黒柴スポーツ新聞

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まだまだ未熟者ではありますが……ソフトバンク川瀬が粘りと実直な人柄披露

ソフトバンク川瀬晃がいい味を出していた。まずはバッティング。8月25日のオリックス戦。先発はエース山本由伸。川瀬は第1打席ではファウルで粘り、12球目をセンター前ヒット。第2打席は四球、第3打席は左飛に倒れるも山本に9球投げさせた。そして第4打席では代わった村西から貴重な追加点となる2点タイムリー。初めてお立ち台に上がった。

そのお立ち台、上がるとアナウンサーが間違えて「ナイスピッチングでした!」。川瀬はニコニコしながらも「ありがとうございます……」。アナウンサーがすぐに気付いて「ナイスバッティング」と言い直した。この日の先発はエース千賀。当然話は千賀が前回のオリックス戦で浴びた満塁ホームラン(その裏には川瀬の手痛いエラーがあった)方面へ。「思い出しちゃいました」と川瀬は苦笑したがそれも当然。悔しい思いをしたからこそ、別の機会にやり返せばよいのだ。そう、川瀬は今宮健太が脚の故障で離脱している間、その穴を埋めることで自分をアピールすればよいのだ。お立ち台では「迷惑ばかりかけてきた」「人間的にも未熟」なんて話していたが、若いんだから(川瀬は5年目)経験はこれから積むしかない。決して饒舌ではないヒーローインタビューだったが、川瀬の実直な人柄がにじみ出ていた。鷹ガールの皆さんはキュンキュンしたのではなかろうか。

私はこの試合をradikoで聴いていた。RKBエキサイトホークスで解説の浜名千広が川瀬の第1打席の粘りについて「自信になる」と言っていたが、本当にそうだと思う。粘っただけでも価値があるが、ヒットになってさらに価値がある。しかも相手は山本由伸だったのだから。ちなみに川瀬はロッテ戦で「幻のタイムリー」を放った(井口監督リクエストによりアウト→得点なし)。その時の解説の川相昌弘は「きれいなヒットじゃなくてもいい。転がしたら得点の可能性はある。そういうバッティングを」と期待したが、川瀬はその通りセンター前に抜けようかというゴロを打った。川瀬に必要なのはこうした経験、そして結果だ。「これで今宮の離脱後、遊撃手として全5試合に先発出場する川瀬は打率3割3分3厘(15打数5安打)、出塁率4割4分4厘と期待に応えている」(西日本スポーツ記事、今宮抜けたソフトバンク、ダメージ補う川瀬の粘り=筆者は石田泰隆さん)というから、むしろ淡白な打撃が目立つ周東、牧原、上林は川瀬に負けじと奮起してほしいくらいだ。今宮健太の離脱はソフトバンクにとって痛すぎるのだが、一人の若い野手を育てるという意味では貴重な期間でもある(と前向きにとらえたい)。柳田悠岐や千賀らパワフルな兄貴たちに囲まれながら、川瀬には一つ一つの打席と守備機会を大切にしてもらいたい。期待してます!


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