黒柴スポーツ新聞

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先輩の抜けた穴は大きいけれど~ソフトバンク川瀬、今宮復帰まで積みたい経験値

今宮健太のけがの箇所が報じられた。ヒラメ筋。ざっくり言えばふくらはぎを傷めた、ということになろうか。復帰まで1カ月~2カ月弱だそう。Full-Countは「レギュラーシーズン中の復帰は微妙。早くてもシーズン終盤となりそう」とズバリ書いてくれていた。この手の報道はきっちり「だからどうなのか」まで書いてくれないと困る。今宮の離脱はかなりソフトバンクに打撃だということがよく分かった。

ただでさえソフトバンクはロッテに分が悪く、特にマリンでは勝てない。この6連戦前にキャッチャー田村に全部勝つくらいのこと言われて、んなことあるかい!と思ったことだがあれよあれよと3敗1分け。第5戦に負けたら1勝もできないかも……くらいの沈痛なムードだったが二保旭の粘投や柳田悠岐の先制弾・勝ち越し打などで一矢報いることができた。

 

で、今宮の代わりはというと川瀬晃ということになろうか。周東もショートをやったりするが今のところはセカンドか。牧原が上がってきたので牧原ショートかもしれない。しかし第5戦では最後まで川瀬がショートを守りきった。思い出させて申し訳ないが、川瀬は今シーズン手痛いエラーを頻発している。川瀬は何とも間が悪い。エラーすると失点に絡んでしまう。これまで千賀や東浜の時にそんなことがあった。まあ柳田悠岐風に言えばそこをフォローしきれなかった「千賀が悪い」「東浜が悪い」ということになろうが、以前王会長は言っていた。プロはミスをしてはいけない、と。王さんらしい厳しく高い理想だが、川瀬も曲がりなりにもソフトバンクの1軍スタメン内野手なのだから、やはりミス前提ではいけない。第5戦最終回は1点リードで森唯斗を投入できたからソフトバンクファンも何とか勝つかなと思って見ていたはずだが、三つのゴロアウトはすべて川瀬がさばいた。川瀬の所に打球が飛ぶ度、申し訳ないが「頼む!(ミスしないでくれよ)」とヒヤヒヤしてしまった。もちろんうまく処理してくれたからうれしかったのだが、やはりずっとそういう訳にはいかない。川瀬は今宮の穴を埋めなければならないのだから。

大概の場合、先輩の抜けた穴は大きい。しかし先輩と同じことはこなさないといけない。川瀬晃の場合は大変だ。何せ今宮は西武源田壮亮パ・リーグNo.1のショートを争う名手なのだから。といっても今宮のようなワクワクするようなプレーをファンは望んではいない。まずはきっちり一つ一つのアウトを確実に取ってくれれば……。そうしないと「今宮がいたらなあ」と言われ続けてしまう。

ペアを組む相手も課題だ。川瀬がショートの場合だが、困ったことにソフトバンクのセカンドは固定されていない。ある種調整弁的に使われるポジションなのだ。ある日は周東、ある日は川島慶三、ある日は明石健志など。ダブルプレーや盗塁対応、中継パターンなど、せめてセカンドが固定していたら川瀬はそれに対応すればよいのだが、呼吸を合わせるパターンは何通りも覚えないといけない。実は第5戦で気になるプレーがあった。板東が救援して代打佐藤に同点打を喫したのだが、そのセンター前ヒットを捕球した柳田悠岐から低めに返球がきたのだ。川瀬もしくは周東はカットせず、何回もバウンドしながらホームに到達。結果的にセカンドランナーまで生還させてしまった。ロッテは走塁や外野からの返球において、ソフトバンクを上回っていた。だから勝っている。この先ロッテと張り合うためには同じくらい精度を高めないといけない。

今宮の離脱が決まった今、川瀬はしっかり一本立ちしなければならない。レギュラーを勝ち取ったのとは異なるから明らかに川瀬は荷が重そうな顔をしている。しかし川瀬のキャリアを考えればこれはビッグチャンスでもある。チャンスだなんて考える余裕は一切ないだろう。それでもこのヒリヒリするような僅差のゲーム差での首位争いの中で、川瀬は試合に使ってもらえているのだ。しばらくは今宮と比べられるしんどさはあるが、そこは経験値が違うのだから、とにかく一生懸命打球を追うことだ。バッティングはこの際、二の次。送りバントはきっちり決める。あるいは四死球でよいのでとにかく出塁もしくは進塁打で上等だ。まずは守備で手堅く結果を残してほしい。今宮健太の早期復帰を祈りつつ、その間川瀬がどれだけ成長できるのか、ハラハラしながらも期待したい。頑張れ、川瀬!


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