黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

現状を認識しないと本当の再出発はできない~銅メダル・ウィルチェアーラグビー池透暢選手に学ぶ

リオデジャネイロパラリンピックウィルチェアーラグビー銅メダリスト、池透暢選手が地元高知に凱旋した。早速、地元紙の高知新聞9月27日付に、でかでかとインタビューが掲載された。地元テレビ局の高知放送にも同日、生出演。それもこれも池選手が仲間たちと結果を残したからである。


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黒柴スポーツ新聞と友好関係にある(と、もう書いていいですよね)tomoさん(id:tomoecru)のブログ「ともに きなりに」でも書いてあった通り、結果が出れば取り上げられる。そうでなければそれなりに。パラスポーツと言えども手加減なしというのが本当のファンである。
※「ともに きなりに」【リオ2016】メダリスト凱旋パレードの日程及びコースは?前回ロンドン五輪パレードとの違いとは?(リオデジャネイロオリンピックパラリンピックメダリスト合同パレード情報)http://tomoecru.hatenablog.com/entry/2016/09/26/095214



だが正直に言おう。ウィルチェアーラグビー日本代表のエース池崎大輔選手が1次リーグ最大のヤマ場、アメリカ戦終盤に痛恨のお手玉をしたことについて深く突っ込めなかった。普段の活躍を差し引いて考えるべきだよなと自己規制して筆が鈍った。何ミリか、まだ100%アスリートとして見切れていなかったかもしれない。失礼な話で反省せねばならない。


プロ野球が80年の歴史を経て大衆化したのにはスポーツジャーナリズムがそれなりに確立されたからだ。ラジオにしろ、テレビにしろ、中継スタイルはほぼ完成された。手なれた実況アナウンサーと解説者の掛け合いは芸術的にさえ思える。黒柴スポーツ新聞はフジテレビの野球中継が最も好きだが本当に見る機会が激減した。地上波では絶滅寸前である。



その中継では選手は呼び捨てである。あの王さん長嶋さんでさえ、王、長嶋。決して敬意を表していないわけではない。むしろ威厳さえ感じながら敬称を略している。


だから本当はいちいち池選手、池崎選手、なんて選手を付けなくてもいい。いいとは思うが今はまだその過渡期かなとも思う。一昔前、いや今も一部では「池さん」「池崎さん」だ。まだまだ一般のアスリートと同じように見ない向きはある。東京パラまでの4年間は、見る側の、批評する側のレベルアップも求められている。


前置きが長くなったが池選手生出演の映像を見ていて興味深いやりとりがあった。金メダルの夢が断たれた後、どう切り替えたのか、どう立て直したのですかとキャスターに聞かれた池選手はこう答えた。


「心だけ切り替えるのではなく、しっかり、負けたことを深く受け止めた」
「今から何をすべきなのか、最高の目標って何だろう?と」
「メダルを取って帰ろう。銅メダルでも今の自分たちの最高の目標だ、と再認識した」


その結果、池選手は決戦の日の朝、起きた時から集中していた。今までにない緊張感と、集中力が自分でも不思議なくらい持てたのだという。


ちなみに高知新聞に掲載してあるインタビューでは準決勝敗退後「部屋に戻ったら涙が止まらなかった」と明かしている。ただしそれは単なる悔し涙ではなく「金メダルを取れなくなったことを自分にきちんと受け止めさせる」のに必要な作業だったそうだ。このくだりを読むだけでもこの日の高知新聞は読む価値があった。


そう、よい再出発は現状の的確な認識抜きにはできない。うまくいくときはいけるだけいけばいい。しかし方針を修正せざるを得なくなる場合もある。いや、社会は人々の「都合」の集合体だからそんな状況は日常茶飯事だ。じゃあ次善の策をいかに立てるかが大事。まずは今置かれた状況を冷静に、的確に判断しなければならないのだ。


プライドだけ高い人はこうはいかない。負けが認められない。こんなはずじゃない、といつまでも後ろを振り返るばかりだ。振り返って意味があるのは、もう一度同じチャンスがある時だけなのに。編集局長も失敗や負けを認める強さ、潔さをもっと持ちたいなあ。運転中に道を間違えた時でさえ引き返さないのは悪い癖である。


この日の高知新聞にはもう一つ、うなるくだりが載っていた。ダルビッシュ翔被告が野球賭博をしたとして賭博開帳図利の罪に問われた裁判で、懲役2年4月、執行猶予5年が言い渡された記事だ。家族に迷惑をかけたとして姓を変えると言う被告に対し、裁判長が「姓よりもあなた自身が変わり、行動の意味や結果をよく考えて生活を」と諭したという。被告なりに現状を見た上で姓を変えようとしたのかもしれないが、もっと自分自身を見つめよという裁判長の言葉の方が的確だなと感じた。


きょうの1枚は上田利治監督。阪急時代、ヤクルトとの日本シリーズ大杉勝男のホームランはファウルだと抗議。1時間19分も中断した。指揮官としては譲れなかったのだろうが福本豊は「ヤクルトはシリーズ初出場だしホームラン判定でも巻き返せただろう。粘りすぎや」と言ったとか。最悪の状況で最善策を模索するのは大舞台であればあるほど難しそうだ。


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