黒柴スポーツ新聞

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穴を開けると周りが困る~ソフトバンク、ローテ崩れて苦しいブルペンデー

ブルペンデーなんて言葉、初めて聞いた。ソフトバンクは5月14日の西武戦先発に2年目の椎野を抜擢。しかし同時に「この日はブルペンデー」との報道があった。つまり、椎野は行けるとこまで行くプランで、ほぼブルペンがフル稼働状態の継投必至ということだろう。

 

それはローテーションの谷間だから仕方ないのかもしれない。西武側にしても初先発のピッチャーを立ててくるのだからソフトバンクは継投せざるを得なさそう、と安易に想像できよう。だとしても最初からブルペンデーだなんて手の内を明かすのは芸がない。

 

それに椎野のためにもならない。ロッテ戦でキラリと光るピッチングをしたからおまえを抜擢する、それだけでよいのでは?  きょうは継投でいくからいけるとこまででいいよ、そんな指示だったとしたら「いざとなればリリーフ陣に任せられる」と心のどこかに隙が生まれやしないかと思ってしまった。

 

[ニューエラ] キャップ 11121931 ブラック/ベガスゴールド 7 1/2 (59.6cm)

[ニューエラ] キャップ 11121931 ブラック/ベガスゴールド 7 1/2 (59.6cm)

 

 

 

結局椎野は3回途中までにホームラン3発を浴びて5失点。それでも、よい勉強になったのではないか。だからこそ言いたいのだが、この日の敗因は椎野ではない。ローテーションを守れなかった東浜巨武田翔太に責任があると思う。

 

投手にはそれぞれ役割がある。先発は試合をつくる。中継ぎはリードしていたらそれを維持し、劣勢ならばそれ以上の失点を防ぐことで反撃ムードを演出する。守護神は試合を締める。どれも大切な役割であり、ソフトバンクの投手陣は時に打たれながらもきっちりチームの勝利に貢献してきた。だがやはり先発が2人調子を落とすとガタガタとバランスが悪くなる。リリーフ陣で1試合しのごうとした結果、それぞれ打たれてしまい、成果に乏しい試合になってしまった。

 

試合を見ていて、やはりローテーションを守るような戦力が能力を発揮できないとチームは機能しないのだなと痛感した。穴を開けるといけない理由はこれに尽きる。周りがフォローせざるを得ないのだが、やはりいつもと勝手が違うからうまくいかないことが多い。だからフォローした人は責められないと思う。工藤公康監督は「みんな一生懸命やった上での結果」と話していたが、ブルペンデーなんて戦い方はリリーフ陣に過度な負担をかけるだけではなかろうか。

 

最強!  福岡ソフトバンクホークス  工藤公康監督の「勝ち続ける言葉」

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一人一人が自分の責任や役割を全うする。それは自分のためでもあるし、周りのためでもある。今どき潤沢に人を抱えている組織もそうあるまい。カツカツな職場ほど一人一人に求められる役割は大きくなる。1人抜けた時のダメージは大きい。穴を開けるということは周りに相当のエネルギーを費やしてもらうということ。ローテーションを離脱している東浜や武田はそこを再認識してもらいたい。

 

武田は中継ぎをした経験もあるし、長いイニングを投げられるから配置転換もなくはない。だがブルペンデーなんて状況を見ていると、やはりローテーションの一角に戻ることがチームへの何よりの貢献と思う。シーズンはまだ序盤。自分のためにも、登板過多気味のリリーフ陣のためにも戻ってきてもらいたい。

 

そして、東浜。一時は千賀と並んで開幕投手候補になるくらいなのだから、チーム内で期待される役割の大きさは分かってもらいたい。このブルペンデーを東浜はどんな思いで見ていたのだろうか。助け合うことは美しいが、けがなどで柳田悠岐中村晃らが抜けた穴を若手が埋めるのと、不調の東浜と武田の穴をリリーフ陣が埋める意味は全く違う。穴を開けると周りが困る。そんな当たり前のことを再認識したゲームだった。


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