黒柴スポーツ新聞

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日本シリーズで周東に走りまくってもらいたい理由

プロ野球選手はチーム内だけでなく、チーム外からも影響を受けるのだな、と改めて思った。日刊ゲンダイDIGITALに「ソフトはヤクルト山田残留に歯噛み…周東に“追い風”の理由」という記事が紹介された。二塁を守る周東にとっては、山田哲人のような強力なライバルがやってきたら代走要員に戻る可能性があったが、ひとまずそれはなくなったウンヌンカンヌンというものだ。プロ野球は九つしかポジションがないから、生存競争は過酷である。

周東は外野も守れるが、柳田悠岐、グラシアル、栗原がいたら誰も割り込めない。仮に山田哲人が入っていたら周東はショートに回るのか。だとしたら今宮健太が復帰後はライバル関係になる。周東の脚力か、今宮の堅守か。ぜいたくな悩みである。が、ひとまず山田哲人ソフトバンクに来ないので、周東は今のうちにセカンドで不動の地位を築いておきたいところだ。

もしも浅村がソフトバンクに入っていたら……。もしも山田哲人が早くFAの権利を得ていてソフトバンクに入っていたら……。2020年の周東の大ブレイクはなかったに違いない。運も実力のうち、という言葉が浮かんできた。実力があってもさらに力のある人が現れたら道を譲らねばならないプロ野球の世界。実力以外に運もなければ生き残ることはできない。まだまだ周東はその運に左右されやすい立場にあると思う。その地位を不動の物にするには活躍あるのみだ。

周東の2020年はまだ終わっていない。脚を生かし頭脳プレーで、日本シリーズの流れを決めた人がいた。1998年の石井琢朗だ。先頭バッターで2球目をセーフティバント。盗塁も決め、先制点につなげた。2020年の日本シリーズも、初回から周東が躍動したら菅野も焦るだろう。先の日刊ゲンダイDIGITAL記事は締めくくりに「これで心置きなく、日本シリーズで走りまくれるに違いない」と書いたがまさにその通り。他人に左右されないくらいの存在になるためにも、周東には走りまくってもらいたい。


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