黒柴スポーツ新聞

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嫌いじゃない場所を増やす~ソフトバンク上林、札幌での打率は3割5分

ソフトバンク日本ハムとの首位攻防ラウンド2戦目で鮮やかな速攻。初回に4点を取ってその後もリードを保ち2連勝とした。これで日本ハムとのゲーム差は3.5に。見事に押し返した。

 

その立役者の1人が上林誠知。初回の2点タイムリーなど3安打を放った。打率はようやく2割に乗った。解説の森本稀哲が言っていた。上林君は打つ球を選べばすぐ3割打てる、と。打ちにくい球に手を出して結果を出せずにいるということだ。

 

そんな上林の記事の見出しに目が止まった。「ソフトバンク上林『嫌いじゃない』得意札幌で3安打」(日刊スポーツ)だ。そういえば上林は札幌ドームでランニングホームランも打っている。なんと今季8試合で31打数11安打、打率3割5分5厘だという。繰り返すが上林はようやく打率が2割に乗ったくらいの調子なのだ。

 

上林がなぜ札幌ドームで打てるのかは分からないがソフトバンクにはほかにも札幌ドームで結果を出している人がいる。明石健志だ。札幌ではないけれど旭川出身ということで「地元」ではいいところを見せたいものだが、6月28日の試合では3安打でチームの勝利に貢献。そしてきょう8月3日の試合でも先制タイムリーに続いて2点目を奪うホームへの果敢な走りを見せた。

 

また、今シーズン、札幌で話題になったのは高橋純平。プロ初勝利から2日連続で2勝目をマークしたのは球団史上、日本選手初の快挙だった。初勝利まで苦労した高橋純平にとって札幌は縁起のいい場所だ。

 

札幌はライバル日本ハムの本拠地。いずれ自前の新球場ができればそうではなくなるが、ソフトバンクの選手にとって北海道のスタジアムはアウェーである。やはり声援も多いしホーム球場での試合はやりやすいもの。その一方、ホーム以外で「嫌いじゃない」場所を作っておくのはいいことだ。ここなら何となくうまくいく。そんな場所があればいくらか気持ちにゆとりが生まれるからだ。

 

本当に実力があれば場所を問わず結果が出せる。だけれどもそんな人ばかりじゃない。地元や本拠地ならうまくことも、敵地では勝手が違ってうまくいかないことは仕方がない。でもあの場所なら何となくうまくいきそうな気がする、前もうまくいったしな……。そんなふうに考えられる場所が多いほど、スランプにもなりにくいのではないか。

 

会社の机にしがみついていても結果が出せるとは限らない。状況が許せばお気に入りの店や図書館、共有スペースなどなど、好きな場所で次の作戦を練ってみてはいかがだろうか。普段と違う環境だからこそ柔軟な発想ができるかもしれない。理想は結果がバンバン出せて「好きな場所」が増えていくことだが、まずは上林ばりに「嫌いじゃない場所」を一つずつでも作っていけば、少しずつ道は開けていく気がする。


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