黒柴スポーツ新聞

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1点差負け克服へ「世紀のトレード」〜2022ホークスはどう対応?

2021年、リーグ4位に沈んだソフトバンク。敗因はいくつもあるが、接戦をものにできなかったことも大きい。1点差ゲームは実に8勝19敗。引き分けは何と21もあった。中には勝ちに等しい引き分けもあったかもしれないが、強いホークスなら取りこぼさなかった。あと1点はやらないし、もう1点ほしいところで取れてきた。そこが2021年はできなかった。そこは変えられるのだろうか。だとしたらどうやって変えるのか…そんなことを考えたのは、久しぶりに読んだ近藤唯之著「プロ野球 トレード光と陰」に世紀のトレードが出てきたからだった。


大毎の4番・山内一弘阪神の主力・小山正明。今では考えられないトレードだ。山内は3割打てるしホームランも打てるからソフトバンクで言えば柳田悠岐のイメージか。そういう人を出してまで大毎はピッチャーを補強したかったのはなぜか? 実は1点差負けがシーズンの31%も占め、リーグ5位に沈んだのだった。ちなみに2021年のソフトバンクも負け数62のうち1点差負けが19だから30.6%…もちろんソフトバンク柳田悠岐を出すわけないのだが、大毎のオーナー、永田雅一はそういう大胆なトレードを仕掛けた。


言う方も言う方だが受ける人がいたのもびっくり。阪神村山実がいたから小山正明を出せたのだが、阪神は打つ方が迫力不足という認識だったらしい。20勝が見込めるピッチャーをトレードに出した。お互いに弱点を補強できるから良いトレードなのだが、看板選手を出すのはめちゃくちゃダイナミック。裏を返せばそのくらいやらないと組織の体質は変わらないのかもしれない。ちなみに大毎のオーナー、永田は山内放出に際し涙を見せたらしいが、小山正明Wikipediaには小山がトレードを受諾した際に阪神球団幹部がうれしそうな顔を見せたという。ひどい話である。


で、すごいのはトレードの本人たち。山内は打率2割5分7厘ながらホームラン31本、打点94。阪神はリーグ優勝したから山内の加入は吉と出た。小山は何と前年の14勝の倍以上、30勝もした。通算320勝もしながら最多勝はたった1回なので昔のプロ野球はどれだけレベルが高いのかと思うが、小山唯一の最多勝がこの移籍初年度というところに男の意地を見た。


体質を変えるには主軸であろうと放出し、新しい血を入れる。永田雅一Wikipediaを読むだけでも一苦労するくらい波瀾万丈の人生だが、このくらいの人物でなければ世紀のトレードは実現しなかっただろう。ソフトバンクはここまでの緊急事態ではないから同じことをする必要はないが、トレードをしない(結果的に又吉入団と岩嵜放出はトレードみたいになったが)のであれば、接戦対策はどうするのか。ちょっと気になっている。


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