チームの一員になる〜巨人から阪神移籍の山本泰寛がサヨナラ打
異動の季節である。新聞社員となり21年で9回の異動ともなると、やはり目が行く。そう、移籍とトレードに。そして新天地で活躍するとまるで自分のことのようにうれしくなる。別に自分が打ったり投げたりはしてないのだけれど。巨人から阪神に移った山本泰寛はよかったなぁ、サヨナラ打を打てて。
山本泰寛。思えばソフトバンクとの日本シリーズでエラーをしたことが運命の分かれ道だったのかも。エラーは信用を減らす。大舞台だけに注目もされてしまった。山本は2020年シーズン、1軍に一度も上がれなかった。そこに手を差し伸べたのは阪神だった。いや、そんな甘いものではなかろう。単に人買いとも言える。内野ならどこでも守れる山本を、今なら巨人は手放すのではないか。そう読んでも不思議じゃない。
山本はトレードを言われた時どう思っただろう。巨人ではもう必要ないということか。それも事実と思う。本当に必要な選手なら金銭トレード含め球団は手放さない。一方で必要だからこそトレードの申し出がある。だから山本は阪神からご指名があったことを喜んでよいと思う。奥さんがMBSのアナウンサーだから、それも含めて関西に行くことには意味があったと思う。
球界にはいくつも決まり文句があり、その一つが「これでチームの一員になれた」。そう、移籍してきた選手は走攻守、何らかの活躍をして初めてチームの一員と見なされる。そんなこと言わずに温かく迎えてあげればいいじゃないと思うけど、輪に入るにも何らかのきっかけがいるのか。であればサヨナラ打はおあつらえ向きだ。その日の解説でも触れられていたが、初球から勇気を持って振りにいった。そこがよかった。おれはもう阪神で結果を残すしかないんだ。そういう歯の食いしばり方だった。打球はぐんぐん伸びて野手は追いつけなかった。
山本泰寛をたたえるコラムをと構想を練っていたら何と翌日にエラーして失点していた。そう、それが真理である。いつもうまくいくわけではない。歓迎されて、失望されて。そうやって輪の中に馴染んでいく。そういうものではなかろうか。私も久々の部署で浮かないよう、しっかり結果を出していこう。