系メディアを見るのは純粋に楽しい。基本はチームを応援しているし、肩をもって書いているから「ウンウン、その通り」ということがほとんどだ。そんなベタベタ誉めてばかりは気持ち悪い、と思うのは健全だ。だがそこは心配ない。あのデイリーでさえきちんとダメ出しはする。愛するがゆえの叱咤激励。いいことばかりを書くなら誰でもできる。本質を突く。それが大事だ。一番最初にようやく戻るのだが、ソフトバンク戦の敗因をリプレー検証の明暗に求めなかった中日スポーツの渋谷真氏の記事はまさに勝負の分かれ目をきちんと語り、考えさせる素晴らしい内容だった。

 

中日ドラゴンズファンブック2019

中日ドラゴンズファンブック2019

 

 

 

フィルターバブルに陥る危険はあるものの、同じチームを応援する仲間同士のやりとりは楽しいものだ。TwitterFacebookを上手に活用すればさまざまな情報が手軽に楽しく入手できる。そこにあえてライバルチームや対戦相手の目線を入れてみる。すると思わぬ発見がある。ソフトバンクはいま広島との連戦中なのだが、カープ目線のデイリースポーツ記事によると、カープ交流戦の対ソフトバンクが通算57試合17勝36敗4分けだそうだ。こうやってまた試合を見る楽しみが広がっていく。情報収集のスキルアップも兼ねながら、今年も交流戦を楽しもう。マツダスタジアムでの広島対ソフトバンクはかなり面白いカードなのだが放映権の兼ね合いかDAZNでは見られない。それがただただ残念である。


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