黒柴スポーツ新聞

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栗原と上林、分かれた明暗〜ユーティリティーとオンリーワン

今宮、周東、柳田そして甲斐。華やかに4発の花火が打ち上げられた開幕戦を、上林誠知はどんな思いで見つめていただろうか。上林はオープン戦打率1割台と低迷。開幕を2軍で迎えたのだった。

この日ライトを守ったのは、上林とポジション争いをした栗原陵矢。栗原とてオープン戦は不調だった。ではなぜ栗原が1軍で、上林は2軍なのか。アエラ記事、よもやの2軍行き ソフトバンクのスター候補「上林誠知」はこのまま埋もれてしまうのか、にはこう書かれている。
一軍に置いておけば代打や守備固めなど起用の場面は多そうだが、工藤公康監督と小久保裕紀ヘッドコーチは、上林を「便利屋」としては使わず、あくまでレギュラーとして大成することを期待しているという。
full-count記事、鷹・上林誠知はなぜ開幕1軍から漏れたのか? 工藤監督と小久保ヘッドの思惑とは…にはこう書かれている。
工藤監督は「(小久保)ヘッドも考えに考えて、熟慮しての決断だと思う。彼の背中を押してあげること、理解してあげることが僕の仕事だと思うので、いいよ、と。本人にも『レギュラーとして出るのと、ベンチで出るのとどっちがいいんだ?』と聞いたら『レギュラーで出たいです』と思いも聞きました」という。

これらを読んで考えてしまった。何か高望みしていないか。まずはどこでもいいから出てきっちり結果を出す。それができて初めてレギュラーを目指すと言えるんじゃないか…。

 

一方の栗原は違う理由で1軍に置かれている。一塁の中村晃に何かあれば一塁に、甲斐に何かあれば捕手に、松田に何かあれば三塁に回ることができる。外野でも、開幕戦ではグラシアルが下がったらレフトに回った。そう、常にどこかのピースになれるのだと解説の若菜嘉晴が言っていた。守備だけではない。勝負強い打撃。それを期待しているからこそ、「どこかででも」使いたい選手なのだ。こここそが上林との最大の違いではなかろうか。

じゃあ、と思う。上林はオンリーワンになるしかない。強肩を含めた守備力は誰もが認めるところ。地道に進塁を防ぐ返球をするとか、抜けようかという当たりを好捕していく。打撃では強力なリストを生かす。俊足もアピールしたい。14本の三塁打を放ったシーズンもある。そういう選手であれば今の厚いホークススタメンの壁を割っていけるのではないか。そのためにも当てるバッティングではなく好球必打を貫いてほしい。オープン戦でパッとしなかった栗原は開幕で2安打2打点。上林にはいい意味で栗原を意識して、触発されてもらいたい。


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