黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

ニ保と中谷のトレードは誰得?〜ソフトバンクは打線活性化、阪神は中継ぎ充実なるか

非番の朝、スマートニュースで話題を漁っていて目が釘付けになった。スポニチ記事、阪神・中谷とソフトバンク・ 二保がトレード  17年20発の和製大砲放出 投手陣再整備へ「7回の男」 期待、のことだ。ソフトバンク非公式機関紙を自負するわが黒柴スポーツ新聞的にはニ保への惜別の思いがこみ上げてくると共に危惧を覚えた。ニ保に求められる中継ぎのポジションは、若干荷が重いのではないか?と。ニ保は丁寧なピッチングが持ち味であり、球の勢いで抑えるタイプではないからだ。

近年のニ保は先発を担ってきた。ただしポジション的に6番目の男、といったところ。いわゆるローテーションの谷間、あるいは先発ローテが厳しい時の応援である。どうしてもいつか捕まるイメージがあり、ニ保の登板時は6回3失点なら及第点があげられる。粘ってなんとかしのぐそのピッチングスタイルを見るとウミガメが苦労して産卵するのを思い出す。そう、ニ保旭の6イニングはとても長く感じられ、それだけに他の投手の1勝の3倍くらいの味がある。外角に丁寧に丁寧に変化球を集めるニ保旭。苦労人を応援したい人にはたまらない感動がある。阪神ファンの皆さん、ニ保とはそんなピッチャーなのです。

tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com

今回のトレードは誰得なのか? そもそもなぜトレードが必要なのかと言えば、「今回打者を求めるソフトバンクさんと投手を求める当球団というところで合致した形です」(デイリースポーツ記事、ソフトバンク・二保を獲得した阪神・嶌村本部長「脂が乗り切ってきている」と期待、より)を読むと分かりやすい。阪神は投手がやや心細い。ソフトバンクは貧打に苦しんでいる。そこで阪神は経験があるニ保に目を付け、ソフトバンクはシーズン20発打ったこともある中谷の長打力に期待…なのだ。トレードは若干の寂しさがあるが、才能が埋もれるよりよっぽどいい。ニ保にしてみればソフトバンクは次々に活きのいいピッチャーが出てきている。阪神は打線が活発だ。残念ながらニ保も中谷も、今のままでは2021年シーズンは1軍でバリバリ活躍…という雰囲気ではなさそう。ならば求められた場所で暴れた方いい。

本当に、ほしいと思ってもらえることが野球をやっている中でうれしいことですし、もう一回うまくなれるチャンスだと思う。しっかりいろんなことを吸収できたらいいと思います」(デイリースポーツ記事、トレードの阪神・中谷「ほしいと思ってもらえることがうれしい」新天地での活躍誓う、より)。中谷は前向きだ。そして中谷は実は福岡工大城東高出身。ソフトバンクファンとしても迎えやすいことだろう。やはり早めに名刺代わりの一発がほしいところ。この一発が中谷の魅力なのだから。

中谷は外野手なので、またまたソフトバンク外野陣は競争が激化する。特に右打者の真砂は世代的にもかち合う。同じく右打者では佐藤直樹がいるが、この3人の競争になりそうだ。中谷はホームランがあるから右の代打の魅力もある。今のところ代打だと左が長谷川、明石。右なら川島慶三が定番だ。川島もパンチ力があるが、最初からでかいのを狙うタイプではない。ソフトバンク的には吉村裕基以来の右の本格的な代打になり得るがどうだろう。深読みすれば中谷を獲るイコール、バレンティンに見切りかも? バレンティンには結構チャンスを与えてきたからそれは仕方ない。中谷の使われ方は興味深い。

ニ保は具体的に7回という記事もあった。球質が重くはないので一発は要注意だが1イニングなら何とかしのげるかも。ニ保にしてもこのまま2軍にいるよりは阪神の方が出番がありそうなのでいいきっかけにしてほしい。選手生命を考えても、トレードしてオフに即戦力外はなかろうから、少なくともあと1年は続けられる。好投することでそれが延びるのだからぜひ頑張ってもらいたい。

個人的には中谷の方がチームにハマりそうという意味でソフトバンクにお得なトレードに感じたがいかがだろうか。ソフトバンク阪神も共にAクラスだから、日本シリーズで激突する可能性もある。中継ぎのニ保対代打中谷、なんてことを想像するのは気が早いが、ぜひそんなことも期待したい。ニ保と中谷のトレードは、二人の活躍次第でペナントレースの行方を左右するかもしれない、とても興味深いトレードと言えそうだ。


福岡ソフトバンクホークスランキング