黒柴スポーツ新聞

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できる人は一撃で仕留める~ソフトバンク首位攻防戦でグラシアル3発11打点

「難しい球、打ってますよね。甘い球打ち損じて」

7月4日のソフトバンク楽天戦で、解説の若菜嘉晴が上林誠知の打席をそう評していた。確かに上林は高梨が投じたやや内角高めの球を窮屈そうに打ち、キャッチャーゴロに倒れていた。

 

「高打率の人は、甘い球一発で仕留めますよね。先ほどの内川みたいに。グラシアルもそう」

復調モードの内川聖一はこの日も2安打。グラシアルは初回に2ラン、6回には3ランと首位攻防初戦の6打点に続きことごとく打球を的確にとらえていた。

 

「打率の低い人は打ち損じて追い込まれていってボールを振るという傾向が多い」

ま、キャッチャーはそういうふうに仕向けるんですけどね、と若菜嘉晴は続けた。

 

なるほどな。仕事ができる人はそうなのだ。結果を出せる時は必ず決める。しかも一撃で。だから時間的にも体力的にも精神的にもロスがない。仕事がうまくいかない人は正反対。一撃で決められないから時間的にも体力的にも精神的にも消耗してしまう。その結果追い詰められて、難しい選択肢しかなくなっていく。そうなるとリカバリーは厳しい。

 

両者を分けるのはひとえに技術力。狙った球を的確にとらえられる技術があるから打ち損じない。技術を高めるには磨くしかない。内川聖一は横浜時代、杉村繁コーチと打撃力を向上させたし、グラシアルは年下の上林の打撃練習の映像をまとめてほしいとコーチにお願いするほど研究熱心(西日本スポーツ記事より)だ。やはりできる人はやることをやっている。

 

甘い球を打っているように見えるがグラシアルのこの日2本目のホームランは内角に入ってくる球を、少し腕をたたみながら打っている。簡単に結果を出しているように見せる。それは技術力がある人ならではだ。

 

 

 

内川聖一の右方向への打撃は芸術的。確実に打てるポイントがある。これは強みだ。得意技、必殺技を持っておくことは自分を助ける。内川の場合はあとはレフト方向に強い打球が打てだせば打率も上がって打点も稼げるだろう。

 

打率が上向かない上林、牧原あたりはまだまだ能力が発揮できていない。そんな焦りがあるのか特に上林は当てにいくようなバッティングに見えて仕方ない。

打つべき球の見極め、そして的確にとらえる技術。それは社会人が結果を出す過程にも通じる。追い込まれて自分のバッティングができなくなる前に、気持ちよくフルスイングできるよう、やれることはすべてやっておこう。


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